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ベクティビックスの適正使用ガイド
電子添文ではEGFR発現に関する規定は記載されていません1)。
なお、切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対するベクティビックス単独投与試験の解析により、ベクティビックスの有効性はEGFR発現強度の影響を受けないことが確認されています2)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
- Van Cutsem E, et al.: J Clin Oncol. 2007; 25(13): 1658-1664.
60分以上かけて点滴静注してください。急速静注は行わないでください。
ただし、1回の投与量が1,000mgを超える場合は、日局生理食塩液で希釈して約150mLとし、90分以上かけて点滴静注してください1)。
<60分より短い時間で投与可能か?>
承認外用法のため、弊社から60分より短い時間での投与は推奨できません1)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
電子添文には、腎機能障害患者・透析患者に対する注意喚起の記載はなく、用量についても記載がございません1)。
海外の臨床試験の解析結果によると、本剤のピーク濃度及びトラフ濃度の範囲は、腎機能正常(CLcr>80mL/min)※、軽度障害(CLcr=50~80mL/min)※および中等度障害(CLcr=30~49mL/min)※の各被験者群で同様であったので、軽度、中等度の腎障害は本剤の薬物動態に影響しないと考えられております。なお、こちらの試験では高度障害(CLcr<30mL/min)※に該当する被験者は認められませんでした2)。
(※腎機能の重症度分類はFDAガイダンスによる分類に基づくもの)
3つの臨床試験の統合解析において、軽度、中等度の腎障害および肝障害はベクティビックスの薬物動態に影響を与えなかったという文献も報告されています3)。
透析の除去率については「該当資料なし」です4)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 申請資料概要
- Cancer Chemother Pharmacol. 2021 Oct; 88(4): 665-672.
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg インタビューフォーム
電子添文上、肝機能障害患者に対する注意喚起の記載はなく、用量についても記載がございません1)。
本剤の薬物動態に及ぼす肝障害の影響に関する試験は実施されておりません。
海外の臨床試験の解析結果によると、本剤のすべての臨床試験で重度の肝障害は除外されておりました。結果として、軽度及び中等度の肝障害は本剤の薬物動態に影響しないと考えられました2)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 申請資料概要
電子添文上、「本剤の投与前後には日局生理食塩液を用いて点滴ラインを洗浄し、本剤と他の注射剤又は輸液との混合を避けること。」とされており、投与前後のフラッシュをお願いしております1)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
ベクティビックスと放射線療法の併用について、電子添文や適正使用ガイドで注意喚起はされておりません。
放射線併用の可否については、ベクティビックスと併用する予定の化学療法(FOLFOX、FOLFIRIなど)との影響もご考慮いただき、ご施設でご判断ください1,2)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
- ベクティビックス点滴静注 適正使用ガイド
承認時の臨床試験で実施された化学療法はFOLFOX4でございます1)。
適正使用ガイドにおいては、FOLFOXとFOLFIRI以外の「その他の化学療法」は「リスク/ベネフィットを考慮」と記載しています2)。
国内臨床第3相試験である「PARADIGM試験」(Panitumumab and RAS, Diagnostically useful Gene Mutation for mCRC)が、文献になっております。
PARADIGM試験は、RAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸がん患者さんを対象に、mFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法とmFOLFOX6+パニツムマブ併用療法の有効性および安全性を比較する第3相無作為化比較試験です。
本試験ではRAS遺伝子野生型で原発巣占居部位が左側(下行結腸、S状結腸、直腸)である大腸がん患者さんにおける適切な治療を前向きに検証しました。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
- ベクティビックス点滴静注 適正使用ガイド
- JAMA. 2023 Apr 18; 329(15): 1271-1282. PMID: 37071094
電子添文に「本剤の投与にあたっては、インラインフィルター(0.2又は0.22ミクロン)を使用すること」と記載がありますので、フィルターの使用をお願いいたします1)。
ベクティビックスは無色の溶液で、半透明~白色の微粒子をわずかに認めることがございます1)。
インラインフィルターを使用することで微粒子は除去されることが確認されていますので使用可能です。
ただし、バイアルに変色が見られた場合は使用しないでください2)。
インラインフィルターを使用しなかった場合のヒトでの有効性および安全性を検討した試験結果はありません。
インラインフィルターを使用せずに投与を行った場合は経過観察をお願いします。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
- ベクティビックス点滴静注 適正使用ガイド
日局生理食塩液以外の配合変化を検討した資料はありません。
したがって、他剤との配合及び混合はお勧めしていません。
また、ベクティビックス投与前後にはフラッシュの実施をしていただくようお願いいたします1)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg インタビューフォーム
電子添文には「本剤投与中及び本剤投与終了後少なくとも1時間は観察期間(バイタルサインをモニターするなど)を設けること。」と記載があり、観察時間の短縮は推奨できません1)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
ベクティビックスの貯法は「遮光保存。凍結を避け、2~8℃で保存」です。
承認された貯法以外で保存された製品をヒトに投与した際の有効性、安全性は確立していませんので貯法を逸脱した製品の使用は弊社からはお勧めしておりません1)。
インタビューフォームに貯法以外での安定性データ(加速試験)がございます。
25℃で6ヵ月で観察した結果、類縁物質及び凝集体の増加を認めました2)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg インタビューフォーム
◇輸液ライン
ポリ塩化ビニル(PVC)含有、ポリ塩化ビニル非含有(PVCフリー)どちらでも使用可能です1)。
◇インラインフィルター
インラインフィルターは、孔径0.2ミクロンのポリエーテルスルフォン製が使用可能です2)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 申請資料概要
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg インタビューフォーム
電子添文「その他の副作用」欄に、頻度不明の副作用として「角膜炎・角膜潰瘍」があり「眼の異常があらわれた場合には、直ちに眼科的検査を行い、必要な処置を行うこと。」とあります1)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
ベクティビックスを含むモノクローナル抗体製剤は血管外漏出が起こっても炎症や壊死を起こしにくい抗がん剤[非炎症性抗がん剤(non vesicant drug:ノンベシカントドラッグ)]に分類されています(ESMO-EONS Clinical Practice Guidelines)1)。
対処法については弊社でご紹介しているものはございませんので、ご施設様にてご判断ください。
(参考資料)
- Pérez Fidalgo JA,et al: Ann Oncol. 2012; 23(Suppl 7)vii167-vii173.
電子添文上、曝露対策や排泄物の取り扱いに関して注意喚起しておりませんが、がん薬物療法における職業性曝露対策ガイドライン2019年版にはHazardous Drugs(HD)リストにパニツムマブが記載されております1)。
必要に応じて当ガイドラインをご参照いただき、ご施設の規定に従ってご対応いただければ幸いです。
(参考資料)
- がん薬物療法における職業性曝露対策合同ガイドライン2019年版
電子添文上、<5.効能又は効果に関連する注意>には、「5.2 RAS(KRAS及びNRAS)遺伝子変異の有無を考慮した上で、適応患者の選択を行うこと。」と記載がございます1)。
RASが野生型である点はご確認いただきますようお願いしております。
BRAFV600E遺伝子に関しては電子添文上、規定はございません。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
ベクティビックス投与前、投与後、どちらにマグネシウム製剤を点滴するか電子添文で規定はございません。
なお、ベクティビックスは他剤との配合変化を検討した成績はございません。本剤の投与前後には日局生理食塩液を用いて点滴ラインを洗浄(前後フラッシュ)し、本剤と他の注射剤又は輸液との混合を避けるようお願いいたします1)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
本剤の調整時には1回の投与量として6mg/kgとなるように算出した必要量を抜き取って日局生理食塩液に添加し、用量が100mL程度のボトルを用いて全量が約100mLとなるように調整してください。
最終濃度として10mg/mLを超えないようにご注意ください。
1回投与量として1000mgを超える場合は、日局生理食塩液で希釈し約150mLとするようお願いいたします。
(参考資料)
ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
電子添文上、手術前後の休薬に関しての注意喚起、休薬の規定はございません。
参考)
半減期:6.72±0.709日(6mg/kg単回投与時)、9.62±2.67日(6mg/kg反復投与時)1)
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
内服抗菌剤として、テトラサイクリン系抗菌剤のミノサイクリン塩酸塩1日200mg分2(朝夕)食後投与をご紹介しています。
痤瘡様皮膚炎は、治療をしていくと、多くの場合5~6週間で消退することが知られています。
このことから、痤瘡様皮膚炎に対するミノサイクリンの投与期間は6週間を目安とし、その後の継続は担当医の判断としています。
また、症状をみて、1日100mg分2に減量することもあります。
ドキシサイクリン、ミノサイクリン以外に推奨される抗菌剤に、マクロライド系抗菌剤が挙げられます。
マクロライド系抗菌剤の尋常性痤瘡治療ガイドライン2017における推奨度は、ロキシスロマイシンがB(推奨する)、エリスロマイシンおよびクラリスロマイシンがC1(選択肢の一つとして推奨する)です1)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 副作用アーカイブ 皮膚障害
重度(Grade 3以上)の皮膚障害があらわれた場合は、下表を目安に本剤の用量のご調節をお願いいたします1)。
<重度(Grade 3以上)の皮膚障害発現時の用量調節の目安>
皮膚障害発現時の 本剤の投与量 | 本剤の投与 | 投与延期後の状態 | 本剤の用量調節 |
6mg/kg | 投与延期 | 6週間以内に Grade 2以下に回復注) | 6mg/kg又は 4.8mg/kg |
4.8mg/kg | 投与延期 | 6週間以内に Grade 2以下に回復注) | 3.6mg/kg |
3.6mg/kg | 投与中止 |
注)6週間以内にGrade 2以下に回復しなかった場合は、本剤の投与を中止する。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
電子添文上、「電解質異常が認められた場合には必要に応じ電解質の補給等の適切な処置を行うこと1)。」と記載があります。
電解質の補充療法も奏効せず、症状が重度の場合はベクティビックス投与の減量もしくは中断を検討してください。症状に改善が見られた場合は、慎重に投与を再開してください2)。
QTcの著明な延長等の治療を要する心電図異常が認められる場合、低マグネシウム血症の程度に関係なく、ベクティビックス投与の中止又は中断を検討します3)。
電解質異常発現時の減量基準はベクティビックスの電子添文上規定されておりませんが、<用法及び用量に関連する注意>に記載のある、<重度(Grade 3以上)の皮膚障害発現時の用量調節の目安>をご参考ください1)。
また、<重度(Grade 3以上) 電解質異常発現時の用量調節の目安>も同様にご参考いただき、用量調節の検討をお願いいたします3)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
- ベクティビックス点滴静注 適正使用ガイド
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 副作用アーカイブ 電解質異常
電子添文上、「電解質異常が認められた場合には、必要に応じ電解質の補給等の適切な処置を行うこと1)。」と記載がございます。
電解質の補充療法も奏効せず、症状が重度の場合は本剤投与の減量もしくは中断を検討してください。
症状に改善が見られた場合は、慎重に投与を再開してください2)。
QTcの著明な延長等の治療を要する心電図異常が認められる場合、低マグネシウム血症の程度に関係なく、パニツムマブ投与の中止又は中断を検討します3)。
ご参考までに、副作用アーカイブ掲載の処方例をご紹介いたします。
こちらの施設では、血清マグネシウム濃度1mg/dLを、介入を開始する目安としております。
具体的な補充方法として、
・硫酸マグネシウム1mEq/mL 1管(20mL)を生食液100mLで希釈し、60分かけて静注
という例をご紹介しております。
血清マグネシウム濃度が1.2mg/dLを超えるまで、毎週行います。
マグネシウム補充療法の効果は2~3日しか持続しないため、重症例(0.9mg/dL以下)に対しては、週2回から連日投与が必要となります3)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
- ベクティビックス点滴静注 適正使用ガイド
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 副作用アーカイブ 電解質異常
ベクティビックスの電子添文では、11.1 重大な副作用として「発疹(14%)、ざ瘡様皮膚炎(10%)、紅斑(3%)、爪囲炎(3%)、そう痒症(2%)、皮膚亀裂・皮膚乾燥(1%)、皮膚剥脱(0.9%)があらわれることがある。1)」と記載がございます。
ざ瘡様皮膚炎は約7割、爪囲炎や皮膚乾燥は約2割の症例で発現します。
◆特定使用成績調査の安全性解析対象症例における発現頻度
ベクティビックス特定使用成績調査最終集計(N=3085)における皮膚障害の発現頻度は、ざ瘡様皮膚炎69.9%(Grade 3以上10.5%)、爪囲炎24.2%(Grade 3以上4.3%)、皮膚乾燥21.7%(Grade 3以上2.1%)、そう痒症4.8%(Grade 3以上0.4%)でした2)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 電子添文
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 副作用アーカイブ 皮膚障害
外用剤は、主にステロイド剤を使用します。
ざ瘡様皮膚炎の重症度Gradeと塗布部位に応じて、ステロイド剤の強さを選択します。重度の症状に対しては、強いステロイド剤で開始して、徐々に減弱します1)。
一般的に、ステロイド剤の吸収率は塗布部位によって異なります。
ざ瘡様皮膚炎に対するステロイド剤の使い分けとして、
頭皮:Grade 1~2はstrong、Grade 3以上はvery strong以上
顔面:どのGradeかに関わらずmedium
体幹及び四肢:Grade 1~2はvery strong又はstrong、Grade 3以上はstrongest
<強い外用ステロイド剤(strongestやvery strongクラス)を使っても対応できない際の対処法は?>
ざ瘡様皮膚炎の強い症状に対して、プレドニゾロン換算で10~20mg程度のステロイド剤を短期間内服することが有効です。プレドニゾロン(プレドニン®)錠1日10~20mg分1(朝)食後を用いている施設もあります1)。
(参考資料)
- ベクティビックス点滴静注100mg・400mg 副作用アーカイブ 皮膚障害