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長期予防治療中のオンデマンド治療の有用性

監修:千葉大学医学部附属病院 本田 大介 先生

HAE Expert Opinions Vol.3

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HAE Expert Opinions Vol.3

長期予防治療の有用性と懸念点

長期予防治療を行っていても急性発作が起こる可能性がある

WAO/EAACI国際ガイドライン(2021年版)1)では、遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療目標として病気の完全なコントロールと患者の生活の健全化を挙げており、これは定期的な薬剤投与により発作を防ぐ長期予防治療によってのみ達成可能と考えられています。
一方で、長期予防治療によりすべての発作を防げるわけではありません2-4)。したがって、長期予防治療を行っていても、急性発作が起こる可能性を考慮する必要があります。

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千葉大学医学部附属病院 本田 大介先生 ご監修

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千葉大学医学部附属病院 本田 大介先生 ご監修


オンデマンド治療の有用性

オンデマンド治療は発作部位や重症度にかかわらず早期治療が重要

喉頭浮腫のような致死的な発作でなくとも、四肢の浮腫による手足の動かしにくさ、顔面の浮腫による見た目の変化、消化管の浮腫による強い腹痛は、HAE患者さんのQOLを著しく低下させます。また、治療開始までの時間が短いほど、症状消失までにかかる時間が短いことがわかっています5)。そのため、発作の部位にかかわらず、速やかに治療することが重要です。

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Longhurst H, et al. Lancet. 2012; 379(9814): 474-481.

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Longhurst H, et al. Lancet. 2012; 379(9814): 474-481.

オンデマンド治療薬の常備携帯により早期治療を可能に

HAE発作は予測できないことから、早期の治療開始には、患者さんによる自己投与が最も有用だと考えられます。実際に、医療従事者による投与よりも、自己投与の方が発作が起こってから投与までの時間が短いことが示されています6)。このことは、長期予防治療を行っていても、患者さんが急性発作に備えて常にオンデマンド治療薬を携帯することの有用性を示唆しています。
なお、長期予防治療とオンデマンド治療とでは、使用できる薬剤が異なります。これは、薬剤によって作用機序や適応が異なるためです7-11)

海外ガイドラインにおけるオンデマンド治療

WAO/EAACI国際ガイドライン(2021年版)1)では、すべての発作に対してオンデマンド治療を検討し、治療はできるだけ早く行うことを推奨しています。また、すべての患者に対して、少なくとも2回分以上のオンデマンド治療薬を常時携帯することを推奨しています。

  1. Maurer M, et al. Allergy. 2022; 77(7): 1961-1990.
  2. 社内資料(承認時評価資料):ラナデルマブの遺伝性血管性浮腫患者を対象とした海外第Ⅲ相試験成績
  3. Banerji A, et al. JAMA. 2018; 320(20): 2108-2121.[COI:本試験はDyax社(現:Takeda)の資金提供により実施された。本論文の著者のうち3名はShire社(現:Takeda)の社員である。著者にDyax社又はShire社よりコンサルタント料等を受領している者が含まれる。]
  4. Lumry WR, et al. Allergy. 2021; 76(4): 1188-1198.[COI:本試験はShire社(現:Takeda)の資金提供により実施された。本論文の著者のうち3名はTakeda の社員である。著者に同社よりコンサルタント料等を受領している者が含まれる。]
  5. Longhurst H, et al. Lancet. 2012; 379(9814): 474-481.
  6. Hernández Fernandez de Rojas D, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2015; 167(1): 21-28. [COI:本試験はShire社(現:Takeda)の資金提供により実施された。本論文の著者のうち1名はShire社の社員である。著者にDyax社(現:Takeda)又はShire社よりコンサルタント料等を受領している者が含まれる。]
  7. 電子添文:タクザイロ皮下注300mgシリンジ(2023年6月改定)
  8. 電子添文:ベリナート皮下注用2000(2022年11月改定)
  9. 電子添文:オラデオカプセル150mg(2023年4月改定)
  10. 電子添文:フィラジル皮下注30mgシリンジ(2022年8月改定)
  11. 電子添文:ベリナートP静注用500(2019年10月改定)