小児慢性特定疾患
監修:松井 尚子 先生(徳島大学 大学院医歯薬学研究部 臨床神経科学分野 准教授)
⼩児慢性特定疾患
⼩児期にCIDP‧MMNにかかったときは、児童福祉法に基づき、慢性疾患にかかった⼦どもと家庭を⽀えるための3つの⽀援が受けられます。医療費助成、⾃⽴⽀援、移⾏期⽀援です。
⼩児慢性特定疾患とは?
国は、20歳未満で慢性的な疾患のある⼦どものうち、次の4つの項⽬を満たしていると厚⽣労働⼤⾂が認定した⼦どもの病気を、「⼩児慢性特定疾患」と定め、⽀援をおこなっています。CIDP‧MMNも対象に含まれています。
・慢性に経過する疾病であること
・⽣命を⻑期に脅かす疾病であること
・症状や治療が⻑期にわたって⽣活の質を低下させる疾病であること
・⻑期にわたって⾼額な医療費の負担が続く疾病であること
CIDP‧MMNについては、次のような疾病状態が⼀つ以上続く場合に、「⼩児慢性特定疾患」の⽀援の対象になります。
図1. ⼩児慢性特定疾病のうちCIDP‧MMNに区分される対象疾病
⼩児慢性特定疾病児童等への医療費助成
⼩児慢性特定疾病は、⻑期にわたり⾼額な医療費負担が続くことが⾒込まれます。そのため、児童等の健全育成の観点から、患児家庭の医療費の負担軽減を図るため、医療費の⾃⼰負担分の⼀部を助成しています。助成により、窓⼝での医療費(病院代と薬代)の⾃⼰負担3割が2割になります。⼊院時の⾷費も課税世帯では2分の1が助成されます。
負担額は所得により上限額が決められており、上限額に達した場合、⽀払いは無くなります。
対象年齢は18歳未満
18歳未満の児童であること(ただし、18歳になる前から対象になっており、かつ18歳になった後も引き続き治療が必要であると認められる場合は、20歳未満まで延⻑が可能です)。
⼿続きの流れ
⼩児慢性特定疾病対策による医療費助成の申請は、以下のように⾏います。
図2. ⼩児慢性特定疾病対策による医療費助成の申請の流れ
1. ⼩児慢性特定疾病「指定医療機関」を受診
⼩児慢性特定疾病に関し、指定医療機関で受けた保険診療が医療費助成の対象となります。⾃治体が公表している 『指定医療機関⼀覧』で受診します。
>指定医療機関⼀覧(※ここから先は外部サイトに遷移します。)
【指定医療機関とは】
指定医療機関とは、予め都道府県知事等に指定された医療機関のことを指します。以下の要件を満たす場合に指定されます。
1. 保険医療機関であること。
2. 専⾨医師の配置、設備の状況からみて、⼩児慢性特定疾病に係る医療の実施につき⼗分な能⼒を有する医療機関であること。
2. ⼩児慢性特定疾病「指定医」による医療意⾒書の作成
医療意⾒書の記載は、⼩児慢性特定疾病指定医のみが⾏えます。⾃治体が公表している『指定医⼀覧』に掲載されている指定医に「⼩児慢性特定疾病の医療意⾒書」を作成してもらいます。
>指定医⼀覧(※ここから先は外部サイトに遷移します。)
【指定医とは】
指定医とは、予め都道府県知事等に指定された医師のことを指します。以下の要件を満たす場合に指定されます。
1. 疾病の診断⼜は治療に5年以上※1従事した経験があり、関係学会の専⾨医※2の認定を受けていること。
2. 疾病の診断⼜は治療に5年以上※1従事した経験があり、都道府県等が実施する研修を修了していること。
※1 医師法(昭和23年法律第201号)に規定する臨床研修を受けている期間を含む。
※2 (参考)社団法⼈⽇本専⾨医制評価‧認定機構では、基本領域18専⾨医制度とSubpecialty 領域29専⾨医制度(H26年9⽉末現在)を承認している。
3. 医療意⾒書を含む必要書類を準備し、居住している⾃治体窓⼝へ申請
医療意⾒書の作成に時間を要する場合は、まず先に患者さん‧ご家族に⾃治体窓⼝へ申請の相談に⾏くよう伝えてください。また、必要書類は⾃治体ごとに異なる場合がありますので、お住まいの『⾃治体窓⼝』で確認するよう伝えてください。
>⾃治体窓⼝(※ここから先は外部サイトに遷移します。)
4. ⼩児慢性特定疾病医療受給者証が発⾏される
⼩児慢性特定疾病審査会による認定審査を通過すると、「医療受給者証(⼩児慢性特定疾病医療受給者証)」が発⾏されます。同時に、課税額に応じて、「⾃⼰負担額上限額管理⼿帳」が発⾏されます。受給者証の認定期間は原則1年なので、毎年申請する必要があります。更新時期は⾃治体によって異なります。
窓⼝で提⽰する書類は、以下のとおりです。
・公的医療保険の保険証
・医療費受給者証と⾃⼰負担上限額管理⼿帳
・その他の医療券(こども医療費助成、ひとり親家庭医療費助成、重度障害児医療費助成等)がある場合は、それも提⽰する
⼦ども医療費助成制度
各⾃治体が定めた年齢の⼦どもの医療費を援助する制度で、公的医療保険が7〜8割を負担し、残りの2〜3割を市区町村が補助します。
医療費助成は健康保険適⽤分が対象です。医療費‧薬代のほか、保険適⽤される補装具や眼鏡も含まれます。ただし、健康診断、予防接種、⾷事代などの保険適⽤外は対象外です。
以下の場合も助成対象外となるケースがあります:
・学校でのケガ(災害共済給付対象)
・⼩児慢性疾患(別の医療費助成あり)
・交通事故などのケガ(損害賠償対象)
対象年齢1)
・⾃治体によって異なります
・都道府県レベル:主に就学前まで
・市区町村レベル:主に⾼校⽣まで(18歳年度末)まで
利⽤⽅法
・保護者は住⺠票のある⾃治体窓⼝で医療証を申請します(健康保険証と⾝分証明書が必要)。年齢に応じてマル乳‧マル⼦‧マル⻘医療証が交付され、これを健康保険証と⼀緒に医療機関で提⽰することで医療費が軽減されます。
⾃⽴⽀援事業
⾃⽴⽀援とは
⼩児慢性特定疾病児童の健全育成及び⾃⽴促進を図るため、児童‧家族からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助⾔を⾏うとともに、関係機関との連絡調整その他の事業を⾏っています。
〔実施主体〕
都道府県‧指定都市‧中核市‧児童相談所設置市
⾃⽴⽀援には⾃治体が必ず⾏っている2つの必須事業(①相談⽀援事業と②⾃⽴⽀援員による⽀援事業)のほか、③任意でおこなわれている事業があります。
①相談⽀援事業
⼩慢児童等とその家族について、適切な療養の確保、⾃⽴⼼の確⽴、必要な情報の提供等の便宜を供与することで、⽇常⽣活上での悩みや不安等の解消及び⼩慢児童等の健康の保持増進及び福祉の向上を図ることを⽬的とする。
②「⾃⽴⽀援員」(⼩児慢性特定疾病児童等⾃⽴⽀援員)による⽀援
⼩慢児童等の⾃⽴が円滑に進むよう、⼩児期から成⼈期にかけて切れ⽬のない⽀援を⾏うため、⼩児慢性特定疾病児童等⾃⽴⽀援員(以下「⾃⽴⽀援員」という。)がいます。⾃⽴⽀援員は、病院‧学校等の関係機関と連絡‧調整して、⼩慢児童等の⾃⽴促進を図ります。
図3. ⾃⽴⽀援員による⽀援の具体例
③任意事業
移⾏期⽀援とは
⼩児期に発症したCIDP‧MMNの患者さんが、成⼈期に移⾏する時期に直⾯する医療的課題やその他の課題について⽀援することを移⾏期⽀援と⾔います。
⼩児の患者さんがその成⻑に伴い、⾃らの健康情報や健康管理スキルを⾝に付け、成⼈期医療に対する⼼構えを習得し、ケアを中断することなく適切に医療を受けられるよう⽀援します。
移⾏期⽀援センター
移⾏期医療⽀援センターは、移⾏期医療の各関係機関の調整や患者⾃律(⾃⽴)⽀援等、移⾏期医療を総合的に⽀援する機能をもつ拠点で、各都道府県に設置されることになっています。
移⾏期⽀援センターのある都道府県‧医療機関と受けられる⽀援については、マップを参照してください。
>移⾏期医療⽀援センターマップ(※ここから先は外部サイトに遷移します。)
⼩児慢性特定疾病の患者‧家族への⽀援について、詳しく知りたい⽅は⼩児慢性特定疾病情報センターをご覧ください。
>⼩児慢性特定疾病情報センター(※ここから先は外部サイトに遷移します。)
参考⽂献
1)厚⽣労働省. 別紙1 こども医療費に対する援助の実施状況(令和5年4⽉1⽇現在).