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クローン病や潰瘍性大腸炎といったIBD(炎症性腸疾患)は、どのように発症して、
どのように進行するのでしょうか。
また、IBDを効果的に治療するためには、何をターゲットにして治療を行うとよいのでしょうか。
こちらでは、「免疫介在性疾患」としてのIBDの病態メカニズムと、その治療ターゲットに迫ります。
IBDの発病前は、遺伝的要因を背景として、食事などの環境的要因が加わることで腸上皮細胞の損傷が誘発され、腸管壁のバリア機能が破綻し、腸管への抗原の侵入をもたらします。それによって、免疫細胞が活性化し、炎症が引き起こされます1)、2)。
免疫細胞の活性化によって、全身性サイトカインが産生される一方で、免疫の調節機能(制御機能)が十分に機能しなくなることなどにより、炎症が慢性的に持続します1)、3)。そして、時間の経過とともに、腸の構造や機能異常が進行して、狭窄や瘻孔、がんなどの合併症を引き起こすおそれがあります1)~3)。
では、IBDの早期には腸管でどのような変化が起きて、発症・進行に至るのか、その「病因」に迫ります。
腸管壁のバリア機能の破綻(❶)によって、食事成分や微生物などが粘膜上皮下に侵入し、抗原提示細胞はこれらの異物を捉えます。抗原提示細胞内でこれらの異物は分解され、抗原としてリンパ球へ提示されます。その結果、リンパ球は活性化し、腸管へのホーミングを促す接着分子のインテグリンが発現するようになります(❷)。インテグリンが発現したリンパ球は、血中から腸管に浸潤していきます(❸)2)。
では、リンパ球が腸管に浸潤するプロセス(❸)を、細かくみていきましょう。
IBDにおけるリンパ球の表面には、腸管関連リンパ組織で抗原提示により活性化した腸管ホーミングマーカーであるα4β7インテグリンやα4β1インテグリンなどの接着分子が発現4)、5)しているほか、その受け皿となる接着分子のMAdCAM-1(粘膜アドレシン細胞接着分子-1)やVCAM-1(Vascular Cell Adhesion Molecule-1)なども、腸管炎症部位の血管内皮細胞で発現6)、7)しています。
特にMAdCAM-1は、他の炎症部位では発現が増加しないため、α4β7インテグリンとともに“腸管選択的”な接着分子といえます。そのため、α4β7インテグリンとMAdCAM-1との“腸管選択的”な結合などを介して、リンパ球は腸管に大量に浸潤することとなります2)~7)
。
リンパ球の腸管への大量浸潤により、TNF(腫瘍壊死因子)αやインターロイキン(IL)など、IBDに関連する全身性サイトカインの産生が炎症反応を誘発して(❹)、他の免疫細胞や接着分子を活性化させたり、上皮細胞を直接傷害したり(❺)1)、2)、さらなる抗原の侵入を許す(❶)など、負のスパイラルを引き起こします。
クローン病や潰瘍性大腸炎といったIBD(炎症性腸疾患)は、リンパ球が腸管に大量浸潤するフェーズ(❶~❸)と、その後リンパ球の大量浸潤により全身性サイトカインが産生されて炎症反応が誘発されるフェーズ(❹〜❺)の、大きく2段階を経て炎症が進行すると考えられます2)。
そのためIBDは、免疫細胞を介して炎症状態がもたらされる「免疫介在性疾患」とも考えられます2)、8)。
「免疫介在性疾患」であるIBDは、①リンパ球が腸管に大量浸潤するフェーズと、その後、②リンパ球の大量浸潤により全身性サイトカインが産生されて炎症反応が誘発されるフェーズの、大きく2段階を経て炎症が進行すると考えられるため2)、IBDの治療ターゲットも大きくその2つに分けられます9)。
リンパ球の腸管への「浸潤」を
標的とする治療
「全身性サイトカイン」を
標的とする治療
まずは、IBDの炎症カスケードの初期段階と考えられる、リンパ球の腸管への大量浸潤を阻害することで、その後の腸管の炎症反応を抑えるといった、「リンパ球」をターゲットとしたアプローチです2)、3)。
中でも、リンパ球の腸管への浸潤を“選択的”に阻害するアプローチを、「GSALT」(Gut-Selective Anti-Lymphocyte Trafficking:腸管選択的リンパ球浸潤阻害)と呼びます11)。GSALTは、腸管の炎症反応は抑えますが、全身性の免疫反応には影響を及ぼしにくいことから、“腸管選択的”なアプローチと考えられています2)、3)。
もう1つは、IBDに関連する「全身性サイトカイン」をターゲットとして、炎症反応の誘発を抑えるというアプローチです。こちらは、サイトカインの作用を抑えると同時に、全身性の免疫反応にも影響を及ぼす可能性があります2)、3)。
IBDは、どの段階から治療介入することが効果的なのでしょうか。
下図8)は、IBDの腸粘膜組織における炎症カスケードを表していますが、早期には腸管炎症部位の血管内皮細胞が活性化して、“腸管選択的”な接着分子であるMAdCAM-1などが発現しており、その後はIBDに関連する多くの全身性サイトカインが産生されて上皮細胞を傷害していると考えられます。
即ち、早期の段階では、リンパ球が腸管に浸潤するのを阻害する治療2)、3)を行うことで、その後の腸管でのさらなる免疫細胞の動員抑制や全身性サイトカインの産生抑制、さらには疾患進行の軽減が期待され8)、リンパ球大量浸潤後の場合は、全身性サイトカインの作用を抑える治療2)、3)が期待されるなど、個々の患者さんの病態に適した治療法を選択することが効果的と考えられます。
特に、時間経過とともにサイトカインプロファイルが変わりうるクローン病においては、早期のうちからリンパ球の腸管浸潤を阻害することが、より重要になると考えられます。
IBD患者さんに最適な薬剤を選択するためには、IBDの病態と治療薬のメカニズムを十分に理解しながら、個々の患者さんに合わせた薬剤選択が重要になります。
リンパ球の腸管への「浸潤」を
標的とする治療
「全身性サイトカイン」を
標的とする治療