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TTP(⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病)

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TTP(⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病)
TTP(⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病)ケース1
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紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したものであり、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。

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新生児期より血小板減少を繰り返し、成人期までITPと誤診されていたcTTPの一例

【監修】浜の町病院 血液内科 医長 栗山 拓郎 先生

吉野 明久 ほか:臨床血液. 65(3):2024; 142-146.
著者に武田薬品から講演料を受領した者が含まれる。

新生児期に免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenia:ITP)と診断されフォローされていた。
しかし、繰り返す血小板減少や意識障害から先天性血栓性血小板減少性紫斑病(congenital thrombotic thrombocytopenic purpura:cTTP)の可能性も考え、
成人になってADAMTS13検査などの各種検査を実施したところ、cTTPの確定診断がなされた。
小児期にITPと診断されている症例でも、経過中にcTTPを疑う病歴や所見を認める場合は、ADAMTS13の検査を積極的に検討する必要があると考えられる。

 


患者背景など

患者:27歳女性
主訴:悪心・嘔吐、紫斑、意識障害
既往歴:特記事項なし、妊娠・出産歴なし
家族歴:両親と姉1人、血液疾患の家族歴なし
現病歴:新生児期に他院で黄疸のため交換輸血を行っており、経過よりITPと診断されていた。その後も血小板減少を繰り返し、小児科、血液内科で適宜ステロイドを投与されていた。2022年7月に悪心・嘔吐、その翌日より頸部に紫斑が出現したため、当科を受診、血小板数10,000/μLまで減少を認めたため同日入院となった。

 


各種所見

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各種所見画像
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【血液検査所見】

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各種所見
本文

血小板数の低下、LDH上昇や間接優位のビリルビン上昇など溶血を示唆する所見はあるものの、貧血や網状赤血球数の増加はみられなかった。

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各種所見
本文

血小板数の低下、LDH上昇や間接優位のビリルビン上昇など溶血を示唆する所見はあるものの、貧血や網状赤血球数の増加はみられなかった。

 

経過

【入院経過】

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経過
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経過

【退院後経過】

外来で3~4週間に1回4単位でFFPの定期輸注を約1年間実施。その後、治療に要する時間の短縮などの利便性を考え遺伝子組換えADAMTS13による治療を患者に提案した。 
2024年5月以降、外来で遺伝子組換えADAMTS13の定期投与を実施、継続している。遺伝子組換えADAMTS13投与時には定期検査を実施し、腎機能、全血球数を測定、また3~4ヵ月に1回の頻度でADAMTS13活性の測定をしている。遺伝子組換えADAMTS13投与開始後、2025年3月時点までに、血小板減少や溶血性貧血、臓器障害の合併は認められていない。

 


遺伝子検査結果

患者家族のADAMTS13検査を実施したところ、ADAMTS13活性は父34.5%、母32.8%、姉47.7%と低下しており、いずれもインヒビター陰性であった。
ADAMTS13遺伝子解析により、父、姉、患者にexon19の変異(p.C754Afs)を、母、患者にexon21の変異(p.C908Y)があることを認め、複合ヘテロ接合性変異によるcTTPであるとの診断に至った。

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遺伝子検査結果
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遺伝子検査結果

 


報告Dr.からのメッセージ

TTP患者ではADAMTS13活性の著減がみられるが、ADAMTS13活性の測定が可能になったのは1997年からである。そのため、1997年以前はTTPの診断は臨床所見に依存しており、腎障害や溶血性貧血、精神神経症状を認めないことを理由に、本来cTTPであるがITPと誤診された症例は少なからず存在したと考えられる。
実際に本症例も、1997年以前にITPとして診断されている。TTP発作時の溶血性貧血の所見が軽度であり、プレドニゾロン投与により血小板数の回復などの症状の改善がみられていたためである。
しかし、本症例では、Hb値が10~11と貧血症状は軽度にもかかわらず、LDH値が高値を示すといった、ITPでは通常認められない溶血所見や、繰り返す血小板減少などcTTPを疑う要因がみられた。このように、他医から引き継いだ患者は、診断済みの病名を疑わずに治療を行いがちだが、時に疑うことも重要である。
一方で、ITPに自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を合併しているEvans症候群についても考慮しなければならない。これらの鑑別にはADAMTS13活性の検査が有用であり、積極的な測定が求められる。
さらに、 cTTPと後天性TTP(immune-mediated TTP:iTTP)は似て異なる疾患であることも念頭におかなければならない。血液内科で診療するTTP患者の多くはiTTPであることから、TTPという疾患に対して、腎機能障害、溶血性貧血、精神神経症状などが著明に現れるものという印象を持ちがちである。そのため、本症例のように臨床症状が乏しい場合には、TTPを疑いにくくなってしまう。 
遺伝子組換えADAMTS13の定期投与において、ADAMTS13活性のモニタリングは、患者ごとに適切な投与間隔を判断する上で有用と考えられる。ただし、cTTP症例では、ADAMTS13活性が0.5%未満と極めて低いにもかかわらず発作を生じない場合があり、必ずしも活性値と重症度が一致しない点に注意が必要である。さらに、長期投与に伴うインヒビター発生の可能性も考慮すべきである。このように、遺伝子組換えADAMTS13による治療を行う上で最適なモニタリング方法については、今後のさらなる検討が求められる。

※本邦におけるADAMTS13活性の保険収載は2018年である。

 


参考

【ITPとTTPの鑑別ポイント】

血栓症状、末梢血塗抹標本における破砕赤血球の存在、LDH高値やハプトグロビン低値などの溶血所見、腎障害や神経症状などの臨床所見がみられた場合は、ADAMTS13活性を測定し、TTPを鑑別する必要がある1)


【小児ITPとTTPの病因、症状、治療の違い(小児慢性特定疾病情報センターHPなどを基に一部改変)】

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小児ITPとTTPの病因、症状、治療の違い
本文

注)各薬剤における小児への適応等の詳細については電子添文をご参照ください。

1)厚生労働省難治性疾患政策研究事業 血液凝固異常症等に関する研究班「ITP診断参照ガイド」作成委員会: 臨床血液. 64(10): 2023; 1245-1257. 
2)小児慢性特定疾病情報センター: 23.免疫性血小板減少性紫斑病 
https://www.shouman.jp/disease/details/09_13_023/(2025年2月閲覧) 
3)石黒精, 他. 日本小児血液・がん学会雑誌. 2022; 59(1): 50-57. 
4)小児慢性特定疾病情報センター: 25.血栓性血小板減少性紫斑病 
https://www.shouman.jp/disease/details/09_14_025/(2025年2月閲覧) 
5)厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「血液凝固異常症等に関する研究班」TTPグループ. 臨床血液. 2023; 64(6): 445-460. 
6)アジンマ静注用1500 電子添文

画像(SP)
小児ITPとTTPの病因、症状、治療の違い
本文

注)各薬剤における小児への適応等の詳細については電子添文をご参照ください。

1)厚生労働省難治性疾患政策研究事業 血液凝固異常症等に関する研究班「ITP診断参照ガイド」作成委員会: 臨床血液. 64(10): 2023; 1245-1257. 
2)小児慢性特定疾病情報センター: 23.免疫性血小板減少性紫斑病 
https://www.shouman.jp/disease/details/09_13_023/(2025年2月閲覧) 
3)石黒精, 他. 日本小児血液・がん学会雑誌. 2022; 59(1): 50-57. 
4)小児慢性特定疾病情報センター: 25.血栓性血小板減少性紫斑病 
https://www.shouman.jp/disease/details/09_14_025/(2025年2月閲覧) 
5)厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「血液凝固異常症等に関する研究班」TTPグループ. 臨床血液. 2023; 64(6): 445-460. 
6)アジンマ静注用1500 電子添文