フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)治療
- トップ
- 領域別情報・医療情報
- フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)
- フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)治療
領域別情報・医療情報
血友病
ゴーシェ病 医療関係者向け疾患情報
遺伝性血管性浮腫 腫れ・腹痛ナビPRO
ファブリーツリーPRO
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)
後天性血友病A
TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)
CMV感染・感染症
本態性血小板血症(essential thrombocythemia:ET)
監修:愛知医科大学病院 中央臨床検査部 教授 中山 享之 先生
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)における遺伝子異常を修正する根本的治療法は確⽴されておらず、出血予防と⽌⾎管理が主体となります。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の治療に用いられる薬剤
●酢酸デスモプレシン(DDAVP)
●ヒト血漿由来VWF含有第Ⅷ因子製剤(pdVWF/FⅧ製剤)
●遺伝子組換えVWF製剤(rVWF製剤)
●抗線溶剤:トラネキサム酸※1
●性ホルモン剤※2:エストロゲン・プロゲスチン配合薬、
レボノルゲストレル放出子宮内システム
※1 トラネキサム酸の保険適応は全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向等です。
※2 わが国では、避妊を目的とするエストロゲン・プロゲスチン配合薬は経口避妊薬(oral contraception:OC)と呼ばれ、保険が適応されていませんが、エストロゲンの容量を減少させたlow dose estrogen-progestin製剤(LEP製剤)は月経困難症の治療薬として保険が適応されます(過多月経に対する適応はありません)。
血漿VWF濃度の補正に使用可能な薬剤は、血管内皮細胞から内在性のVWFを放出させる酢酸デスモプレシン(DDAVP)と、経静脈的にVWFを補充するためのヒト血漿由来VWF含有第Ⅷ因子製剤(pdVWF/FⅧ製剤)及び遺伝子組換えVWF製剤(rVWF製剤)の3種類です(2025年8月現在)。
これらに加えて補助療法として抗線溶剤や局所止血剤も使用されます。
酢酸デスモプレシン(DDAVP)
⾎管内⽪に貯蔵されているVWFを放出させる作用を有します。通常は、1型VWDにおける比較的軽度な出血症状、軽微な観血処置に使用されます。2A型や2M型にも有効とされていますが、全ての症例において反応が得られるわけではないことに注意が必要です。2B型には禁忌であり、3型においては無効です。
VWF補充療法
pdVWF/FⅧ製剤もしくはrVWF製剤を経静脈投与し、血漿VWF濃度を上昇させることによって出血予防と⽌⾎管理を行います。全てのフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)型に有効で大出血や大手術の際の止血管理にも適応となります。
抗線溶剤
軽度の⿐出⾎や歯科処理、過多月経など、線溶活性の高い組織(粘膜等)からの出血症状の治療にはトラネキサム酸を単独で、もしくはDDAVPやVWF製剤に併用して使用することがあります。
女性フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)における過多月経の管理 (性ホルモン剤)
抗線溶剤やVWF製剤を使用しても過多月経の管理がうまくいかない場合には、エストロゲン・プロゲスチン配合薬やレボノルゲストレル放出子宮内システムにより経血量をコントロールすることがあります。