フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の診断と鑑別
監修:愛知医科大学病院 中央臨床検査部 教授 中山 享之 先生
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の診断方法
スクリーニングから診断までのフロー

監修:愛知医科大学病院 中央臨床検査部 教授 中山 享之 先生
病歴聴取による性別・年齢・発症時期の確認は、各疾患の特徴的な患者背景との照合のために必須であり、先天性か後天性かを判断することもできます。質問票を活用することも大切です。

監修:愛知医科大学病院 中央臨床検査部 教授 中山 享之 先生
病歴聴取による性別・年齢・発症時期の確認は、各疾患の特徴的な患者背景との照合のために必須であり、先天性か後天性かを判断することもできます。質問票を活用することも大切です。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)質問票の例
●似たような出血性の病気があるご家族がいらっしゃいますか
●小さな切り傷でも10分以上血が止まりにくかったことはありますか
●ぶつかった記憶がないのにあざができていることがありますか
●10分以上続く鼻血が出ることはありますか
●抜歯後に血が止まりにくかったことはありますか
●分娩後や手術時に血が止まりにくかったことはありますか
●血便を経験したことがありますか
●治療が必要な貧血はありませんでしたか
●生理の時の出血の状態をおしえてください
・何日位出血がありますか(7日以上ですか)
・ナプキンの交換は何時間おきですか(2時間以内に交換する必要があることがありますか)
・経血に100円玉大より大きな塊があったことがありますか
監修:愛知医科大学病院 中央臨床検査部 教授 中山 享之 先生
身体所見においては視診が重要であり、出血部位や皮膚などの表在性出血の有無、点状出血などの出血パターンの確認により一次止血の異常なのか、二次止血の異常なのかの判断をすることができます。
臨床検査の際には先行してスクリーニング検査を実施します。
基本的スクリーニング検査としては血算(血小板数)、凝固スクリーニング検査[プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィブリノゲン]は必須とされています。出血の程度を把握するためには血小板数の他、Hbなどの赤血球関連の指標も有用です。スクリーニング検査の評価をもとに、一次止血異常・二次止血異常の鑑別と同時にフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の確定に必要な検査の実施を検討します。確定診断には、フォン・ヴィレブランド因子活性(VWF活性)、フォン・ヴィレブランド因子抗原量(VWF抗原量)、第Ⅷ因子活性などのさまざまな特殊検査が必要になりますので、専門医へのご紹介をおすすめします。
以下、日本血栓止血学会von Wilebrand病(VWD)の診療ガイドライン2021年度版より一部抜粋。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の診断アルゴリズム

von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 図5
von Willebrand病(VWD)の診療ガイドライン2021年版によると、反復する粘膜・皮膚出血(鼻出血、紫斑、口腔内出血、異常生理出血、消化管出血など)の症状を呈し、同じ症状の家族歴を認める場合は、VWDを含む出血性疾患を考慮に入れます。そのため、出血歴や現病歴を反映した質問票や出血評価ツールは出血性疾患のスクリーニングに有用です。
出血スクリーニング検査には全血球数、PT、APTT、フィブリノゲンを実施します。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の診断にはVWF抗原量、VWFリストセチンコファクター活性(VWF活性)、第Ⅷ因子活性の測定が必須になります。VWFレベル(VWF活性またはVWF抗原量)が30%未満の場合をフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)と診断します。
VWF活性及びVWF抗原量は健常者での変動が大きく、血液型(O型)、運動、ストレス、炎症、妊娠などの様々な因子により変動します。鼻出血や過多月経などは非フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)患者にも認められる症状ですので、1回のみの測定でフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)であると安易に診断してはいけません。VWF活性及びVWF抗原量の測定は最低2~3回実施して慎重に判断する必要があります。

von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 図5
von Willebrand病(VWD)の診療ガイドライン2021年版によると、反復する粘膜・皮膚出血(鼻出血、紫斑、口腔内出血、異常生理出血、消化管出血など)の症状を呈し、同じ症状の家族歴を認める場合は、VWDを含む出血性疾患を考慮に入れます。そのため、出血歴や現病歴を反映した質問票や出血評価ツールは出血性疾患のスクリーニングに有用です。
出血スクリーニング検査には全血球数、PT、APTT、フィブリノゲンを実施します。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の診断にはVWF抗原量、VWFリストセチンコファクター活性(VWF活性)、第Ⅷ因子活性の測定が必須になります。VWFレベル(VWF活性またはVWF抗原量)が30%未満の場合をフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)と診断します。
VWF活性及びVWF抗原量は健常者での変動が大きく、血液型(O型)、運動、ストレス、炎症、妊娠などの様々な因子により変動します。鼻出血や過多月経などは非フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)患者にも認められる症状ですので、1回のみの測定でフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)であると安易に診断してはいけません。VWF活性及びVWF抗原量の測定は最低2~3回実施して慎重に判断する必要があります。
出血傾向に関する質問票例
(National Heart, Lung, and Blood Institutesが作成したvon Willebrand disease(VWD):evidence-based diagnosis and management Panel report (USA)より和訳して作成)
●あなたには、フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)または血友病のような出血性疾患を有する血縁者がいますか?
●あなたは今までわずかな切り傷などの外傷での出血が15分以上持続したこと、または止血・再出血が1週間持続したことはありますか?
●あなたは今まで扁桃摘出術のような外科的処置後に、遷延または反復する重度な出血を経験したことはありますか?
●あなたは今まで誘因がない、またはあっても軽微な外傷での皮下血腫が持続したことはありますか?
●あなたは今まで圧迫止血もしくは治療をしなければ、10分以上持続する誘因のない鼻出血がありますか?
●あなたは今まで抜歯処置後に遷延または反復する重度な出血を経験したことはありますか?
●あなたは今まで血便や病変的に説明できない自然消化管出血のような出血をしたことはありますか?
●あなたは今まで薬物療法や輸血を必要とする貧血を起こしたことはありますか?
●女性に対して、あなたはかつて重度な生理出血をきたしたことはありますか?
von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 P433
ISTH/SSC Bleeding Assessment Tool 有意(異常)な出血症状の診断基準

von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 表4

von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 表4
フォン・ヴィレブランド因子(VWF)値の変動要因

von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 表5

von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 表5
血友病Aとの鑑別
第VIII因子はVWFに結合して保護されているため、VWFの機能が著しく低下する重症VWDでは第VIII因子の低下も伴います。そのため、凝固検査を行うとどちらの疾患もAPTT延長、PT正常を示します。その次の精密検査では、第VIII因子活性だけでなくVWF抗原値及びVWF活性値も必ず測定してください。VWF抗原値及び活性値が、基準範囲内であれば血友病A、低下を認めればフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)と診断されます。ただし2N型フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)は、VWF機能のうち第VIII因子への結合能のみが低下するためVWF抗原値及び活性値は正常で、一見すると血友病Aのようにみえることに留意します。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の検査と診断のポイント
【下敷き】フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の検査と診断のポイント
監修:兵庫医科大学 血液内科 講師 日笠 聡 先生