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リンパ腫の診断・検査
リンパ腫の病理診断とリンパ節生検
リンパ腫の病理診断とは
悪性リンパ腫の確定診断には病理組織診断が必須です。悪性リンパ腫には90種類以上の亜型があり、それぞれの亜型で治療方針や予後が異なります。正確な診断を行うためには、腫瘍細胞の免疫形質や遺伝子異常の解析が不可欠となります1)。
咽頭炎、歯周病など、明らかな原因でリンパ節が腫れるなどの症例はリンパ節生検の適応外です。明らかな原因がないのに無痛性でリンパ節に2~3㎝以上の腫脹があり、全身症状や血液検査の異常がある場合、または、腫脹が4~6週間以上持続している場合などは、リンパ腫や悪性腫瘍のリンパ節への転移が疑われるため、リンパ節生検が必要です。
臨床的に悪性リンパ腫が強く疑われる状況でも、1回の生検では確定診断に至らず、再度生検が必要な場合もあります2)。
リンパ節生検の実際
麻酔を行い、しこりのあるリンパ節(可能ならば頸部リンパ節)あるいは腫瘍の一部を切り取り顕微鏡で観察します。
●膨張したリンパ腫が1個の場合:病変リンパ節を被膜を含め丸ごと採取。ただし、縦隔などの深部の大きな病変の場合(手術でのアプローチが困難)は針生検が選択されることもあります2)。
●複数のリンパ節腫脹の場合:侵襲の少ないほうを選択して生検。ただし、鼠径リンパ節は過去の炎症などで大きくなっている場合があることや、腋の下のリンパ節は脂肪化が目立つ場合があることなどから、可能であれば頸部リンパ節や鎖骨上窩リンパ節の生検が望ましいとされています2)。
採取したリンパ腫は切断して処理・保存し、HE標本、免疫組織染色、スタンプ標本、フローサイトメトリー、染色体検査、遺伝子検査などの病理検査に用います。


参考文献
1)飛内賢正、木下朝博、塚崎邦弘(編). 悪性リンパ腫治療マニュアル(改訂第5版). 南江堂; 2020. 14-17.
2)日本リンパ網内系学会(編). リンパ腫セミナー ー基本から学べるWHO分類改訂第4版(2017年). 南江堂. 2018. 14-17.