開発の経緯
メラトニンは睡眠覚醒リズムに関与するメラトニン受容体1型(MT
1受容体)及びメラトニン受容体2型(MT
2受容体)に作用し、睡眠中枢を優位に導くことで睡眠を誘発し、副交感神経を優位に保つことにより自律神経を抑制します。このように、メラトニンによる催眠作用は覚醒中枢の抑制によるものではなく、視交叉上核を介して間接的に睡眠中枢を賦活、すなわち、覚醒中枢と睡眠中枢の優位性を変化させることによるものであると考えられています。
当社研究所では、メラトニン受容体作動薬の開発に着手し、動物試験において、MT
1及びMT
2受容体に選択的に作用し、睡眠誘発作用を示す新規メラトニン受容体作動薬ラメルテオンを見出しました。以後、国内外で二重盲検比較試験を含む臨床試験を実施し、米国で2005年7月にROZEREM tabletsとして「入眠困難の特徴を有する不眠症」の効能・効果で承認を得ました。国内において、「向精神薬」「注意-習慣性あり」に該当しない医薬品として「不眠症における入眠困難の改善」の効能・効果で2010年4月に製造販売承認を取得しました。
特性
1. 国内初のメラトニン受容体アゴニストです(in vitro)。
2. 不眠症における入眠困難を改善します。
3. 副作用
承認時までのわが国での臨床試験では1日1回ラメルテオンとして4mg、8mg、16mg又は32mgが投与された1,864例中の194例(10.4%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められました(承認用量は8mgです)。主な副作用は傾眠(3.4%)、頭痛(1.0%)、倦怠感(0.5%)、浮動性めまい(0.5%)でした。
製造販売後の調査では1日1回ラメルテオンとして8mgが投与された3,223例中の109例(3.4%)に副作用が認められました。主な副作用は傾眠(1.2%)、浮動性めまい(0.7%)、倦怠感(0.3%)でした。うち、精神疾患の既往又は合併のある患者では727例中の40例(5.5%)に、精神疾患の既往及び合併のない患者では2,361例中の64例(2.7%)に副作用が認められました。精神疾患の既往又は合併のある患者での主な副作用は傾眠(2.2%)、浮動性めまい(1.1%)であり、精神疾患の既往及び合併のない患者での主な副作用は傾眠(0.9%)、浮動性めまい(0.4%)でした。
なお、重大な副作用としてアナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫等)※があらわれることがあります。
詳細は添付文書の副作用及び臨床成績の安全性の結果をご参照ください。
注意 【用法・用量】
通常、成人にはラメルテオンとして1回8mgを就寝前に経口投与する。
本剤の効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意等は「
添付文書」をご参照ください。
Last update: 2021.10