※このサイトをご利用いただくための注意事項です。必ずお読みください。
このサイトは、国内の医療機関にお勤めの医師・薬剤師などの医療関係者を対象に、医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。
一般の方および国外の医療関係者に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
会員限定リプレガルの臨床成績
心機能に対する有用性
リプレガル10年間投与後のNYHA分類およびCCS分類の変化は下図に示す通りとなりました。
- 心不全の症状に
ついて - リプレガル投与10年後は、NYHA class0が20%、classⅠが55%、classⅡが20%でした。
- 狭心症の症状に
ついて - リプレガル投与10年後は、CCS score0が76%、score1が18%でした。
リプレガルERT実施前と
10年実施後のNYHA分類における分析


NYHA classⅡ以上は労作時の軽度息切れ、および狭心症を生じる。
ボックスの値はこのカテゴリーでの患者数(%)を示している。
リプレガルERT実施前と
10年実施後のCCS分類における分析


ボックスの値はこのカテゴリーでの患者数(%)を示している。
CCS: Canadian Cardiovascular Society(カナダ循環器学会)
治療開始時に左室肥大を有する男性患者においてリプレガルは10年間の投与により心筋重量の低下を示しました。
リプレガル10年間の
投与におけるLVMI

p<0.0001]、10年後も有意な低下が持続しました[ー13.55(ー23.05、ー4.06)g/m2.7;p=0.0061][最小二乗平均(95%信頼区間);t検定]。
リプレガル投与により10年後の左室駆出率(LVEF)は男性では有意な変化はみられず(p=0.4546、t検定)、女性は有意に減少しましたが(p=0.022、t検定)正常範囲内でした。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
ベースライン(%)*1 | 69.9±7.3(n=21) | 71.9±7.6(n=23) |
10年後の左室駆出率(LVEF)(%)*1 | 69.8±7.0 | 68.4±6.9 |
左室駆出率(LVEF) 10年後のベースラインからの変化量*2 |
1.31 (ー2.16,4.78) |
ー3.64 (ー6.74,ー0.54) |
Kampmann C et al; Orphanet J Rare Dis, 2015, 10, 125.より作表
*1:平均値±SD
*2:最小二乗平均値(95%CI)
LVEF: left ventricular ejection fraction(左室駆出率)
安全性
試験概要
- 目的
- リプレガルのファブリー病患者における心筋症進行抑制に対する長期の有効性について明らかにする。
- 対象
- FOS参加施設の一つであるドイツ・マインツ大学にてリプレガルを約10年投与されていたファブリー病患者45例(14歳以上、男性21例)
- デザイン
- 単一施設、後ろ向き解析
- 方法
- 単一施設(ドイツ・マインツ大学)のカルテ(2001年1月〜2013年12月)より各評価項目について抽出して解説した。LVMIは心エコー検査より算出した。
- 評価項目
- 心不全(NYHA分類)、狭心症(CCS分類)、左室心筋重量(LVMI;心エコー検査により評価)等
- 解析計画
- 有意差検定には、有意水準p<0.05としたt検定を用いた。
本試験における留意点
ファブリー病国際レジストリー研究(FOS;Fabry Outcome Survey)
NYHA: New York Heart Association(ニューヨーク心臓協会)
CCS: Canadian Cardiovascular Society(カナダ循環器学会)
LVMl: left ventricular mass index(左室心筋重量係数)
Kampmann C et al. Orphanet J Rare Dis. 2015, 10 125.
本試験はShire社(現Takeda)の資金提供を受けている。
腎・心・脳イベント、生存率、腎機能に対する影響
参考情報
複合エンドポイント(腎·心·脳イベントまたは死亡)の初回発生までの期間(Kaplan-Meier法)

24ヵ月間リプレガルを投与後、腎臓、心臓あるいは脳卒中に関する最初の複合イベント発生率は、全患者において約16%(男性治療群は26%)でした。

24ヵ月後の未治療群において、腎臓、心臓、あるいは脳卒中に関する最初の複合イベント発生率は、約45%でした。
複合エンドポイント(腎·心·脳イベントまたは死亡)の初回発生時の年齢(Kaplan-Meier法)

生存率(Kaplan-Meier法)

安全性
eGFRによって分類した男性および女性患者におけるeGFRの年間変化量


試験概要1)
- 目的
- ファブリー病国際レジストリー研究Fabry Outcome Survey(FOS)に登録され、リプレガルを投与されている患者のデータと、既報論文2-4)における未治療のファブリー病患者のデータを比較し、リプレガルのファブリー病患者における腎機能・心機能への効果および罹病・死亡率への影響について検討する。
- 対象
- FOSにおけるリプレガル投与群740例および症状等の背景が近い既報論文の未治療群
[複合エンドポイント(腎・心・脳イベントまたは死亡)の初回発生までの期間の比較における未治療群はBanikazemiら2)のプラセボ群31例、複合エンドポイント(腎・心・脳イベントまたは死亡)の初回発生時の年齢の比較における未治療群はSchiffmannら3)の477例、生存率の比較における未治療群はSchiffmannら3)の男性279例]
- デザイン
- 後ろ向き比較研究
- 方法
- FOSの2001年〜2012年11月のデータを後ろ向きに解析した。リプレガル投与群を評価項目によってコホートに分け、既報論文の未治療群と比較した。
- 評価項目
- 腎機能障害の進行、心筋症の進行、複合エンドポイント初回発生までの期間[心筋梗塞、冠動脈疾患・心不全・弁膜症・不整脈を含む心イベント、経皮的冠動脈形成術または冠動脈バイパス術を必要とするイベント、弁膜手術を必要とする重大なイベント、腎移植・透析・慢性透析を含む重大なイベント、ベースラインからの33%の血清クレアチニン上昇(間隔を置いて2回)、脳血管障害、脳卒中、一過性脳虚血発作、死亡の複合イベント]、複合エンドポイント初回発生時の年齢[心筋梗塞、心臓手術、不整脈、狭心症、心不全、腎移植または透析、ベースラインからの33%の血清クレアチニン上昇(間隔を置いて2回)、脳卒中、一過性脳虚血発作、長期可逆性虚血性神経障害、死亡の複合イベント]、死亡(推定生存期間)
- 解析計画
- 複合エンドポイントおよび生存率の解析にはKaplan-Meier法を用いた。
解析対象例の内訳

本試験における留意点
本試験はShire社(現Takeda)の資金提供を受けている。
2)Banikazemi M et al; Ann Intern Med, 2007, 146, 77-86.
3)Schiffmann R et al; Nephrol Dial Transplant, 2009, 24, 2102-2111.
本試験はShire社(現Takeda)の資金提供を受けている。
4)Kampmann C et al; lnt J Cardiol, 2008, 130, 367-373.
腎機能に対する影響
成人男性患者および成人女性患者における腎機能に対する効果の検討(海外データ)
リプレガル投与後の男性・女性の腎機能変化は以下に示す通りです1,2)。
成人男性患者

ー7.0mL/min/1.73m2であったのに対し、リプレガル治療期間における値はー2.9mL/min/1.73m2でした1)。
成人女性患者
試験概要1)
〈成人男性患者における腎機能に対する効果の検討〉
- 目的
- リプレガルの男性ファブリー病患者における腎機能に対する効果を検討する。
- 対象
- 18歳以上の男性ヘミ接合体のファブリー病患者108例(平均年齢34.2±9.3歳、治療歴12ヵ月以上、投与前後のGFR値を有する)
- デザイン
- 3つのプロスペクティブ、無作為割り付け、プラセボ対照試験とそのオープンラベル拡大試験3,4)の二次的プール解析
- 試験方法
- 被験者はプラセボ投与群(n=15)、リプレガル投与群(n=51)、プラセボおよびリプレガル投与群(n=42)の3群に無作為化した。プラセボを6ヵ月間投与した後、リプレガル0.2mg/kgを12〜48ヵ月間、隔週で点滴静注した。
- 評価項目
- GFR
- 解析計画
- 各試験において測定されていたGFR(投与前、投与中6〜12ヵ月ごと)を用いて解析した。GFRの測定値が1つ以下であった患者は解析から除外した。
安全性
試験概要2)
〈成人女性患者における腎機能に対する効果の検討〉
- 目的
- リプレガルの女性ファブリー病患者における長期の効果を検討する。
- 対象
- 酵素補充療法を受けたことのない、何らかの徴候を有する18歳以上のファブリー病女性保因者40例(平均年齢47.0±17.9歳)
- デザイン
- プロスペクティブ、単一施設、オープンラベル試験
- 試験方法
- リプレガル0.2mg/kgを4年間、隔週で点滴静注した。
- 評価項目
- eGFRなど
- 解析計画
- 40例中4例が早期に治療を中断した(医療保険の終了による)ため長期の解析には含めなかった。残り36例は4年間中断することなく治療を継続し、欠測値の補完はLOCF法を用いた。各時点の平均値をベースライン値と比較するために線形対比を用いた。
安全性
2)Whybra C et al; Genet Med, 2009, 11, 441-449.
3)Hughes DA et al; Heart, 2008, 94, 153-158.
4)Schiffmann R et al; JAMA, 2001, 285, 2743-2749.
1)~ 3)の各試験はShire社(現Takeda)の資金提供を受けている。
4)の試験はTKT社(現Takeda)の支援を受けている。
疼痛への影響
疼痛に対する効果(海外データ)
リプレガル投与による疼痛への影響は以下に示す通りです1,2)。
疼痛(BPI項目3)(主要評価項目)
安全性
BPI(Brief Pain Inventory)日本語版
項目 | 質問内容 | 被験者の回答方法 |
---|---|---|
1 | だれでも一生のうちには、軽い頭痛、ねんざ、歯痛などの痛みを経験することがありますが、今日、この様な日常的な痛みとは違う痛みがありますか? | 「1.はい」、「2.いいえ」のいずれかを選択 |
2 | 下の身体図(省略)に、あなたの痛みの範囲を斜線で示し、 最も痛むところに×をつけてください。 | 身体図(省略)に記入 |
3 | この1週間にあなたが感じた最も強い痛みはどの位でしたか? 最も近い数字を◯で囲んでください。 | 最も低いスコアを0(痛くない)および最も高いスコアを10(これ以上の痛みは考えられない)として、11段階のスコアのいずれかを選択 |
4 | この1週間にあなたが感じた最も弱い痛みはどの位でしたか? 最も近い数字を◯で囲んでください。 | |
5 | この1週間にあなたが感じた痛みは平均するとどの位でしたか? 最も近い数字を◯で囲んでください。 | |
6 | あなたが今感じている痛みはどの位ですか? 最も近い数字を◯で囲んでください。 | |
7 | あなたは、痛みをとるためにどのような治療や投薬を受けていますか? | 薬剤名等を記入 |
8 | この1週間に、その治療や投薬はどのくらい痛みを軽減させましたか? 最も近いと思われる数字(%)をひとつ◯で囲んでください。 | 最も低い数値を0%(少しも軽減しなかった)および最も高い数値を100%(完全に和らいだ)とし、これらの間の10%ごとの数値を含めて11段階の数値のいずれかを選択 |
9 | この1週間のうちで、あなたの生活に痛みがどれほど支障となりましたか? 適切な数字をひとつ◯で囲んでください。 | |
9A | 日常生活の全般的活動 | 最も低いスコアを0(支障なし)および最も高いスコアを10(完全な支障となった)として、11段階のスコアのいずれかを選択 |
9B | 気分・情緒 | |
9C | 歩行能力 | |
9D | 通常の仕事(家庭外および家庭内での仕事を含む) | |
9E | 対人関係 | |
9F | 睡眠 | |
9G | 生活を楽しむこと |
疼痛重症度:項目3〜6スコアの平均値
生活妨害度:項目9A〜9Gスコアの平均値
試験概要1,2)
〈米国第Ⅱ相臨床試験、神経性疼痛に対する影響の検討〉
- 目的
- 米国におけるファブリー病患者に対するリプレガルによる酵素補充療法の有効性および安全性を検討する。
- 対象
- ファブリー病に起因する神経性疼痛を有する18歳以上の男性ファブリー病患者26例
リプレガル投与群: 14例 プラセボ投与群: 12例(有効性・安全性解析対象)
- デザイン
- 無作為割り付け、プラセボ対照、二重盲検試験
- 試験方法
- リプレガル0.2mg/kg又はプラセボを22週間、隔週で点滴静注した。
- 主要評価項目
- 疼痛(BPI項目3)
- 二次評価項目
- 疼痛に関連したQOL(BPI生活妨害度)
- 解析計画
- 主要評価項目は、主要な解析として投与前値を基準としたAUCの2標本t検定を行い、副次的解析として各評価時期の投与前値からの変化における反復測定分散分析を行った。
QOLへの影響(参考情報)
男性患者におけるQOL(二次評価項目)
女性患者におけるQOL
試験概要3,4)
〈ドイツにおける女性ファブリー病患者を対象とした臨床試験〉
- 目的
- ドイツにおける女性ファブリー病患者に対するリプレガルの有効性および安全性を検討する。
- 対象
- 18歳以上の女性ファブリー病患者15例
- デザイン
- 単剤・単一用量のオープン試験
- 試験方法
- リプレガル0.2mg/kgを隔週で点滴静注した。投与回数・期間は、リプレガルがドイツにて承認される又はTKT社が治験中止を決定するまでとした。承認により試験終了となり、 8〜27回(15〜55週間)であった。
- 評価項目
- QOLなど
- 解析計画
- 対応のある検定を行った。
安全性
2) 米国第Ⅱ相臨床試験(社内資料、承認時評価資料)
3) Baehner F et al; J Inherit Metab Dis, 2003, 26, 617-627.
4) ドイツにおける女性患者を対象とした臨床試験(社内資料、承認時評価資料)
1) 、3) の各試験はTKT社(現Takeda)の支援を受けている。