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リュープリン注射用 閉経前乳癌編 開発の経緯
Last Update:2019年8月
当社研究所では黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)誘導体に関する研究から、1973年にリュープロレリン酢酸塩(Leuprorelin Acetate)が強いLH-RH活性を有することを見出した。
当初、その強いLH-RH活性から不妊症治療への応用が検討されたが、LH-RHアナログの連続投与により、性腺機能はむしろ抑制され、副性器(前立腺又は子宮)重量が減少することが明らかとなり、性ホルモン依存性疾患への検討が開始された。
1980年より米国Abbott社(当時)と共同で前立腺癌治療剤として開発し、1985年にLupronInj.(連日投与製剤)を米国で発売した。
しかし、連日投与による患者や医療従事者への負担を軽減するためにDDS(Drug Delivery System)による徐放性製剤の研究を進め、マイクロカプセルにリュープロレリン酢酸塩を含有し、4週間にわたり一定速度でリュープロレリンを放出することで下垂体-性腺機能に対して抑制作用を発現する製剤を開発した。臨床試験の結果、有用性が認められ1989年に4週に1回投与のLupron depot(徐放性製剤)を米国で発売した(11.25mg製剤、22.5mg製剤、30mg製剤及び45mg製剤の発売)。
日本においては1985年より徐放性製剤について前立腺癌に対する各種臨床試験を実施し、4週に1回の投与で有用性が認められ、1992年7月に「前立腺癌」の効能・効果でリュープリン注射用3.75の製造販売承認を得た。
その後、効能・効果及び剤形の追加、用法・用量及び販売名の変更が行われた。
1994年 7 月 | 効能追加:注射用3.75「子宮内膜症」「中枢性思春期早発症」 |
剤形追加:注射用1.88 「中枢性思春期早発症」 |
1996年 10月 | 効能追加:注射用3.75,注射用1.88「過多月経、下腹痛、腰痛及び貧血等を伴う子宮筋腫における筋腫核の縮小及び症状の改善」「閉経前乳癌(注射用3.75のみ)」 |
1999年 3 月 | 効能追加:注射用1.88「子宮内膜症」 |
1999年 5 月 | 剤形追加:注射用キット3.75,注射用キット1.88販売開始 |
2011年 5 月 | 用量変更(公知申請):注射用3.75,注射用1.88「中枢性思春期早発症」 |
2013年 9 月 | 効能追加:注射用キット3.75,注射用キット1.88「中枢性思春期早発症」 |
2015年 2 月 | 販売名変更:単位「mg」の表示 |
以下のとおりリュープリン注射用の再審査結果が公表され有用性が再確認された。
2006年 12月 | 通知:「前立腺癌」 |
2007年 10月 | 通知:「子宮内膜症」「中枢性思春期早発症」 |
2008年 2 月 | 通知:「過多月経、下腹痛、腰痛及び貧血等を伴う子宮筋腫における筋腫核の縮小及び症状の改善」「閉経前乳癌」 |
また、乳酸重合体を基剤としたマイクロカプセルにリュープロレリン酢酸塩を含有する製剤を開発し、12週に1回の投与で有用性が認められリュープリンSR注射用キット11.25の製造販売承認を得た。
2002年 7 月 | 承認:SR注射用キット11.25「前立腺癌」の効能で製造販売承認を取得 |
2005年 8 月 | 効能追加:「閉経前乳癌」 |
2010年 12月 | 通知:再審査結果が公表され有用性が再確認された。 |
2015年 2 月 | 販売名変更:単位「mg」の表示 |
その後、添加物としてステアリン酸及び、新たな乳酸重合体により24週間持続的に薬物放出する製剤を開発し、24週間に1回の投与で持続的な有効性を示すリュープリンPRO注射用キット22.5mgの製造販売承認を得た。
2015年 9 月 | 承認:PRO注射用キット22.5mg「閉経前乳癌」、「前立腺癌」の効能で製造販売承認を取得 |
2017年 8 月 | 効能追加:SR注射用キット11.25mg「球脊髄性筋萎縮症の進行抑制」 名古屋大学神経内科を中心とした医師主導治験に基づく |
禁忌を含む使用上の注意等は「添付文書」をご参照ください。