会員限定エンタイビオ 開発の経緯・特性
Last Update:2019.05
開発の経緯
ベドリズマブ(遺伝子組換え)(以下、本剤)は、米国Millennium Pharmaceuticals, Inc.(The Takeda Oncology Company)により創製されたヒトリンパ球のα4β7インテグリンに対するヒト化免疫グロブリン(Ig)G1モノクローナル抗体です。
本剤は、ヒトリンパ球上のα4β7インテグリンに特異的に結合し、α4β7インテグリンと消化管粘膜に発現する粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)との接着に拮抗することで、消化管粘膜及び腸管関連リンパ系組織へのリンパ球浸潤を抑制します。
一方、他のα4又はβ7インテグリンのヘテロ二量体( α4β1インテグリンやαEβ7インテグリン等)には結合せず、中枢神経、皮膚等多くの臓器に発現する血管細胞接着分子-1(VCAM-1)との接着には拮抗しないことから、全身的な免疫抑制をきたす可能性が少なく、腸管選択的に免疫調節作用を示すと考えられます。
このことから、本剤は既存治療(ステロイド、アザチオプリン等)で十分な効果が得られなかった潰瘍性大腸炎の新たな治療薬として開発を進め、「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の効能・効果で、2018年7月に製造販売承認を取得しました。
さらに、本剤は既存治療〔栄養療法や他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン等)〕で十分な効果が得られなかったクローン病の新たな治療薬として開発を進め、今般、「中等症から重症の活動期クローン病の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の効能・効果が2019年5月に追加されました。
海外では2019年2月時点で、アジア、オーストラリア、欧州、北米及び南米を含む60ヵ国以上の国で販売許可を取得しています。
なお、潰瘍性大腸炎、クローン病ともに難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号:平成27年1月1日施行)における指定難病です。
特性
-
腸管選択的に作用するヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体です(in vitro)。
α4β7インテグリンとMAdCAM-1との結合を阻害することにより消化管の炎症を抑制します。
薬効薬理
-
中等症から重症の潰瘍性大腸炎及びクローン病の患者を対象とした国内・海外臨床試験において有用性が示されました。
臨床成績
-
世界60ヵ国以上の国で販売許可されている潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬です。
(2019年2月時点)
-
副作用
承認時までの国内臨床試験において本剤300mgを投与された437例中109例(24.9%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められており、主な副作用はウイルス性上気道感染9例(2.1%)、発熱8例(1.8%)及び潰瘍性大腸炎、悪心、倦怠感、関節痛、発疹各7 例(1.6%)でした。
また、海外臨床試験において本剤300mgを投与された1,922例中642例(33.4%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められており、主な副作用は頭痛89例(4.6%)、悪心66例(3.4%)及び上気道感染44例(2.3%)でした。なお、重大な副作用として、Infusion reaction、重篤な感染症、進行性多巣性白質脳症(PML)があらわれることがあります。
副作用
警告・禁忌を含む使用上の注意等は「添付文書」をご参照ください。