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Last Update:2023年1月
再発又は難治性のPTCL*治療
SGN35-012試験を考える
【監修】山本 一仁 先生
(愛知県がんセンター 病院長)
* PTCL:末梢性T細胞リンパ腫
末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)とは
末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)は、成熟T細胞由来のリンパ腫の総称で、不均一な疾患単位の非ホジキンリンパ腫です。成人リンパ腫のうち本邦では約20%、欧米では約10%を占める希少疾患群です。
世界保健機関(WHO)分類改訂第4版1)によると、PTCLは成熟T/NK細胞腫瘍の中に含まれています。
本邦で頻度の高い順に、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、末梢性T細胞リンパ腫・非特定型(PTCL-NOS)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(ENKL)となります2)。病型により臨床像、予後、治療法が異なりますが、節性PTCLは臨床的にアグレッシブリンパ腫と位置付けられています。
PTCLのうち、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性ALCLを除いたその他の病型は予後不良(図1)3)であり、進行期症例が多いなど予後不良因子を持つことが多く、初回寛解導入療法で奏効が得られた症例においても再発のリスクが高い傾向にあります。
British Columbia Cancer Agencyの調査では、造血幹細胞非移植の再発又は進行後のPTCLコホート(n=153)の全生存期間(OS)の中央値は5.5ヵ月で、再発時に化学療法を受けたサブグループ(n=89)のOSの中央値は6.5ヵ月でした(図2)4)。また、PTCLサブグループのOSの中央値では、PTCL-NOS(n=51)は、6.5ヵ月、AITL(n=21)は7.7ヵ月、ALCL(n=17)は3.0ヵ月でした4)。
このように、再発又は難治性PTCL患者の予後は不良ではありますが、多くの新規薬剤の登場により、治療開発は急速に進歩しつつあります。
ブレンツキシマブ ベドチン(BV)は、抗CD30抗体と微小管阻害薬のモノメチルアウリスタチンE(MMAE)がリンカーを介して結合した抗体薬物複合体(antibody drug conjugate:ADC)です。BVは、CD30を発現する腫瘍細胞に結合し、ADC-CD30複合体として選択的に細胞内に取り込まれた後、MMAEを放出します。
MMAEは、細胞内でチューブリンに結合して微小管ネットワークを崩壊させ細胞周期の停止を促し、CD30発現細胞のアポトーシスを誘導することにより抗腫瘍活性を示します。
全身性ALCL(sALCL)の腫瘍細胞には、ほぼ全例でCD30が発現している一方で、PTCL-NOSで約58–64%、AITLで43–63%、ATLLで55%、腸管症関連T細胞リンパ腫(EATL)で50%と推計されています5,6)。
このことからPTCLと診断された場合は、CD30の検査をして陽性であれば、CD30陽性PTCLに有効であるBVが選択肢となりうると考え、再発又は難治性のPTCLに対してSGN35-012試験が実施されました。SGN35-012試験の詳細は次項をご参照ください。
国内では2014年1月に成人患者における「再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫(HL)及びALCL」、2018年9月に未治療のHL成人患者におけるAVD(ドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジン)併用療法に対して適応追加承認を取得しています。
海外第Ⅱ相試験(SGN35-012試験)
再発又は難治性のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫(海外データ)
※ SGN35-012試験の対象疾患である非ホジキンリンパ腫のうちパートAに含まれたT細胞リンパ腫を末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)と同義としている。
目的 | 主目的 | 再発又は難治性のCD30陽性の非ホジキンリンパ腫患者に対して、ブレンツキシマブ ベドチンを単独投与(1.8mg/kg を3週間に1回静脈内投与)したときの抗腫瘍効果を全奏効率(ORR)に基づき評価する。 | |
副次目的 | ・ブレンツキシマブ ベドチンを投与したときの安全性を評価する。 ・CD30発現と抗腫瘍効果の関係を検討する。 ・奏効期間(DOR)及び無増悪生存期間(PFS)を含む腫瘍コントロール期間を評価する。 ・完全寛解(CR)率を評価する。 ・ブレンツキシマブ ベドチンの薬物動態及び薬力学を評価する。 |
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追加目的 | ・全生存期間(OS)を評価する。 ・疾患関連症状の変化を評価する。 ・ブレンツキシマブ ベドチンの免疫原性を評価する。 |
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対象 | 再発又は難治性のCD30陽性の非ホジキンリンパ腫患者 選択基準: 【主な選択基準】 ・CD30陽性の非ホジキンリンパ腫が組織学的に確認されている患者。直近の再発又は難治性の疾患の生検試料について、中央測定機関又は実施医療機関の検査機関において、抗CD30Ber-H2抗体を用いて組織学的分析を実施しなければならない。 ・1回以上の全身療法歴を有する再発又は難治性の疾患患者 ・CTにて、最大横径1.5cm以上の二次元的に測定可能な内臓又はリンパ節病変を有する患者。 ・17歳以上の場合はECOG performance statusが2以下、16歳以下の場合はLansky Performance Statusスコアが50以上の患者 ・12歳以上の患者 |
||
例数 | パートA:T細胞リンパ腫 35例 | ||
試験デザイン | 海外第Ⅱ相非盲検試験 | ||
投与方法 |
・3週間を1サイクルとし、1サイクルの1日目に1回ブレンツキシマブ ベドチン1.8mg/kg(静脈内) ・安定(SD)以上を達成した被験者は、病勢進行(PD)、許容できない毒性又は試験終了までブレンツキシマブ ベドチン投与を継続可能 |
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評価項目 | 主要評価項目 | ・Revised Response Criteria for Malignant Lymphoma7)を用いたORR(CR+PR)(治験責任医師判定) |
|
副次評価項目 | ・CR率 ・DOR ・病勢コントロール率(DCR)(CR+PR+SD) ・CR期間 ・PFS |
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CD30発現割合と抗腫瘍効果の相関 | |||
有害事象、治験期間中の死亡例(治験治療薬の最終投与後30 日以内に認められた死亡)、臨床検査値 など | |||
その他の 評価項目 |
OS、B症状の割合、腫瘍の最大縮小率、最良臨床効果(PD) など | ||
解析計画 | ORR | ・仮説検定を実施(ORRの閾値を10%以下、期待値を10%超える) ・EE set*において治験治療終了後にRevised Response Criteria for Malignant Lymphoma7)に従って治験責任医師がCR又はPRと判定した被験者の割合を算出 ・Clopper-Pearsonの方法8)を用いて正確な両側95%信頼区間とp値を算出 ・サブグループ解析:血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、末梢性T細胞リンパ腫・非特定型(PTCL-NOS) |
|
CR率、DOR | ・EE setにおいて最も早いCR又はPRの判定からDORを算出 ・CR率については、Clopper-Pearsonの方法8)を用いて正確な両側95%信頼区間を算出 ・DORについては、補正された二重対数変換法9)を用いて正確な両側95%信頼区間を算出。Kaplan-Meier法により中央値を推定 ・DCR については、治験治療終了後(治験治療終了時又は禁止治療の開始前)に治験責任医師が最良効果がCR、PR 又はSD と判定した被験者の割合及び95%信頼区間を算出。 ・サブグループ解析:AITL、PTCL-NOS |
||
PFS、OS | ・EE setにおいてKaplan-Meier法により割合及び中央値を推定。補正された二重対数変換法9)を用いて両側95%信頼区間を算出 ・サブグループ解析:AITL、PTCL-NOS |
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腫瘍の 最大縮小率 |
・Revised Response Criteria for Malignant Lymphoma7)に従って評価し、腫瘍サイズの基準値からの変化率の最大値を評価 ・サブグループ解析:AITL、PTCL-NOS |
||
CD30発現割合と 抗腫瘍効果の相関 |
Loessを使用して評価 | ||
安全性 | ・有害事象は、MedDRA Ver.18.0を使用して器官別大分類及び基本語で分類 ・GradeはNCI-CTCAE Ver.4.03に従って評価 |
||
試験期間 | 2011年8月19日~2015年6月1日(最終症例の最終来院日) |
* EE set(有効性評価可能解析対象集団)は、ブレンツキシマブ ベドチンを1回以上投与され、かつ試験終了又は新たな抗腫瘍治療を開始するまでにベースラインの腫瘍評価及び1時点以上の投与後腫瘍評価を有する被験者を含む。
AITL群 (n=13) |
PTCL-NOS群 (n=22) |
合計: T細胞リンパ腫 (n=35) |
||
---|---|---|---|---|
年齢,歳 | 中央値 | 64.0 | 64.5 | 64.0 |
最小値, 最大値 | 55.0, 79.0 | 33.0, 83.0 | 33.0, 83.0 | |
性別,n(%) | 男性 | 10(77) | 17(77) | 27(77) |
女性 | 3(23) | 5(23) | 8(23) | |
人種,n(%) | アジア人 | 0 | 1(5) | 1(3) |
黒人又は アフリカ系 アメリカ人 | 2(15) | 3(14) | 5(14) | |
ハワイ先住民 又は太平洋 諸島の住人 | 0 | 0 | 0 | |
白人 | 11(85) | 18(82) | 29(83) | |
ECOG PS*1, n(%) |
0 | 2(15) | 5(23) | 7(20) |
1 | 8(62) | 15(68) | 23(66) | |
2 | 3(23) | 2(9) | 5(14) | |
病理学的診断, n(%) |
AITL | 13(100) | 0 | 13(37) |
PTCL-NOS | 0 | 22(100) | 22(63) | |
NHLからの移行例,n(%) | 0 | 1(5) | 1(3) | |
初回診断時の 病期, n(%) |
Stage Ⅰ-Ⅱ | 2(15) | 2(9) | 4(11) |
Stage Ⅲ-Ⅳ | 9(69) | 18(82) | 27(77) | |
不明 | 2(15) | 2(9) | 4(11) | |
バルキー病変(a),n(%) | 3(23) | 2(9) | 5(14) | |
診断から初回 投与まで の期間,月 |
中央値 | 13.2 | 9.5 | 11.1 |
最小値, 最大値 | 3.2, 52.6 | 1.1, 78.2 | 1.1, 78.2 | |
IPIスコア,n(%) | 0-3 | 8(62) | 12(55) | 20(57) |
4以上 | 1(8) | 7(32) | 8(23) | |
不明 | 4(31) | 3(14) | 7(20) | |
フロントライン治療抵抗性,n(%) | 9(69) | 16(73) | 25(71) | |
直近治療の病状, n(%) |
難治性(b) | 9(69) | 13(59) | 22(63) |
再発(c) | 4(31) | 9(41) | 13(37) | |
ベースライン時の B症状,n(%) |
発熱 | 3(23) | 3(14) | 6(17) |
寝汗 | 2(15) | 3(14) | 5(14) | |
体重減少>10% | 0 | 1(5) | 1(3) |
(a) ≥5 cmのベースライン指標病変が1つ以上。
(b) 難治性:前治療が1つのみの場合は、直近治療の最良奏効がPR、SD、PDのいずれかであるか、その治療でCRとなった後、治療完了の3ヵ月以内に再発。前治療が2つ以上の場合は、直近治療の最良奏効がSDかPDである。
(c) 再発:前治療が1つのみの場合は、CR後、直近治療の完了後3ヵ月超以降に再発。前治療が2つ以上の場合は、直近治療の最良奏効がCR又はPRである。
*1 ECOGによるPerformance Status(ECOG PS)の規準は次のとおり;0:全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限なく行える。1:肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる(例:軽い家事、事務作業)。2:歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす(http://www.jcog.jpより引用)。
T細胞リンパ腫被験者34例における主要評価項目である治験責任医師判定に基づくORR(CR+PR)は41%(95%信頼区間:24.6, 59.3)であり、95%信頼区間の下限である24.6%が事前に設定した閾値である10%を超えました(p<0.001、Clopper-Pearson検定)。AITLサブグループのORRは54%(95%信頼区間25.1, 80.8)、PTCL-NOSサブグループのORRは33%(95%信頼区間14.6, 57)でした。
腫瘍の縮小は判定が可能であった29例中23例に認められました(T細胞リンパ腫被験者34例中5例は、ベースライン後の画像評価がありませんでした。これら5例はいずれも臨床的PDと判定)。
AITL (n=13) |
PTCL-NOS (n=21) |
合計:T細胞リンパ腫 (n=34) |
|
---|---|---|---|
ORR,n(%)(a) | 7(54) | 7(33) | 14(41) |
95% 信頼区間† | 25.1, 80.8 | 14.6, 57 | 24.6, 59.3 |
p値 | <0.001 | 0.007 | <0.001 |
CR(b) | 5(38) | 3(14) | 8(24) |
PR(b) | 2(15) | 4(19) | 6(18) |
SD(b) | 3(23) | 3(14) | 6(18) |
PD(c) | 3(23) | 11(52) | 14(41) |
DCR‡,n(%)(b) | 10(77) | 10(48) | 20(59) |
95% 信頼区間† | 46.2, 95 | 25.7, 70.2 | 40.7, 75.4 |
† Clopper-Pearsonの方法8)を用いて両側95%正確信頼区間及び両側p値を算出した。
‡ CR + PR + SD。
DORの推定中央値は、T細胞リンパ腫被験者全体(14例)で7.6ヵ月(95%信頼区間: 1.4, −、範囲: 1.3~36.1+ヵ月)、AITLサブグループ(7例)で10.9ヵ月(95%信頼区間: 1.4, −、範囲: 1.3~36.1+ヵ月)、PTCL-NOSサブグループ(7例)で7.6ヵ月(95%信頼区間: 1.4, −、範囲: 1.4~30.3+ヵ月)でした。
試験終了時点では、T細胞リンパ腫被験者全体(8例、範囲: 1.8+~36.1+ヵ月)、AITLサブグループ(5例、範囲: 1.8+~36.1+ヵ月)又はPTCL-NOSサブグループ(3例、範囲: 7.6~30.3+ヵ月)のいずれにおいても、CR期間の推定中央値は未到達でした。
T細胞リンパ腫被験者では、27例(79%)にPD又は死亡が認められました。PFSの推定中央値は、T細胞リンパ腫被験者全体で2.5ヵ月(95%信頼区間: 1.4, 6.1、範囲: 0.3~37.4+ヵ月)、AITLサブグループで6.7ヵ月(95%信頼区間: 1.3, 20.4、範囲: 0.5~37.4+ヵ月)、PTCL-NOSサブグループで1.6ヵ月(95%信頼区間: 1.2, 2.8、範囲: 0.3~31.5+ヵ月)でした。
T細胞リンパ腫被験者全体で23例(68%)に死亡が認められました。OSの推定中央値は、T細胞リンパ腫被験者全体で18.1ヵ月(95%信頼区間: 6.8, 33.6、範囲: 0.5~39.3+ヵ月)、AITLサブグループで20.1ヵ月(95%信頼区間: 2.5, −、範囲: 0.5~38.4+ヵ月)、PTCL-NOSサブグループで17.0ヵ月(95%信頼区間: 4.3, −、範囲: 1~39.3+ヵ月)でした。
副作用発現頻度は、35例中28例(80%)でした。主な副作用(15%以上)は、末梢性感覚ニューロパチー13例(37%)及び疲労7例(20%)でした。
重篤な有害事象は15例に認められ、下表のとおりでした。
投与中止に至った有害事象は6例でした。有害事象の内訳は、末梢性感覚ニューロパチー3例、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎、発熱、敗血症〔以上、各1例〕でした。
治験期間中の死亡例(治験治療薬の最終投与後30 日以内に認められた死亡)は、AITL群2例及びPTCL-NOS群1例でした。AITL群の1例は原疾患に起因する死亡でしたが、もう1例は原疾患との関連が不明であり、その死因は急性呼吸窮迫症候群でした。PTCL-NOS群の1例は原疾患に起因する死亡でした。
副作用 | 合計:T細胞リンパ腫 (n=35) | AITL群 (n=13) | PTCL-NOS群 (n=22) |
---|---|---|---|
発現症例数(%) | 発現症例数(%) | 発現症例数(%) | |
副作用発現症例数 | 28(80) | 12(92) | 16(73) |
末梢性感覚 ニューロパチー | 13(37) | 7(54) | 6(27) |
疲労 | 7(20) | 5(38) | 2(9) |
有害事象 | 合計:T細胞リンパ腫 (n=35) | AITL群 (n=13) | PTCL-NOS群 (n=22) |
---|---|---|---|
発現症例数(%) | 発現症例数(%) | 発現症例数(%) | |
Grade 3以上の 有害事象発現症例数 | 23(66) | 10(77) | 13(59) |
好中球減少症 | 5(14) | 2(15) | 3(14) |
末梢性感覚 ニューロパチー | 4(11) | 3(23) | 1(5) |
血小板減少症 | 4(11) | 1(8) | 3(14) |
貧血 | 3(9) | 1(8) | 2(9) |
有害事象 | 合計:T細胞リンパ腫 (n=35) | AITL群 (n=13) | PTCL-NOS群 (n=22) |
---|---|---|---|
発現症例数(%) | 発現症例数(%) | 発現症例数(%) | |
重篤な有害事象 発現症例数 | 15(43) | 7(54) | 8(36) |
急性腎不全 | 2(6) | 0 | 2(9) |
錯乱状態 | 2(6) | 1(8) | 1(5) |
脱水 | 2(6) | 0 | 2(9) |
肺炎 | 2(6) | 1(8) | 1(5) |
発熱 | 2(6) | 0 | 2(9) |
急性呼吸窮迫 症候群 | 1(3) | 1(8) | 0 |
血管免疫芽球性 T細胞性リンパ腫 | 1(3) | 1(8) | 0 |
蜂巣炎 | 1(3) | 0 | 1(5) |
譫妄 | 1(3) | 0 | 1(5) |
浮動性めまい | 1(3) | 0 | 1(5) |
脳症 | 1(3) | 0 | 1(5) |
発熱性好中球減少症 | 1(3) | 0 | 1(5) |
播種性帯状疱疹 | 1(3) | 1(8) | 0 |
高カルシウム血症 | 1(3) | 0 | 1(5) |
リパーゼ増加 | 1(3) | 1(8) | 0 |
膵炎 | 1(3) | 1(8) | 0 |
末梢性T細胞性 リンパ腫・組織型不明 | 1(3) | 0 | 1(5) |
ニューモシスチス ・イロベチイ肺炎 | 1(3) | 1(8) | 0 |
発疹 | 1(3) | 1(8) | 0 |
敗血症 | 1(3) | 1(8) | 0 |
ブドウ球菌性菌血症 | 1(3) | 0 | 1(5) |
尿路感染 | 1(3) | 1(8) | 0 |
再発又は難治性のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫患者を対象とした海外第Ⅱ相試験(SGN35-012試験 パートA)では、末梢性ニューロパチー(SMQ)の発現頻度は35例中17例(49%)であり、そのうち4例(AITL群:3例、PTCL-NOS群:1例)ではGrade 3の事象が認められました。
2例以上の末梢神経障害は、末梢性感覚ニューロパチー、感覚鈍麻、末梢性運動ニューロパチーでした。
有害事象 | 合計:T細胞リンパ腫 (n=35) | AITL群 〔n=13〕 | PTCL-NOS群 〔n=22〕 |
---|---|---|---|
発現症例数(%) | 発現症例数(%) | 発現症例数(%) | |
治療下での末梢性 ニューロパチー(SMQ) | 17(49) | 8(62) | 9(41) |
末梢性感覚 ニューロパチー | 13(37) | 7(54) | 6(27) |
感覚鈍麻 | 2(6) | 0 | 2(9) |
末梢性運動 ニューロパチー | 2(6) | 1(8) | 1(5) |
Grade 3以上末梢性 ニューロパチー | 4(11) | 3(23) | 1(5) |
再発又は難治性のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫患者を対象とした海外第Ⅱ相試験(SGN35-012試験 パートA)では、末梢性ニューロパチー関連事象が1件以上発現したT細胞リンパ腫被験者における初回発現までの期間(中央値)は、6.1週間(範囲:0.1~56.0週間)でした。
Grade 3以上の事象の発現までの期間(中央値)は、24.7週間(15.6~34.3週間)でした。
治療下で末梢性 ニューロパチー(SMQ) が発現した被験者群, 週 | 合計:T細胞リンパ腫 (n=35)* | AITL群 〔n=13〕* | PTCL-NOS群 〔n=22〕* | |||
---|---|---|---|---|---|---|
発現 例数 | 中央値 (範囲),週 | 発現 例数 | 中央値 (範囲),週 | 発現 例数 | 中央値 (範囲),週 | |
末梢性ニューロ パチーの 初回 発現までの期間 | 17 | 6.1 (0.1, 56.0) | 8 | 13.9 (3.1, 28.3) | 9 | 3.9 (0.1, 56.0) |
Grade 3以上の 末梢性ニューロ パチーが発現する までの期間 | 4 | 24.7 (15.6, 34.3) | 3 | 21.1 (15.6, 28.3) | 1 | 34.3 (34.3, 34.3) |
海外第Ⅱ相試験(SGN35-012試験:n=35)では、末梢性ニューロパチー関連事象が発現したT細胞リンパ腫被験者のうち、最終評価時点までにすべての事象が回復した被験者の割合は17例中6例(35%)でした。
また、最終評価時点で末梢性ニューロパチー関連事象の改善又は回復がみられなかった被験者は6例(35%)でした10)。
有害事象 | 合計:T細胞リンパ腫 (N=17)* | AITL群 〔n=8〕* | PTCL-NOS群 〔n=9〕* |
---|---|---|---|
発現症例数(%) | 発現症例数(%) | 発現症例数(%) | |
最終評価時点までに 症状の回復が みられた例 | 6(35) | 4(50) | 2(22) |
最終評価時点までに 症状の改善又は 回復がみられなかった例 | 6(35) | 2(25) | 4(44) |
発現から改善又は 回復までの期間, 週, 中央値(範囲) | 9.0(2.1, 104.1) | 12.1(3.0, 104.1) | 6.4(2.1, 68.7) |
ブレンツキシマブ ベドチンの投与により、Grade 2以上の末梢神経障害があらわれた場合には、以下の基準を参考に減量、休薬、中止などの適切な処置を行ってください。
ECHELON-2試験において、BVを併用することで初回治療成績の向上が期待できる事が示されています。今後の末梢性T細胞リンパ腫の治療アルゴリズムは、CD30陽性と陰性で分け、CD30陽性であればBV+CHP療法を検討し、CD30陰性の場合は、CHOP(類似)療法を実施する方針が良いと考えます。
再発又は難治性のPTCLの救援療法については、使用する薬剤を明確に示したものはありません。従って、病型や各薬剤の特徴を総合的に判断して、薬剤選択を行う事が重要だと考えます。
再発又は難治性のCD30陽性sALCL被検者を対象としたBVの有効性と安全性を評価した海外第Ⅱ相非盲検試験(SG035-0004試験)で、奏効率(CR+PR)は86%と報告されており、sALCL再発時のBV投与はより良い選択肢になります。
また、CD30陽性のPTCL-NOS及びAITLにおいても、SGN35-012試験でORR(CR+PR)は41%と報告されています。
従って、CD30が発現している症例では、再発時のBV投与を治療選択肢として考慮すべきだと考えます。
一方、初回治療でBV+CHPを実施したケースでは、治療反応性や副作用の発現状況、奏効持続期間などを考慮する必要があります。ECHELON-2試験の後治療データではBV単剤による再治療も報告されており、治療選択時の参考になると考えます12)。
<出典>
禁忌を含む使用上の注意等は「添付文書」をご参照ください。