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Last Update:2022年3月
PTCL*におけるフロントライン治療
ECHELON-2試験を考える
【監修】山本 一仁 先生(愛知県がんセンター 血液・細胞療法部 部長)
* PTCL:末梢性T細胞リンパ腫
末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)とは
末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)は、成熟T細胞由来のリンパ腫の総称で、不均一な疾患単位の非ホジキンリンパ腫です。成人リンパ腫のうち本邦では約20%、欧米では約10%を占める希少な疾患群です。
世界保健機関(WHO)分類改訂第4版1)によると、PTCLは成熟T/NK細胞腫瘍の中に含まれています。
本邦で頻度の高い順に、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、末梢性T細胞リンパ腫・非特定型(PTCL-NOS)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(ENKL)となります2~6)。病型により臨床像、予後、治療法が異なりますが、節性PTCLは臨床的にアグレッシブリンパ腫と位置付けられています。
International Peripheral T-Cell and Natural Killer/T-Cell Lymphoma Study 及びSwedish Lymphoma Registry から得られたリアルワールドデータは、85%以上のPTCL患者にアントラサイクリン系薬剤を含む多剤併用化学療法が行われたことを示しており、その中でもシクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)を併用するCHOP療法が最も多く用いられています7,8)。
しかし、PTCLの病型別におけるアントラサイクリン系薬剤を含む治療の有効性を検討したInternational PTCL Projectでは、5年全生存率(5年OS率)は、予後良好なALK陽性ALCLを除き、ALK陰性ALCL49%、PTCL-NOS32%、AITL32%であり、PTCL-NOS、AITLとALK陰性ALCLの予後は不良であり、満足すべき治療成績ではありませんでした8)(図1)。
一方、国際予後指標(IPI)別検討では、IPI 3以上の5年OS率は50%未満であり、ALK陽性およびALK陰性ともに予後は不良でした9)(図2)。
フロントライン治療での強化療法として複数の第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験で治療を受けたPTCL患者の併合データを用いた事後解析では、CHOP療法にエトポシドを追加した(CHOEP)療法では、比較的若年(60歳未満)の患者で3年無イベント生存率の改善がみられたものの、この治療強度を高めたレジメンは毒性も強くなっており、全生存期間(OS)の延長は認められませんでした10)(図3)。
初発進行期PTCL-NOS、AITL、ALK陰性ALCLの予後は不良であり、5年OS率はいずれも50%未満である8)ため、初回完全奏効(complete response:CR)での自家造血幹細胞移植併用大量化学療法(high-dose chemotherapy with autologous hematopoietic stem cell transplantation:HDC/AHSCT)による地固め療法が検討されてきました。単群試験や後方視的研究では予後改善が示唆されているものの、化学療法単独と比較して改善したとは示されていないことや、ランダム化比較試験の結果報告がないため、現時点では評価が確定していません11,12)。造血器腫瘍診療ガイドラインでは「初発進行期PTCLの初回CR例でのHDC/AHSCTは、一般診療として行うことは推奨されず、臨床試験として実施することが望ましい。」とされています2)。
全身性ALCL(sALCL)の腫瘍細胞には、ほぼ全例CD30が発現しており、PTCL-NOSで約58–64%、AITLで43–63%、ATLLで55%、腸管症関連T細胞リンパ腫(EATL)で0–100%と推計されています13,14)。
ブレンツキシマブ ベドチン(BV)は、抗CD30抗体と微小管阻害薬のモノメチルアウリスタチンEがリンカーを介して結合した抗体薬物複合体(antibody drug conjugate:ADC)です。BVは、CD30を発現する腫瘍細胞に結合し、ADC-CD30複合体として選択的に細胞内に取り込まれた後、MMAEを放出します。
MMAEは、細胞内でチューブリンに結合して微小管ネットワークを崩壊させ細胞周期の停止を促し、CD30発現細胞のアポトーシスを誘導することにより抗腫瘍活性を示します。
これらの薬理作用に基づき、国内では2014年1月に成人患者における「再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫(HL)及び未分化大細胞リンパ腫(ALCL)」、2018年9月に未治療のHL成人患者におけるAVD(ドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジン)併用療法に対して適応追加承認を取得しています。
このような背景から、BVのPTCLに対する有用性を検討するため、BVをシクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、プレドニゾン(国内未承認)(2種類の微小管阻害剤の投与により増悪し得る神経毒性の重複のリスクを避けるため、CHOPからビンクリスチン硫酸塩を除いたCHP)と組み合わせて、未治療のCD30陽性PTCLの治療として、BV+CHPと標準的CHOPの有効性及び安全性を比較する国際共同第Ⅲ相試験ECHELON-2が実施されました15)。
ECHELON-2試験の詳細は次項をご参照ください。
国際共同第Ⅲ相二重盲検試験:検証試験、SGN35-014試験(ECHELON-2試験)
ブレンツキシマブ ベドチンの国際共同第Ⅲ相試験成績②(社内資料)
Horwitz S, et al. : Lancet. 2019; 393(10168) : 229-240.
本試験は、Seattle Genetics社(現・Seagen社)とMillennium Pharmaceuticals社(現・武田薬品工業株式会社)の資金提供により実施された。
本論文の著者のうちそれぞれ4名、2名は同社の社員で、試験計画、解析、執筆等の支援を受けている。
著者に同社より研究支援、謝礼金等を受領している者が含まれる。
目的 | 主目的 | 未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫のフロントライン治療において、ブレンツキシマブ ベドチン+シクロホスファミド水和物+ドキソルビシン塩酸塩+プレドニゾン(国内未承認)併用療法とシクロホスファミド水和物+ドキソルビシン塩酸塩+ビンクリスチン硫酸塩+プレドニゾン(国内未承認)併用療法で得られた無増悪生存期間(PFS)〔中央判定委員会(IRF)判定〕を比較検証する。 | |
副次目的 | ・全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)患者のPFS(IRF判定)を2群間で比較する。 ・治験治療終了後の完全寛解率及び全奏効率(IRF判定)を2群間で比較する。 ・全生存期間(OS)を2群間で比較する。 ・2群の安全性及び忍容性を評価する。 |
||
対象 | 未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫患者 | ||
例数 | 452例(日本人43例を含む) | ||
試験デザイン | 国際共同第Ⅲ相ランダム化二重盲検試験(検証試験) | ||
投与方法 | 以下のいずれかの治験治療を6~8サイクル実施するグループに被験者を1:1の割合でランダム化した〔サイクル数は治験責任(分担)医師の判断に従うこととした〕。治験治療は6~8サイクルの多剤併用化学療法として行った。治療期間は最大8サイクル(約6ヵ月間)とした。
【被験薬治療群:BV+CHP群】 ・21日サイクルの1日目に、シクロホスファミド水和物750mg/m2、ドキソルビシン塩酸塩50mg/m2及び盲検化したブレンツキシマブ ベドチン1.8mg/kgを静脈内投与した。 ・21日サイクルの1日目に、ビンクリスチン硫酸塩のプラセボも盲検下で静脈内投与した。 ・21日サイクルの1~5日目に、プレドニゾン(国内未承認)100mgを1日1回経口投与した。 【標準治療群:CHOP群】 ・21日サイクルの1日目に、シクロホスファミド水和物750mg/m2、ドキソルビシン塩酸塩50mg/m2及び盲検化したビンクリスチン硫酸塩1.4mg/m2(用量の上限2mg)を静脈内投与した。 ・21日サイクルの1日目に、ブレンツキシマブ ベドチンのプラセボも盲検下で静脈内投与した。 ・21日サイクルの1~5日目に、プレドニゾン(国内未承認)100mgを1日1回経口投与した。 |
||
評価項目 | 主要評価項目 | PFS*1(IRF判定) | |
副次評価項目 | sALCL被験者のPFS(IRF判定)、治験治療終了後の完全寛解(CR)率(IRF判定)、OS、治験治療終了後の全奏効率(ORR)(IRF判定)、有害事象、臨床検査値 | ||
解析計画 | |||
PFS | ・ITT解析対象集団においてKaplan-Meier法によりPFSを推定 ・共変量による調整を行わずに層別ログランク検定を用いて、治療群間を比較〔両側有意水準*2:0.05、ランダム化層別因子:未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性sALCL又は他のすべての病型及びIPIスコア0-1/2-3/4-5〕 ・PFS中央値及び3ヵ月後からフォローアップ期間終了までのPFS率も3ヵ月ごとに報告し、補正された二重対数変換法1)を用いて中央値及び3ヵ月ごとの値の両側95% 信頼区間を算出 ・層別Cox回帰モデルを用いて、BV+CHP群のCHOP群に対するPFSのハザード比を算出 |
||
sALCL 被験者のPFS |
中央測定機関の病理学的評価によりsALCLであることが確認された被験者集団を対象に、ITT解析対象集団におけるPFS(IRF判定)を主解析と同じ手法で解析 | ||
CR率 | ・ITT解析対象集団において治験治療終了後にRevised Response Criteria for Malignant Lymphoma2)に従ってIRFがCRと判定した被験者の割合を算出 ・治療群間のCR率はランダム化層別因子により層別化したCochran-Mantel-Haenszel法を用いて検定 ・絶対CR率及びClopper-Pearsonの方法3)を用いた正確な両側95% 信頼区間を算出 |
||
OS |
・ITT解析対象集団においてKaplan-Meier法によりOSを推定 ・共変量による調整を行わずに層別ログランク検定を用いて、治療群間を比較 ・補正された二重対数変換法1)を用いて中央値とその両側95% 信頼区間を算出 ・層別Cox回帰モデルを用いて、BV+CHP群のCHOP群に対するOSのハザード比を算出 |
||
ORR; CR+PR | ・ITT解析対象集団において治験治療終了後にRevised Response Criteria for Malignant Lymphoma2)に従ってIRFがCR又は部分寛解(PR)と判定した被験者の割合を算出 ・治療群間のORRはランダム化層別因子により層別化したCochran-Mantel-Haenszel法を用いて検定 ・絶対ORR及びClopper-Pearsonの方法3)を用いた正確な両側95% 信頼区間を算出 |
||
安全性 | ・有害事象は、MedDRA Ver.21.0を使用して器官別大分類及び基本語で分類 ・GradeはNCI-CTCAE Ver.4.03に従って評価 |
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PFS、OSの サブグループ解析 |
・サブグループは、年齢、性別、人種、地理的地域、体重、皮膚ALCL既往の有無、ECOG performance status、病型、ALKの有無(sALCLの場合)、病期、IPIスコア、ランダム化層別因子、皮膚病変の有無、骨髄浸潤の有無、中央測定機関により確認された病型、中央測定機関により確認されたCD30発現レベル、地固め療法としての自家造血幹細胞移植又は同種造血幹細胞移植の有無、投与サイクル数等に基づき設定 ・層別Cox回帰モデルを用いて、BV+CHP群のCHOP群に対するハザード比とその95% 信頼区間を算出(ランダム化層別因子:ALK陽性sALCLの有無及びIPIスコア0-1/2-3/4-5) |
||
試験期間 | 2013年1月24日~2018年8月15日(最終症例の最終来院日) 2018年9月24日(データベースロック時点) |
*1 PFSは、ランダム化日から次のいずれかの事象が最初に発現した日までの期間と定義した。
1. 最初に病勢進行(PD)と判定された日。2. 死亡日(死因は問わない)。3. 残存腫瘍又はPDにより次の抗がん化学療法を実施した日(地固め治療としての自家移植、放射線治療は除く)。
*2 統計解析計画書では片側検定を計画していたが、治験総括報告書では両側検定でp値を算出し、p<0.05の場合に、片側有意水準0.025と同等の有意差があるとした。
(a)コンピュータ断層撮影法(CT)及びポジトロン断層撮影(PET)を施行。1) Collett D. Modelling survival data in medical research. London, Chapman & Hall. 1994; 237-251.
2) Cheson BD, et al. : J Clin Oncol. 2007; 25(5) : 579-586.
3) Clopper CJ, Pearson ES. : Biometrika. 1934; 26 : 404-413.
特性 | BV+CHP群 〔n=226〕 |
CHOP群 〔n=226〕 |
|
---|---|---|---|
性別, n(%) | 男性 | 133(59) | 151(67) |
女性 | 93(41) | 75(33) | |
年齢, 歳 | 平均値(標準偏差) | 55.3(14.7) | 54.8(15.5) |
中央値 | 58.0 | 58.0 | |
最小値, 最大値 | 18, 85 | 18, 83 | |
人種, n(%) | アジア人 | 45(20) | 54(24) |
黒人又はアフリカ系 アメリカ人 |
12(5) | 6(3) | |
ハワイ先住民又は 太平洋諸島の住人 |
1(0) | 0 | |
白人 | 139(62) | 142(63) | |
その他 | 3(1) | 2(1) | |
不明 | 26(12) | 22(10) | |
ECOG PS(a), n(%) | 0 | 84(37) | 93(41) |
1 | 90(40) | 86(38) | |
2 | 51(23) | 47(21) | |
実施医療機関 による診断, n(%) |
sALCL | 162(72) | 154(68) |
ALK-陽性* | 49(22) | 49(22) | |
ALK-陰性 | 113(50) | 105(46) | |
PTCL-NOS | 29(13) | 43(19) | |
AITL | 30(13) | 24(11) | |
ATLL** | 4(2) | 3(1) | |
EATL | 1(0) | 2(1) | |
診断時の 病期分類, n(%) |
Stage Ⅰ | 12(5) | 9(4) |
Stage Ⅱ | 30(13) | 37(16) | |
Stage Ⅲ | 57(25) | 67(30) | |
Stage Ⅳ | 127(56) | 113(50) | |
ベースライン時の IPIスコア, n(%) |
0 | 8(4) | 16(7) |
1 | 45(20) | 32(14) | |
2 | 74(33) | 78(35) | |
3 | 66(29) | 66(29) | |
4 | 29(13) | 25(11) | |
5 | 4(2) | 9(4) |
(a) 1例の被験者(BV+CHP群)は治療開始後にベースライン時ECOG=0のデータを得たため、ECOGの要約に含まれていない。
ECOGによるPerformance Status(ECOG PS)の規準は次のとおり; 0 : 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限なく行える。1:肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる(例:軽い家事、事務作業)。2:歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす(http://www.jcog.jpより引用)。
データカットオフ時点(2018年8月15日)で、被験者219例(48%)にPFSイベントが生じました。
主要評価項目であるPFS(IRF判定)はBV+CHP群ではCHOP群と比較して統計学的に有意な延長が検証されました(p=0.0110、層別ログランク検定)。
PFSのハザード比は0.71(95% 信頼区間:0.54, 0.93、層別Cox回帰モデル)で、BV+CHP群ではCHOP群と比べてPFSイベント(PD、死亡又は新たな治療の開始)のリスクが29%軽減しました。
PFSの中央値はBV+CHP群48.20ヵ月(95% 信頼区間:35.15, - )、CHOP群20.80ヵ月(95% 信頼区間:12.68, 47.57)でした。
3年無増悪生存率は、BV+CHP群が57.1%(95% 信頼区間:49.9, 63.7)、CHOP群が44.4%(95% 信頼区間:37.6, 50.9)と推定されました。
n | イベント | 中央値(月) | ハザード比 (95% 信頼区間) |
p値* | |
---|---|---|---|---|---|
BV+CHP群 | 226 | 95 | 48.20 | 0.71 (0.54, 0.93) |
0.0110 |
CHOP群 | 226 | 124 | 20.80 |
* ランダム化層別因子(ALK陽性sALCL又は他のすべての病型及びIPIスコア0-1/2-3/4-5)を用いた層別ログランク検定により算出した。
IRF判定結果に基づくPFSサブグループ解析の結果は、全般的にITT解析対象集団全体の結果と一致していました。病型別のPFS(IRF判定)では、ALK陽性sALCLのハザード比の点推定値が最も小さく、ALK陰性sALCL及びPTCL-NOSのハザード比の点推定値はITT解析対象集団全体と同様の結果でした。また、AITLではハザード比の点推定値が1を超えました。すべての病型の信頼区間はITT解析対象集団全体の信頼区間と重なっていました。
中央測定機関でsALCLが確認されたBV+CHP群163例、CHOP群151例におけるIRF判定結果に基づくPFSはランダム化層別因子(実施医療機関の病理学的評価による病型及びIPIスコア)による層別ログランク検定を行った結果、BV+CHP群ではCHOP群と比較して統計学的に有意なPFSの延長が認められました(p=0.0031)。また、層別Cox回帰モデルを用いたハザード比は0.59(95% 信頼区間:0.42, 0.84)であり、BV+CHP群はCHOP群と比較してPFSイベントのリスクが41%軽減しました。
n | イベント | 中央値, 月 (95% 信頼区間) |
ハザード比 (95% 信頼区間) |
p値* | |
---|---|---|---|---|---|
BV+CHP群 | 163 | 56 | 55.7 (48.2, ー) |
0.59 (0.42, 0.84) |
0.003 |
CHOP群 | 151 | 73 | 54.2 (13.4, ー) |
Richardson NC, et al. : The Oncologist. 2019; 24 : e180-e187. より改変
データカットオフ時点で、124例が死亡しており、内訳はBV+CHP群51例(23%)、CHOP群73例(32%)でした。OSはBV+CHP群ではCHOP群と比較して統計学的に有意に延長しました。(p=0.0244、層別ログランク検定)。OSのハザード比は0.66(95% 信頼区間 : 0.46, 0.95、層別Cox回帰モデル)で、BV+CHP群ではCHOP群と比べて死亡リスクが34%軽減しました。
観察期間の中央値である42.12ヵ月(95% 信頼区間:40.41, 43.79)の時点で、両治療群ともOSの中央値に未到達でした。
n | イベント | 中央値(月) | ハザード比 (95% 信頼区間) |
p値* | |
---|---|---|---|---|---|
BV+CHP群 | 226 | 51 | 未達 | 0.66 (0.46, 0.95) |
0.0244 |
CHOP群 | 226 | 73 | 未達 |
* ランダム化層別因子(ALK陽性sALCL又は他のすべての病型及びIPIスコア0-1/2-3/4-5)を用いた層別ログランク検定により算出した。
治験治療終了後のCR率及びORRは、BV+CHP群ではCHOP群と比較して統計学的に有意に高い結果でした。
治験治療終了後のCR率は、BV+CHP群68%(95% 信頼区間:61.2, 73.7)、CHOP群56%(95% 信頼区間:49.0, 62.3)でした(p=0.0066、CMH検定*)。
治験治療終了後のORRは、BV+CHP群83%(95% 信頼区間:77.7, 87.8)、CHOP群72%(95% 信頼区間:65.8, 77.9)でした(p=0.0032、CMH検定*)。
* CMH検定:Cochran-Mantel-Haenszel検定。
BV+CHP群 〔n=226〕 |
CHOP群 〔n=226〕 |
奏効率の差(95% 信頼区間) p値** |
||
---|---|---|---|---|
ORR; CR+PR, n(%) (95% 信頼区間) |
188(83) (77.7, 87.8) |
163(72) (65.8, 77.9) |
11.1(3.4−18.7) 0.0032 |
|
CR率, n(%) (95% 信頼区間) |
153(68) (61.2, 73.7) |
126(56) (49.0, 62.3) |
11.9(3.1−20.8) 0.0066 |
|
奏効*, n(%) |
CR | 153(68) | 126(56) | - |
PR | 35(15) | 37(16) | - | |
安定(SD) | 5(2) | 11(5) | - | |
PD | 15(7) | 31(14) | - | |
評価不能 (NE)† |
18(8) | 21(9) | - |
* 治療終了時の最良奏効をRevised Response Criteria for Malignant Lymphoma1)に基づき評価した。CR、PR、SD、PD、及びNE(相互に重複せず)。
** ランダム化時の層別化因子(ALK陽性sALCLの有無及びIPIスコア0–1/2–3/4–5)を用いた層別化したCochran-Mantel-Haenszel検定により算出した。
† ベースライン後の奏効評価がない被験者はNEとした。
1)Cheson BD, et al. : J Clin Oncol. 2007; 25 (5) : 579-586.有害事象発現頻度は、BV+CHP群で223例(日本人20例含む)中221例(99%)及びCHOP群で226例(日本人23例含む)中221例(98%)でした。主な有害事象(20%以上)は、BV+CHP群では悪心103例(46%)、末梢性感覚ニューロパチー100例(45%)、下痢、好中球減少症〔以上、各85例(38%)〕、便秘64例(29%)、脱毛症、発熱〔以上、各58例(26%)〕、嘔吐57例(26%)、疲労54例(24%)及び貧血46例(21%)であり、CHOP群では末梢性感覚ニューロパチー92例(41%)、悪心87例(38%)、好中球減少症85例(38%)、便秘67例(30%)、脱毛症56例(25%)、下痢、疲労〔以上、各46例(20%)〕でした。
重篤な有害事象はBV+CHP群で87例に認められ、主な重篤な有害事象(4例以上)は、発熱性好中球減少症31例、肺炎11例、発熱9例、好中球減少症8例、肺臓炎5例、敗血症5例及び下痢4例でした。
投与中止に至った有害事象はBV+CHP群で14例でした。有害事象の内訳は、末梢性感覚ニューロパチー2例、心停止、成長障害、腸管穿孔、末梢性T細胞性リンパ腫, 組織型不明、肺炎、誤嚥性肺炎、肺臓炎、肺空洞形成、発疹、呼吸不全、敗血症、心室細動〔以上、各1例〕でした。
治験期間中の死亡例(治験治療薬の最終投与後30日以内に認められた死亡)はBV+CHP群で8例でした。治験期間中の死因の内訳は、急性腎障害、心停止、末梢性T細胞性リンパ腫, 組織型不明、肺炎、誤嚥性肺炎、肺空洞形成、敗血症、心室細動〔以上、各1例〕でした。
BV+CHP群 | CHOP群 | |
---|---|---|
調査例数 | 223 | 226 |
有害事象発現症例数 | 221 | 221 |
有害事象発現頻度(%) | 99 | 98 |
有害事象 | BV+CHP群 (n=223) |
CHOP群 (n=226) |
||
---|---|---|---|---|
全て 例数(%) |
Grade 3以上 例数(%) |
全て 例数(%) |
Grade 3以上 例数(%) |
|
胃腸障害 | 175(78) | 156(69) | ||
悪心 | 103(46) | 5(2) | 87(38) | 4(2) |
下痢 | 85(38) | 13(6) | 46(20) | 2(1) |
便秘 | 64(29) | 2(1) | 67(30) | 3(1) |
嘔吐 | 57(26) | 2(1) | 39(17) | 4(2) |
口内炎 | 27(12) | 3(1) | 27(12) | 3(1) |
上腹部痛 | 17(8) | 0 | 7(3) | 0 |
腹痛 | 15(7) | 3(1) | 16(7) | 1(0) |
消化不良 | 15(7) | 0 | 8(4) | 0 |
胃食道逆流性疾患 | 10(4) | 0 | 5(2) | 0 |
腹部膨満 | 8(4) | 1(0) | 1(0) | 1(0) |
口腔内痛 | 8(4) | 1(0) | 3(1) | 0 |
痔核 | 7(3) | 0 | 6(3) | 0 |
腹部不快感 | 6(3) | 0 | 5(2) | 0 |
口内乾燥 | 6(3) | 0 | 8(4) | 0 |
嚥下障害 | 5(2) | 0 | 2(1) | 0 |
鼓腸 | 5(2) | 0 | 1(0) | 0 |
肛門周囲痛 | 4(2) | 0 | 1(0) | 0 |
口腔内潰瘍形成 | 3(1) | 0 | 3(1) | 0 |
下腹部痛 | 2(1) | 0 | 2(1) | 0 |
心窩部不快感 | 2(1) | 0 | 0 | 0 |
胃出血 | 2(1) | 1(0) | 0 | 0 |
胃炎 | 2(1) | 0 | 2(1) | 0 |
胃腸出血 | 2(1) | 1(0) | 0 | 0 |
歯肉痛 | 2(1) | 0 | 3(1) | 0 |
嚥下痛 | 2(1) | 0 | 4(2) | 1(0) |
口腔粘膜水疱形成 | 2(1) | 0 | 0 | 0 |
舌苔 | 2(1) | 0 | 0 | 0 |
歯痛 | 2(1) | 0 | 6(3) | 0 |
神経系障害 | 144(65) | 145(64) | ||
末梢性感覚 |
100(45) | 8(4) | 92(41) | 6(3) |
頭痛 | 31(14) | 1(0) | 31(14) | 1(0) |
浮動性めまい | 28(13) | 0 | 20(9) | 2(1) |
味覚異常 | 16(7) | 0 | 15(7) | 0 |
錯感覚 | 10(4) | 0 | 18(8) | 3(1) |
末梢性運動 |
8(4) | 2(1) | 17(8) | 1(0) |
末梢性感覚運動 |
6(3) | 0 | 2(1) | 0 |
嗜眠 | 5(2) | 0 | 3(1) | 0 |
記憶障害 | 4(2) | 0 | 2(1) | 0 |
感覚鈍麻 | 3(1) | 0 | 3(1) | 0 |
失神寸前の状態 | 3(1) | 1(0) | 1(0) | 1(0) |
失神 | 3(1) | 2(1) | 4(2) | 3(1) |
異常感覚 | 2(1) | 0 | 1(0) | 0 |
錐体外路障害 | 2(1) | 1(0) | 0 | 0 |
片頭痛 | 2(1) | 1(0) | 1(0) | 0 |
振戦 | 2(1) | 0 | 1(0) | 0 |
一般・全身障害および 投与部位の状態 |
135(61) | 127(56) | ||
発熱 | 58(26) | 4(2) | 42(19) | 0 |
疲労 | 54(24) | 2(1) | 46(20) | 4(2) |
無力症 | 26(12) | 2(1) | 16(7) | 0 |
末梢性浮腫 | 24(11) | 0 | 18(8) | 2(1) |
粘膜の炎症 | 15(7) | 2(1) | 12(5) | 2(1) |
胸痛 | 9(4) | 0 | 6(3) | 0 |
悪寒 | 8(4) | 0 | 3(1) | 0 |
倦怠感 | 6(3) | 0 | 10(4) | 0 |
末梢腫脹 | 6(3) | 0 | 7(3) | 0 |
浮腫 | 4(2) | 0 | 3(1) | 0 |
カテーテル留置部位 |
3(1) | 0 | 0 | 0 |
インフルエンザ様疾患 | 3(1) | 0 | 3(1) | 0 |
非心臓性胸痛 | 3(1) | 1(0) | 2(1) | 0 |
疼痛 | 3(1) | 0 | 4(2) | 1(0) |
溢出 | 2(1) | 1(0) | 2(1) | 0 |
血液およびリンパ系障害 | 132(59) | 123(54) | ||
好中球減少症 | 85(38) | 77(35) | 85(38) | 76(34) |
貧血 | 46(21) | 30(13) | 36(16) | 23(10) |
発熱性好中球減少症 | 41(18) | 41(18) | 33(15) | 33(15) |
白血球減少症 | 18(8) | 16(7) | 14(6) | 14(6) |
血小板減少症 | 18(8) | 13(6) | 12(5) | 9(4) |
感染症および寄生虫症 | 116(52) | 102(45) | ||
上気道感染 | 17(8) | 0 | 12(5) | 0 |
肺炎 | 16(7) | 12(5) | 6(3) | 5(2) |
尿路感染 | 11(5) | 4(2) | 7(3) | 1(0) |
口腔カンジダ症 | 9(4) | 0 | 4(2) | 0 |
上咽頭炎 | 8(4) | 0 | 11(5) | 0 |
口腔ヘルペス | 8(4) | 0 | 3(1) | 0 |
気管支炎 | 6(3) | 0 | 3(1) | 0 |
カンジダ感染 | 6(3) | 0 | 4(2) | 0 |
インフルエンザ | 6(3) | 2(1) | 3(1) | 1(0) |
敗血症 | 6(3) | 6(3) | 4(2) | 4(2) |
蜂巣炎 | 5(2) | 2(1) | 1(0) | 0 |
結膜炎 | 5(2) | 0 | 1(0) | 0 |
帯状疱疹 | 5(2) | 0 | 2(1) | 0 |
副鼻腔炎 | 5(2) | 1(0) | 4(2) | 0 |
膀胱炎 | 4(2) | 2(1) | 2(1) | 0 |
咽頭炎 | 4(2) | 0 | 3(1) | 0 |
クロストリジウム・ |
3(1) | 3(1) | 0 | 0 |
医療機器関連感染 | 3(1) | 2(1) | 1(0) | 0 |
鼻炎 | 3(1) | 0 | 3(1) | 0 |
ブドウ球菌感染 | 3(1) | 1(0) | 4(2) | 2(1) |
細菌感染 | 2(1) | 1(0) | 0 | 0 |
クロストリジウム・ |
2(1) | 2(1) | 0 | 0 |
サイトメガロ |
2(1) | 0 | 2(1) | 1(0) |
皮膚真菌感染 | 2(1) | 0 | 0 | 0 |
肺感染 | 2(1) | 1(0) | 1(0) | 0 |
好中球減少性感染 | 2(1) | 2(1) | 1(0) | 1(0) |
外耳炎 | 2(1) | 0 | 0 | 0 |
ニューモシスチス・ |
2(1) | 2(1) | 0 | 0 |
敗血症性ショック | 2(1) | 2(1) | 2(1) | 2(1) |
皮膚感染 | 2(1) | 0 | 5(2) | 2(1) |
ウイルス感染 | 2(1) | 1(0) | 1(0) | 0 |
皮膚および皮下組織障害 | 111(50) | 101(45) | ||
脱毛症 | 58(26) | 0 | 56(25) | 3(1) |
発疹 | 22(10) | 2(1) | 15(7) | 1(0) |
寝汗 | 10(4) | 0 | 10(4) | 0 |
そう痒症 | 9(4) | 0 | 8(4) | 0 |
斑状丘疹状皮疹 | 7(3) | 1(0) | 9(4) | 0 |
皮膚乾燥 | 5(2) | 0 | 10(4) | 0 |
爪変色 | 4(2) | 0 | 3(1) | 0 |
褥瘡性潰瘍 | 3(1) | 1(0) | 0 | 0 |
多汗症 | 3(1) | 0 | 3(1) | 0 |
水疱 | 2(1) | 0 | 1(0) | 0 |
ざ瘡様皮膚炎 | 2(1) | 0 | 3(1) | 0 |
紅斑 | 2(1) | 0 | 1(0) | 0 |
そう痒性皮疹 | 2(1) | 0 | 1(0) | 0 |
皮膚変色 | 2(1) | 0 | 0 | 0 |
蕁麻疹 | 2(1) | 0 | 0 | 0 |
呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 86(39) | 87(38) | ||
呼吸困難 | 32(14) | 4(2) | 24(11) | 4(2) |
咳嗽 | 27(12) | 2(1) | 22(10) | 0 |
口腔咽頭痛 | 21(9) | 0 | 17(8) | 1(0) |
鼻閉 | 8(4) | 0 | 5(2) | 0 |
しゃっくり | 7(3) | 0 | 2(1) | 0 |
鼻漏 | 7(3) | 0 | 7(3) | 0 |
胸水 | 6(3) | 3(1) | 3(1) | 2(1) |
肺臓炎 | 5(2) | 2(1) | 0 | 0 |
アレルギー性鼻炎 | 5(2) | 0 | 0 | 0 |
湿性咳嗽 | 4(2) | 0 | 1(0) | 0 |
肺塞栓症 | 4(2) | 4(2) | 7(3) | 7(3) |
呼吸不全 | 3(1) | 3(1) | 2(1) | 2(1) |
慢性閉塞性肺疾患 | 2(1) | 1(0) | 0 | 0 |
発声障害 | 2(1) | 0 | 3(1) | 0 |
労作性呼吸困難 | 2(1) | 0 | 1(0) | 0 |
喀血 | 2(1) | 0 | 1(0) | 0 |
低酸素症 | 2(1) | 1(0) | 0 | 0 |
頻呼吸 | 2(1) | 1(0) | 1(0) | 0 |
喘鳴 | 2(1) | 0 | 0 | 0 |
筋骨格系および結合組織障害 | 83(37) | 75(33) | ||
筋肉痛 | 24(11) | 0 | 19(8) | 0 |
関節痛 | 19(9) | 1(0) | 9(4) | 1(0) |
背部痛 | 16(7) | 1(0) | 22(10) | 1(0) |
四肢痛 | 14(6) | 0 | 6(3) | 1(0) |
骨痛 | 13(6) | 1(0) | 9(4) | 0 |
筋力低下 | 6(3) | 0 | 8(4) | 0 |
筋骨格痛 | 6(3) | 0 | 5(2) | 0 |
筋骨格系胸痛 | 3(1) | 0 | 0 | 0 |
頚部痛 | 3(1) | 0 | 4(2) | 0 |
関節炎 | 2(1) | 0 | 0 | 0 |
筋痙縮 | 2(1) | 0 | 9(4) | 0 |
顎痛 | 2(1) | 1(0) | 4(2) | 0 |
代謝および栄養障害 | 73(33) | 58(26) | ||
食欲減退 | 39(17) | 3(1) | 27(12) | 3(1) |
低カリウム血症 | 27(12) | 8(4) | 18(8) | 3(1) |
脱水 | 8(4) | 1(0) | 6(3) | 3(1) |
高血糖 | 7(3) | 4(2) | 8(4) | 1(0) |
低マグネシウム血症 | 7(3) | 0 | 5(2) | 1(0) |
低ナトリウム血症 | 6(3) | 3(1) | 5(2) | 3(1) |
高カリウム血症 | 5(2) | 0 | 2(1) | 0 |
低カルシウム血症 | 5(2) | 2(1) | 5(2) | 3(1) |
低リン酸血症 | 4(2) | 3(1) | 0 | 0 |
高尿酸血症 | 3(1) | 1(0) | 2(1) | 0 |
痛風 | 2(1) | 0 | 1(0) | 0 |
低アルブミン血症 | 2(1) | 1(0) | 3(1) | 1(0) |
低血糖 | 2(1) | 1(0) | 1(0) | 1(0) |
腫瘍崩壊症候群 | 2(1) | 2(1) | 0 | 0 |
臨床検査 | 52(23) | 26(12) | ||
体重減少 | 26(12) | 1(0) | 17(8) | 1(0) |
ALT(GPT)増加 | 9(4) | 0 | 0 | 0 |
AST(GOT)増加 | 6(3) | 0 | 0 | 0 |
体重増加 | 4(2) | 0 | 2(1) | 0 |
C-反応性蛋白増加 | 3(1) | 0 | 0 | 0 |
精神障害 | 37(17) | 49(22) | ||
不眠症 | 25(11) | 0 | 31(14) | 0 |
不安 | 10(4) | 1(0) | 3(1) | 0 |
うつ病 | 3(1) | 0 | 7(3) | 0 |
錯乱状態 | 2(1) | 0 | 4(2) | 1(0) |
血管障害 | 36(16) | 49(22) | ||
低血圧 | 13(6) | 1(0) | 13(6) | 4(2) |
深部静脈血栓症 | 7(3) | 1(0) | 7(3) | 1(0) |
高血圧 | 5(2) | 2(1) | 10(4) | 7(3) |
塞栓症 | 4(2) | 2(1) | 0 | 0 |
静脈炎 | 3(1) | 0 | 4(2) | 0 |
ほてり | 2(1) | 0 | 5(2) | 0 |
血管炎 | 2(1) | 0 | 2(1) | 1(0) |
腎および尿路障害 | 28(13) | 23(10) | ||
頻尿 | 7(3) | 0 | 4(2) | 0 |
急性腎障害 | 6(3) | 2(1) | 1(0) | 0 |
排尿困難 | 5(2) | 0 | 5(2) | 0 |
血尿 | 4(2) | 0 | 2(1) | 1(0) |
尿閉 | 3(1) | 0 | 1(0) | 0 |
心臓障害 | 23(10) | 17(8) | ||
洞性頻脈 | 10(4) | 0 | 2(1) | 0 |
頻脈 | 5(2) | 0 | 5(2) | 2(1) |
上室性頻脈 | 2(1) | 2(1) | 0 | 0 |
眼障害 | 21(9) | 21(9) | ||
霧視 | 8(4) | 0 | 7(3) | 0 |
流涙増加 | 6(3) | 0 | 3(1) | 0 |
眼乾燥 | 4(2) | 0 | 3(1) | 0 |
眼刺激 | 4(2) | 0 | 0 | 0 |
眼充血 | 3(1) | 0 | 0 | 0 |
眼痛 | 2(1) | 0 | 2(1) | 0 |
傷害、中毒および処置合併症 | 18(8) | 15(7) | ||
転倒 | 5(2) | 0 | 2(1) | 0 |
節足動物咬傷 | 2(1) | 0 | 1(0) | 0 |
創傷 | 2(1) | 0 | 0 | 0 |
生殖系および乳房障害 | 11(5) | 13(6) | ||
勃起不全 | 2(1) | 0 | 0 | 0 |
肝胆道系障害 | 5(2) | 1(0) | ||
肝機能異常 | 2(1) | 1(0) | 0 | 0 |
免疫系障害 | 5(2) | 1(0) | ||
薬物過敏症 | 3(1) | 0 | 0 | 0 |
季節性アレルギー | 2(1) | 0 | 1(0) | 0 |
内分泌障害 | 4(2) | 5(2) | ||
ステロイド離脱症候群 | 3(1) | 0 | 1(0) | 0 |
良性、悪性および 詳細不明の新生物 (嚢胞およびポリープを含む) |
4(2) | 20(9) | ||
耳および迷路障害 | 3(1) | 12(5) | ||
耳鳴 | 2(1) | 0 | 4(2) | 0 |
先天性、家族性 および遺伝性障害 |
2(1) | 1(0) | ||
製品の問題 | 2(1) | 1(0) |
MedDRA Ver.21.0、NCI-CTCAE Ver.4.03により集計。国際共同第Ⅲ相試験(SGN35-014試験)。
ECHELON-2試験では、CD30発現が10%以上の被験者をリクルートしていますが、実臨床でも10%という基準を守るべきでしょうか?
10%以下CD30発現の場合は、以下の点に留意し、可能であれば病理医とディスカッションを行いBV+CHP療法の適応を決定することが重要と考えます。
ECHELON-2試験のベースライン時の被験者の特性では、中央検査機関の病理評価におけるCD30陽性細胞の割合範囲が、両群とも0〜100であり、10%以下の被験者も登録されていました(表1)。
また、再発又は難治性(RR)のCD30陽性のPTCL被験者を対象としたブレンツキシマブ ベドチン(BV)の有効性と安全性を評価した海外第Ⅱ相非盲検試験(SGN35-012試験)では、CD30の発現割合と抗腫瘍効果の相関を検討したところ、両者に相関は認められませんでした(図1)。
フローサイトメーターを用いた表面マーカー検索は、腫瘍細胞によっては検出されないこともあります*。
* Stein H, et al. : Int J Cancer. 1982; 30(4): 445-459.
特性 | BV+CHP群〔n=226〕 | CHOP群〔n=226〕 | |
---|---|---|---|
CD30陽性細胞の割合 (各実施機関の病理評価†) |
n | 224 | 226 |
平均値(標準偏差) | 76.5(32.7) | 77.0(30.7) | |
中央値 | 90.5 | 90 | |
最小値, 最大値 | 10,100 | 10,100 | |
CD30陽性細胞の割合 (中央検査機関の病理評価†) |
n | 222 | 220 |
平均値(標準偏差) | 81.1(28.4) | 77.6(30.6) | |
中央値 | 95 | 90 | |
最小値, 最大値 | 0,100 | 0,100 |
†CD30陽性の評価は免疫組織化学染色法で実施された。
Horwitz S, et al. : Lancet. 2019; 393: 229-240. Supplementary appendix.より改変
ECHELON-2試験のPFSの層別解析において、PTCL-NOSやAITLは有意差が出ていないですが、どのように解釈すればよろしいでしょうか?
BV+CHP療法はPTCL-NOSやAITLにおいても治療選択肢の1つになると考えます。ECHELON-2試験はPTCL全体として実施した臨床試験と捉えています。
ECHELON-2試験のlimitationは、sALCL以外のサブグループにおいては2治療群間で有効性を比較する検出力を有していなかったこと、並びに、サブグループの被験者数が少なかったため、sALCL以外の集団における治療効果を明らかにできなかったことが挙げられます。
ECHELON-2試験の主要評価項目であるPFSの中央値は、BV+CHP群が48.2ヵ月、CHOP群が20.8ヵ月で、OSにおいても、BV+CHP群はCHOP群と比較して死亡リスクが34%軽減しました。OSは、ALK陽性およびALK陰性のsALCL、PTCL-NOS、AITLにおいてBV+CHP群のハザード比の点推定値が1を下回っていました。また、すべての病型の信頼区間はITT解析対象集団全体の信頼区間と重なっていました(図2)。
ECHELON-2試験は、未治療PTCL患者を対象として、最も多く使用されている治療レジメンであるCHOP療法を上回る生存期間の延長が確認された初めての国際共同第Ⅲ相ランダム化二重盲検試験です。
また、海外第Ⅱ相非盲検試験(SGN35-012試験パートA)では、RRのCD30陽性のPTCL被験者にBVを単独投与した結果、主要評価項目である治験責任医師判定に基づく全奏効率はAITLは54%(7/13例)、PTCL-NOSは33%(7/21例)と、一定の奏効が認められています。
ECHELON-2試験では、BV+CHP群のCHOP群に対する優越性が検証されましたが、初回治療から、BV+CHP療法を実施すべきでしょうか?それとも再発後の治療選択肢として、ブレンツキシマブ ベドチン(BV)を残しておいた方が良いでしょうか?
PTCLは再発すると、予後が不良のため、初回治療から有効性の高い治療をすることが合理的と考えます。
残存病変又はPDに対する後続治療として全身性抗悪性腫瘍療法を受けた被験者は、BV+CHP群82例中59例(72%)、CHOP群107例中94例(88%)でした。後続の抗悪性腫瘍療法として、両治療群で最もよく用いられたのはBVでした〔BV+CHP群59例中23例(39%)、CHOP群94例中49例(52%)〕(表2)。PFSだけでなく後続治療まで含めたOSに関しても、CHOP群と比較してBV+CHP群で統計学的に有意な改善が認められました(OSのKaplan-Meier曲線参照)。
主な有害事象である発熱性好中球減少症と末梢神経障害に関して、発熱性好中球減少症〔BV+CHP群41例(18%)、CHOP群33例(15%)〕及び末梢神経障害〔BV+CHP群117例(52%)、CHOP群124例(55%)〕共に両群で類似していました。
これらの結果より、BV+CHP療法はCHOP療法と比較してPTCLに対してPFS、OSともに有効性が認められ、BV+CHP療法の安全性プロファイルは、BVの単独投与及び多剤併用化学療法との併用投与で既に確立されているBVの安全性プロファイルとの一致が確認され、BV+CHP療法を初回治療から実施すべきと考えます。
BV+CHP群〔n=226〕 | CHOP群〔n=226〕 | |
---|---|---|
PFSイベントが認められた被験者数 | 95(42%) | 124(55%) |
病勢進行 | 71(31%) | 86(38%) |
死亡 | 13(6%) | 17(8%) |
新たな治療* | 11(5%) | 21(9%) |
後続の新たな抗癌療法を受けた被験者† | 65(29%) | 96(42%) |
残存病変又は病勢進行に対する |
59(26%) | 94(42%) |
緩和放射線療法 | 10(4%) | 8(4%) |
その他の悪性腫瘍に対する全身療法 | 7(3%) | 3(1%) |
ブレンツキシマブ ベドチンを含む投与 | 23(10%) | 49(22%) |
* Chesonに基づくIRFの評価により病勢進行と判定される前に残存病変または進行病変に対して開始した緩和放射線療法を含む新たな全身化学療法を開始した場合
† 被験者は複数の種類の治療を受けた可能性がある
承認審査時評価資料/Horwitz S, et al. : Lancet. 2019; 393: 229-240.
BV+CHP療法を行う際には、G-CSF製剤の一次予防は実施したほうが良いでしょうか?
BVの添付文書においても、BV+CHP療法を実施する際は、予防投与(一次予防)を含めたG-CSF製剤の使用を推奨しています16)。
Grade 3以上の好中球減少症は、BV+CHP群で77例(35%)、発熱性好中球減少症は、41例(18%)と高い頻度でみられました。G-CSF製剤の予防的投与*を受けた被験者は、BV+CHP群で75例(34%)で、FNが認められた被験者は、G-CSF製剤の予防的投与を受けた被験者12例(16%)であったのに対し、受けなかった被験者で29例(20%)でした**(表3)。
一般的に、FN発症および重症化リスクは、疾患、レジメン、患者側のリスク因子、治療目的により異なります。疾患としてはリンパ腫、小細胞肺がんの化学療法において発症リスクが高く、化学療法レジメンについては、治療強度、使用薬剤によりFN発症率が異なり、特に治療強度を高めたレジメンではFNが高率に発症します。患者側のリスク因子では年齢の他、白血球数、腎機能などいくつかの検査値異常が挙げられています。
G-CSF適正使用診療ガイドラインでは、『FN発症率が20%以上のレジメンを使用するとき、FNを予防するために、G-CSF製剤の一次予防的投与が推奨される。』と推奨されています17)。
遠方の患者さんなど、頻繁に通院が難しい患者さんなどは、医療連携を活用して近隣の医療機関にG-CSF製剤の投与をお願いすることもあります。
* サイクル1の8日目までにG-CSF製剤が投与され、症例報告書に予防投与であると記載されたものと定義。
**重要な有害事象に関連するリスク因子(G-CSF製剤の予防的投与の有無、年齢60歳以上)に関して、G-CSF製剤の予防的投与の有無別の発熱性好中球減少症及び関連するその他の有害事象の発現頻度、60歳以上の患者における有害事象のサブグループ解析を事後解析として実施した。解析結果は、承認審査評価資料に記載し、評価された。
有害事象§ | BV+CHP群 〔n=223〕 |
CHOP群 〔n=226〕 |
||
---|---|---|---|---|
発現症例数(%) | 発現症例数(%) | |||
G-CSF製剤の 一次予防 |
G-CSF製剤の 一次予防 |
|||
投与した 〔n=75〕 |
投与しな かった 〔n=148〕 |
投与した 〔n=61〕 |
投与しな かった 〔n=165〕 |
|
治験治療中の発熱性 好中球減少症 |
12 (16) |
29 (20) |
7 (11) |
26 (16) |
サイクル1における 発熱性好中球減少症 |
9 (12) |
17 (11) |
4 (7) |
16 (10) |
好中球減少† | 12 (16) |
73 (49) |
10 (16) |
76 (46) |
Grade 3以上の 好中球減少† |
10 (13) |
67 (45) |
8 (13) |
69 (42) |
Grade 4以上の 好中球減少† |
7 (9) |
39 (26) |
6 (10) |
43 (26) |
感染症及び寄生虫症 (SOC) |
37 (49) |
79 (53) |
28 (46) |
74 (45) |
Grade 3以上の感染症 及び寄生虫症(SOC) |
12 (16) |
30 (20) |
8 (13) |
23 (14) |
発熱性好中球減少症、 好中球減少症、 敗血症、好中球減少性 敗血症、 発熱又は感染症 及び寄生虫症(SOC) の重篤な有害事象 |
23 (31) |
41 (28) |
15 (25) |
37 (22) |
§本剤との関連が否定された事象を含む。
† (血球)減少症と(血球)数減少の併合集計
MedDRA Ver.21.0、NCI-CTCAE Ver.4.03により集計 国際共同第Ⅲ相試験(SGN35-014試験)
本集計は、G-CSF製剤を好中球減少症に対する処置として本剤投与日(1日目)から8日目の間に投与した場合に「予防投与あり」として扱った。
サイクル1における事象は初回投与日からサイクル2の1日目の前まで(又はサイクル2の1日目の投与がない場合は22日目まで)の期間に始まった事象である。
BV+CHP療法を行う際に、PNの留意点や対処のポイントがあれば、教えてください。
末梢性ニューロパチー関連事象が1件以上発現した被験者における初回発現までの期間(中央値)は、BV+CHP群(117例)9.1週間(ほぼサイクル3の終了時に相当)と報告されています。
診療毎に、PNの評価を行い、Grade 2以上にならないように早めにブレンツキシマブ ベドチンの減量・休薬をすることが重要です。
患者さんによっては、副作用の症状を訴えてこられない方もいらっしゃいますので、例えば『ペットボトルが開けにくくなっていませんか?』『お箸は使いづらくありませんか?』『ボタンが留めにくいことがありますか?』と、具体的に日常生活に困っていることがないかを問診時にお聞きし、PNの発現を早く捉えることが重要と考えます。
海外第Ⅱ相試験(非盲検試験):SGN35-012試験
ブレンツキシマブ ベドチンの海外臨床試験成績③(社内資料)
Horwitz SM, et al. : Blood. 2014; 123(20): 3095-3100.
本試験は、Seattle Genetics社(現・Seagen社)の資金提供により実施された。
本論文の著者のうち1名は同社の社員で、試験計画、解析、執筆等の支援を受けている。
著者に同社より研究資金、謝礼金等を受領している者が含まれる。
主目的 | 再発又は難治性のCD30陽性の非ホジキンリンパ腫患者に対して、ブレンツキシマブ ベドチンを単独投与(1.8mg/kgを3週間に1回静脈内投与)したときの抗腫瘍効果を全奏効率(ORR)に基づき評価する。 | |
対象 | 再発又は難治性のCD30陽性の非ホジキンリンパ腫患者;T細胞リンパ腫 35例 | |
試験デザイン | 海外第Ⅱ相非盲検試験 | |
投与方法 | ・3週間を1サイクルとし、1サイクルに1回1.8mg/kg(静脈内) ・安定(SD)以上を達成した被験者は、病勢進行、許容できない毒性又は試験終了までブレンツキシマブ ベドチン投与を継続可能 |
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主要評価項目 | ORR(治験責任医師判定) | |
副次評価項目 | CR率、奏効期間、病勢コントロール率、CR期間、PFS、CD30発現と抗腫瘍効果の相関、有害事象、臨床検査値 など | |
解析計画 | ORR | ・仮説検定を実施(ORRの閾値を10%以下、期待値を10%超える) ・EE set*において治験治療終了後に Revised Response Criteria for Malignant Lymphoma18)に従って治験責任医師がCR又は部分寛解(PR)と判定した被験者の割合を算出 ・Clopper-Pearsonの方法19)を用いて正確な両側95% 信頼区間とP値を算出 |
CD30発現と 抗腫瘍効果の相関 |
Loessを使用して評価 | |
安全性 | ・有害事象は、MedDRA Ver.18.0を使用して器官別大分類及び基本語を分類 ・GradeはCTCAE Ver.4.03に従って評価 |
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試験期間 | 2011年8月19日~2015年6月1日(最終症例の最終来院日) |
* EE set(有効性評価可能解析対象集団)は、ブレンツキシマブ ベドチンを1回以上投与され、かつ試験終了又は新たな抗腫瘍治療を開始するまでにベースラインの腫瘍評価及び 1 時点以上の投与後腫瘍評価を有する被験者を含む。
T細胞リンパ腫被験者34例における主要評価項目である治験責任医師判定に基づく全奏効率(ORR;CR+PR)は41%(95% 信頼区間:24.6, 59.3)であり、95% 信頼区間の下限である24.6%が事前に設定した閾値である10%を超えました(p<0.001、Clopper-Pearson検定)。
副作用発現頻度は、35例中28例(80%)でした。主な副作用(15%以上)は、末梢性感覚ニューロパチー13例(37%)及び疲労7例(20%)でした。
重篤な有害事象は15例に認められ、主な重篤な有害事象(2例以上)は、急性腎不全、錯乱状態、脱水、肺炎、発熱〔以上、各2例〕でした。
投与中止に至った有害事象は6例でした。有害事象の内訳は、末梢性感覚ニューロパチー3例、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎、発熱、敗血症〔以上、各1例〕でした。
本剤の最終投与後30日以内の死亡例は、AITL被験者2例及びPTCL-NOS被験者1例でした。AITL被験者の1例は原疾患に起因する死亡でしたが、もう1例は原疾患との関連が不明であり、その死因は急性呼吸窮迫症候群でした。PTCL-NOS被験者の1例は原疾患に起因する死亡でした。
禁忌を含む使用上の注意等は「添付文書」をご参照ください。