ログイン・会員登録

会員の方

ID・パスワードをお持ちの方は、
こちらからログインください。

パスワードをお忘れの方はこちら

認証キーの承認をされる方はこちら

2016年1月より会員IDがメールアドレスに統一されました。

会員登録されていない方

会員限定コンテンツのご利用には、会員登録が必要です。

新規会員登録

50秒でわかる
Takeda Medical site

サイトマップお問合わせ

  • 新規会員登録
  • ログイン

会員限定 アドセトリス 臨床成績

Last Update:2021年1月

進行期CHLにおけるフロントライン治療
ECHELON-1試験を考える

【監修】冨田 章裕 先生(藤田医科大学医学部 血液内科学 教授)

* CHL:古典的ホジキンリンパ腫

進行期CHLにおけるフロントライン治療

CD30陽性ホジキンリンパ腫(HL)

CD30を発現する古典的ホジキンリンパ腫(CHL)は全HLの95%を占める胚中心由来のリンパ系腫瘍です。
CHLを決定づける病理組織学的な特徴は、炎症性細胞の背景に悪性のHodgkin/Reed-Sternberg(HRS)細胞が散見されます。HRS細胞は特徴的形態とCD30発現を含む免疫表現型を有します。CHLは世界保健機関(WHO)分類により、結節性硬化型、混合細胞型、リンパ球豊富型、リンパ球減少型の4つの病理組織学的サブタイプに分類されています。また、結節性リンパ球優位型HLは異なる免疫表現型(CD30陰性)と自然史を持つため、CHLとは区別して管理されています。
HLは二相性の年齢分布を示し、若年層(20歳代)と中年層(50~60歳)にピークを示します1)
国立がん研究センターがん対策情報センターの全国がん罹患モニタリング集計によると、2012年時点の悪性リンパ腫の年間罹患者数は26,632人と推計されています2)
国内における悪性リンパ腫に占めるHLの割合は4.4%~7.4%と報告されていることから3)4)、HLの年間罹患者数は約1,200~2,000人と推定でき、厚生労働省による患者調査では、2017年時点のHLの総患者数は約2,000人と推計されています5)

ホジキンリンパ腫(HL)の病期分類及び予後

治療を計画する目的で、CHLは限局期(I/II期)と進行期(III/IV期)に分けられています。II期のうち、B症状及び/又はbulky病変を有する予後不良群は、III/IV期に対して行われる治療が奏効するため、進行期CHLを対象とする臨床試験の対象患者に含めることがあります6)7)
予後不良因子のない限局期の予後は良好です。個々の患者に対するフロントライン治療は、高い治癒率を維持しつつ、治療に伴う毒性を最小化することに焦点がおかれています8)
診断時の病期により、5年生存率は限局期で92%~93%、進行期で78%と予測されています9)

進行期ホジキンリンパ腫(HL)の治療

従来の進行期HLに対しての標準治療は、6〜8コースのABVD(ドキソルビシン塩酸塩+ブレオマイシン塩酸塩+ビンブラスチン硫酸塩+ダカルバジン)療法が行われています。ABVD療法を受けた進行期の患者を対象とした複数の試験では、5年治療成功生存割合(FFTF)は61%~67%、5年全生存期間(OS)は73%~85%でした(図17)10)11)
これらの成績を改善するため(進行期HL患者のフロントラインでの病勢コントロールを改善するため)治療強度を高めた多剤併用化学療法が開発されてきました12)

● 強化療法

BEACOPP〔ブレオマイシン塩酸塩、エトポシド、ドキソルビシン塩酸塩、シクロホスファミド水和物、ビンクリスチン硫酸塩、プロカルバジン塩酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)〕療法は、GHSG(German Hodgkin’s Lymphoma Study Group)が開発した強化療法です12)。BEACOPP療法は、その薬剤投与量によって増量BEACOPP療法と標準量BEACOPP療法に分けられています。増量BEACOPP療法はCOPP/ABVD交替療法よりFFTFやOSで優越性が認められGHSGでは標準治療とみなされています(図212)13)。しかし、増量BEACOPP療法はCOPP/ABVD療法より、Grade 3以上の血液毒性や感染症の発現頻度が高く、ABVD療法と比較して二次発がんや無精子症・無月経などの晩期毒性が多くなる可能性が懸念されています。

● 高齢(60歳以上)患者

CHLは、比較的若年者に多い疾患ではありますが、高齢(60歳以上)患者も20%程度認められています14)
高齢者におけるブレオマイシン関連肺毒性(BLT)の発現率は24%で、BLT発症は予測することは困難でした15)

● 造血器腫瘍診療ガイドライン

2018年版補訂版「造血器腫瘍診療ガイドライン」では進行期CHLにおける標準治療である「ABVD療法6もしくは8コース」に加え、「CD30を標的とする抗体薬物複合体であるブレンツキシマブ ベドチン(BV)併用AVD療法6コース」が推奨グレードカテゴリ1として推奨されました(図31)
BV併用AVD療法は、未治療進行期CHLに対するABVD療法とのランダム化比較試験(ECHELON-1試験)の結果、主要評価項目の2年修正無増悪生存期間(mPFS)でBV併用AVD療法が優れ16)、標準治療と評価されました。
ABVD療法ではBLTでの死亡を1.6%に認めましたが、BV併用AVD療法では好中球減少関連合併症での死亡を1.1%に認めました。そのため、BV併用AVD療法ではG-CSF製剤の一次予防的投与が推奨されています1)
次項以降で、ECHELON-1試験の結果を中心に紹介いたします。

臨床成績

国際共同第Ⅲ相非盲検2群比較試験:検証試験、C25003試験(ECHELON-1試験)

ブレンツキシマブ ベドチンの国際共同第Ⅲ相試験成績①(社内資料)
Connors JM, et al. : N Engl J Med. 2018; 378(4) : 331-344.
本試験は、Seattle Genetics社(現・Seagen社)とMillennium Pharmaceuticals社(現・武田薬品工業株式会社)の支援により実施された。
本論文の著者のうちそれぞれ2名、4名は同社の社員で、試験計画、解析、執筆等の支援を受けている。
著者に同社より研究支援、謝礼金等を受領している者が含まれる。

「警告・禁忌を含む使用上の注意」につきまして、「添付文書」をご参照ください。

試験の概要

目的 進行期(Ann Arbor分類Ⅲ又はⅣ期)古典的ホジキンリンパ腫(CHL)のフロントライン治療において、ブレンツキシマブ ベドチン及びAVD(以下BV+AVD)併用療法*1とABVD療法*2で得られた修正無増悪生存期間(mPFS)を比較した。
対象

・未治療の進行期CHL患者

・18歳以上のECOG PSが2以下の患者

・測定可能な標的病変を有する患者

例数 1,334例(日本人23例を含む)
試験デザイン 国際共同第Ⅲ相ランダム化非盲検2群比較試験(検証試験)
投与方法 被験者は、地域*3及びIPSリスク因子*4(0~1、2~3、4~7で分類)により層別化
【BV+AVD療法】
28日間を1サイクルとし、各サイクルの1及び15日目に、ドキソルビシン塩酸塩25mg/m2、ビンブラスチン硫酸塩6mg/m2、ダカルバジン375mg/m2、ブレンツキシマブ ベドチン1.2mg/kgの順に静脈内投与した。
【ABVD療法】
28日間を1サイクルとし、各サイクルの1及び15日目に、ドキソルビシン塩酸塩25mg/m2、ブレオマイシン塩酸塩10単位/m2、ビンブラスチン硫酸塩6mg/m2、ダカルバジン375mg/m2の順に静脈内投与した。
両治療群ともに最大6サイクルまで投与した。
評価項目 主要評価項目 中央判定委員会(IRF)判定による修正無増悪生存期間(mPFS)
重要な
副次評価項目
全生存期間(OS):ランダム化された日から死亡日までの期間
その他の
副次評価項目
BV+AVD療法又はABVD療法完了時におけるCR率(IRF判定)、全奏効率(ORR;CR+PR)(IRF判定)、フロントライン治療完了時のCR率(IRF判定)、サイクル2終了時におけるPET陰性率(IRF判定)、有害事象等
解析計画 mPFS

・主要評価項目はIRF判定で実施し、治験責任医師判定による判定も実施

・層別ログランク検定を用いて、治療群間を比較(両側有意水準:0.05、層別因子:地域*3及びベースライン時のIPSリスク因子*4

・層別Cox回帰モデルにより、ハザード比及び両側95% 信頼区間を算出

・Kaplan-Meier生存曲線並びに2年時点及び3年時点の生存率とその95% 信頼区間を治療群ごとに推定、層別Cox回帰モデルにより、ハザード比及び両側95% 信頼区間を算出

・mPFSの最終解析は、最終被験者ランダム化から24ヵ月までに推定するmPFSイベント260件が認められた時点で実施

OS

・全体の第一種過誤の制御にO'Brien-Fleming型のLan-DeMetsのα消費関数を使用

・層別ログランク検定を用いて治療群間を比較(層別因子:地域*3及びベースライン時のIPSリスク因子*4

・層別Cox回帰モデルにより、ハザード比とその95% 信頼区間を算出

・各治療群のOSの分布をKaplan-Meier法で推定し、生存期間(推定可能な場合)の25%点、50%点(中央値)、75%点(算出可能であれば)及びその両側95% 信頼区間を算出

完全寛解
(CR)率

・層別Cochran-Mantel-Haenszel検定を用いて治療群間を比較(層別因子:地域*3及びベースライン時のIPSリスク因子*4

・相対リスク及びオッズ比とそれらの95% 信頼区間を算出

・治療群間におけるCR率の差の95% 信頼区間を算出

・ロジスティック回帰モデルを用いて、選択した予後因子により調整したCR率に対する治療効果を推定

サイクル2終了時に
おけるPET陰性率
Deauvilleスコア3以下でサイクル2終了時点のPET陰性の被験者の割合
その他の有効性
パラメータ
層別Cox回帰モデルによりハザード比とその95% 信頼区間を算出
安全性

・有害事象は、MedDRA Ver.19.0を使用して器官別大分類及び基本語で分類

・GradeはNCI-CTCAE Ver.4.03に従って評価

サブ
グループ
解析
mPFS Cox回帰モデルにより、患者背景因子(年齢、地域、IPSリスク因子数、ベースライン時の病期、ベースライン時のB症状、ベースライン時の節外病変、ベースライン時のECOGスコア、性別)別に、ハザード比及び両側95% 信頼区間を算出
安全性の
事後解析
重要な有害事象に関連するリスク因子(G-CSF製剤の予防的投与の有無、年齢60歳以上)に関して、G-CSF製剤の予防的投与の有無別の発熱性好中球減少症及び関連するその他の有害事象の発現頻度、60歳以上の患者における有害事象のサブグループ解析を事後解析として実施した。解析結果は、承認審査評価資料に記載し、評価された。
試験期間 2012年11月9日~2017年4月20日(データカットオフ時点)
ECOG PS:米国東海岸がん臨床試験グループのパフォーマンスステータス。PR : 部分寛解。IPS:国際予後スコア。
*1 本剤、ドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ダカルバジン併用群。
*2 ドキソルビシン塩酸塩、ブレオマイシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ダカルバジン併用群。
*3 地域:南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア。

*4 IPSリスク因子: 1)男性、2)45歳以上、3)Ann Arbor分類Ⅳ期、4)ヘモグロビン値<10.5g/dL、
5)白血球数≧15,000/mm3、6)リンパ球数<600/mm3又は白血球分画<8%、
7)血清アルブミン値<4.0g/dL を予後不良因子として因子数により0-1、2-3、4-7に分類
(Hasenclever D, et al. : N Engl J Med. 1998; 339 : 1506-1514.)。

(a)「 投与を逸した」とはBV+AVD又はABVDレジメンの構成薬剤全てを投与しなかった場合を指す。BV+AVD又はABVDレジメンを構成する薬剤の一部を投与しなかった場合(肺毒性によりブレオマイシン塩酸塩の投与を中止するなど)は投与を逸したとはみなさない。

※なおイベント発生日は、フロントライン治療終了後の初回PETでCRが得られずDeauville score 3以上と判定された日とした。

患者背景(ITT解析対象集団)

特性 BV+AVD群
〔n=664〕
ABVD群
〔n=670〕
Total
〔n=1,334〕
性別, n(%) 男性 378(57) 398(59) 776(58)
女性 286(43) 272(41) 558(42)
年齢, 歳, 中央値(範囲) 35
(18 - 82)
37
(18 - 83)
36
(18 - 83)
年齢, n(%) <45 451(68)423(63)874(66)
45-59129(19)145(22)274(21)
60-6424(4)40(6)64(5)
≧6560(9)62(9)122(9)
人種, n(%) 白人560(84)554(83)1,114(84)
アジア人56(8)57(9)113(8)
黒人又はアフリカ系アメリカ人20(3)25(4) 45(3)
その他18(3)17(3)35(3)
報告なし10(2)17(3)27(2)
地域, n(%) 南北アメリカ261(39)262(39)523(39)
ヨーロッパ333(50)336(50)669(50)
アジア70(11)72(11)142(11)
初回診断時の
Ann Arborによる
病期分類, n(%)*
Stage Ⅰ000
Stage Ⅱ1(<1)01(<1)
Stage Ⅲ237(36)246(37)483(36)
Stage Ⅳ425(64)421(63)846(64)
該当なし、不明又は欠損1(<1)3(<1)4(<1)
IPS, n(%) 0 or 1141(21)141(21)282(21)
2 or 3354(53)351(52)705(53)
4 to 7169(25)178(27)347(26)
ECOG PS, n(%)§ 0376(57)378(57)754(57)
1260(39)263(39)523(39)
228(4)27(4)55(4)
3 or 4000
未取得又は欠損02(<1)2(<1)
診断又は治験登録時
の骨髄病変, n(%)
あり147(22)151(23)298(22)
なし502(76)509(76)1,011(76)
不明又は欠損15(2)10(1)25(2)
診断時の節外病変,
n(%)
あり411(62)416(62)827(62)
1つの節外病変217(33)223(33)440(33)
2つ以上の節外病変194(29)193(29)387(29)
なし217(33)228(34)445(33)
不明又は欠損36(5)26(4)62(5)
B症状がある被験者数, n(%) 400(60)381(57)781(59)
IPS:国際予後スコア。
ECOG PS:米国東海岸がん臨床試験グループのパフォーマンスステータス。
Ann Arbor1)による病期分類はⅠ〜Ⅳの範囲にあり、より高い病期がより広範な疾患を示す。
この区分の患者は、プロトコル違反。
IPS2)は0~7で評価し、高いスコアが治療失敗のリスクの増加を示す。スコア0~1は低リスク、スコア2~3は中等度リスク、スコア4~7は高リスク。
§ ECOG PS3)は0~5で評価し、高いスコアがより大きい身体障害を示す。
B症状は、盗汗、原因不明の発熱(体温>38℃)、又は10%以上の体重減少からなる。
1) Lister TA, et al. : J Clin Oncol. 1989; 7 : 1630-1636.
2) Hasenclever D, et al. : N Engl J Med. 1998; 339 : 1506-1514.
3) Oken MM, et al. : Am J Clin Oncol. 1982; 5 : 649-655.

Connors JM, et al. : N Engl J Med. 2018; 378(4) : 331-344. Supplementary Appendix.

mPFS[主要評価項目]

mPFSの中央値は両群とも推定不能でしたが、ランダム化層別因子(地域、ベースライン時のIPSリスク因子)による層別ログランク検定を行った結果、BV+AVD群ではABVD群と比較して統計学的に有意なmPFSの延長が認められました(p=0.04)。また、層別Cox回帰モデルを用いたハザード比は0.770(95% 信頼区間:0.603, 0.983)であり、BV+AVD群ではABVD群に比べてmPFSイベントが23.0%軽減しました〔中央判定委員会(以下IRF)判定、追跡調査期間の中央値が両群ともに24.6ヵ月〕。
mPFS イベントが認められなかった被験者は、2年時点でBV+AVD群の82.1%( 95% 信頼区間:78.8, 85.0)及びABVD群の77.2%(95% 信頼区間:73.7, 80.4)と推定されました。その結果、BV+AVD群のABVD群に対する優越性が検証されました。

■mPFSのKaplan-Meier曲線(ITT解析対象集団)(IRF判定)[主要評価項目]

BV+AVD群(n=664) ABVD群(n=670)
mPFSイベント数(件) 117 146
ハザード比(95% 信頼区間) 0.770(0.603, 0.983)
p値 0.035
mPFSの中央値(月)
(95% 信頼区間)

(48.2, -)

(- , -)
2年修正無増悪生存率(%)
(95% 信頼区間)
[at risk数]
82.1
(78.8, 85.0)
[n=309]
77.2
(73.7, 80.4)
[n=292]

OS[重要な副次評価項目]

OS中間解析の時点で、BV+AVD群の28例、ABVD群の39例の死亡が認められました(追跡調査期間の中央値がBV+AVD群で27.8ヵ月、ABVD群で27.4ヵ月の時点)。
OSの中央値は両群とも推定不可能でした〔ハザード比:0.728, 95% 信頼区間:0.448, 1.184(層別Cox回帰モデル)、p=0.199(層別ログランク検定)〕。
OS率は、2年時点でBV+AVD群では96.6%(95% 信頼区間:94.8, 97.7)、ABVD群では94.2%(95% 信頼区間:92.0, 95.9)と推定されました。
OSの中間解析をmPFSの最終解析時点で実施した。OSの最終解析は112件の死亡が認められた時点で実施する予定。

■OSのKaplan-Meier曲線(ITT解析対象集団)[重要な副次評価項目]

BV+AVD群(n=664) ABVD群(n=670)
OSイベント数(件) 28 39
ハザード比(95% 信頼区間) 0.728(0.448, 1.184)
p値 0.199
OSの中央値(月)
(95% 信頼区間)

(- , -)

(- , -)
2年全生存率(%)
(95% 信頼区間)
[at risk数]
96.6
(94.8, 97.7)
[n=428]
94.2
(92.0, 95.9)
[n=414]

有効性概要[その他の副次評価項目]

割付け治療完了時の(BV+AVD群もしくはABVD群を2サイクル終了した時点)CR率はBV+AVD群で73%、ABVD群で70%(IRF判定)でした。
割付け治療完了時の全奏効率(ORR)では、BV+AVD群で86%、ABVD群で83%(IRF判定)でした。
フロントライン治療完了時(6サイクル終了時点)のCR率は、BV+AVD群で73%、ABVD群で71%(IRF判定)でした。
サイクル2終了時のPET陰性率(Deauville scoreが3以下)はBV+AVD群で89%、ABVD群で86%でした。

■完全寛解(CR)率、全奏効率(ORR)、PET陰性率(ITT解析対象集団)(IRF判定)
 [その他の副次評価項目]

判定 BV+AVD群(n=664) ABVD群(n=670) 相対リスク
(BV+AVD群/ABVD群)
(95% 信頼区間)
n(%) n(%) %
割付け治療完了時のCR率(a) 488(73)472(70)1.042(0.97, 1.11)
割付け治療完了時のORR(b) 569(86)553(83)1.038(0.99, 1.09)
フロントライン治療完了時のCR率(c) 488(73)474(71)1.038(0.97, 1.11)
サイクル2終了時のPET陰性率(d) 588(89)577(86)1.028(0.99, 1.07)

(a) 割付け治療完了時の完全寛解は、BV+AVD又はABVDのいずれかの治療の割付け治療完了時のIRF判定による完全寛解した症例の割合で定義される。

(b) 割付け治療完了時の全奏効率は、BV+AVD又はABVDのいずれかの治療の割付け治療完了時のIRF判定による完全寛解又は部分寛解した症例の割合で定義される。

(c) フロントライン治療完了時の完全寛解は、BV+AVD又はABVDのいずれかの割付け又は、代替フロントライン治療の後にIRF判定による完全寛解した症例の割合で定義される。

(d) サイクル2終了時でのPET陰性率は、サイクル2のPETの結果から治療サイクル2でのDeauvilleスコアが≤3と判断された陰性被験者の割合で定義される。

Connors JM, et al. : N Engl J Med. 2018; 378(4) : 331-344. 一部改変

安全性[その他の副次評価項目]

有害事象発現頻度は、BV+AVD群で662例(日本人10例含む)中653例(99%)及びABVD群で659例(日本人13例含む)中646例(98%)でした。主な有害事象(20%以上)は、BV+AVD群では好中球減少症382例(58%)、悪心348例(53%)、便秘279例(42%)、嘔吐216例(33%)、疲労211例(32%)、末梢性感覚ニューロパチー189例(29%)、下痢181例(27%)、発熱179例(27%)、末梢性ニューロパチー174例(26%)、脱毛症173例(26%)、体重減少148例(22%)、腹痛142例(21%)、貧血140例(21%)及び口内炎138例(21%)であり、ABVD群では悪心371例(56%)、好中球減少症295例(45%)、便秘241例(37%)、疲労221例(32%)、嘔吐183例(28%)、発熱147例(22%)及び脱毛症146例(22%)でした。

重篤な有害事象はBV+AVD群で284例に認められ、主な重篤な有害事象(18例以上)は、発熱性好中球減少症114例、発熱44例、好中球減少症19例及び肺炎18例でした。

投与中止に至った有害事象はBV+AVD群で88例でした。有害事象の内訳は、末梢性感覚ニューロパチー23例、末梢性ニューロパチー16例、末梢性運動ニューロパチー10例、発熱性好中球減少症9例、敗血症4例、好中球減少症3例、感覚鈍麻、呼吸困難、心筋梗塞、多発ニューロパチー、敗血症性ショック、肺浸潤、斑状皮疹〔以上、各2例〕、失神、尿路感染、心肺停止、四肢痛、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎、肺塞栓症、単麻痺、膵炎、縦隔リンパ節腫脹、乾癬、便秘、形質細胞性骨髄腫、麻痺性イレウス、呼吸不全、脳炎、血中ブドウ糖増加、好中球減少性大腸炎、疲労、脾臓梗塞、心不全、イレウス、腹痛、悪液質、筋痙縮、成長障害、胆嚢閉塞、声帯不全麻痺、急性膵炎、肺炎、肺臓炎〔以上、各1例〕でした。

治験期間中の死亡例(治験治療薬の最終投与後30日以内に認められた死亡)はBV+AVD群で9例でした。治験期間中の死因の内訳は、心筋梗塞が2例、心肺停止、貪食細胞性組織球症、呼吸不全、原因不明の死亡、多臓器機能不全症候群、好中球減少性敗血症及び敗血症性ショックが各1例でした。死亡が認められた9例のうち8例では治験治療薬との因果関係が否定されませんでした。

■有害事象の発現状況

BV+AVD群 ABVD群
解析対象例数 662 659
有害事象発現症例数 653 646
有害事象発現症例率(%) 99 98

■有害事象の種類別発現頻度
 国際共同第Ⅲ相試験(C25003試験)においていずれかの群で20%以上認められた有害事象
 <併用投与>(安全性解析対象集団)

主な有害事象 BV+AVD群(n=662) ABVD群(n=659)
全て
例数(%)
Grade 3以上
例数(%)
全て
例数(%)
Grade 3以上
例数(%)
好中球減少症382(58)357(54)295(45)260(39)
悪心348(53)20(3)371(56)7(1)
便秘279(42)11(2)241(37)4(<1)
嘔吐216(33)23(3)183(28)9(1)
疲労211(32)19(3)211(32)7(1)
末梢性感覚ニューロパチー189(29)31(5)111(17)3(<1)
下痢181(27)19(3)121(18)5(<1)
発熱179(27)19(3)147(22)13(2)
末梢性ニューロパチー174(26)27(4)85(13)6(<1)
脱毛症173(26)1(0)146(22)
体重減少148(22)6(1)40(6)1(0)
腹痛142(21)21(3)65(10)4(<1)
貧血140(21)54(8)67(10)25(4)
口内炎138(21)10(2)104(16)3(<1)

MedDRA Ver.19.0、NCI-CTCAE Ver.4.03により集計。国際共同第Ⅲ相試験(C25003試験)。

発熱性好中球減少症(FN)の発現状況

FNは両治療群ともにサイクル1で最も多く認められました。サイクル1で認められたFNは、BV+AVD群で62例(9%)、ABVD群で26例(4%)でした。その後、いずれの治療群でもFNの発現頻度は低下しました。

● 投与サイクルごとのFN(安全性解析対象集団)

BV+AVD群
(n=662)
症例数(%)
ABVD群
(n=659)
症例数(%)
全体128(19)52(8)
サイクル162(9)26(4)
サイクル238(6)7(1)
サイクル330(5)8(1)
サイクル413(2)8(1)
サイクル511(2)8(1)
サイクル68(1)5(<1)

%:安全性解析対象集団の患者数に基づく。
患者ごとのCTCAEの最大Gradeを要約。
最も高いGradeで患者を1回カウント。

● G-CSF製剤の予防的投与別の有害事象

BV+AVD群では、G-CSF製剤を用いた一次予防を受けた83例のFNの発症率は、11%(83例中9例)、予防投与を受けなかった患者は21%(579例中119例)に認められました。

Grade 3以上の感染症及び寄生虫症はG-CSF製剤の予防投与を受けた患者では、11%( 83例中9例)、予防投与を受けなかった患者は18%(579例中107例)に認められました**

 *治験実施計画書では、BV+AVD群の患者の好中球減少症の管理のために、実施医療機関の使用指針に基づくG-CSF製剤の使用を許容した。予定する患者数の約70%の登録後、BV+AVD群に割り付けられた患者に対し、サイクル1の開始時にG-CSF製剤の予防的投与を推奨することを治験責任医師に連絡した。
治験薬投薬投与日(1日目)から5日目までにG-CSF製剤を投与した場合と定義した。

**重要な有害事象に関連するリスク因子(G-CSF製剤の予防的投与の有無、年齢60歳以上)に関して、G-CSF製剤の予防的投与の有無別のFN及び関連するその他の有害事象の発現頻度、60歳以上の患者における有害事象のサブグループ解析を事後解析として実施した。解析結果は、承認審査評価資料に記載し、評価された。

(サブグループ解析)(安全性解析対象集団)

有害事象§ BV+AVD群(n=662) ABVD群(n=659)
G-CSF製剤
投与なし
(n=579)
G-CSF製剤
投与あり
(n=83)
G-CSF製剤
投与なし
(n=616)
G-CSF製剤
投与あり
(n=43)
症例数(%) 症例数(%) 症例数(%) 症例数(%)
治療中のFN119(21)9(11)49(8)3(7)
好中球減少425(73)29(35)352(57)9(21)
Grade 3以上の好中球減少406(70)24(29)309(50)8(19)
Grade 3以上の有害事象502(87)47(57)414(67)20(47)
感染症及び寄生虫症(SOC)322(56)39(47)312(51)19(44)
Grade 3以上の感染症及び寄生虫症(SOC)107(18)9(11)63(10)3(7)
重篤な有害事象257(44)27(33)171(28)7(16)
FN、好中球減少症、敗血症、
好中球減少性敗血症、
発熱又は感染症及び寄生虫症
(SOC)の重篤な有害事象
190(33)20(24)107(17)4(9)
治療中の死亡8(1)1(1)12(2)1(2)
§ ブレンツキシマブ ベドチンとの関連が否定された事象を含む。
好中球減少およびGrade 3以上の好中球減少(好中球数<1,000個/mm3)には、“好中球減少症”と“好中球数減少”を含む。
フロントライン治療の最終投与から30日以内に起こった死亡と定義。
薬剤投与5日目より前(G-CSF製剤一次予防的投与前)に発症した好中球減少症の治療のためにG-CSF製剤投与を受けた。
SOC:MedDRAの器官別大分類。
MedDRA Ver.19.0、 NCI-CTCAE Ver.4.03により集計。
G-CSF製剤の使用にあたっては各社の添付文書をご確認ください。

Connors JM, et al. : N Engl J Med. 2018; 378(4) : 331-344.

<参考>

国際共同第Ⅲ相試験(C25003試験; ECHELON-1試験)の治験責任医師判定による約3年追跡調査結果

Straus DJ, et al. : Blood. 2020; 135(10): 735-742.
本試験は、Millennium Pharmaceuticals社(現・武田薬品工業株式会社)とSeattle Genetics社(現・Seagen社)の資金提供により実施された。
本論文の著者のうち2名は武田薬品工業株式会社、2名はSeattle Genetics社(現・Seagen社)の社員で、Millennium Pharmaceuticals社(現・武田薬品工業株式会社)及びSeattle Genetics社(現・Seagen社)より試験計画、解析、執筆等の支援を受けている。
著者に同社より研究支援、謝礼金等を受領している者が含まれる。

追跡調査概要

目的ECHELON-1試験の3年目のITT解析対象集団における治験責任医師判定による無増悪生存期間(PFS)、長期安全性(末梢神経障害の発現率及び消失、二次発がん発現状況)等の追跡調査
試験期間2012年11月9日〜2018年10月15日(データカットオフ時点)
追跡期間中央値37.1ヵ月(範囲:0.0-66.9ヵ月)
対象・未治療の進行期CHL患者
・18歳以上のECOG PSが2以下の患者
・測定可能な標的病変を有する患者
評価例数BV+AVD群:664例、ABVD群:670例
投与方法BV+AVD療法(ドキソルビシン塩酸塩25mg/m2、ビンブラスチン硫酸塩6mg/m2、ダカルバジン375mg/m2、ブレンツキシマブ ベドチン1.2mg/kg)又は、ABVD療法(ドキソルビシン塩酸塩25mg/m2、ブレオマイシン塩酸塩10単位/m2、ビンブラスチン硫酸塩6mg/m2、ダカルバジン375mg/m2)を28日間を1サイクルとし、各サイクルの1及び15日目に静脈内投与。これを最大6サイクルまで繰り返す。
探索的評価項目PFS(治験責任医師判定)
解析計画PFS

・層別ログランク検定を用いて、治療群間を比較(両側有意水準:0.05、層別因子:地域*1及びベースライン時のIPSリスク因子*2

・層別Cox回帰モデルにより、ハザード比及び両側95% 信頼区間を算出

安全性・有害事象は、MedDRA Ver.19.0を使用して器官別大分類及び基本語で分類
・GradeはNCI-CTCAE Ver.4.03に従って評価
サブグループ
解析
Cox回帰モデルにより、患者背景因子(年齢、地域、IPSリスク因子数、ベースライン時の病期、ベースライン時のB症状、ベースライン時の節外病変、ベースライン時のECOGスコア、性別)別に、ハザード比及び両側95% 信頼区間を算出

*1 地域:南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア。

*2 IPSリスク因子: 1)男性、2)45歳以上、3)Ann Arbor分類Ⅳ期、4)ヘモグロビン値<10.5g/dL、
5)白血球数≧15,000/mm3、6)リンパ球数<600/mm3又は白血球分画<8%、
7)血清アルブミン値<4.0g/dLを予後不良因子として因子数により0-1、2-3、4-7に分類
(Hasenclever D, et al. : N Engl J Med. 1998; 339 : 1506-1514.)。

追跡調査結果

全被験者の治験責任医師判定による3年PFS率は、BV+AVD群が83.1%(95% 信頼区間:79.9, 85.9)、ABVD群が76.0%(95% 信頼区間:72.4, 79.2)でした(Kaplan-Meier法)。層別Cox回帰モデルを用いたハザード比は0.704〔95% 信頼区間:0.550, 0.901、p=0.005(層別ログランク検定)〕でした。

■3年PFSのKaplan-Meier曲線(治験責任医師判定)(ITT解析対象集団)[探索的評価項目]

n イベント ハザード比(95% 信頼区間) p値
BV+AVD群6641090.704(0.550, 0.901)0.005
ABVD群670151

* ランダム化層別因子(地域、ベースライン時のIPSリスク因子)を用いた層別ログランク検定により算出した。

安全性注)

末梢神経障害(PN)はBV+AVD群では、664例中442例(67%)、ABVD群では670例中286例(43%)に発現しました。3年目の追跡調査解析時に、BV+AVD群のPN発現被験者では、442例中345例(78%)がPNの完全消失又は軽快に至りました。ABVD群のPN発現被験者では、286例中236例(83%)が完全消失又は軽快に至りました。

継続追跡調査後にPNの継続が認められた被験者は、BV+AVD群では170例、そのうち152例(89%)がGrade 1又は2でした。ABVD群では77例、そのうち73例(95%)がGrade 1又は2でした。

3年経過時点までの2次発がんは、BV+AVD群では14例(固形がん6例、血液がん8例)、ABVD群では20例(固形がん9例、血液がん11例)が発現しました。

■末梢神経障害(PN)の発現状況

BV+AVD群(n=664) ABVD群(n=670)
PN発現症例数442/664(67%)286/670(43%)
3年目の追跡調査解析時
PN完全消失272/442(62%)209/286(73%)
PN軽快73/442(17%)27/286(9%)
PN完全消失せず又はPN軽快せず97/442(22%)50/286(17%)
PN残存症例数170/664(25%)77/670(11%)
Grade 199/170(58%)49/77 (64%)
Grade 253/170(31%)24/77 (31%)
Grade 3以上18/170(11%)4/77 (5%)

MedDRA Ver.19.0、NCI-CTCAE Ver.4.03により集計。

PN完全消失又は軽快までの期間BV+AVD群ABVD群
治療終了後のPNの完全消失までの期間
中央値, 週(範囲)
28(0 - 167)14(0 - 188)
PNが完全消失しなかった被験者
治療終了後のPNの軽快までの期間
中央値, 週(範囲)
40(8 - 129)32(2 - 70)

※ PNに関する、休薬・減量・中止基準については、最新の添付文書を参照ください。

注)その他の副次評価項目である安全性に関して、ブレンツキシマブ ベドチンに主要な有害事象であるPNを取り上げました。C25003試験に関する安全性の全体像については、安全性[その他の副次評価項目]をご参照ください。

ECHELON-1試験 Clinical Question

Q1

主要評価項目の2年のmPFSでは5%の差がありますが、この差を臨床的にどのように捉えればよいのでしょうか?

A

HLのフロントライン治療における化学療法の目的は、治療を追加せずに患者さんを治癒に導くことです。BV+AVD療法は、治癒率の高いABVD療法と比較した結果、mPFSが臨床的に有意に改善しました。2年目時点において、IRF判定ではハザード比0.770〔95% 信頼区間:0.603, 0.983、p=0.035(層別ログランク検定)〕、治験責任医師判定ではハザード比0.724〔95% 信頼区間:0.573, 0.914、p=0.006(層別ログランク検定)〕でした。また、3年追跡試験ではECHELON-1試験の主要評価項目であるmPFSを評価していませんが、3年目の治験責任医師判定のPFSの差は、7.1%(追跡調査結果参照)でした。BV+AVD療法はより多くの患者さんに治癒を目指すことのできる治療法として、臨床的に意義があると考えます。

Q2

高齢者への治療にはBV+AVD療法又は、ABVD療法のどちらのレジメンを選択すればよろしいでしょうか?

A

60歳以上の被験者におけるmPFS(IRF判定)は、リクルートされた症例数が少ないこともあり、両治療群間に差は認められませんでした16)。しかし、治験責任医師判定による3年PFS判定においてはBV+AVD療法とABVD療法を比較した結果ハザード比は0.785(95% 信頼区間:0.464, 1.329)でした17)
その明確な理由はわかりませんが、一因として治療強度が考えられます。60歳以上のABVD群では、ブレオマイシン塩酸塩の相対用量強度の平均値が88.74%となっており、それが後々のPFSに影響している可能性があります。
また、高齢者におけるブレオマイシン関連肺毒性(BLT)の発現率は24%との報告があり15)、ブレオマイシンを使用しないBV+AVD療法は、高齢者の治療選択肢として十分考えられます。なお、発熱性好中球減少症(FN)の発現頻度は、BV+AVD群の60歳以上の被験者では83例中31例(37%)、ABVD療法では98例中17例(17%)に認められたため、BV+AVDを高齢者に投与する際は、好中球減少に対する配慮が重要です。

Q3

Interim PETで効果判定し、治療変更する考え方もありますが、BV+AVD療法を6サイクルまで実施すべきでしょうか?

A

BV+AVD療法では、Interim PETでDeauvilleスコアが5未満であれば、BV+AVD療法を6サイクル実施すべきと考えます。
2018年版補訂版「造血器腫瘍診療ガイドライン」では、推奨グレードカテゴリー2Aでinterim PETは進行期CHLの予後予測に有用であると示されていますが、一方、interim PETは臨床研究段階であり、現時点では日常診療においてはその結果を治療介入・変更の根拠とすることは推奨されていません1)
また、本試験ではDeauvilleスコアを用いて被験者のサイクル2の25日目のPETおよびCTの結果を評価しています。
PET陽性病変があり、Deauvilleスコアが5の被験者には、残りのBV+AVD療法の代わりに代替療法を可能とし、Deauvilleスコアが5未満の被験者では、BV+AVDを6サイクル続けるプロトコルとなっています。

Q4

FNの管理(G-CSF製剤)について教えてください。

A

G-CSF適正使用ガイドラインでは、FN発症率が20%以上のレジメンを使用するとき、FNを予防するために、G-CSF製剤の一次予防的投与が推奨されています18)。G-CSF製剤には1日1回の投与の短時間作用型G-CSF製剤(非ペグ化)と、1サイクル中に1回のみ投与する持続型G-CSF製剤(ペグ化)があります。G-CSF製剤は化学療法を実施した翌日以降から3〜4日後までに投与をすることが推奨されています18)19)
(ECHELON-1におけるG-CSF製剤の一次予防的投与の定義:治験薬投薬投与日(1日目)から5日目までに行われたG-CSF製剤の投与)
ECHELON-1におけるG-CSF製剤の予防的投与について解説します。ECHELON-1の試験実施計画書において好中球減少症の治療又は予防にG-CSF製剤を用いることを許可していました。予定する被験者の75%を登録後、IDMC(独立モニタリング委員会)は、BV+AVD群のFNの発現率が高かったため、BV+AVD群に割り付けられた被験者にサイクル1からG-CSF製剤の予防的投与を開始することが推奨されました。また、G-CSF製剤投与の安全性プロファイルに及ぼす影響を評価するため、G-CSF製剤の一次予防的投与を規定しました。
G-CSF製剤の一次予防的投与を受けた被験者は83例、G-CSF製剤の一次予防的投与を受けなかった被験者は579例でした(表1)。G-CSF製剤の一次予防的投与を受けた被験者において、G-CSF製剤を初回投与するまでの期間の中央値は0.3週間(範囲:0.1–0.7週間)でした。G-CSF製剤の一次予防的投与を受けなかった579例中453例(78%)はより後の治療段階でG-CSF製剤の投与を受けており、G-CSF製剤を最初に使用するまでの期間の中央値は2.3週間(範囲:0.9–25.6週間)でした20)
BV+AVD群の有害事象の発現頻度は、G-CSF製剤の一次予防的投与を受けた被験者では83例中75例(90%)で、G-CSF製剤の一次予防的投与を受けなかった被験者では579例中578例(100%)でした20)
G-CSF製剤の投与は、化学療法を実施した翌日以降に医療機関を受診する必要があり、この点が実臨床において問題となる場合もあるかもしれません。遠方に居住している患者さんや頻回の外来通院が困難な患者さんに対してクリティカルパスを使用して最寄りの医療機関にG-CSF製剤の一次予防的投与並びに好中球減少期の患者さんのモニタリングを依頼している施設があります。支持療法を地域の医療機関と連携して行うことで、患者さんのさらなる安全とがん診療のいっそうの均てん化が期待できるものと考えられます21)

BV+AVD群(N=662)
G-CSF製剤の
一次予防的投与を
受けた被験者
〔N=83〕
G-CSF製剤の
一次予防的投与を
受けなかった被験者
〔N=579〕
全ての被験者
〔N=662〕
G-CSF製剤投与を受けた被験者, n(%)83(100)453(78)536(81)
持続型G-CSF製剤(ペグ化), n(%)28(34)107(18)135(20)
短時間作用型G-CSF製剤(非ペグ化), n(%)61(73)416(72)477(72)
G-CSF製剤を初回投与するまでの期間の中央値, 週(範囲)0.3(0.1–0.7)2.3(0.9–25.6)20.4(0.1–34.0)

Straus D, et al. : Leuk Lymphoma. 2020, ePub ahead.
本試験は、Millennium Pharmaceuticals社(現・武田薬品工業株式会社)とSeattle Genetics社(現・Seagen社)の支援により行われた。
本論文の著者のうちそれぞれ3名、2名は同社の社員で、研究支援、謝礼金等を受領している者が含まれる。

〔参考〕ECHELON-1試験:G-CSF製剤の予防的投与の開始時期及び投与期間

持続型G-CSF製剤(ペグ化)の予防的投与の開始時期及び投与期間*

BV+AVD群〔n=30〕
n(%)
ABVD群〔n=14〕
n(%)
持続型G-CSF製剤(ペグ化)を受けた患者9(30)4(29)
開始日**2日目6(67)4(100)
3日目3(33)0
投与期間1日9(100)4(100)

* 予防投与が行われたBV+AVD群〔n=83〕及びABVD群〔n=43〕のうち、それぞれ当該情報のある例〔n=30及びn=14〕のみで集計した。

** 2日目は本剤投与日翌日に該当

短時間作用型G-CSF製剤(非ペグ化)の予防的投与の開始時期及び投与期間*

BV+AVD群〔n=30〕
n(%)
ABVD群〔n=14〕
n(%)
短時間作用型G-CSF製剤(非ペグ化)を受けた患者21(70)10(71)
開始日**1日目2(10)0
2日目6(29)3(30)
3日目2(10)3(30)
4日目4(19)2(20)
5日目7(33)2(20)
投与期間1日1(5)0
2日02(20)
3日3(14)0
4日1(5)2(20)
5日11(52)4(40)
6日1(5)2(20)
8日1(5)0
12日2(10)0
13日1(5)0

* 予防投与が行われたBV+AVD群〔n=83〕及びABVD群〔n=43〕のうち、それぞれ当該情報のある例〔n=30及びn=14〕のみで集計した。

** 1日目は、本剤投与日に該当

アドセトリス適正使用のためのQ&A.2019年12月作成.P36

Q5

BV+AVD療法を行う際に、PNの留意点や対処のポイントがあれば、教えてください。

A

ECHELON-1試験における末梢性ニューロパチー関連事象はBV+AVD群で662例中442例(67%)に認められ、初回発現までの期間(中央値)は、BV+AVD群で8.0週間(範囲:0~29週)と報告されています。
治療終了時にPNの消失又は改善がみられた被験者は、BV+AVD群で226例(51%)でした。
3年目の追跡調査解析時に、BV+AVD群のPN発現被験者では、442例中345例(78%)がPNの完全消失又は有害事象Gradeにして1段階以上の軽快を認めました。継続追跡調査後にPNの継続が認められた被験者は、BV+AVD群では170例、そのうち152例(89%)がGrade 1又は2でした。
診療時毎に、PNの評価を行い、Grade 2以上にならないように早めにアドセトリスの休薬、減量、中止をすることが重要です。

  • 1)一般社団法人 日本血液学会(編):造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版補訂版, 金原出版, 2020, 295-317.
  • 2)国立がん研究センター がん対策情報センター.全国がん罹患モニタリング集計 2012年罹患数・率報告.2016年3月.
    https://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/mcij2012_report.pdf(最終アクセス:2020年9月18日)
  • 3)Aoki R, et al. : Pathology International. 2008; 58: 174-182.
  • 4)Fujita M, et al. : Pathology International. 2000; 50: 696-702.
  • 5)厚生労働省大臣官房統計情報部. 平成29年患者調査(傷病分類編).
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/(最終アクセス:2020年9月18日)
  • 6)Johnson P, et al. : N Engl J Med. 2016; 374(25): 2419-2429.
  • 7)Gordon LI, et al. : J Clin Oncol. 2013; 31(6): 684-691.
  • 8)Radford J, et al. : N Engl J Med. 2015; 372(17): 1598-1607.
  • 9)Cancer Statistics. Percent of Cases & 5-Year Relative Survival by Stage at Diagnosis: Hodgkin Lymphoma. Available from:
    https://seer.cancer.gov/statfacts/html/hodg.html(最終アクセス:2020年9月18日)
  • 10) Duggan DB, et al. : J Clin Oncol. 2003; 21(4): 607-614.
  • 11) Canellos GP, et al. : N Engl J Med. 1992; 327(21): 1478-1484.
  • 12) Engert A, et al. : J Clin Oncol. 2009; 27(27): 4548-4554.
  • 13) Diehl V, et al. : N Engl J Med. 2011; 348: 2386-2395.
  • 14) Stark GL, et al. : Br J Haematol. 2002; 119: 432.
  • 15) Evens AM, et al. : Br J Haematol. 2013; 161(1): 76-86.
  • 16) Connors JM, et al. : N Engl J Med. 2018; 378(4): 331-344.
  • 17) Straus DJ, et al. : Blood. 2020; 135(10): 735-742.
  • 18) 日本癌治療学会 : がん診療ガイドライン, G-CSF支持療法(2013年版Ver. 4).
    http://www.jsco-cpg.jp/item/30/index.html(最終アクセス:2020年9月22日)
  • 19) Crawford J, et al. : J Natl Compr Canc Netw. 2017; 15(12): 1520-1541.
  • 20) Straus D, et al. : Leuk Lymphoma. 2020, ePub ahead.
  • 21) Takahashi T, et al. : Jpn J Cancer Chemother. 2019; 46(3): 457-461.

禁忌を含む使用上の注意等は「添付文書」をご参照ください。