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会員限定薬剤師の「今」─在宅医療編─

コラム 第1回

2019/10/15

Column

かかりつけ薬剤師
“ほんと”は“どうして”必要なの?

 鈴木 順子(薬剤師/北里大学名誉教授)


現代社会で起きているのは「支え合い機能」の低下

85歳夫の殺人未遂により、81歳の妻が逮捕―こうしたニュースが引きも切らず、毎日わたし達を取りまいています。 4人に1人が要介護、介護者の6割超が60歳以上の現代社会で起きているのは地域コミュニティの衰退。 超高齢・少子化のなか、ひとを支える役割にある生産年齢層が疲弊し、「支え合い機能」が低下しているのです。

「支え合う力」の消失が意味するのは、家族という最小コミュニティの機能低下です。 機能低下は、高齢者や子どもといった弱い立場への影響として現れると同時に、彼らを支援する医療・介護・福祉といった職種への過度の負担からの燃えつきにつながり、地域コミュニティがいっそう衰退していくことになります。

図:支え合い機能の低下

今求められる地域創生

─私たちが生きているのは、こんな時代です。 疲弊し、閉塞感があります。でも、希望がないわけではありません。
パラダイムの再構築が必要なのは社会全体で、つまり私たち一人ひとりです。薬剤師の地域創生における大きな役割を「かかりつけ薬剤師」の観点からみていきましょう。

かかりつけ薬剤師“ほんと”は“どうして”必要なの?

かかりつけ薬剤師とは?  診療報酬改定で示されているかかりつけ薬剤師の算定要件から話しはじめる方もいるでしょう。 参考に、算定要件の3つの機能をみてみましょう。

【機能1】服薬情報の一元的な管理、薬学的管理・指導

経験と知識の療法が必要。 原則3年以上の薬局勤務経験、その薬局に6ヶ月以上在籍し週32時間以上勤務、認定薬剤師の取得などが条件


【機能2】24時間対応、在宅対応

「薬局カウンター以外は知らない」では済まされない。 患者の生活全般に健全な関心を持ち、医療依存度が高くなった後も責任を持ってケアするため必須


【機能3】医療機関等との連携

かかりつけ医と協働し、処方設計から調剤後も継時的に介入。 他職種ともネットワークを作り、適切な医慮介護サービスの紹介や住民向けの講座、地域ケア会議などに主体的、継続的に関わる

ここで、医療者として保険制度の限界を理解しておかなくてはなりません。 保険制度の限界は「点数」から医療の組み立てを考えがちになる点です。 医療者としての行動原理が見えにくくなるため、保険の算定要件からかかりつけ薬剤師を考えるのは本末転倒になりかねませんが、このような議論を耳にすることが時にあります。

実はこの、保険制度と本来の薬剤師業務の逆転現象は以前にも起きています。 歴史は繰り返すのでしょうか? それとも……
私たち薬剤師がどこからきて、かかりつけ薬剤師としてどうあるべきか。過去の振り返りを通じて一緒にみてみましょう。

医療費の急伸と医薬分業の強化

1970年頃、わが国の医療費は急伸しました。 背景には高度成長期において自然報酬が増加したことや、老人医療の無料化による高齢者受診率の大幅増もありますが、特に問題視されたのは医薬品の仕入価との差額から利益を得るため、医療機関が意図的に多くの薬を出した事象です。
1971年の医療費全体に占める薬剤は46%(厚生労働省調査)になり、海外から「薬害大国」と批判されるまでになった事態を解消するため、始まったのが「医薬分業」の強化です。

図 医療費の適正化

1974年、診療報酬改定によって院外処方箋料が100円から500円に引き上げられました。 目的は、院内の調剤手数料より院外処方箋料を高くすることで、医薬分業の推進を図ること。 この年は「医薬分業元年」とも呼ばれ、以後、急速に保険薬局が増加していきます。
医薬分業は本来、患者にとってのコストと治療最適化のため、医師と薬剤師が協働すること。 考えかた自体は明治時代からありましたが、医師による調剤が法により認められているため、実質は医薬兼業体制が続いてきました。 理想を形にするため、まず保険制度を変えた試みです。

「高度化」「専門化」へのシフト

1990年代に向け、医療は高度化、専門化の波を迎えます。CTスキャンやオートマチックアナライザーといったメディカル・エレクトロニクスが台頭し、病院を専門性(病床機能)によって区分する流れが始まりました。

1973年 老人医療費無料化、病床数急増

1985年 医療法改正
 ● 都道府県ごとに医療計画を策定
 ● 病床機能の偏在を解消し役割分担を明確に

保険薬局も扱う医療用医薬品の種類・量の増加に伴い、高度な専門知識が重視されるように。 「調剤」という専門性に特化されていきました。
一方、保険薬局の多くが「いかに効率よく処方箋を集めて捌くか」に腐心するようになりました。 薬局による医療機関への利益供与が問題になったことなどから、1993年「薬局業務運営ガイドラインが制定されます。

「かかりつけ」の本質的な意味にせまる

制度としての「かかりつけ」だけをみれば、1973年の医薬分業元年からの轍を踏みかねません。 医薬分業の理念であり、薬剤師の本来業務である「医療費と薬物治療の適正化」。 かかりつけ薬剤師とは、パラダイムシフトを迎えている社会に合わせて、この薬剤師の本来業務を実現していくための在りかたです。
時代が求める薬剤師、かかりつけ薬剤師の業務を一言でいうと「モノを通してヒトを支援、ヒトを通して社会を支援」。

図 時代が求める薬剤師とは


薬剤師は「モノの情報」を個別最適化し、アウトカムに向け活用します。 また患者・家族、他職種、他の薬局や医療機関などから得た「ヒトの情報」から新たなニーズをくみ取り「モノの情報」の活用に活かす。 このサイクルを総合化し、組織や所属するコミュニティへ還元していくことで地域社会の構築に貢献することとなります。

そして、最大限の「情報」が得られる在宅医療はかかりつけ薬剤師の最も重要な業務であるといえます。


図 対物業務から対人業務へ