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会員限定薬剤師の「今」─在宅医療編─

第12回 ピンとくる! バイタルサインを活用した「今後の薬剤師業務」

Interview

安澤泰永先生写真

人気講習会のエッセンスを紹介

「在宅医療に限らず、今後の薬剤師業務にバイタルサインは不可欠ですよね? 活用するかしないかで、患者さんのアウトカムがまったく変わってきますし」――このような話題に対して、「確かに!」とピンとくる具体的な場面がどれほどあるでしょうか。
「バイタルサインがなぜ薬剤師の業務に不可欠で、どのように活かすのかよくわかり、すぐに実務で実践できる力が身につく」と、受講者から定評のあるバイタルサイン講習会を実施されている安澤先生に、講習会のエッセンスをご紹介いただきます。

株式会社エーアンドエム
しなの薬局 長岡赤十字病院前店

安澤 泰永先生(管理薬剤師)

バイタルサインとは

図 バイタルサインとは

薬剤師業務に起きている変化

日頃実施しているバイタルサインの講習会では、受講者の皆様に、まず在宅医療にとらわれず「今後の薬剤師の業務とは何か」を考えていただいています。
薬剤師は薬を渡すだけの時代ではなくなったという話を耳にしたことがある先生方は多くいらっしゃると思いますが、講習会で私がお伝えしている「今後の薬剤師業務」は大まかに分けると3つあります。

  • ① 薬をお渡しする
  • ② 服用による薬効と副作用を評価する
  • ③ さまざまな職種と連携し、処方を含む治療・支援計画を立案・見直し・実施する

図 薬剤師業務のサイクル

薬剤師の業務の目的は、このサイクルをまわすことで、患者さんやご家族の困っていることを解決し、こうありたいという希望をかなえていくことです。

これまで行ってきた「薬をお渡しする」で終わる業務に比べ、新たに実施する必要が生じた業務を負担と感じる方もいらっしゃいます。何か新しいことを始める、今まで0だったことを1にするのは、確かにとても大変です。
ただ、①だけでは他の職種や機械で代替可能ですよね。在宅医療でも、薬の在庫(余談ですが、残薬という言葉があまり好きではありません)を整理したり、お薬カレンダーにセットするだけなら薬剤師以外でもできます。私は、②③まで、できて初めて専門職としての薬剤師の仕事といえると考えます。

薬は引き算、情報は足し算

過去の処方薬の効果と副作用を評価し、今後を予測して次の処方に役立つ情報を薬剤師として提供していく――。こうした業務を実施するためには、その評価と予測に薬学知識を活用するに先立ち、患者さんごとに情報収集を行う必要があります。

話題のポリファーマシー1つとっても、薬が増えることに不安を抱かれる方は少なくありませんが、患者さん一人ひとりの感覚はまったく異なります。6剤で多いと感じる方もいれば、15剤服用されていることが安心感につながる方もいらっしゃいます。

身体的な不調はもちろん、こうした心配事まで含めてどう対応していくか? すべては患者さん一人ひとりのニーズや困っている事を把握し、生活状況も含めた情報収集をできる限り行うことにつきます。よく、「薬を引き算できるのが薬剤師の職能」と言われますが、引き算するための情報は、多ければ多いほどよい。つまり、情報収集のコツは「できる限り足し算」です。
その意味では、在宅医療に関わると、薬の在庫や管理の状況や、ベッドの脇に置かれているバナナからみえる食生活など、患者さんの普段の様子から得られる情報が格段に増えます。薬局での面談だけの場合より情報を足し算しやすいといえるでしょう。

バイタルサインが不可欠な理由

このように変わりつつある業務と、情報収集の必要性からみると、バイタルサインは在宅業務が未経験の方にとっても、実施されている方にとっても不可欠なことがわかります。
薬剤師にとって、薬の適正使用が行われているかどうか確認するにあたり、「生命徴候」を示すバイタルサインは数ある情報の中でも、命に関わる最もクリティカルな情報です。命を預かる医療人として最低限押さえておかなければ、何もできないといってもいいと思います。

後半編のQ&Aでもお伝えしますが、バイタルサインで大切なのは計測した瞬間の数値そのものではありません。一人ひとりの患者さんにとっての「普段」からどのくらい変化したか? 変化があるのであれば、なぜ変化したか? です。
降圧薬1つとっても、教科書に書かれている脈拍の基準値を知っているだけでは活用できません。正常領域も生活状況も異なる患者さんごとに検討を行うための情報がバイタルサインです。
生態解剖学を理解した上で生活状況などを加味し、時間軸で評価ができて初めて薬学知識が活用できるでしょう。

「フィジカルアセスメント」で変わる? バイタルサインの意味

バイタルサイン講習会では、自身でバイタルサインをとる「フィジカルアセスメント」の研修も行います。これから始めるという未経験の方には、「血圧」と「経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)」をまずはお勧めしています。手技が容易で、初心者の方も始めやすいからです。
とはいっても手技に関しては、あらかじめ何度も練習し、現場で患者さんの負担になるようなことは避けましょう。

お伝えしておきたいのは、まれに講習会の目的を「フィジカルアセスメントを学ぶ」と捉えられることがありますが、フィジカルアセスメントは情報収集に関する手段の1つで、できるようになることが目的ではないということです。
薬剤師としてのゴールはあくまで、患者さん・ご家族の抱えている問題を把握し、解決することです。

以前は、患者さんに触れることが禁忌のように捉えられていました。しかし、薬剤師のボディタッチが一律に法的に禁止されているわけではなく、注意すべき点をクリアすれば問題ないばかりか、薬剤師法25条の2で薬剤師に指導義務が規定された今、薬剤師は服薬後の状態もフォローする必要が出てきました。こういったことからも、今後は薬剤師もフィジカルアセスメントは実施できて当たり前の感覚にならないと、とも思います。なぜなら、フィジカルアセスメントができると得られる情報の性質と量が増えるからです。
個人の感覚ですが、実際の現場で血圧やSpO2の異常値に遭遇することはそれほど多くありません。一方で患者の顔色、声のトーンやスピード、触診でわかるむくみの状態といった、数値化できないたくさんの情報が得られ、これらから異常に気づくことが多くあります。
フィジカルアセスメントによって、バイタルサインの指し示す意味が数値以外のこれらすべてを含めた「生命徴候」となり、いっそう薬剤師業務に活用できると実感しています。