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会員限定薬剤師の「今」─在宅医療編─

第4回 臨床薬学における在宅医療

Interview

手嶋 無限先生写真

在宅薬学を実践の場に
教育システムを系統化

特に薬学界では、臨床ニーズに比較し教育体制に遅れがある在宅医療
系統だった臨床教育のシステムづくりに取組む
手嶋無限先生に、システムについてご解説いただきます

一般社団法人 日本在宅薬学会 副理事長
アイビー薬局取締役 副社長

手嶋 無限先生(薬剤師)

動き出した地域包括ケアの中で

私が在宅医療における薬学教育に取り組みはじめたのは、日本在宅薬学会における系統だったカリキュラムを確立する必要性を感じたのがきっかけでした。

「在宅薬学」という概念も定まっていない一方、地域医療の現場は在宅重視で動き始めています。
日本在宅薬学会には近年「在宅療養支援認定薬剤師」制度ができ、認定薬剤師を輩出し始めています。その教育カリキュラムにおいて、将来を見据え、在宅医療において薬剤師に求められる要素を整理しなければと考えました。

手嶋無限先生インタビュー風景日本在宅薬学会の従来のシステムでは、受講者自身の希望に応じて研修を選択し、単位を取得していました。
しかし、在宅療養支援では偏った知識では、多様な現場ニーズに応えるためにも、ジェネラリストとして活動することが求められます。地域医療の大枠の把握から患者の病態評価まで対応できることが重要です。

参考にしたのは日本病院薬剤師会の病院薬学認定薬剤師や、日本薬剤師会の生涯学習支援システム(JPALS)のような分野別の単位設定です。
様々な分野でバランスよく単位を取得することで、幅広い知識を吸収でき、質の保障につながることが分かりました。

8分野で構成、在宅療養支援認定薬剤師のスキルアップへ

まず、全体構成として研修システムを8つの分野で体系化しました。

8つの分野で体系化した図

① 医療・介護保険制度
② 他職種・他業種
③ 各種社会保障制度
④ 地域医療・チーム医療
⑤ 研究マインド
⑥ 疾患・病理・病態
⑦ 薬学的基本スキル
⑧ 薬学的専門スキル

薬理、薬物動態といった薬学的な基本スキルと、それを応用する小児、栄養、救急といった専門スキル、疾患や病理病態についての分野の知識はもちろん欠かせません。

特徴的なのは「研究マインド」の分野です。
薬学教育の新コアカリキュラムでは、研究能力が重視されています。アカデミックな意味での薬学がない領域が多い在宅医療現場でそれを実現するための分野です。
リサーチクエスチョンやEBMなどを学べるよう検討しています。

これら8領域を熟知した在宅療養支援認定薬剤師が配置されることで、地域への貢献度が高まると考えました。

在宅医療での「薬剤師のあるべき姿」について、大まかな方向性はみえてきたと思います。今後は臨床での実践的な「薬剤師力」が求められます。系統立てられた教育システムで、現場の状況に即して基礎薬学と臨床薬学をつなげられる人材の養成を実施することがこの実践的な薬剤師力の実現につながると考えます。

学問から実践への橋渡し

診療報酬による誘導もありますが、在宅の現場で活動する薬剤師は確かに増えてきました。しかし、薬学知識を臨床現場で実践する薬剤師はまだ少ないのが現実です。

薬学教育6年制になって初めて、コミュニティ・ファーマシーの分野がカリキュラムに入りましたが、それ以前は地域医療や地域包括ケアシステムなど、薬学が実践されるのはどんなフィールドなのかを学ぶ機会ははるかに少ない状況でした。もちろん、カリキュラム上の課題として解消し、体系化した意義は大きいと感じていますが、やはり薬学知識を実践に移すのは容易なことではありません。

在宅医療の現場には、全体像を知らないと気付かない潜在的な問題が多くあります。地域医療連携のシステムを把握しているだけで、文書のやりとりや診療報酬関連での介入方法が変わるなどします。

例えば、最近の講演依頼の中で「在宅医療の取っ掛かりが分からない」「在宅医療は特別なものだという認識を変えてほしい」といったものがありました。
これも、地域医療連携の全体像と関連します。病院では入院に際し、かかりつけ医とかかりつけ薬剤師の有無を確認します。そのとき、患者さんとの関係が築かれていない薬剤師は、退院後の在宅療養を支援して欲しいとは選ばれず外れてしまいます。

逆にそれまで薬局で患者さんとの関係を築いてきた薬剤師は、必ず選ばれます。地域医療連携の原則ですね。在宅医療で把握しておく全体像には、日常的な患者対応まで含まれることになります。

他学会とも単位の互換を

今回、教育システムをどう系統立てたかをご説明します。
まず、私のほうで原案を作成しました。
大学病院勤務時代に学んできたこと、在宅医療を始めたころに感じた現場での戸惑いや他職種からの要請、必要な考え方などを列挙し、それを基に当学会の認定委員会で意見交換し作成していきました。

認定委員会委員の約8割にあたる薬局薬剤師は、全員が在宅療養支援認定薬剤師を取得しています。
薬局薬剤師以外は病院薬剤師や大学教員で、委員全員が当学会のバイタルサイン講習会でインストラクター以上の資格を持つことが要件です。

病院薬剤師は救急医療や感染症、がんなどの領域のスペシャリストで、大学教員は系統化にあたり、力を発揮していただいています。

最近の動きとして、他の団体・学会が自らのeラーニングやワークショップなどとコラボレーションしての単位取得を求める意見が寄せられています。網羅的に様々な単位が取得できる制度を作れるかが課題ですが、将来的に他学会との互換性には柔軟に対応すべきで、より良い教育システムを構築したいと思っています。