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会員限定薬剤師の「今」─在宅医療編─

第3回 在宅医療は「入院以外のすべて」

QA

川添 哲嗣 先生写真

在宅医療における対人業務
対物業務のポイントを解説

在宅医療における薬剤師業務について
残薬やポリファーマシーといったキーワードから
ご解説いただきます

一般社団法人 全国薬剤師・在宅療養支援連絡会幹事
医療法人つくし会 南国病院 薬剤部長

川添 哲嗣先生(薬剤師)

Q1:対物業務のポイントを教えてください

1-1 残薬対策の具体的方法は

A残薬対策とは余った医薬品を整理することではありません。発生原因をひとつずつ明確にし、対策を打つことです。南国病院では発生原因調査を基に、チェックシートを作成しました。患者さんが入院してきたとき、将来、残薬につながる因子を見つけておこうというものです。その人が抱える課題を中心に服薬指導しマイナス因子を排除すれば、未然防止につながります。認知機能は低下していないか、一包化の薬包紙を切り離せるか、PTP包装から錠剤を押し出せるか、飲み込めない剤型はないか、などです。

退院後に服薬管理の支援者がいるかどうかも重要です。担当のケアマネジャーと連絡を取り、使用しているサービス内容や訪問日などを聞くと、飲み残す可能性のある日が浮かび上がってきます。それを把握し対策を検討することで、入院中の処方が決まります。こうした服薬支援の“技”を沢山持っておくことですね。患者さんの認知機能が低下したり統合失調症であっても、理解して納得してもらうことを心がけています。

1-2 「調剤前に収集すべき情報」とは

A病院薬剤師は患者さんのアレルギーの有無や副作用の経験など、服薬に関連する個人の情報を入院中に聞き取っているはずです。当院ではそれを院外処方箋に貼り付けられるよう、処方箋と同じA5判のチェックシートにしています。これは患者さんが新たに薬局を選定する際にも有効です。店舗の混み具合を予測して来店する時間をアドバイスするなど、患者さんが納得して薬をもらえるようにします。

薬局側がストレスなく調剤できることにも配慮しています。例えば先発品と後発品のどちらを好むかなど、事前に分からなければ一般名処方でFAXが来ても対応できません。調剤の前段階に必要な情報提供を病院薬剤師が担っています。調剤という対物業務を軽んじてはいけません。

1-3 ポリファーマシーへの対応を教えてください

Aポリファーマシーはそれ自体が悪という見方ではなく、処方見直しの意識を持つことが重要だと定義されています。漫然投与の場合は特にですが、薬剤師の役割としてすべての医薬品の処方理由を洗い出すことです。そして、副作用を引き起こしやすい状況か否かを評価し、中止の妥当性を検討します。同時に処方薬の種類や量が不足しているアンダーユースも見つけます。

これはJAMA誌に掲載されている手順であり、薬剤師のポリファーマシーに対する考え方の基本です。対人業務の前の対物業務という位置づけであり、服薬の前に本当に処方が適正かどうかを医師と二人三脚で見直していく意識がとても重要なのです。漫然投与かアンダーユースかは患者の状態にもよりますが、専門医の処方を非専門医は変えられません。そこで薬剤師が提案して医師同士で決めてもらう。減薬になれば経過観察を必ず行います。

Q2:対人業務のポイントを教えてください

2-1 どのようなアプローチが必要ですか

A看護や介護の計画書でも導入されていますが、「患者」が主語の目標を設定することです。まず当該患者さんの状態を把握し課題を抽出します。そして、どうなりたいかを目標として設定し、達成に向けた行動計画を立てます。例えば在宅療養しているなら「孫の運動会を観に行く」ことを目標に、「外出できるようリハビリに取り組む」といった具合です。

薬剤師が関わることでコンプライアンスが保たれ、服薬はその先にある目標達成のためであることを認識する。服薬という行為そのものではなく、わくわくする結果が待っていることが大切なのです。看護師やケアマネジャーも患者さんの希望を聞き取ってプランニングしているので、チームで目標を共有できます。それができなかったとしたら、服薬という行為が目標だったからです。

2-2 課題抽出はどこに着目すればいいでしょうか

A世界保健機関(WHO)は健康の定義について、「身体」「精神」「社会」のすべてが満たされた状態だとしています。それぞれの領域について問題点がないか十分アセスメントした上で、より効果的な薬物療法を考えます。薬物動態や薬理学だけでなく、健康の視点から患者さんの全体像を把握しなければなりません。

服薬できない原因はさまざまにありますが、介護サービスの提供と服薬時点をリンクさせると解決する例があります。これは社会・環境因子。患者さんが使っているサービス内容をケアマネジャーに確認し、朝は飲み残しても昼には服薬可能と思えたら、重要な医薬品は昼にするよう医師に提案します。身体だけでなく、金銭面や居住空間も関連するのです。

2-3 薬効評価と副作用モニタリングの手順は

Aまずは「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」の5感で判断し、「食事」「排泄」「睡眠」「運動機能」「認知機能」の生活5領域を確認、最後に検査値・バイタル評価の順です。例えば視覚だけでも処方提案ができます。患者さんが眠れない原因が、乾燥でかさかさになった足を搔いて内出血しているとすれば、ワセリンを処方してケアすると睡眠導入剤は不要です。皮膚の状態を見るだけでも多くの提案ができます。

運動機能に関しては医薬品による転倒やふらつきがあり、認知機能もベンゾジアゼピン系の向精神薬を漫然投与することで低下します。効果と副作用の境目を見極めるためにも、定期的にこれらの機能低下がないか聞き取ることが必要です。患者さんの状態を常に把握していれば、処方追加後に生じた異変は副作用の可能性が高いと推測できます。検査値・バイタルは、あえて五感チェックと五領域チェックの後にチェックすることをお勧めします。最初に見てしまうとそれらの情報のみで判断してしまいがちだからです。