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会員限定薬剤師の「今」─在宅医療編─

第2回 在宅医療は「入院以外のすべて」

Interview

川添 哲嗣 先生写真

薬剤師が在宅医療の現場で
求められることとは

在宅医療の場で「今」薬剤師に求められることは何か
対物業務と対人業務の意味するところと重要性から
ご解説いただきます

一般社団法人 全国薬剤師・在宅療養支援連絡会幹事
医療法人つくし会 南国病院 薬剤部長

川添 哲嗣先生(薬剤師)

薬剤師が在宅医療の現場で求められることは、大別すると3つあります。

  • ① 患者・他職種からの認知を得る
  • ② 訪問にこだわらず連携重視
  • ③ おろそかにできない「対物」

まず1つ目は地域包括ケアシステムとの関わりです。住まい・医療・介護・生活・予防支援の各ステージがシームレスに移行していく中では、ひとつの地域に根差すこと、そして担当患者さんを「ほっとかない」姿勢を持つことが重要です。
いくら専門・認定薬剤師の資格を取得しても、各地を渡り歩いていると当該地域の状況を十分に把握することはできません。他の医療職種も着任したばかりの薬剤師とは、容易に連携できないでしょう。地域とは患者さんと医療・介護職。そこで認知されてこそ、存在感が出せるのです。地域に根差すことをまず目指してほしいと思います。
もっとも大手チェーン調剤の場合は、薬剤師が一定期間で店舗を移ることが現実にはあります。特に若い頃は地域に根差すことは無理かもしれません。しかし、多くの場面を経験しながら知識を蓄積している最中なのであり、思い悩むことはありません。

2つ目は、在宅医療についての姿勢です。どうしても居宅への訪問を意識しがちですが、訪問件数自体は自慢になりません。確かに、診療報酬点数を獲得するため件数拡大に走る現実はあるでしょう。実際、基準調剤加算を取得するためには非常に重要ですから。しかし、在宅医療の本来の目的は、患者さんがどのような状態を望んでいるのかを理解し、立てた目標に向かって支援をしていくことなのです。
それは必ずしも訪問を必要とするものではなく、専門知識をフル活用し他職種と密に連携することが重要なのです。例えば、ある患者さんの服薬困難を解消するという目標を立てたとします。「在宅医療」というと薬剤師は訪問が必須のように思われがちですが、居宅での対応は看護師やヘルパーでも可能です。薬剤師は医薬品の専門家として、より効果的な方法について知恵を出し、医療チームを支えればいいのです。

図表1

在宅医療は入院以外の地域医療全般を意味します。訪問にこだわらず、「連携」「支援」「指導」を全力で行うことが大切なのです。もちろん、最低限のノウハウは身に付けておかなければなりません。薬剤師が1人の薬局は訪問が難しいでしょうから、医療チーム内での連携については、より具体的に考えるべきでしょう。病院薬剤師の場合は入院患者さんに時間を割かれるため、訪問はどうしても非効率になります。だからといって外来の院外患者さんを放っておくわけにもいかない。院外薬局に情報提供しながら支え続ける方法を考えなければなりません。

3つ目は「対人」「対物」という、業務についての認識です。近年、対人業務の重要性が強調されますが、「対物」をおろそかにしていい訳ではありません。そこを誤解している薬剤師が多いですね。医薬品という「物」を扱う以上は厳格に取り組むべきです。
対物業務のポイントは3点です。

  • ① 残薬対策
  • ② 調剤前段階の情報収集
  • ③ ポリファーマシーへのアプローチ

これらにしっかり対応できる薬剤師であるべきです。対物業務には機械による一包化などもありますが、業務全体の管理は知識を持った薬剤師が手掛けるべきなのです。
米国ではテクニシャン(調剤技師)という存在が補助的な機能を発揮しており、日本でも導入についての議論があります。しかし、日米で医療環境はかなり違います。米国では薬剤師は在宅に訪問しません。距離的な問題に加え、さまざまな危険も伴うからです。薬剤師は検査値やバイタルを見て医師に処方提案する形ですが、日本ほど細かい調剤ができているかは疑問です。米国でも残薬やポリファーマシーが問題になっていて、テクニシャンの限界も感じられます。
患者さん個々で望む内容は異なるため、薬剤師はそれに合わせて調剤しなければなりません。必要なのは調剤する前の段階での情報収集で、ここは日本の薬剤師が優れている点です。極めて緻密で追随を許しません。真似るべきはむしろ自らであって、テクニシャンの導入にのみ目を向けるべきではないでしょう。

対人業務にも3つのポイントがあります。
1つ目は目標設定を明確にすることです。患者さんの目標は何か、どのような状態になることを望んでいるかを見極めることで、薬剤師が何をすべきかが先ではありません。順序を間違っていることが多いですね。目標なき行動計画は単なる思いつきでしかありません。
2つ目はWHOの「健康の3定義」を常に頭に浮かべることです。それは「身体」「心理」「社会」です。心理状態や環境(社会)は患者さんの健康に多大な影響を与える因子です。伴侶に先立たれた、貧困家庭で防寒設備がない、といった状況も踏まえる必要があります。
患者さんを見るときには、まず視覚や触覚など「5感」で捉え、食事や睡眠といった「生活領域」について質問し、「検査値やバイタルサイン」で客観的評価をします。検査値・バイタルから入ると、重要な変化を見落としてしまいがちです。医師や看護師の教科書も、フィジカルアセスメントは視診から入るよう指示しています。患者を診て通常との違いを感じ取ることが肝要なのです。

図表2