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会員限定 経済学から見る病院薬剤師業務

第21回 総括:病院薬剤師の近年の活躍と将来展望 -医療経済的な観点もふまえて-

2014年11月よりスタートした「経済学から見る病院薬剤師業務」の最終回は、これまでの総括として、第1回にご登場いただいた浜松医科大学教授・医学部附属病院薬剤部長の川上 純一先生に、この4年間の病院薬剤師をとりまく環境の変化を振り返りながら、病院薬剤師に今後期待される役割やスキルについて伺います。

Interview

病院薬剤師をとりまく環境の変化

Q.本企画第1回(2014年11月掲載)では、医療経済的視点から見た病院薬剤師業務の付加価値についてお話を伺いました。その後4年間が経過しましたが、病院薬剤師をとりまく環境は当時と比べてどのように変化してきましたか。

川上先生:2014年当時は病棟薬剤業務実施加算が新設されてから2年が経過した頃でしたが、薬剤師の病棟業務をもっと推進していく必要があると考えていました。そのためのひとつの策として、薬剤師の病棟業務には、患者さんのQOL改善や医療費削減など、診療報酬面以外にも様々なメリットがあるということをお伝えしてきたわけです。現在、病棟薬剤業務実施加算を算定している施設は、数字としては22.4%(2017年現在)ですが、病院薬剤師を病棟に配置する意義については、薬剤師にも、周囲にも浸透してきていると感じます。病棟で医師や患者さんと日常的にコミュニケーションをとれるようになったことから、疑義照会や処方提案がしやすくなったという声も聴きます。
 ここ数年の環境の変化としては、まず、地域包括ケアシステムが推進され、回復期、維持期と、ステージをまたいだ地域連携が求められるようになったことが挙げられるでしょう。病院薬剤師も、自院での急性期治療といった枠を超え、退院支援や薬局との連携など、幅広い範囲に目を向ける必要が出てきました。それから、持参薬管理やポリファーマシー対策において、医療費削減のためだけでなく医療安全の観点からの重要性が注目されるようになってきたことも大きな変化です。従来は、患者さんに対する指導といえば「処方された薬はしっかり飲んでください」というものが中心でしたが、最近では「高齢者のポリファーマシー対策」をテーマにした市民向け啓発講座なども各地で開催されるようになりました。平成30年(2018年)の診療報酬改定でも抗菌薬や向精神薬の適正使用が推進されており、地域の中で薬剤師が薬物の適正使用に貢献できる範囲はどんどん広がっています。
 ただ、環境は変わっても、医療安全、医療の質を担保し、患者さんにメリットをもたらすという薬剤師の役割は変わっていないし、今後も変わらないだろうということを、この4年間を振り返ってあらためて思います。

ファーマシューティカルケアの
薬剤経済学的研究に関する検討(最終報告)

一般社団法人日本病院薬剤師会 平成21年度学術委員会学術第5小委員会報告
https://www.jshp.or.jp/gakujyutu/houkoku/h22gaku5.pdf(2019年1月17日現在)

学術第5小委員会「ファーマシューティカルケアの薬剤経済学的研究に関する検討」は、日本におけるファーマシューティカルケアの現状とその薬剤経済学的な効果を行うことを目的として2007年度に開始された。本稿は、第20回日本医療薬学会年会のシンポジウム(2010年開催)にて発表された当委員会の最終報告である。薬剤師業務や臨床薬学的介入の有用性を可視化する意義と課題について、委員会メンバーがそれぞれに考察する。(文献より抜粋)

今後の展望

Q.薬剤師の果たすべき役割の根幹は変わっていないけれど、社会の変化によって、薬剤師が貢献できる範囲が広がり、期待される専門性も変わってきたということですね。これからの薬剤師に期待されるスキルや専門性にはどのようなものがあるでしょうか。

川上先生:今後は、製薬産業の目覚ましい技術発展に対応できるスキルがますます求められるようになるでしょう。近年、創薬技術の飛躍的な発展により、バイオ医薬品や分子標的薬などの高額薬剤が開発・販売されるようになってきました。こうした薬剤は今までの治療薬とはアプローチが異なりますから、どのように使ったらよいかを新たに勉強して身に着けていかなくてはなりません。薬というものは市販されて終わりではなく、使われていくことで真価を発揮していきます。勉強し、適正で合理的な薬物療法を完遂することで「育薬」に貢献していくことも薬剤師の大きな使命だと思います。
 一方で、降圧薬や高脂血症治療薬のような廉価な既存薬は依然として大きなマーケットとして存在するでしょう。限られた医療資源を効率的に配分していくために、従来からある基礎疾患については標準的で経済的な治療を行うことが求められます。その際に必要になってくるのがフォーミュラリーです。フォーミュラリー管理における薬剤師の役割は、今後さらに大きくなっていくと思われます。

Q.フォーミュラリーに関して、薬剤師はどのように貢献していけるのでしょうか。

川上先生:フォーミュラリーは、事前に同種同効薬を吟味し、様々な角度から評価したうえで選択された「標準化された処方薬集」(言い換えれば、「医薬品適正使用を進め、患者さんに価値をもたらすためのフレームワーク」)ですので、大半の患者さんはフォーミュラリー採用薬で対応できるのですが、中には、それでは対応できない患者さんもいらっしゃいます。薬剤師がフォーミュラリーの策定にあたり、薬剤評価に係わっているということは、同種同効薬を熟知しているということですから、そうした患者さんに関して、有効性、安全性、経済性を考えた質の高い処方提案がスムーズにできるのです。これは患者さんにとっても病院にとっても価値があることです。
 そして、フォーミュラリーは、常にメンテナンスしていく必要があります。新薬や後発品が次々に登場し、使用薬や治療方針が変遷していく中で、社会経済的側面も含めた薬の評価や取り扱いを学び、採用薬を考えていくというのも薬剤師に期待される役割です。適切なフォーミュラリー管理は、病院経営に貢献できるだけでなく、地域全体の薬物治療の標準化と情報共有につながり、最終的には地域医療の向上につながっていきます。

フォーミュラリーの考え方とその必要性 :
新薬およびジェネリック・バイオシミラーの適正使用を推進するために

青野 浩直 , 八木 達也 , 見野 靖晃 , 川上 純一
日本病院薬剤師会雑誌 54(9), 1113-1116, 2018-09

フォーミュラリーの概念と意義について検討した総説。フォーミュラリ-とは、わかりやすく言えば、「医師が多くの患者に処方する『手持ちの医薬品』を、診療科単位、病院単位へと発展させたもの」で、薬物療法を標準化でき、医療効果、経済効果をもたらすメリットがある。今後、医療資源を効果的に配分していくために、高度な医療を必要とする症例には高額薬剤を使用する一方で、降圧薬をはじめ生活習慣病治療薬においては、フォーミュラリ―を使用して標準的で経済的な治療を行うことが求められる。(文献より抜粋)

Q.高額医薬品についてもフォーミュラリーについても、常に勉強して最新の知識を得ていく、まさしく「生涯教育」が必要になるということですね。薬剤師の教育についてはどのようなことがポイントとなっていくでしょうか。

川上先生:まず、薬剤師個人が受け身ではなく、自分の力で知識をアップデートしていく姿勢をもつことです。それも、「ガイドラインを覚える」「病院にある薬を理解する」という目の前のことだけではなくて、答えが確立されていない問題に対して立ち向かっていけるような、本当の専門性を培うことが大切です。臨床や研究の現場では、テストと違って、常に未知の事柄と対峙していなかくてはなりませんから、それに対応できるような勉強のスタイルを身に着けていくことが重要です。ただ、そのためには、個人の研鑚と合わせて、病院の環境づくりも大切でしょう。若い人が経験を積み重ね、成長していけるような魅力的な職場であれば、それだけ優秀な人材が集まり、育っていきます。
 病院側には、教育とともに、「長く働ける環境づくり」も考えていただきたいと思います。最近、各地で薬剤師が不足しているという話をよく聞きます。勉強とトレーニングを積んで、高い専門性を身に着けた方が、家庭の事情などで離職せざるをえなくなるケースも多いようです。専門性のある方が専門性を長く発揮できるしくみ、例えば、欧米で行われているワークシェアリングを検討していく必要があるのではないかと思います。

薬剤師による病院経営への貢献
(特集 チーム医療における病院薬剤師の役割)

川上純一 病院 73(10), 774-778, 2014-10

病院薬剤師と診療報酬や病院管理・経営との関係についての概説。近年では、病棟、外来、集中治療部など、様々な部門において薬剤師へのニーズが高まっている。一方で、薬剤師職能や薬事関連法規への理解不足から、薬剤師でなくても実施できる業務を薬剤師に担当させ、経営的に非効率な人員運用をしている病院もある。著者は、病院薬剤師の経済効果について言及し、「各病院においては優秀な薬学人を確保できるような魅力なる病院づくりや運営を行っていただきたいと願う」と結んでいる。(文献より抜粋)

Q.薬剤師自身も、病院も、社会のニーズに対応して自らをアップデートしていくことが必要ということですね。

川上先生:やはり、社会のニーズに応えることができてこそ、存在価値が生まれるのだと思います。自分の価値を社会に還元できれば、それがやりがいにつながります。今後、ますますICT化が進み、AIも導入されていけば、もしかしたら、かつて薬剤師の専門性と思われてた部分(例えば、薬に関する知識や調剤など)は、そうしたテクノロジーに置き換わっていくかもしれない。でも、そのような中でも、医療の安全と質を担保するという薬剤師の役割を発揮できる場所は必ずあるはずです。むしろ、社会の変化にくらいついて自分の力で道を切り拓いてける薬剤師であれば、活躍の場はどんどん広がっていくと確信しています。

ファーマシューティカルケアにおける機会と責任【再掲】

Opportunities and responsibilities in pharmaceutical care.
Hepler, C. D., & Strand, L. M. (1990) Am J Hosp Pharm, 47(3),533 –543.

ファーマシューティカルケアの概念を世界で初めてヘプラーが提示した論文。薬剤師は調剤等の内向きな役割にとどまらず、社会善に対する貢献こそがその本分であると、当論文を通し喝破している。90年当時、米国では、投薬エラーに起因した副作用により、12,000人の死者、15,000件の入院が毎年報告されており、その社会的課題を背景に、薬物治療の安全に責任を持つ事こそ薬剤師の本分であるとした。(文献より抜粋)

医療機関が薬局と連携して取り組む薬物治療管理の評価 :
文書合意に基づく院外処方せんを介した
薬物治療管理プロトコールの実践掲載誌

平井 利幸, 西野 理恵子, 渡邉 文之, 藤貫 晴奈, 佐藤 和人, 篠原 久仁子, 亀井 美和子, 関 利一
日本病院薬剤師会雑誌53(11):2017.11 1355-1362

本連載第11回でご登場いただき、ICT活用による効果的な地域連携についてお話いただいたひたちなか総合病院薬局長 関利一先生らの最新論文。
著者らの施設では、2014年1月より、規格変更や一包化、残薬調整など問い合わせに関する7項目について、報告不要や事後報告を可とした薬物治療管理プロトコールを構築し、保険薬局76店舗と開始した。今回プロトコール開始前の1ヵ月間と開始後の6ヵ月の問い合わせ内容の変化を調査した。その結果、プロトコール導入により、保険薬局の業務時間は1カ月あたり19.2時間短縮していた。項目別にみると、残薬調整以外の項目についてはプロトコール使用率が高く、薬局薬剤師へのアンケート調査でも高い評価が得られた。残薬調整については、残薬調整の使用に制限を設けたことが影響していると推察され、修正が必要と思われるが、それ以外の項目については、保険薬局化の業務効率可に貢献できると考えられる。(文献より抜粋)

クリニカルラダーを用いた
病院薬剤師の個人能力の評価と育成計画への応用

新井 亘, 土屋 裕伴, 田坂 竜太, 小林 理栄, 増田 裕一
日本病院薬剤師会雑誌 53(10号):2017.10, p.1231-1239

本連載第13回でご登場いただき、人材育成への取り組みについてお話いただいた上尾中央医科グループ薬剤部部長 増田裕一先生らの最新論文。
著者らの施設では、薬剤師の人材育成と能力評価、人材の効果的な活用のためにクリニカルラダーを導入している。今回は、ジェネラル薬剤師育成を目的としたジェネラルラダーを新たに作成した。効率的なラダー運用のため、ラダーの項目と連動した個人目標を病院薬剤師の個人能力の評価と育成計画へ利用した。今回評価対象とした42名のレベルごとの到達者数は、レベル1は42名(全員)、レベル2は27名、レベル3は7名であった。ラダーレベルは1年間で有意に上昇していた。ジェネラルラダーの導入により、薬剤師としての到達目標が具体的に示され、個人の能力の向上および業務の標準化に繋がると考えられる。(文献より抜粋)

Last Update:2019年2月