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会員限定薬剤師の「今」─法制度編─

[法制度編 第10回]
オンライン診療・服薬指導の今後
初診・初回からの実施が恒久化へ

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[法制度編 第10回]
オンライン診療・服薬指導の今後
初診・初回からの実施が恒久化へ

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2021年6月に閣議決定された規制改革実施計画に基づき、厚生労働省がオンライン診療・服薬指導の制度設計の見直しに着手しています。もともと初診・初回のオンライン診療・服薬指導は認められていませんが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う特例的・時限的な措置によって現在は緩和されており、それを恒久的に運用しようというわけです。これに伴い、2022年度診療報酬で関連点数も見直される見通しです。これまでの経過を振り返り、さらに今後の方向性を展望したいと思います。

まずは、オンライン診療・服薬指導の仕組みやこれまでの経過を確認します。
オンライン診療(表1)については、遠隔通信技術の発展と普及に伴って標準的な手順を定めた「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(オンライン診療GL)が2018年3月に出されました。初診は原則対面というルールがここで設けられ、2018年度診療報酬改定でこのオンライン診療GLに沿った「オンライン診療料」(71点、月1回、表2)が設けられています。

表1 オンライン診療と0410対応の実施要件、規制改革実施計画の内容
オンライン診療ガイドラインが定めるオンライン診療の実施要件
  • ●初診は原則対面で、その後も対面を組み合わせる
  • ・禁煙外来では対面を組み合わせないことも許容
  • ・緊急避妊薬の処方を求める女性に対しては、地理的な要因や心理的な状態から対面診療が困難と判断した場合は初診からのオンライン診療を許容。その場合は、1錠のみの院外処方
  • ●生活習慣病などの慢性疾患患者を対象とするのが適切
  • ●オンライン診療を行う具体的な診療内容(疾病名や治療内容)などを定めた診療計画を作成し、2年間保存
  • ●新たな疾患に対して医薬品を処方する場合は、直接の対面診療
  • ●2020年4月以降にオンライン診療を実施する医師は厚生労働省が指定する研修を受講しなくてはならない
0410対応で定めている電話・オンライン診療の実施要件
  • ●医師の責任の下、医学的に可能と判断した範囲で初診から電話・オンラインによる診療、処方が可能
  • ●麻薬や向精神薬は処方できない
  • ●患者の基礎疾患の情報が把握できない場合、処方日数は7日を上限とし、麻薬や向精神薬に加え、ハイリスク薬(抗がん剤、免疫抑制剤など)の処方は不可
  • ●対面による診療が必要と判断される場合は、電話・オンラインによる診療を実施した医療機関で速やかに対面診療に移行するか、あらかじめ承諾を得た医療機関を紹介する
  • ●厚生労働省が指定する研修を受講していなくても電話・オンライン診療を実施しても差し支えない
規制改革実施計画(2021年度から検討開始、22年度から順次措置)
  • ●新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間、0410対応を着実に実施する
  • ●オンライン診療のさらなる活用に向けた基本方針を策定する
  • ●オンライン診療については原則、かかりつけ医が実施(かかりつけ医以外の医師があらかじめ診療録、診療情報提供書などを通じて患者の状態が把握できる場合を含む)する
  • ●勤労世代などかかりつけ医がいない患者らについては、医師・患者双方がオンライン診療の実施に合意した場合に、初診から認める方向で一定の条件を含む具体案を検討する

出典:厚生労働省資料

表2 オンライン診療料の主な算定要件と施設基準
オンライン診療料 71点(月1回まで)
対象患者
  • ・地域包括診療料や認知症地域包括診療料などに基づき3ヶ月以上診療し、直近3ヶ月以内に毎月対面診療を行っている患者
  • ・事前の対面診療や画像診断などで一次性頭痛と診断されている慢性頭痛患者
算定要件の概要
  • ・対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画を作成
  • ・連続する3ヶ月の間に対面診療が一度も行われないと算定できない
  • ・日常的に通院か訪問による対面診療が可能な患者が対象
  • ・対面診療を行った医師と同一の医師が行う
  • ・オンライン診療ガイドラインに沿って診療を行う
  • ・当該医療機関内で行うが、条件付きでへき地などの医療機関でも実施可能
施設基準
  • ・厚生労働省のオンライン診療ガイドラインに沿った診療を行う体制がある
  • ・1ヶ月当たりの再診料など(電話再診など除く)とオンライン診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下であること

出典:厚生労働省資料

その後、20年度改定を経て若干の見直しがありましたが、オンライン診療料を算定できる患者は、高血圧などの慢性疾患患者を総合的に管理する「地域包括診療料」などを3ヶ月以上算定し、直近3ヶ月間、毎月対面診療を行っている患者と、かなり限定されています。いわゆる、かかりつけの関係やそれに近い患者を想定しています。

そして新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年3月に打ち出された特例的・時限的な措置が「0410事務連絡」です。感染拡大防止を最優先するため、オンライン診療GLで定めた初診対面の原則、診療計画の作成など細かな決まりを撤廃したのが特徴です。一方で、麻薬や向精神薬のほか、患者の基礎疾患の情報がない場合には抗がん剤などのハイリスク薬の処方も認めず、処方日数は上限7日という縛りを設けました。

0410事務連絡に対応した医療機関は1万6843施設(2021年4月時点)で、全医療機関約11万施設のおよそ15%です。このうち、2021年3月の時点で実際にオンライン・電話による初診を行った医療機関は632施設、全体の0.57%とかなり少なくなるのが実情です。しかも、このところの傾向ではだいたい実施件数の7割がオンラインではなく電話で、オンライン診療はまだまだ普及と呼べるにはほど遠い状況です。

では、次にオンライン服薬指導(表3)の説明に移ります。

こちらは2020年9月の医薬品医療機器等法の改正で認められ、省令でルールが定められています。やはり初回は対面で、調剤できるのはこれまで処方されていた薬剤に限定。対象患者は、オンライン診療か訪問診療が行われた患者のみで、このルールに沿った形で「薬剤服用歴管理指導料4」(43点、月1回)と「在宅患者オンライン服薬指導料」(57点、月1回)が2020年度診療報酬改定で設けられました(表4)。

表3 オンライン服薬指導と0410対応の実施要件、規制改革実施計画の内容
改正薬機法省令・関連通知で定めるオンライン服薬指導の実施要件
  • ●初回のオンライン服薬指導は不可
  • ●これまで処方されていた薬剤かこれに準じる薬剤(同一成分・効能の後発医薬品への変更など)が対象
  • ●原則として同一の薬剤師が対面と組み合わせて行う
  • ●薬剤師は処方箋を交付する医師や歯科医師とオンライン服薬指導に関する服薬指導計画を共有する
  • ●オンライン服薬指導の実施に当たっては、あらかじめ患者の希望を確認する
  • ●対象は、医師・歯科医師がオンライン診療を行った際に交付した処方箋か、訪問診療を行った際に交付した処方箋
「0410通知」で定める電話・オンライン服薬指導の実施要件
  • ●初回から電話・オンライン服薬指導が可能
  • ●原則として全ての薬剤で実施可能(手技が必要な薬剤については薬剤師が適切と判断した場合)
  • ●かかりつけ薬剤師・薬局や、患者の居住地にある薬局により行われることが望ましい
  • ●初めて調剤した薬剤については薬剤の適正使用を確保するため、必要に応じて服薬指導の前に情報提供文書をファクシミリなどで患者に送付したり、継続的に服薬指導やフォローアップする。その情報は処方医にフィードバックする
  • ●対象はオンライン診療や訪問診療の際の処方箋に限定されず
規制改革実施計画(2021年度から検討、2022年度から順次措置)
  • ●新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間、0410対応を着実に実施する
  • ●オンライン服薬指導の対象を、患者がオンライン診療か訪問診療を受けた場合に限定しない
  • ●薬剤師の判断により初回からのオンライン服薬指導の実施を可能にする
  • ●オンライン資格確認などのシステムを基にした電子処方箋システムの運用を開始(2022年夏に措置)
  • ●薬剤の配送における品質保持などに関する考え方を明らかにし、一気通貫のオンライン診療の実現に取り組む

出典:厚生労働省資料

表4 オンライン服薬指導の主な算定要件と施設基準

出典:厚生労働省資料

しかし、既に触れたとおり法改正前の2020年4月に0410事務連絡が出たため、調剤現場ではこちらの対応が優先されています。0410事務連絡では、初回から電話・オンラインによる服薬指導が可能で、調剤できる薬剤にも制限はありません。対象患者もオンライン診療、訪問診療を受けた患者に限定されていませんが、実施件数は全処方箋の0.5%程度(2020年6月)です。ほとんどが電話とみられています。

このように、0410事務連絡に基づくオンライン診療・服薬指導は、現段階では必ずしも多く利用されているとはいえない状況ですが、その肝である初診、初回からの実施を恒久化しようという規制改革実施計画が6月に閣議決定されました。かねて医療は「岩盤規制」と言われ、せっかく大きく緩和されたオンライン診療・服薬指導のルールを元の厳しいものに戻さないという政府の強い意志がうかがえます。

規制改革実施計画では、初診のオンライン診療は原則としてかかりつけ医が実施することになっており、現在は初診からの実施を認めていないオンライン診療GLの改訂、そして「オンライン診療料」の見直しという流れになるとみられます。その際に論点として挙げられるのが、初診からのオンライン診療に必要な患者情報の精査や、初診からのオンライン診療に適さない症状や医薬品などの明確化などです。

0410事務連絡では、患者の基礎疾患の情報がない場合の処方日数を上限7日にしていますが、8日以上が処方される違反事例も確認されており、オンライン診療GLの改訂に向けた議論でも取り上げられる見込みです。また、オンライン診療の潜在的なニーズがあるとみられる勤労世代に対し、初診から実施できるようにするためのルールづくりも規制改革実施計画で求められています。

同様に、オンライン服薬指導でも初回実施を認めていない省令や、「薬剤服用歴管理指導料4」などの見直しが必要になります。対象患者もオンライン診療か訪問診療を受けた患者に限定しないことが前提です。厚生労働省は、オンライン診療・服薬指導から薬の受取りまで、ペーパーレスで行えるようにする電子処方箋の準備も併せて進めますが、運用開始は当初予定していた2022年夏から5ヶ月延期されるなど難航気味です。

オンライン診療・服薬指導に関しては、政府の熱の入れようと患者・医療者の受入状況にまだまだ温度差がある状況ですが、制度の方向性は把握しておくといいでしょう。