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  • アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:ACP)
    米国における2000年~2006年の調査によると、終末期においては約70%の患者で意思決定が不可能であるといわれている。ACPとは、そのような状況があることも踏まえて、人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うというプロセスを重視した取り組みのこと。近年、英米諸国で普及しつつある概念である。厚生労働省が平成30年3月に改訂・公表した「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスガイドライン」においてACPの概念が盛り込まれたことで、日本でも注目されるようになった。その話し合いのプロセスを共有しているため、本人がどのように考えているかを理解でき、本人が意思を伝えられない状態になっても、その意思を尊重した医療・ケアの方針の決定につながる、とされている。実際のACPは、無理して実施するのではなく、患者の同意のもと、話し合いの結果が記述され、定期的に見直され、医療・ケアにかかわる人々の間で共有される。話し合いには、患者本人の気がかりや意向、患者の価値観や目標、病状や予後の理解、治療や療養に関する意向や選好、その提供体制などが含まれる。なお、同省は同30年11月、ACPの愛称を「人生会議」、また11月30日を「人生会議の日」と定め、人生の最終段階における医療・ケアについて考える日とするなど、ACPの本格的な普及に取り組み始めた。
  • 一般病床
    病院と一般診療所のうち、精神病床、感染症病床、結核病床、療養病床以外の病床をいう。2000(平成12)年の改正医療法(第4次医療法改正)により、従来の「その他の病床」が療養病床と一般病床に分けられたことより始まった名称。一般病床の設置基準は、患者1人当たり病床面積 6.4 m2、人員配置は入院患者16人に対して医師1人、入院患者3人に対して看護職員1人、入院患者70人に対して薬剤師1人と定められている。
    医療介護総合確保推進法
    2014(平成26)年6月に成立。正式名称は「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」。医療・介護需要が急増すると見込まれる2025年を目途に効率的で質の高い医療を提供する体制づくりと地域包括ケアシステムを構築することを目標とし、医療法をはじめとする19の関連法案を取りまとめ、各法が横断的に改正された。
    ■医療・介護の連携強化推進のために都道府県における新たな基金(地域医療介護総合確保基金)の創設
    ■地域医療関連:病床機能報告制度の創設、都道府県ごとの地域医療構想の策定義務付け、医師確保のための地域医療支援センターの法定化など
    ■介護関連:予防給付の一部(訪問介護、通所介護)の地域支援事業移行、特別養護老人ホーム入所基準の見直し、低所得者の保険料軽減など
    ■その他:看護師の特定行為の明確化、医療事故調査制度の創設、介護人材確保対策の検討など
    医療機能情報提供制度
    患者・国民が適切な医療を選択できるようにするため、医療法に基づき、医療機関に関する情報を都道府県が集約し、ホームページなどで住民に情報提供をする制度で、平成19年度からスタートした。医療法第6条の3において、病院、診療所、歯科診療所、助産所に対して医療機能に関する情報を都道府県に報告することを義務づけている。その報告項目は、①管理・運営・サービス・アメニティ、②提供サービスや医療連携体制、③医療の実績、結果――に大きく分けられ、病院や診療所の場合は50以上となっている。例えば、①においては「診療科目別の診療時間」、「対応することができる外国語の種類」なども報告する。また、厚生労働省は、診療報酬改定などを踏まえて、その項目の追加・修正を行っている。医療機能情報提供制度は、その報告に基づいて都道府県が住民に必要な情報を集約して提供している。なお、情報提供の実際の方法は都道府県によって少し異なり、東京都を例にとると、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」として薬局の情報なども併せて提供していて、さまざまな検索機能を持っている。
    医療計画(制度)
    医療資源の有効活用および地域の医療ニーズや特性に応じた医療提供体制の確保のため、都道府県が定めるとされている計画で、1985(昭和60)年の第1次医療法改正において制度化された。基本的に5年ごとに見直されてきた[2018年度からスタートする次期医療計画以後は、6年ごとの見直しに変更(ただし、在宅医療に関する事項は3年ごと)]。本計画のねらいは、医療機能の分化・連携を進め、急性期から在宅療養に至るまでシームレスな医療が地域において提供される「地域完結型医療」の達成である。2013(平成25)年度から「5疾病・5事業及び在宅医療」それぞれについて必要な医療機能を定め、それらを担う医療機関の明示が義務付けられた。
    医療圏
    地域の医療ニーズに応じた病院および診療所の病床整備のため設定された医療サービスの区域をいう。医療計画に基づいて1次医療圏から3次医療圏まで都道府県ごとに設定されている。それぞれの医療圏の定義は、以下の通りである。

    ■1次医療圏:生活に密着した、いわゆるプライマリケアを提供する区域だが、医療法では規定されていない。一般的には市区町村単位で設定される。
    ■2次医療圏:入院治療を含めた一般的な医療(専門性の高い救急医療・高度医療を除く)を提供する区域で、複数の市区町村を一体として設定される。地域の医療連携や在宅医療を進めるうえで基本となる重要な単位で、2018(平成30)年4月時点で335圏ある。
    ■3次医療圏:最先端の高度医療を提供する区域。原則として都道府県を1単位として設定されるが、北海道の場合は、その地理的・気象的特性に鑑み、また北海道総合計画との整合性を図り、6圏域を設定している。また、長野県では県全域を原則としたうえで、「必要に応じ、4圏域に区分することができる」としている。
    医療法
    日本の医療制度の根幹をなす法律で、国民医療法の廃止[1948(昭和23)年]に伴って制定された。同法ではその目的を「医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与すること」(医療法 第1条第1項より抜粋)とし、主に医療施設の開設、管理、整備に関する事項、国および地方自治体、医療者の責務などについて定めている。2015(平成27)年改正に至るまで7回の大改正が行われている。
    医療保険のオンライン資格確認
    医療保険のオンライン資格確認(2019年の通常国会で成立した「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」では「電子資格確認」という)は、マイナンバーカードの電子証明書の部分、または被保険者番号を個人単位化した保険証を保険医療機関・薬局の窓口で読み取り、即時にオンラインで支払基金・国保中央会のオンライン資格確認等システムに資格情報を照会・確認する仕組み。過誤請求の削減、それに伴う事務コストの削減などが期待される。2019年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太方針2019)では、マイナンバーカードを使ったオンライン資格確認は2021 年3月から本格運用するとしている。
     現行の被保険者番号は世帯単位となっていることから、厚労省は、効率的に資格管理するために、個人単位の被保険者番号とする。これは、現行の保険証の記載内容に2桁の番号(記号)を新たに追加する。これまで医療界では、マイナンバーとは別に、個人の医療等分野の情報の共有・収集・連結を安全かつ効率的に行うための識別子(通称「医療等ID」)の必要性が指摘され、検討されてきた。今後は、個人単位化した被保険者番号が、その医療等IDの役割を果たすことになる。
    院外処方
    医師または歯科医師が処方する薬剤を院外の薬剤師が処方内容、薬剤の飲み合わせ等を再確認したうえで患者に提供するシステムのこと。医薬分業の理念に基づき、行政の主導で行われている。医師が診療に専念でき、院内で取り扱いのない薬剤も自由に処方できるというメリットの反面、患者にとっては病院のほかに薬局(いわゆる調剤薬局、保険薬局)を訪れなければならないという利便性の欠如や調剤料、服薬指導料等の加算による費用面での負担など不満の声も高く、最近では院内処方に切り替える医療機関も出始めている。
    インフォーマルサービス
    NPO(非営利法人)、ボランティア、家族、親せき、友人などが担い手となり、法律や制度に基づかずに提供される援助サービスをいう。インフォーマルケアともいわれる。インフォーマルサービスの具体的な内容には、家事援助、通院・外出時の付き添い、話し相手(傾聴ボランティア)、家庭での見守りなどが含まれる。被介護者の実情に即したきめ細やかで柔軟な対応が可能な反面、トラブル・事故発生時の責任の所在が明確でない点、専門性に劣る点など、短所も指摘されている。一方、法律や制度に基づいて行われる公的支援はフォーマルサービスという。地域包括ケアシステムの構築がめざされる中で、今後はインフォーマルケアとフォーマルケアを連携・融合させた援助の増加が見込まれている。
  • 遠隔診療
    情報通信機器を用いた診療のこと。2018年度診療報酬改定でオンライン診療が評価されるようになり、厚生労働省が「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を策定したことで、関連の用語なども整理された。診療報酬で評価される遠隔診療の形態としては、医師対医師では遠隔画像診断、遠隔病理診断、医師対患者ではオンライン診療、遠隔モニタリングがある。また、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、「遠隔医療」という用語について「情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為」と定義し、これは遠隔診療よりも上位の概念となっている。
  • 介護報酬
    事業者が介護保険法に基づいて利用者(要介護者または要支援者)に介護(予防)サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われるサービス費用をいう。介護報酬は、サービスごとに設定されており、各サービスの基本的なサービス提供にかかる費用に加えて、各事業所のサービス提供体制や利用者の状況等に応じて加算、減算される仕組みとなっている。なお、介護報酬は原則として3年ごとに改定される。
    介護保険事業計画
    都道府県単位の「都道府県介護保険事業支援計画」と市区町村単位の「市町村介護保険事業計画」の総称。「都道府県介護保険事業支援計画」、「市町村介護保険事業計画」(以下、「市町村計画」)のどちらも3年ごとの策定が義務付けられている。都道府県介護保険事業支援計画では、主に各都道府県が定めた区域ごとの介護施設必要利用(入所)定員総数、介護保険給付対象サービスの見込み量等の策定のほか、介護サービス情報の公表計画を策定することとされている。これに対し、「市町村計画」は、各市区町村内における介護保険給付サービス見込み量や地域の実情に応じた実施計画、地域支援事業にかかる費用・見込み量、地域密着型サービス実施に向けた必要事項の策定等が義務付けられているほか、取り組むべき課題と解決に向けた施策等もまとめられ、都道府県介護保険事業支援計画および老人保健計画と一体的に作成される。なお、2018(平成30)年度から始まる都道府県医療計画(第7次)」では、介護保険事業(支援)計画との整合性を確保するため、同医療計画の期間を従前の5年から6年に延長し、その中で在宅医療(居宅等における医療)については3年ごとに見直すようにして、サイクルを合わせる。
    介護療養型医療施設(介護療養病床)
    介護保険3施設のひとつで、主として医療法人が運営する。病状が安定期にあり、療養上の管理・看護・介護・機能訓練が必要な要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理のもとで介護その他の世話および機能訓練その他必要な医療を行う施設。脳血管疾患やがんの緊急治療後などで長期療養が必要な高齢者を対象とする。常勤医師および理学療法士または作業療法士が適当数配置されており、医療ケアは介護施設の中で最も充実しているが、介護施設というより入院に近い。2018年の3月末で廃止されることになっていたが、その廃止・転換期限がさらに6年延長され、この間に、介護療養型医療施設の機能は2018年度からの新たな施設サービスである介護医療院などに転換していくことになる。
    介護老人福祉施設
    (特別養護老人ホーム、通称「特養」)
    介護保険3施設のひとつで、主として社会福祉法人と地方自治体が運営する。介護保険法上は「指定介護老人福祉施設」。身体上または精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難な要介護者に対し、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行う施設。生活全般の介護を24時間受けられるうえ、高度な医療ケアを受ける必要のない状態であれば人生の最期まで住み続けることができる。老人福祉法第20条の5が根拠法。
    介護老人保健施設(老健施設)
    介護保険3施設のひとつで、医療法人や社会福祉法人などが運営する。病状安定期にあり、看護・介護・機能訓練を必要とする要介護者に対し、看護、医学的管理のもとで介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行う施設。常勤医師やリハビリスタッフ(理学療法士または作業療法士が1人以上)などが配置されているため医療ケアが充実している。病気で入院後、生活のサポートが必要になった高齢者を在宅復帰できるようケアする。
    概算医療費
    医科、歯科、調剤にかかった医療費(医療保険・公費負担医療の医療費、患者の窓口負担等含む)を診療報酬等に基づいて集計したもので、国民医療費の98%程度を占める。「概算」というが、早く集計できるため、国民医療費の速報的な要素もある。一方、国民医療費は、概算医療費に労災保険や全額自己負担の医療費を含め1年間にかかった医療費全体をさす。
    回復期機能
    2014(平成26)年4月に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)により改正された医療法に基づく「病床機能報告制度」で分類された4つの病床機能分類のうちの一つ。急性期を経過した患者の在宅(介護施設含む)復帰に向けた医療やリハビリテーションを集中的に提供する機能をいう。ちなみに、回復期リハビリ病棟は、診療報酬上の制度であり、病床機能分類における回復期機能は、それよりも幅広いものである。例えば、①リハビリテーションを提供していなくても「急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療」を提供している場合、②地域包括ケア病棟で主に回復期機能を提供している場合は、回復期機能であると位置付けられる。
    がんゲノム医療
    ゲノムとは、生物のもっている「全ての遺伝情報」を意味する用語で、物質ではなく「遺伝情報の全体」を指している。がんゲノム医療については、まだ統一的な定義はないが、厚生労働省の「がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会」が平成29年6月にまとめた報告書では、がんゲノム医療を「がん患者の腫瘍部および正常部のゲノム情報を用いて治療の最適化・予後予測・発症予防をおこなう医療(未発症者も対象とすることがある。またゲノム以外のマルチオミックス情報も含める)」と定義している。その「マルチオミックス情報」とは、ゲノムのほかにたんぱく質、代謝産物などを網羅的・多層的に解析した情報のことである。腫瘍部と正常部それぞれのゲノムを解析・比較することで、腫瘍部の後天的ゲノム変異を把握でき、より適切な治療法が選択できるようになる。また、正常部のゲノムを解析することから、遺伝性腫瘍、放射線などによる二次発がんを早期発見・予防することもできる。
    患者申出療養制度
    2016(平成28)年4月にスタートした、新たな保険外併用療養費制度。未承認薬や適応外薬の保険外併用を短い審査で迅速に身近な医療機関で使用できるようにするもので、患者からの申し出を起点とする点が先進医療とは大きく異なる。対象となる医療は、将来的に保険適用をめざすための計画策定に必要なデータ、およびある程度の科学的根拠を有する医療に限られ、臨床研究の一環として実施される。患者申出療養の前例のない医療の場合、患者から国に申し出を行った後に患者申出療養評価会議による審議を受け、安全性・有効性が審査されたうえでの実施となる。審査のめやすは6週間。一方、患者申出療養として前例のある医療については、患者は前例を取り扱った臨床研究中核病院に申し出を行い、患者に身近な医療機関の実施体制を審査したうえで実施される。この審査のめやすは2週間である。なお、患者申出療養の第1例目は、腹膜播種陽性または腹腔細胞診陽性の胃癌を適応症とする「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法」で、患者申出療養評価会議が2016(平成28)年9月に承認。同年10月14日、「厚生労働大臣の定める評価療養、患者申出療養及び選定療養の一部を改正する件」として告示されている(厚生労働省告示366号)。
    感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律(略称「感染症法」)
    感染症の予防や感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を定めることで、感染症の発生を予防、そのまん延を防止することで、公衆衛生の向上と増進を図ることを目的とした法律。感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が身体に入り引き起こされる病気だが、感染症法では、措置の対象となる感染症について、罹患した場合の重篤性、感染力、感染経路などを総合的に勘案し、一類感染症から五類感染症に分類するほか、緊急時の対応などの観点から、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症という分類も設けている。
     一類~三類は、感染力と罹患した場合の重篤性等に基づく危険性の程度に応じて分類。四類は、一類~三類感染症以外のもので、主に動物等を介してヒトに感染。五類は、国民や医療関係者への情報提供が必要な感染症とされている。新型インフルエンザ等感染症は、新型インフルエンザ、再興型インフルエンザで、平成21年に発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)が「新型インフルエンザ等感染症」とされたが、同23年3月31日付けで「新型インフルエンザ等感染症」としては認められなくなり、その後は通常の季節性インフルエンザとして対応されている。指定感染症は、すでに知られている感染症(一類~三類感染症以外)で、緊急の対応の必要が生じたときに政令で指定するもの。その指定は原則として1年限りだが、一類~三類感染症に相当したものとして対応する。新感染症は、人から人に伝染するが、すでに知られている感染性の疾病とは明らかに異なり、病状が重篤で、そのまん延により国民の生命・健康に重大な影響を与える恐れがあるもの。現時点で「新感染症」とされる感染症はないが、一類感染症以上に厳重な対応をすることになっている。
  • 基準病床数制度
    医療法に基づく都道府県医療計画の一環として、都道府県ごとに必要とされる病院および診療所(有床診療所)の病床数の基準を算定する制度で、病床数は厚生労働省において全国統一の算定式により算出される。本制度は、病床整備を過剰地域から非過剰地域へと誘導することによる病床の偏在是正とそれにより全国どの地域においても一定水準の医療が確保されることをめざすものである。病床過剰地域においては、特例を除き公的医療機関等の開設・増床が許可されない仕組みになっている。1985(昭和60)年の第1次医療法改正により、本制度が制度化された。2000(平成12)年の第4次医療法改正により、それまでの '必要病床数' という用語が '基準病床数' に改められた。また、'療養病床' および '一般病床' の区分の定着を受け、2006(平成18)年の第5次医療法改正で、 '療養病床' '一般病床' それぞれの算定式をもって基準病床数を算出するよう改められた。
    機能強化加算
    機能強化加算は、2018年度の診療報酬改定で新設された初診料に対する加算である。かかりつけ医機能を持つ医療機関では、初診時に「患者自身の状態や既往歴、家族構成、服用している医薬品など」を把握することなどに一定の手間がかかっており、これを診療報酬で下支えするとともに、専門医療機関への受診の可否の判断などをすることを報酬上で評価するための加算。地域包括診療加算、地域包括診療料、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院に限る)、施設入居時等医学総合管理料(同)―を届け出ている診療所、許可病床数200床未満の病院が対象となる。また、かかりつけ医機能として、健康管理に係る相談、保健・福祉サービスに関する相談、夜間・休日の問合せへの対応を行っている医療機関であることを、施設内の見やすい場所に掲示していることも、施設基準となっている。
    機能性表示食品
    機能性表示食品は、安全性の確保を前提として、科学的根拠に基づいた機能性が事業者の責任で商品パッケージに表示されるものとして、消費者庁に届け出られた食品であり、制度としては食品表示法に基づいている。この制度ができる前は、機能性を表示することができる食品は、国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていた。そこで、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者が商品の正しい情報を得て選択できるよう、平成27年4月に、新しく「機能性表示食品」制度が始まった。「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、食品の機能性を表示することができる食品といえる。トクホとは異なり、国は安全性と機能性の審査を行っていない。安全性および機能性の根拠に関する情報、健康被害の情報収集体制など必要な事項が、商品の販売前に、事業者より消費者庁長官に届け出られ、届け出られた情報は消費者庁のウェブサイトで公開される。
    キャリアアップの仕組み
    介護保険や障害福祉の分野における人材の処遇改善のために、キャリアアップの仕組みを構築した事業者に対して、処遇改善加算の形で報酬を支払う制度が設けられている。その実際の方法は、3段階のキャリアパス要件に「and/or」(両方とも、またはいずれか一方)で対応させる形で、5段階で加算をしていく、というものである(平成29年度現在)。それらの分野では、キャリアパス(career path)の積み重ねが、キャリアアップのための道筋となっている。その3段階のキャリアパス要件とは、①職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備、②資質向上のための計画を策定して研修の実施または研修の機会を確保、③経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組み、または一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること、である。
    急性期機能
    2014(平成26)年4月に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)により改正された医療法に基づく「病床機能報告制度」で分類された4つの病床機能分類のうちの一つ。緊急性の高い疾患および事故で命にかかわる怪我を負った場合など、急性期の患者に対し、状態の早期安定化のための医療を提供する機能をいう。
    旧ただし書き所得
    旧地方税法(住民税の賦課方式としては既に廃止されている)における住民税課税方式に関する条文のただし書きとして規定されていた方法を用いて算出される所得のこと。国民健康保険ではこの「旧ただし書き所得」に「所得割料率」を掛け合わせることで保険料の「所得割額」を計算する。以前は住民税額に賦課する方式が一部自治体で用いられていたが、「旧ただし書き所得」に基づいて捕捉した所得に対して賦課する方式であれば、税制改正による住民税額の変動の影響を受けにくく、保険料(均等割+所得割)における「均等割」だけでなく「所得割」の賦課ができる割合も高まり、より公平な制度になる、とみなされている。

    旧ただし書き所得=前年の総所得金額等※-住民税の基礎控除額(33万円)
    ※総所得金額等とは、前年の総所得金額および山林所得金額、株式・長期(短期)譲渡所得金額などの合計。ただし、退職所得は含めず、雑損失の繰越控除はしないが、分離長期・短期譲渡所得の特別控除はある。
    業務手順書
    平成18年6月に「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」が成立し、平成19年4月より、病院、診療所、歯科診療所および助産所の管理者には「医薬品・医療機器の安全使用、管理体制の整備」のための「医薬品の安全使用のための業務手順書」の作成が義務付けられた。また、薬局の開設者にも同様に、「医薬品の安全使用のための業務手順書」の作成が義務付けられている。業務手順書は医薬品の管理・使用を指導するに留まらず、医療事故防止に資するものを作成することが求められている。
  • クラウドファンディング
    クラウドファンディングは、「Crowd」(クラウド=群衆)と「Funding」(ファンディング=資金調達)からなる造語。資金を必要とするプロジェクト等がインターネット上で資金提供を呼びかけ、共感した不特定多数の人々から比較的少額な資金を幅広く調達する手段を意味する。クラウドファンディングは、資金や支援者へのリターン(特典、収益)のあり方によって寄付型、投資型、融資型、購入型の4つのタイプに分類される。
    寄付型=集めた資金を全額寄付とし、リターンはない。
    投資型=出資者がプロジェクトの利益から配当というかたちでリターンを受け取る。
    融資型=出資者が利子というかたちで一定のリターンを受け取る。
    購入型=支援者はお返しとしてモノやサービス、権利というかたちでの特典を受け取る。
  • 軽費老人ホーム
    社会福祉法第65条および老人福祉法第20条の6を根拠法とする。無料または低額で食事提供その他日常生活上必要な便宜供与をする施設(通称「ケアハウス」)。入所の対象は、身体機能の低下等により自立した生活を営むことについて不安であると認められる者で、家族による援助を受けることが困難な60歳以上の者。介護保険制度に基づく特定施設入居者生活介護を提供する軽費老人ホームもある。また、軽費老人ホームの新たな類型として都市型軽費老人ホームの制度が、平成22年に創設された。それ以前に制度化されていた軽費老人ホームA型、同B型は現在、経過措置として存在しているものであり、新たな開設はない。
    軽費老人ホームの種別は以下のとおり。
    ケアハウス(現行の一元化された軽費老人ホーム):高齢者が車いす生活となっても自立した生活が送れるように配慮
    都市型:都市部における低所得高齢者に配慮した小規模なホームである
    A型:食事の提供や日常生活上必要な便宜を供与する(経過措置として存在)
    B型:食事の提供はなく、自炊を原則とする(経過措置として存在)
    現金問屋
    一般的な意味での「現金問屋」とは、仕入れ客が比較的低価格の商品を現金で購入し、持ち帰るのを建前としている卸売業者のことをいう。医薬品販売業を受けた医療機関等や薬局は、余剰在庫等の医薬品を現金問屋に販売することができるが、一般的には、実勢価格より低い価格で取り引きされることが多い。その結果、現金問屋では、医薬品を比較的低い価格で仕入れ、実勢価格よりも低い値段で販売することがなされており、現金問屋から医薬品を仕入れる薬局も存在している。
     医薬品販売業を受けた医療機関等や薬局が医薬品を現金問屋に販売すること自体は、現状の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等にてらし直ちに違法とはいえない。しかし、現金問屋の中には、「秘密厳守」を謳い、医薬品を販売しようとする者の身元確認を十分にしない業者も存在するため、例えば患者が処方を受けた医薬品を自ら使用せずに持ち込んだり、不正な手段で医薬品を取得した者が医薬品を換金する手段として利用する可能性も存在する。平成29年1月に発生した「ハーボニー配合錠」の偽造品が流通した事件もそのような問題点を背景にしたものといえる。現在、厚生労働省では、医薬品の卸売業者に対して買い取りの際の身元確認などの義務付け等が検討されている。
    健康経営
    従業員の健康保持・増進の取り組みが将来的に収益性等を高める投資であるとの考えのもと、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること。従来、分けて考えられていた「経営管理」と「健康管理」を統合的に捉え、従業員の健康増進と管理を戦略的に実践することをいう。企業は従業員の健康を増進することで、結果的に、従業員の活力向上、生産性の低下の防止や企業の収益性向上など、さまざまな効果が期待できる。企業の利益追求と働く人の心身の健康維持を両立することが、従業員個人の生活の質の向上のみならず、企業活力を高めることにつながる。その結果、経営者と従業員が相互に利益を得ることができる関係を実現することができる。なお、経済産業省の主導により、健康経営に積極的に取り組んでいる企業・団体を顕彰するために「健康経営銘柄」「健康経営優良法人」などの制度が設けられている。
    健康寿命
    2000(平成12)年にWHO(世界保健機関)が提唱した概念で、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活ができる期間のこと。平均寿命との関係でみると、平均寿命と健康寿命との差が「健康ではない期間」(不健康な期間)を意味する。厚生労働省によると、その「不健康な期間」は2001(平成13)年から2016(平成28)年にかけて、男性で8.67年から8.84年へ、女性で12.28年から12.35年へと、それぞれ拡大する傾向をみせている。近年、健康寿命を延ばして不健康な期間を短縮するための施策が展開されている。
    健康日本21
    「21世紀における国民健康づくり運動」の通称。日本人の死因の半数以上を占める生活習慣病の一次予防を目的として、生活習慣の改善などに関する目標を盛り込んだ健康増進のための官民挙げての運動。2000(平成12)年に開始され、2013(平成25)年度から10年計画で「健康日本21(第二次)」として継続されている。
  • 高額介護合算療養費制度
    高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険における1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)の医療保険と介護保険の自己負担の合算額が高額な場合に、自己負担を軽減する制度。介護においては、同様の制度を「高額医療合算介護(予防)サービス費」としている。
    支給要件:医療保険上の世帯(住民基本台帳上での世帯にかかわらず、同じ医療保険に加入している家族)単位で、医療保険と介護保険の自己負担合算額が、所得などを基準に設定された限度額を超えた場合に、自己負担として支払った合算額のうち限度額を超えた額が支給される。
    限度額:被保険者の所得・年齢に応じて設定されている。
    費用負担:医療保険者・介護保険者双方が、自己負担額の比率に応じて負担。
    なお、前年の所得に基づく住民税や保険料などが確定するのが6月頃であるため、高額介護合算療養費制度が対象とする期間は、暦年(1月~12月)あるいは年度(4月~翌年3月)ではなく、8月から翌年7月とされている。
    高額介護サービス費
    介護サービスを利用する場合に支払う利用者負担には、前年の所得および市区町村民税に基づき、世帯または個人を単位として、月々の負担の上限額が設定されている。1カ月(月初~月末)に支払った利用者負担の合計が負担の上限を超えたときは、超えた分が払い戻される制度。
    高額療養費制度
    家計に対する医療費の自己負担額が重くなりすぎないよう、被用者保険または国民健康保険等の医療保険制度において、被保険者またはその被扶養者が医療機関・薬局の窓口に対して支払う月ごとの医療費の自己負担額に上限を設け、自己負担限度額を超えた場合に、その超過分が公的医療保険から払い戻される仕組みをいう。自己負担限度額は、70歳未満、70歳以上の年齢階層に大きく分かれ、さらに所得により区分されている。70歳未満の場合は、①年収約1,160万円以上、②年収約770万~約1,160万円、③年収約370万円~約770万円、④年収約370万円以下、⑤住民税非課税、に分類される。
    後期高齢者医療制度
    75歳以上の高齢者を「後期高齢者」として独立させ、後期高齢者医療広域連合が運営する医療制度(後期高齢者医療制度)に加入を義務付ける新たな医療保険制度のことで、2008(平成20)年4月から施行された。対象となる高齢者は75歳の誕生日当日から資格を取得し(手続き不要。寝たきり等一定の障害を有すると認定された場合は65歳以上75歳未満も対象に含む)、それまでの医療保険から自動的に脱退することになる。本制度により、国民医療費の35%超を占める後期高齢者層の医療費を適正化し、1人当たり医療費の低い現役世代と高い後期高齢者の費用負担の明確化を図るねらいがある。
    高度急性期機能
    2014(平成26)年4月に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)により改正された医療法に基づく「病床機能報告制度」で分類された4つの病床機能分類のうちの一つ。緊急性の高い急性期の患者に対し、状態の早期安定化のため、診療密度が特に高い医療を提供する機能をいう。診療密度の高い医療に該当する病棟・病室としては、救命病棟、集中治療室、ハイケアユニット、新生児集中治療室、新生児治療回復室、小児集中治療室、総合周産期集中治療室などが想定される。
    高齢者医療確保法
    2008(平成20)年4月の後期高齢者医療制度の施行とともに制定され、それまで実施されていた老人保健法が全面改正されたもの。正式名称は、「高齢者の医療の確保に関する法律」。主として、①医療費適正化計画の策定、②保険者による健康診査等の実施、③前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、④後期高齢者医療制度について規定している。本法で規定する後期高齢者医療制度の対象は、75歳以上の後期高齢者と、一定の障害を有すると認定された65歳以上75歳未満の高齢者。本法は医療事業と保険事業で構成され、介護保険法に則り運営される介護事業は含まれていないため、本法施行により後期高齢者の医療と介護が制度的に分離されたことになる。本法では、都道府県に対し、都道府県健康増進計画との整合性をもった「医療費適正化基本方針」および「全国医療費適正化計画」の策定を義務付けている。また、保険者は、40歳以上の加入者に対する特定健康診査・特定保健指導の実施が求められている。
    高齢者総合的機能評価(CGA)
    高齢者の状態を単に医学的な面からだけでなく、生活機能、精神機能、社会および環境など総合的に評価し、個々の高齢者に抱える問題を整理し、生命予後の改善、ADL改善につなげる評価手技のこと。略称のCGAは、comprehensive geriatric assessmentの略。評価項目は、ADL、手段的ADL(IADL)、認知機能、気分・情緒、コミュニケーション能力など多岐にわたるが、それぞれの項目ごとに設定されたスクリーニングツールを用いて評価を行う。1930年代に英国で始まったこの評価法は日本では1990年代に導入され、今日では要介護認定の認定調査項目にCGAの評価項目のかなりの部分が採用されるなどしているが、その煩雑さ、医療現場の人手不足による担い手不在など問題点も指摘されている。そうした問題点克服のために簡易版としてCGA7(7項目)が開発されるなど、さらなる普及をめざした取り組みが進められている。
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
    高齢者(60歳以上、単身・夫婦世帯)を対象とした、一定の基準を満たすバリアフリー対応の賃貸住宅のこと。法律上、都道府県、政令市(政令指定都市)、中核市への登録が行われた住宅のみが表示を許可される。「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正により、2012(平成23)年10月に創設された制度に基づく住宅をいう。サービス付き高齢者向け住宅に常駐するケアの専門家(介護福祉士、社会福祉士等)による安否確認および生活相談サービスを受けながら生活できるというメリットがある反面、一般的な賃貸住宅より賃料が高額である点、一般的な賃貸住宅と同様にほとんどの利用者に連帯保証人を求められる点、自立が可能か軽度の要介護者が対象のため介護は外部の訪問介護サービスを利用しなければならないなどのデメリットもある。また、民間事業者による運営が大半のため、提供される生活支援サービスに差があり、利用者は選択の際、留意する必要がある。
    在宅療養支援診療所(在宅療養支援病院)
    2006(平成18)年度の診療報酬改定において制度化された、在宅医療の中心的役割を果たす診療所(略称「在支診」)をいう。また、2008(平成20)年診療報酬改定において、同様の趣旨で、在宅療養支援病院(略称「在支病」)が制度化された。さらに、2012(平成24)年度診療報酬改定で、機能強化型(単独型、連携型)の在支診、在支病も制度化されている。そのため、2016(平成28)年度診療報酬改定の時点では、従来型の在支診・在支病のほか、機能強化型における単独型と連携型の在支診・在支病というように6つの類型が存在するが、数としては従来型が多い。従来型の在支診の主な基準は、①24時間連絡を受ける体制の確保、②24時間の往診体制および訪問看護体制、③緊急時の入院体制、④看取り数の報告、などである。また、在支病については、上記のほか、許可病床が200床未満または半径4 km以内に診療所が存在しないこと、などの基準も加わる。いずれの在支診・在支病も、患者の退院支援、自宅での療養支援、急変時対応、看取りといった在宅医療のすべてのプロセスにかかわるため、地域包括ケアシステムの構築において、慢性疾患の療養、在宅ターミナルケアなどへの対応の面から期待されている。今後、いっそうの需要拡大が予想されることから、2016(平成28)年度の診療報酬改定では、機能強化型の在支診・在支病を対象に「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」が新設された。
    サルコペニア
    ギリシャ語で「筋肉」を意味する サルコ(sarco)と、同じく「喪失」を意味する ペニア(penia)を合わせた造語で、Irwin Rosenbergが1989(平成元)年に提案した疾患概念。加齢や疾患により筋肉量が減少し、筋力低下および身体機能低下が起こる病態をいう。サルコペニアの診断には、筋肉量の減少に加え、筋力低下または身体機能の低下が存在する必要がある。加齢が原因の一次性サルコペニアと加齢以外の原因(疾患、活動量低下、栄養不足等)による二次性サルコペニアに分類される。近年、筋肉量の減少に肥満(内臓肥満)が合併した「サルコペニア肥満」が心血管リスクの高い病態として問題視されている。
  • 自然人
    自然人というのは、法人に対する語。法律上、権利や義務の主体となることができるのは、法人と自然人である。法人は、法律によって「人」と認められたもので、会社等の社団法人や、財団法人、公益法人などがある。これに対して、自然人は、生きた人間のこと。すべての人は、出生から死亡するまで、等しく権利や義務の主体となる(民法3条1項)。
    社会医療法人
    社会医療法人は、医療法第42条の2第1項に基づき、都道府県知事から認定された医療法人である。民間の高い活力を活かしながら、地域住民にとって不可欠な救急医療、へき地医療等(救急医療等確保事業)を担う医療法人の新たな類型として、平成18年の第5次医療法改正で創設・制度化された。役員等について同族性が排除されていて、解散時の残余財産は国、地方公共団体等に帰属する(持分がないこと)など、公益性が高い。そのため、医療保健業の法人税は非課税、また救急医療等確保事業を行う病院・診療所の固定資産税等は非課税であるなど、税制上、さまざまな優遇措置がある。平成30年1月1日現在で292 法人が社会医療法人として認定されていて(前年同月比14法人増)、増加を続けている。なお、厚生労働省としては、特定医療法人が社会医療法人に移行することを期待している。
    収支差率
    収益額に対する収益と費用の差額の割合。介護事業所の経営指標として用いられる。
    収支差率 =(介護サービスの収益額 - 介護サービスの費用額)/ 介護サービスの収益額
    ・ 介護サービスの収益額は、介護事業収益と借入金利息補助金収益の合計額
      介護事業収益は、介護報酬による収入(1割負担分含む)、保険外利用料収入、補助金収入(運営費に係るものに限る)の合計額
    ・ 介護サービスの費用額は、介護事業費用、借入金利息及び本部費繰入(本部経費)の合計額
     なお、この収支差率に相当する数値は、医療経済実態調査では「損益差額率」あるいは「損益率」と呼ばれていて、以下のように計算する。
    損益差額率 =(医業収益+介護収益-医業・介護費用)/(医業収益+介護収益)
    小規模多機能型居宅介護
    小規模多機能型居宅介護は、「通いを中心に随時、訪問や宿泊を組み合わせる」ものとして平成18年度介護報酬改定において制度化された。基本的な概念は、生活圏域内の要介護者の様態や希望に応じて、「通い」「訪問」「泊まり」および多様なニーズに対応する機能を組み合わせて、入浴・排泄といった介護、相談・助言、機能訓練(リハビリテーション)など多様なサービスを提供することで、住み慣れた地域での生活が継続できるよう支援し、地域包括ケアの担い手となる介護保険制度上のサービスである。また、認知症の独居・高齢者世帯が自宅や地域で暮らすためには、通いだけでなく自宅での支援(訪問)が必要であり、近隣の見守りや声かけも必須であることから、近隣との関係の構築や自宅での支援が安心・安全につながる。利用者の状態が多様化している現在、「通いを中心」にした制度はきめ細かな変化が求められている。
     ケアマネジャーと相談の上、ケアプランを作成し、小規模多機能型居宅介護事業所に登録することで、さまざまな支援を受けることができる。小規模多機能型居宅介護事業所では、利用者の通い、事業者側の訪問(居宅介護)、短期宿泊、配食、見守り、地域交流等を通して本人支援、家族支援、地域支援を行い、生活圏域内の多様な支援を要する方々を支援し、地域包括ケアの担い手となることが期待されている。
    新専門医制度
    第三者機関である一般社団法人日本専門医機構[2014(平成26)年5月設立]と基本19領域の各学会が共同して統一的な基準を設け、専門医の質の担保を目的として統一基準に基づいた専門医を育成するための制度。制度設立の背景には、従来、多くの学会が独自に専門医制度を創設し、多様な基準に基づく専門医が存在したことにより、提供する医療の質の不均一が懸念されたことがある。新制度は、基本19領域の各学会が専門医認定のための専門研修プログラムを作成、日本専門医機構がそのプログラムを検証、調整して標準化を図るという役割分担のもとで運用される。また、地域医療の崩壊懸念への対応として、同機構は現状以上に医師の偏在が加速しない仕組みの構築も検討するとしている。基本19領域は、内科、皮膚科、外科、産婦人科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、麻酔科、小児科、精神科、整形外科、眼科、泌尿器科、放射線科、救急科、リハビリテーション科、形成外科、病理、臨床検査、総合診療科である。
  • 生活療養
    医療保険制度(診療報酬制度)での「生活療養」とは、65歳以上の人が医療法で規定する療養病床に入院し、食費や居住費(光熱水費など)について入院時生活療養費として一定の自己負担をする場合をいう。介護保険制度では平成17年10月の改定で在宅との負担の公平性の観点から施設入居者において居住費と食費が保険の対象外となっており、それと整合性をとる形で、診療報酬制度において入院時生活療養費が導入された。医療法上の療養病床が対象であり、診療報酬制度では、療養病棟入院基本料だけでなく、回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料などでも「生活療養」が設定されている。なお、法律上は、健康保険法第63条第2項第2号、および「高齢者の医療の確保に関する法律」(高齢者医療確保法)第64条第2項第2号で規定している療養が、ここでいう「生活療養」である。
    セルフメディケーション税制
    セルフメディケーションを推進するため、2017(平成29)年1月1日より2021(平成33)年12月31日までの期間限定で施行される、特例の医療費控除制度。具体的には、健康の維持また疾病予防のための一定の取り組み※ を行っていることを証明可能な、所得税や住民税を納める個人が市販薬のうち厚生労働省が定めた特定成分(医療用から転用したもの)を含む一部のOTC医薬品(いわゆる「スイッチOTC」に相当するもの)を年間1万2,000円を超えて購入した場合、その超過分(上限8万8,000円)について確定申告により所得控除が受けられるというもの。本制度と従来の医療費控除制度※※ を同時に利用することはできないが、従来の医療費控除制度を利用する場合にセルフメディケーション税制の対象品目の購入費を対象金額に含めることは可能。本制度実施の背景には、軽微な体調不良は医療機関を頼らず市販薬服用で自主的にケアすることの推進により医療費の適正化を図るというねらいもある。なお、セルフメディケーションについては、WHO(世界保健機関)において「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と定義されていて、わが国の行政では「自主服薬」という訳語を用いることが多い。 ※特定健康診査、予防接種、定期健康診断、がん検診、健康診査など
    ※※保険医療機関に実際に支払った医療費、治療・療養に必要で購入した一般用医薬品の費用、介護保険制度でのサービスにおける自己負担額、通院費などの合計が年間10万円を超えた場合、超過分について所得控除を受けられる制度
    先進医療
    高度の医療技術を用いた医療のうち、厚生労働大臣に承認され、一定の施設基準を満たした保険医療機関により実施される医療のことで、保険診療との併用が認められている。2017(平成29)年1月1日現在、108種類の技術が対象となる。「健康保険法等の一部を改正する法律」[2006(平成18)年10月]の施行により、それまでの特定療養費制度が見直されたことで再編成された「評価療養」の対象項目の一つである。「先進医療に係る費用」は全額患者の自己負担となるが、それ以外の基本的な費用(診察、検査、投薬、入院料等)については保険給付が行われる。先進医療は、医療機関からの申請に基づいて審査・確認のうえで実施される点が、患者からの申し出を起点とする患者申出療養と異なる。なお、「先進医療に係る費用」については全額自己負担となるが、保険給付分での一部負担については高額療養費制度が適用される。
    選定療養
    「健康保険法等の一部を改正する法律」[2006(平成18)年10月1日施行]に基づき、従前の特定療養費制度を拡大・再編した保険外併用療養費の一区分。保険外併用療養費は、保険給付の対象とすべきか評価が必要な「評価療養」と、被保険者の選択に関連する「選定療法」に分かれ、いずれも特別料金部分については全額が被保険者負担となる。厚生労働省が定めている「選定療養」の種類は、①特別の療養環境(差額ベッド)、②歯科の金合金等、③金属床総義歯、④予約診療、⑤時間外診療、⑥200床以上の病院大病院の初診(紹介状がない場合)、⑦200床以上の病院の再診(3カ月以上受診がない場合)、⑧特定機能病院および一般病床500床以上の地域医療支援病院における紹介状なしの受診時・再診時での定額負担(義務化、初診については医科が5,000円以上、歯科が3,000円以上)、⑨小児う蝕の指導管理、⑩180日以上の入院、⑪制限回数を超える医療行為、などである。
  • ソーシャルインパクトボンド
    「ソーシャルインパクトボンド」(Social Impact Bond:SIB)とは、新しい官民連携の手法で、民間資金を活用して実施する成果連動型の民間委託事業。民間の資金やノウハウを活用して革新的な社会課題解決型の事業を実施し、行政はその事業成果(社会的コストの効率化部分)等を原資に成果報酬を支払う。2010年に英国で世界初のSIB案件が組成されて以降、同国を中心に世界各国でその活用が進んでいる。
     経済産業省では、SIBをヘルスケア分野に導入することを推進しており、経済産業省事業として支援を行った兵庫県神戸市、東京都八王子市において、それぞれ糖尿病性腎症重症化予防事業、大腸がん検診受診勧奨事業へのSIB導入を前提とした予算が、両市議会において成立した。ヘルスケア領域において、複数年度での事業実施を前提とした本格的なSIBの導入は、日本初となる。
     厚生労働省においても地域共生社会の実現に向けてSIBの活用を検討している。SIBの導入により、行政にとっては初期投資を民間資金で賄うことで、行政の財政的なリスクを抑えながら民間の新しい取組を活用できる。また、事業者にとっては成果指標を行政と共有して成果を可視化していくことで、成果重視の質の高い柔軟なサービス提供が可能となり、資金提供者は、社会的課題解決に貢献するとともに、新たな資金運用の機会を得ることができる。
     なお、政府が平成29年6月9日に閣議決定した「未来投資戦略2017 ―Society 5.0 の実現に向けた改革―」では、産学官民が一体となった健康維持・増進の取組促進の一環として、「民間の活力を社会的課題の解決に活用するため、民間資金を呼び込み成果報酬型の委託事業を実施するSIBなど、社会的インパクト投資の取組を保健福祉分野で広げる」として、2020年度までを視野に入れた工程表も示している。
  • 単回使用医療機器
    一回限り使用できると添付文書などで規定・記載されている医療機器(Single-use device:SUD)のことをいう。しかし、資源の有効活用、さらには医療費の低減の可能性などから、感染の防止など安全性の担保を条件に、SUDの再製造を国内で実施できるように制度の整備が求められていた。米国ではSUDの再製造がすでに実施されており、不整脈の検査に用いるカテーテル(EPカテーテル)、腹腔鏡手術で使用する電気メス、トロッカーなどが再製造されている。本邦では、再製造SUDに関する新たな仕組みが、平成29年7月31日からスタートした。
    団塊の世代
    1947(昭和22)~1949(昭和24)年生まれの第一次ベビーブーム期に出生した、日本の人口のボリュームゾーンを形成する層のこと。人口規模が大きいため、この層が社会に与える影響は大きく、日本の医療・介護提供体制においても例外ではない。今後この層がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年前後に生じる医療・介護需要および社会保障費の増大、認知症高齢者の増加などはまとめて「2025年問題」と称される。国はその影響を最小限に食い止めるため、地域包括ケアシステムの構築をはじめ、医療・介護政策の抜本的見直しに着手している。なお、用語の由来は、堺屋太一氏の小説『団塊の世代』[1976(昭和51)年刊]である。
  • 地域医療構想
    医療・介護需要の増大が見込まれる2025年に向け、医療機能の分化および連携を進めるため、都道府県は「構想区域」(原則として二次医療圏に相当する区域)を設定し、各区域において病床機能報告制度に基づいて医療機関から報告を受けた病床の医療機能別に医療需要と必要病床数を推計したうえで、将来の医療提供体制について構想したもの。医療計画の一部として2014(平成26)年の「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(「医療介護総合確保推進法」;第6次医療法改正に相当」で策定が義務付けられた。各都道府県は、厚生労働省の「地域医療構想ガイドライン」を参考に構想区域を設定し、策定を進める。患者の流出入率の高い東京都では、必要病床数推計のための地域単位「病床整備区域」(13区域)と、いわゆる5疾病・5事業に対応した医療提供体制整備のための「事業推進区域」の2つの構想区域を設定しているが、「病床整備区域」が狭義の構想区域に相当する。
    地域医療支援センター
    医師の地域偏在の解消を主な目的として都道府県ごとに設置されるもので、地域医療に従事する医師のキャリア形成支援も一体的に行う。2016(平成28)年4月時点ですべての都道府県に設置が完了した。同センターは2011(平成23)年度の厚生労働省の補助事業としてスタートし、2014(平成26)年度以降は、医療法に位置付けたうえで、消費税増収分を財源とする地域医療介護確保基金を活用して運営されている。同センターの主な役割は、都道府県ごとに医療機関レベルで医師不足の状況を把握・分析し、医師不足の医療機関に対し医師の派遣・あっせんを行うことである。厚生労働省によれば、2015(平成27)年7月時点で、2011(平成23)年度以降45都道府県で計3,306名の医師が各都道府県内の医療機関へ派遣・あっせんされている。しかし、医師の派遣・あっせんが医療機関からの要望に沿う形で行われている現状に対しては、地域医療構想に照らして行われるべきだと異を唱える意見もある。
    地域医療連携推進法人
    2015(平成27)年の「医療法の一部を改正する法律」(第7次医療法改正に相当)で創設された仕組みで、地域医療構想区域であるに二次医療圏を範囲として、病院・診療所などを開設する医療法人、介護事業など地域包括ケアシステムの構築に役立つ事業を行う非営利法人などが参加して設立する一般社団法人で、都道府県知事の認定を受けたものをいう。当初のアイデア段階では、非営利ホールディングカンパニー型法人制度と例えられていた。良質で適切な医療の効率的な提供、地域包括ケアシステムの構築を主眼としているが、参加法人にとってのメリットとしては、法人内部で病床が融通できることから病床機能の転換が容易になり、過剰病床の適正化が図れる点、患者情報の一元化による支援の円滑化、医薬品や医療材料の共同購入によるコスト低減、職員の合同の研修実施などが挙げられる。本制度は、2017(平成29)年4月2日に施行された。
    地域包括ケアシステム
    高齢者が、重度の要介護状態となっても可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで持続できるよう、医療、介護、疾病予防、住まい、生活支援など生活にかかわる多分野を地域の医療・介護・福祉などの連携により一体的に提供する支援体制をいう。人口のボリュームゾーンを形成する「団塊の世代」が後期高齢者となり、医療・介護需要の増大が見込まれる2025年までの構築がめざしている。法的には、「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(医療介護総合確保推進法)」第2条第1項で、地域包括ケアシステムについて定義しているが、その対象は高齢者に限っている。そのため近年、「地域共生社会」という概念を用いて、地域包括ケアシステムの適用範囲を重度障害者や小児の在宅医療まで含める方向で検討が進められている。
    地域包括ケア病棟
    急性期病棟での治療後の患者および在宅療養中の患者を受け入れ、リハビリテーションも実施するなど、地域包括ケアシステムを支える機能をもつ病棟(または病室)のこと。2014(平成26)年の診療報酬改定時に新設され、診療報酬としては地域包括ケア病棟入院料1・2のほか、病室単位の地域包括ケア入院医療管理料1・2がある。入院期間の上限は最大で60日間で、1日当たりの定額払い(包括化)方式となっている。2016(平成28)年度診療報酬改定において、「手術や麻酔に係る費用」が包括の範囲から除外されたため、経営的にみても活用しやすい仕組みとなった。施設基準として、看護配置13 対 1 以上、専従の理学療法士、作業療法士または言語聴覚士1人以上、および専任の在宅復帰支援担当者1人以上の配置が求められているが、地域包括ケア病棟入院料(入院管理料)1では、1人当たり居室面積6.4 m2以上、在宅復帰率7割以上が課されている。
    地域包括支援センター
    市区町村等の自治体が主体となって設置する施設で、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャー等によるチームアプローチで、要支援者に必要な援助を行うとともに医療・介護の両面から包括的な支援を行うことを目的としている。同センターの主な業務は、①介護予防ケアマネジメント業務、②総合相談支援業務、③権利擁護業務、④包括的・継続的ケアマネジメント支援業務で、行政機関、医療機関などとネットワークを構築し、要支援者と必要なサービスをつなぐ役割を果たしている。法的には、介護保険法第115条の46などにおいて規定している。
    中央社会保険医療協議会(中医協)
    社会保険医療協議会法に基づく厚生労働大臣の諮問機関で、厚生労働省の12の審議会・検討会の一つ。通常、中医協(ちゅういきょう)の略称で称される。4つの部会、2つの小委員会、6つの分科会があり、重要な議題についてはそれらの組織で議論された後、総会で審議・決定がなされる。日本の健康保険制度の改正や2年に一度の診療報酬改定等は、この中医協の答申に基づいて実施される。
  • 等価所得
    等価所得は、世帯所得を世帯人数の平方根で除して世帯員一人あたりの水準に調整した所得。世帯所得はその世帯の世帯人員数に影響されるため、世帯人員数で調整する必要がある。最も簡単なのは「世帯の所得÷世帯人員数」とすることだが、生活水準を考えた場合、世帯人員数が少ない方が生活コストが割高になることを考慮する必要がある。例えば、年収800万円の4人世帯と、年収200万円の1人世帯では、どちらも1人当たりの年収は200万円となるが、両者の生活水準が同じ程度とは言えない。光熱水費等の世帯人員共通の生活コストは、世帯人員数が多くなるにつれて割安になる傾向があるからである。このため、国際的にも、世帯人員数の違いを調整するにあたっては「世帯人員数の平方根」が用いられている。上記の等価所得は、4人世帯では400万円、1人世帯では200万円となる。
    特定医療法人
    特定医療法人とは、財団または持分の定めのない社団の医療法人で、その事業が医療の普及および向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき、租税特別措置法に基づいて国税庁長官の承認を受けたものである。特定医療法人として承認された場合は、法人税において軽減税率(23.4%→19%)が適用される。平成29年3月31日現在で特定医療法人として362法人が承認を受けているが、平成20年の412法人をピークに減少傾向にある。
    特定健康診査・特定保健指導
    2008(平成20)年4月開始の、40歳以上75歳未満の公的医療保険加入者を対象とした保険制度をいう。高齢者の医療の確保に関する法律に基づく。

    ■特定健康診査:生活習慣病のリスク因子であるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の概念を導入した健診で、身体計測、血圧測定、検尿、血液検査などの基本的項目と、一定の基準下で医師が必要と判断した場合に行われる詳細項目(心電図、眼底検査、貧血検査など)から成る。近年の糖尿病、肥満等有病者の増加を背景に、生活習慣病を早期に発見して重篤化を防ぎ、医療費の増加を抑制するねらいがある。略称は、「特定健診」。
    ■特定保健指導:特定健康診査の結果に基づき、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善により発症予防効果が高いと判定された者に対し、必要度に応じて実施される保健指導のこと。特定保健指導の対象者は、保健指導のレベルにより「動機付け支援」もしくは「積極的支援」に分類され、医師、保健師、管理栄養士等による支援を受ける。
    特定行為
    医師または歯科医師が患者を特定し、包括的な指示のもと、看護師が医師らによる手順書に基づき、症状の範囲内で行う一定の診療の補助行為のこと。具体的には、21の「特定行為区分」に分類された38の診療補助行為を指す。2014(平成26)年6月に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)」により改正された保健師助産師看護師法に基づき、看護師による特定行為が明確化され、2015(平成27)年同年10月に「特定行為に係る看護師の研修制度」がスタートした。国は2025年までに10万人以上の研修修了者の養成をめざす方針である。なお、医師らによる包括的な指示のもとでの手順書に基づく特定行為は厚生労働省が定める指定研修機関で所定の研修を受けた看護師に認められているが、それ以外の看護師において、医師らによる個別・具体的な指示によって特定行為に相当することを行うのは違法ではない。
    特定機能病院
    第2次医療法改正により、医療施設機能の体系化を目的として1993(平成5)年4月から制度化された医療機関の一区分で、一定の施設要件をクリアし、厚生労働大臣の承認を得た病院のみが称することができる。承認要件は、高度の医療の提供、医療技術の開発、それらに関する研修実施能力を有していることのほか、病床数(400床以上)適合、医師・薬剤師・看護師等の入院患者に対する人員配置基準の適合、構造設備の完備(集中治療室、無菌病室、医薬品情報管理室)、医療安全管理部門の体制強化実施、所定の16の診療科の標ぼう、患者の紹介率・逆紹介率基準(紹介率50%以上、逆紹介率40%以上)の適合、等がある。2016(平成28)年9月1日現在で、84病院(うち大学病院本院78病院)が承認を受けている。
    特定入所者介護サービス費(通称「補足給付」)
    平成17年に介護保険給付が見直され、在宅の者は居住費・食費を自身で支払っていることを踏まえて、介護保険施設等における居住費・食費については在宅と同様、保険給付の対象外とするなど、介護に関する部分に給付を重点化することとした。ただし、介護保険施設等の入居者のうち低所得者において居住費・食費の負担が過重とならないようにするため、特定入所者介護サービス費を創設し、申請に基づいて補足給付を支給し、負担を軽減している。この制度は当初から、所得のみに応じた定額の負担限度額を設けることにより低所得者の負担の軽減を図ってきた。しかし、預貯金を保有するにもかかわらず所得の要件だけで「低所得者」とするのは社会保険制度として不公平・不適切であるとの考えに基づき、その対象者について、平成26年の介護保険法の改正により、「特定入所者介護サービス費等の支給要件について、所得のほか、資産の状況もしん酌するものとすること」(介護保険法第51条の3等関係)とされ、要件に金融資産などが追加された。
  • ナショナルデータベース(NDB)
    「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、レセプト情報と特定健診等情報を収集し、格納しているデータベース。国によるものなので、通称「ナショナルデータベース」、略称「NDB」。主として、全国医療費適正化計画、都道府県医療費適正化計画の作成や評価、国や都道府県の調査・分析に使われるほか、個別審査により学術研究などにもデータが提供されている。また、平成28年度からは、汎用性の高い基礎的なデータのセットが「NDBオープンデータ」として公開されていて、厚生労働省のホームページの「NDBオープンデータ」のページにおいて、Excel形式のデータがダウンロードできるようになっている。
  • 認知症ケア加算
    2016(平成28)年度の診療報酬改定で新設された認知症患者の入院料への新たな加算制度をいい、認知症と身体疾患を併発する入院患者への適切なケアを促進することを目的としている。認知症ケア加算1(14日以内150点/日、15日以上30点/日)、認知症ケア加算2(同30点/日、同10点/日)があり、身体拘束を実施した日は点数が4割減算される。対象患者は「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」のランクⅢ以上に該当し、重度の意識障害がない者である。認知症ケア加算1の施設基準は、認知症患者の診療の経験が十分にある専任・常勤の医師、認知症患者の看護に従事した経験が5年以上で適切な研修を修了した専任・常勤の看護師、認知症患者等の退院調整の経験がある専任・常勤の社会福祉士または精神保健福祉士から成る認知症ケアにかかわるチームが設置されている保険医療機関である。また、認知症ケア加算2の場合は、認知症患者のアセスメントや看護方法等について研修を受けた看護師を病棟に複数名配置することとなっている。
     なお、認知症ケア加算を算定できる病棟(入院料)は以下の通りである。
    ■一般病棟入院基本料、療養病棟入院基本料、結核病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(精神病棟を除く)、専門病院入院基本料、障害者施設等入院基本料
    ■救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、特殊疾患入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料、特殊疾患病棟入院料、特定一般病棟入院料
    認知症サポーター
    認知症サポーターは、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対して、できる範囲で手助けする。厚生労働省が平成17年度からスタートさせた「認知症を知り地域をつくる10カ年」構想の一環として、認知症サポーターの制度が創設された。現在は、同省が推進する認知症高齢者等にやさしい地域づくりの取組みの一環として、地方自治体が主導して認知症サポーターを全国で養成している。認知症サポーター養成講座は、地域住民、金融機関やスーパーマーケットの従業員、小、中、高等学校の生徒などさまざまな方を対象に開講している。認知症サポーターの当初の養成の目標は100万人だったが、平成30年12月末で1,000万人を超えるなど、その数が増え続けている。
  • 廃用症候群
    体を動かさない状態が続くことによって、心身の機能が低下して動けなくなることをいう。局所性、全身性、精神・神経性にさまざまな症状が認められ、局所性の症状では関節拘縮、筋力低下、骨萎縮など、全身性の症状では心肺機能低下、起立性低血圧、消化器機能低下など、精神・神経性の症状では、知的活動低下、うつ傾向、自律神経不安定などが挙げられる。廃用症候群は全身の諸症状の総称であり、何がどの程度悪化したら廃用症候群とみなすかという明確な診断基準は設けられていない。老化が進むと、運動機能の低下→自信と意欲の低下→運動量の減少→廃用症候群→運動機能の低下、といった悪循環が生じることから、老化と廃用の悪循環を断つことが介護予防のポイントといわれている。なお、廃用症候群という用語は直感的に意味が把握しにくいため、それについて厚生労働省では、一般国民向けには「生活不活発病」と言い換えている。また、平成28年度診療報酬改定で「廃用症候群リハビリテーション料」が創設され、その対象となる患者については「急性疾患等に伴う安静による廃用症候群であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力および日常生活能力の低下を来しているものであること」とし、具体的には、治療開始時において、FIM (Functional Independence Measure:機能的自立度評価法)115以下、BI(Barthel Index:基本的日常生活活動度)85以下の状態等のものをいう、と規定されている。
  • 評価療養
    「健康保険法等の一部を改正する法律」[2006(平成18)年10月1日施行]による特定療養費制度見直しを受けて再編成された保険外併用療養費の一区分。保険外併用療養費は、保険給付の対象とすべきか評価が必要な「評価療養」と、被保険者の選択に関連する「選定療法」に分かれる。「評価療養」の場合は、例えば「先進医療に係る費用」は全額が被保険者負担となるが、通常の治療と共通する検査・投薬・入院料などの部分は保険適用となる厚生労働省が定めている「評価療養」の種類は、①先進医療、②医薬品、医療機器、再生医療等製品の治験に係る診療、③医薬品医療機器法承認後で保険収載前の医薬品、医療機器、再生医療等製品の使用、④薬価基準収載医薬品の適応外使用(用法・用量・効能・効果の一部変更の承認申請がなされたもの)、⑤保険適用医療機器、再生医療等製品の適応外使用(使用目的・効能・効果等の一部変更の承認申請がなされたもの)、である。
    被用者保険
    医療保険のうち、企業などに雇用されている者が加入する保険のことで、協会けんぽ、健保組合、共済組合などが保険者である。健康保険は他に国民健康保険があるが、これは地域保険と呼ばれている。
    協会けんぽ:中小企業等で働く従業員やその家族が加入している健康保険は、従来、国(社会保険庁)が「政府管掌健康保険」(政管健保)の名称で運営していたが、平成20年10月1日、新たに全国健康保険協会が設立され、同協会が運営することとなった。同協会が運営する健康保険の愛称を「協会けんぽ」という。
    病床機能報告制度
    2014(平成26)年6月に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)」により改正された医療法に基づき創設された制度。具体的には、毎年1回、一般病床または療養病床を有する病院・有床診療所が自ら担っている医療機能を病棟単位で都道府県に報告する仕組みをいう。制度設立の背景には、今後のさらなる医療・介護需要の増大には医療機能分化・連携をもとにした効率的な医療提供体制の構築が不可欠なことがあり、都道府県は本制度から得た情報を活用し、地域医療構想を策定するとともに、各々の地域にふさわしい医療提供体制の整備が求められる。本制度の対象医療機関は、毎年7月1日時点で一般病床・療養病床を有している病院および有床診療所である。対象医療機関は、病棟単位で「高度急性期」、「急性期」、「回復期」、「慢性期」の4区分のいずれの病床機能に該当するかを年1回、都道府県に自己申告する。また同時に、各病床機能の医療内容を明確化するため、病棟設備、医療スタッフの配置、具体的な医療行為等についても報告することが求められている。
    病床必要量(必要病床数)
    2014(平成26)年に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)」により改正された医療法に基づく地域医療構想において導入された、都道府県における構想区域ごとの病床の必要量(必要病床数)のこと。将来のあるべき医療提供体制を踏まえて、「構想区域内の医療機関が入院医療を行う患者数」を病床稼働率で除して得た数を、各構想区域における2025年の必要病床数とする。なお、「病床必要量」が将来必要な病床数を構想区域ごとに把握するための指標であるのに対し、都道府県医療計画における「基準病床数」は現時点で必要とされる医療ニーズを前提として算定された病床数を算定したもので、両社は本質的に異なる指標である。
  • フォーマルサービス
    法律や社会保障制度に基づいて公的機関や専門の施設・専門職等により提供される援助のことで、フォーマルケアともいう。具体的には、介護保険サービス、医療、年金、自治体による高齢者に対する支援策等が相当する。援助にかかわる費用は、社会保険の保険料および税金で賄われている。専門性の高い一定のレベルの援助を安定的に受けられ、トラブル・事故発生時の責任の所在が明確であるなどの長所の一方、援助開始に至るまでに申請やさまざまな手続きが必要で時間がかかる点、緊急時の駆けつけや話し相手になる等の柔軟できめ細やかな対応が難しいといった問題点も指摘されている。地域包括ケアシステムの構築がめざされる中で、今後はインフォーマルケアとフォーマルケア各々の短所を補い合うような、両サービスを連携・融合させた援助が増えると見込まれている。
    ブリンクマン指数
    ブリンクマン指数(Brinkman Index)もしくは喫煙指数は、健康と喫煙の関係を示す指数で,「1日の喫煙本数×喫煙年数」で表される。この指数が大きいほど,喫煙の身体への悪影響が大きいといわれ、喫煙のリスクを考える上でのひとつの指標とされている。ブリンクマン指数200以上が、禁煙治療の保険適応基準の1つになっている(平成28年度診療報酬改定で、35歳未満の者についてはブリンクマン指数が200を超えない場合でもニコチン依存症管理料の算定ができるようにした)。この指数は、昭和39(1964)年に愛知県がんセンターの西村穣先生が、肺がんのリスクを分析する際に用いることを考案したもの。ブリンクマンはアメリカの臨床医で、彼の論文の中で喫煙歴が「1日の喫煙本数×喫煙年数」で表現されていたことから、西村先生がブリンクマン指数と命名し、日本で広く使用されるに至った。この指数は日本以外ではあまり使用されていない。
    フレイル
    老年医学において使用されてきた用語の ‘ frailty (フレイルティ)’ のことで、その定義は確立されていないが、厚生労働省研究班では「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」と定義している。 ‘ frailty ‘ の訳語は「虚弱」とされてきたが、しかるべき介入により再び健常な状態に戻る可能性があることを強調するため、日本老年医学会が2014(平成26)年5月に、その概念を「フレイル」という用語を使って整理し、広く国民に訴えた。具体的には、加齢に伴って筋力や心身の活力が低下した状態で、健常な状態と要介護状態の中間の状態をさす。フレイルの出現は多面的な要因によるため、早期発見・対応が要介護状態の回避に結びつき、食事面、運動面等、多面的な介入が必要とされる。後期高齢者の場合、多くは、フレイルという中間的な段階を経て要介護状態に陥るので、介護予防という観点からもフレイルを知ることは有意義である。
  • 閉鎖式薬物移送システム(closed system drug transfer device:CSTD)
    抗がん薬など、医療従事者や環境を汚染する恐れのある薬剤(バイアル入り)を他のバイアルに移したり、混合する際に用いる器具あるいはシステム。注射剤の入っているバイアル内に圧をかけながら取り出すことで、その液体あるいは蒸気がバイアルから漏れ出すのを防ぐとともに、外部からバイアル内に汚染物質が混入しない仕組みになっていて、フィルターを用いているものもある。例えば診療報酬の無菌製剤処理料1(180点)は、バイアル内外の差圧を調節する機構を有することにより薬剤の飛散等を防止する閉鎖式接続器具を使用した場合に算定できると規定されているが、CSTDを使用した場合も同器具に相当するものとして、その算定ができる。なお、CSTDについては、まだ世界的に統一された定義はない。
  • 保健医療システム2035
    厚生労働省の「保健医療2035」策定懇談会が2015(平成27)年6月に提言した、将来の日本の保健医療におけるビジョンを示したもの。その2035は「にー・まる・さんごー」と読み、2025年の地域包括ケアシステムの実施から10年先となる2035年を見据えた将来ビジョンとして、日本の保健医療の「あるべき姿」を、基本理念、価値観、改革の方向性などの観点からまとめている。「保健医療システム2035」では、2035年に向けて、①「リーン・ヘルスケア~保健医療の価値を高める~」、②「ライフ・デザイン~主体的選択を社会で支える~」、③「グローバル・ヘルス・リーダー~日本が世界の保健医療をけん引する~」の3つを達成すべきビジョンとして掲げ、具体的なアクションを例示している。
  • 慢性期機能
    2014(平成26)年4月に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)により改正された医療法に基づき創設された「病床機能報告制度」により分類される4つの病床機能分類のうちの一つ。長期にわたり療養が必要な患者および重度の障害者、筋ジストロフィー患者または難病患者等を入院させる機能をいう。
  • 未妥結減算
    保険が適用される医療用医薬品(以下「医薬品」)には「薬価」として、いわゆる公定価格が設定されているが、それを医療機関や薬局が卸から実際に仕入れるのは経済行為であり、価格交渉を行っている。その結果として、取引価格について長期にわたって妥結せず、医薬品を仮納入する、という慣習も存在する。そのような状況において厚生労働省が薬価調査を行っても正確なデータは得られず、診療報酬改定のために役立たない。妥結率が低いと薬価調査の障害となるわけで、平成26年度診療報酬改定において、医薬品の取引価格に関する妥結率の低い病院(許可病床200床以上)の初診料の引き下げ、妥結率の低い保険薬局の調剤基本料の引き下げなど、いわゆる「未妥結減算」の制度が導入された。なお、平成30年度診療報酬改定で、その理念は変わらないが、未妥結減算の制度について若干の見直しが行われている。
  • 免疫チェックポイント阻害剤
    近年、がんの治療において「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる一連の新薬が登場し、世界中で注目されている。免疫チェックポイントは免疫応答が過剰に働くことを抑制する体のチェック機構のこと。ヒトの体には、侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体、体内にできた癌(がん)細胞などを攻撃しようと働く免疫応答機能が備わっているが、免疫チェックポイントは免疫細胞が過剰な攻撃を続けたり、正常な細胞を攻撃したりしないようにブレーキをかける役割を担っている。ところが、がん細胞はこのブレーキ機能を逆に利用して、免疫ががん細胞を攻撃する力を抑え込もうとする。具体的には、免疫細胞(T細胞)の表面にある受容体としてのタンパク質(免疫チェックポイント)にがん細胞が結合し、免疫を抑制するための信号を送り、免疫細胞から攻撃を受けないようにしている。その免疫チェックポイントとしての受容体に抗体(免疫チェックポイント阻害剤)を結合させ、いわば「蓋」をすれば、がん細胞が結合できず、免疫も抑制されなくなる。また、免疫細胞が、がん細胞を攻撃しやすくなる。そのように、免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイント分子のブレーキ機能を阻止して体内の免疫力を活かしてがんを治療する薬剤である。
  • 黙示の同意(黙示による同意)
    患者が医療機関を受診するに当たっては、患者自身の個人情報を医療機関に取得され、患者に医療を提供するために個人データが第三者に提供されることが、前提となっている。したがって、患者への医療の提供に必要で、かつ個人情報の利用目的として院内掲示などによって明示されている場合は、原則として黙示による同意(黙示の同意)が得られているもの、と考えられている。また、患者と医療現場それぞれの負担軽減を図るという目的もあって医療界では「黙示の同意」が普及している。ただし、その場合であっても、第三者に提供できる個人情報の範囲は、①他の医療機関等からの照会への回答、②外部の医師等の意見・助言を求める場合、③検体検査業務の委託など、限定的である。なお、個人情報保護法第23条第1項では、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供できる条件を限定的に示していて、これが「黙示の同意」の法的根拠とされている。
    持分あり医療法人
    「持分あり医療法人」とは、出資者が出資した割合に応じて法人資産を払い戻すことができる法人であり、例えば、出資金400万円のうち100万円出資した人は、この法人の純資産の1/4(純資産が1億円ある場合は、2,500万円)を払い戻すことができる。このような仕組みであることから、本来は営利を目的としない医療法人が事実上の配当を行っていて営利法人と本質的に違わないという根本的な問題があり、これについての指摘がなされてきた。そのため、平成18年の第5次医療法改正(平成18年改正医療法)において医療法人制度改革が行われ、平成18年改正医療法が適用された平成19年4月以降に設立する医療法人については「持分あり」は認められず、財団または「持分なし」社団に限定されることになった。また、既存の「持分あり」の医療法人については、平成18年改正医療法適用の「持分なし」医療法人への移行は自主的に対応すること、とされた。そのように違法ではないものの「持分あり」の状態で医療法人が存続していると、医療法人を設立した際の出資者が高齢化して、将来亡くなって出資権が相続されたとき、相続した人に払い戻しを請求されることも想定される。出資者に払い戻しの請求をされた場合に、病院の存続が危うくなることもありうる。現在は、そのような観点から、出資者からの払い戻しが行われない、「持分なし医療法人」への移行の検討を厚生労働省がもちかけている。出資持分払い戻しなどにより医業継続が困難になるようなことなく、当該医療法人が引き続き地域医療の担い手として、住民に対し医療を継続して安定的に提供していけるようにするため、医療法人の任意の選択を前提としつつ、「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への移行促進策が講じられている。なお、平成29年3月31日現在、わが国には53,000の医療法人があり、うち40,186(76%)が「持分あり」である。
  • 薬学管理料
    調剤報酬は、①調剤技術料(調剤基本料、調剤料)、②薬学管理料、③薬剤料、④特定保険医療材料料、で構成している。調剤基本料や調剤料とは別に、薬剤師による薬学的管理、服薬指導、情報提供、在宅医療への取り組みなどを評価しているのが薬学管理料。2018年度改定では薬剤服用歴管理指導料の見直し、在宅患者に対する薬剤管理指導の評価(加算の新設)、服用薬剤調整支援料の新設などが行われた。
    薬価基準
    公的医療保険で使用可能な医療用医薬品の範囲(品目)を定めると同時に、収載された医薬品について公的医療保険から保険医療機関および保険薬局に対する支払価格(薬剤の基準価格)を規定したものをいう。診療報酬改定と併せての中央社会保険医療協議会(中医協)の審議・了承に基づき、厚生労働大臣が告示する。すでに薬価収載されている薬剤の基準価格は、原則として2年に1回の薬価調査により実勢価格を調べたうえで、改定される。後発医薬品への置き換えが進まない先発医薬品については、特例引き下げもある。新薬(先発医薬品)に対する薬価算定方式は、後発医薬品とは異なり、以下のように定められている。

    ■先発医薬品:類似する医薬品がある場合には類似薬効比較方式が採用され、その医薬品の1日薬価に合わせる、補正加算や調整を行ったうえで決定される(類似品がない場合には原価計算方式により算定)。
    ■後発医薬品:新規収載については原則として先発医薬品の50%の価格。すでに他の後発医薬品が収載済みの場合には、①最高価格の30%を下回る算定額となる既収載後発品については該当する全ての品目について加重平均した算定額(統一名)、②最高価格の30%以上50%を下回る算定額となる既収載後発品については該当する全ての品目について加重平均した算定額(銘柄別)、③最高価格の50%以上の算定額となる既収載後発品については該当する全ての品目について加重平均した算定額(銘柄別)、とする。
  • 有床診療所
    19床以下の病床を備えた、入院治療のできる診療所のこと。医療法第1条の5第2項で、『この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう』(抜粋)と規定している。入院治療のほか外来医療も行うが、その機能と位置付けが必ずしも明確でなく、報酬上の評価も十分でなかったため近年施設数は減少傾向にある。一方、入院治療を行わない一般無床診療所は増加している。
    有料老人ホーム
    老人福祉法第29条に基づき、老人の福祉を図るため、その心身の健康保持及び生活の安定のために必要な措置として設けられている制度。老人を入居させ、①食事の提供、②介護(入浴・排泄・食事)の提供、③洗濯・掃除等の家事の供与、④健康管理のサービスのうち、いずれかのサービス(複数も可)を提供している施設。設置にあたっては都道府県知事等への届出が必要。なお、設置主体(株式会社、社会福祉法人等)は問わない。介護保険制度における「特定施設入居者生活介護」として、介護保険の給付対象になっている施設もある。介護保険上のサービスを提供する場合は、設置の際の届出とは別に、一定の基準を満たしたうえで、都道府県知事の指定を受けなければならない。以下の3タイプがある。
    ・介護付き有料老人ホーム:介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。介護等が必要となっても、ホームが提供する介護サービスである「特定施設入居者生活介護」を利用しながら、ホームでの生活を継続することが可能。
    ・住宅型有料老人ホーム:生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。介護が必要となった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら、ホームでの生活を継続することが可能。 ・健康型有料老人ホーム:食事等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。介護が必要となった場合には、契約を解除し退去しなければならない。そのような仕組みであるため、実際の数は極めて少ない。
  • 養護老人ホーム
    65歳以上で環境上の理由および経済的理由により居宅で養護を受けることが困難な者を入所させる施設。老人福祉法第20条の4が根拠法。
  • 療養病床
    病院と診療所において、主に長期療養を必要とする患者を入院させるための病床をいう。2000(平成12)年の医療法の第4次改正において、従来の「その他の病床」が療養病床と一般病床に分けられたことにより設定された。人員配置基準は入院患者4人に対し看護師・准看護師1人と定められ(診療報酬基準では「20対1」に相当)、必要設備として機能訓練室、談話室、食堂、浴室が挙げられている。
  • 老年症候群
    加齢に伴って心身の生理的機能が低下することによって高頻度にみられる症候・症状の総称で、高齢者をとらえるのに重要な概念である。その代表的な症候・症状としては、摂食・嚥下障害、関節痛、椎体骨折、しびれ、歩行障害、易感染性、認知機能障害、頻尿・失禁、難聴、視力低下、めまい、不眠、抑うつ状態などが挙げられる。
  • A ~ Z

    ADL
    英語の activities of daily living の略で、日本語では一般的に「日常生活動作」と訳される。日常生活を営むうえで必要な動作、行動を意味し、介護が必要な高齢者や障害者がどの程度自立した生活が可能かを評価する際の指標としても用いられている。自立した生活に対する評価は、基本的な日常生活活動(移動、喫食、入浴、排泄など)である基本的ADL(basic ADL:BADL)と、より複雑で高次のADLである手段的ADL(instrumental ADL:IADL、公共交通機関を使っての移動、買い物、調理、金銭管理、服薬管理など)に分けて行われることもある。BADLの評価には「Barthel Index」「Katz Index」などが、IADLの評価には「Lawtonの尺度」「老研式活動能力指標」などがあるほか、認知症のスクリーニングとして用いられる「DASC(ダスク)-21」にもBADLおよびIADL両者に関する項目がある。
    DPC制度
    DPCとは diagnosis procedure combination(診断群分類)の略で、入院期間中に最も医療資源を投入した傷病名と、提供される手術、処置などの診療行為の組み合わせにより分類された患者群を意味する。DPC制度とは、DPCコードに基づいて算出される診療報酬の包括評価制度のことをいい、DPC/PDPS(per-diem payment system)とも略称される。対象となるのはDPC対象病院の一般病棟患者のうち包括点数が設定されたDPCコードに該当する患者である。2003(平成15)年度に導入され、当初の特定機能病院から急性期病院、さらにはケアミックス型病院へと対象病院は拡大している。診療報酬額は、DPCごとに設定される包括評価部分(入院基本料、検査料、画像診断、投薬等)と出来高評価部分(手術、麻酔、内視鏡検査、放射線治療、診療報酬点数1,000点以上の処置等)の合計で算出される。包括評価部分は、(DPCごとの1日当たり点数)×[医療機関ごとに設定された係数(基礎係数+機能評価係数Ⅰ+同係数Ⅱ+暫定調整係数)×(在院日数)で算出される。
    ICF(国際生活機能分類)
    ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)は、人間の生活機能と障害の分類法として、2001年5月、世界保健機関(WHO)総会において採択された。この特徴は、これまでのWHO国際障害分類(ICIDH)がマイナス面を分類するという考え方が中心であったのに対し、ICFは、生活機能というプラス面からみるように視点を転換し、さらに環境因子等の観点を加えたことである。
     WHOの国際分類では,健康状態(病気,変調,傷害など)は主にICD-10(国際疾病分類第10版)によって分類され、健康状態に関連する生活機能と障害はICFによって分類される。したがって、ICD-10とICFとは相互補完的であり、この2つのWHO国際分類を併せて利用することが奨められる。ICD-10は、健康状態の「診断」を提供し、ICFによる生活機能についての情報が付加されることによりさらに充実する。
     ICFは情報を2つの部門に整理している。第1部は生活機能と障害(心身機能と身体構造)、第2部は背景因子(環境因子)について評価する。ICFは、障害のある人だけに関するものとの誤解が広まっているが、あらゆる健康状態に関連した健康状況や健康関連状況について説明することが可能である。
     厚生労働省では、ICFの考え方の普及および多方面で活用されることを目的として、ICFの日本語訳である「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」を作成し、厚生労働省ホームページ上で公表している。
    NDBレセプトデータ
    NDBはnational databaseの略称で、レセプト情報・特定健診等の情報データベースの呼称。「高齢者の医療の確保に関する法律」第16条第2項に基づいて、医療保険者等から収集したレセプト(診療報酬明細書および調剤報酬明細書)に関する情報、特定健康診査・特定健康指導に関する情報はNDBに格納・管理されている。
  • 数字

    2025年問題
    2025年は、人口のボリュームゾーンを形成するいわゆる「団塊の世代」層すべてが75歳以上の後期高齢者となり、国民の1/3が65歳以上、1/5が75歳以上であるなど、日本が超高齢社会に突入することによって起こると予想されるさまざまな問題のことをいう。有効な対策を打ち出さない限り、認知症高齢者の増加等による医療・介護需要の増大、社会保障費の急増、高齢者の住宅問題、それに伴う介護従事者の不足などが、2025年ごろから深刻化すると推測されている。
    5疾病・5事業および在宅医療
    地域において必要とされる医療提供体制確保のため、都道府県医療計画に明示し、医療の連携体制構築が求められる項目のこと。「5疾病」とは厚生労働省令で広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病で、「がん(悪性新生物)」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」「精神疾患」が該当する。一方、「5事業」とは地域における医療の確保に必要な事業で、「救急医療」「災害医療」「へき地医療」「周産期医療」「小児医療(小児救急医療を含む)」をいう。2006年(平成18)年の第5次医療法改正において「4疾病・5事業」ごとに医療連携体制を構築することが定められたが、2012(平成24)年に政府が閣議決定した「社会保障・税一体改革大綱」、同年における医療法に基づく「医療提供体制の確保に関する基本方針」の改正などにより、「精神疾患」および「在宅医療」が加えられ、現行の内容となった。
    7対1入院基本料
    2006(平成18)年度の診療報酬改定で創設された看護師の配置基準で、一般病棟の入院患者7人に対して看護師1人を配置すると高い入院基本料を算定できるというもの。患者にとっては従来より質の高い看護が受けられるほか、看護師の過重労働の緩和、病院の収入増と三者三様にメリットがあると期待されたが、制度導入以降、看護師を強引な採用・引き抜きなどによって集めてこの基準に移行し、7対1入院基本料を届け出る病院が続出した。届け出た病院の数は当初見込みを大幅に上回り、2013(平成25)年度末には38万床あまりまで増加した。その結果、中小病院の看護師不足、採用難などといった問題が生じ、また「7対1」という手厚い看護が必要ない患者も比較的多く入院していることも明らかになってきたことから、2014(平成26)年度の診療報酬改定では7対1入院基本料の算定要件の厳格化を図ることが決定され、2016年度(平成28)年度診療報酬改定では「重症度、医療・看護必要度」、該当患者割合基準、在宅復帰率それぞれの見直しが行われた。それらにより、7対1入院基本料から10対1入院基本料などへの移行の促進をしている。