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「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」が公布・施行
障害者による情報の取得等の施策について基本理念を定める 2022.07.01福祉・介護

令和4年の通常国会で議員立法として成立した「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」(略称:障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)が5月25日に公布、同日施行された。同法律の趣旨は、障害者による情報の取得・利用・意思疎通に係る施策に関し、基本理念、施策の基本となる事項を定め、国や地方公共団体の責務を明らかにする、というものである。

ポイント

  • 可能な限り、障害の種類・程度に応じて情報取得等の手段を選択できるようにする
  • 可能な限り、障害者でない者が取得する情報と同一内容の情報を同一時点で取得できるようにする
  • 情報通信技術を活用し、円滑に意思疎通ができるようにする

議員立法として成立

障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法は、参議院議員が中心となった議員立法である。まず、令和4年4月12日に開かれた参議院・厚生労働委員会で、同法案の「草案」に当たるものが提案者である参議院議員から説明された。それを受け、同委員会で、その「草案」がそのまま「法案」となった。また、厚生労働委員長が法案(議案)提出者となり、同月13日に参議院で可決、翌5月19日に衆議院で可決・成立した。障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法は16条からなる、いわゆる基本法に相当する。

令和4年4月13日に開かれた参議院・本会議で、厚生労働委員長が提出者として、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法(案)の趣旨について次のように説明した。

全ての障害者が社会を構成する一員として社会・経済・文化等のあらゆる分野の活動に参加するためには、障害者が必要とする情報へのアクセシビリティの向上やコミュニケーションの手段の充実が極めて重要であり、これらに焦点を当てた新たな法律の制定が必要とされている。こうした状況を踏まえ、本法律案は、障害者による情報の取得、利用、意思疎通に係る施策を総合的に推進しようとするものである。

また、同委員長が同法律案の概要について、次のように4つのポイントを挙げ、説明した。

第1に、障害者による情報の取得等に係る施策の推進に当たっての基本理念を定めている。

第2に、国等は、この基本理念にのっとり、障害者による情報の取得等に係る施策を策定し、実施する責務を有する。

第3に、国等は、障害者による情報取得等に資する機器等の開発・普及の促進を図るため、必要な施策を講ずる。

第4に、国等は、障害の種類および程度に応じて障害者が防災・防犯に関する情報を迅速かつ確実に取得することができるようにするため、必要な施策を講ずる。

法第3条で基本理念を定める

厚生労働委員長の説明にあるように、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法では第3条において基本理念を定めている(詳細下表)。

この基本理念の趣旨は、①障害者による情報の取得等に係る手段については、可能な限り、その障害の種類および程度に応じた手段を選択することができるようにすること、②障害者が取得する情報については、可能な限り、障害者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を同一の時点において取得することができるようにすること、③情報通信技術(ICT)を活用し、円滑に意思疎通ができるようにすること、などである。

また、この基本理念は、障害者は情報の受け手にとどまらず、情報の発信者でもあるとの視点であることも理解しておく必要がある。

基本理念(第3条)

  1. 第三条 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。
  2. 一 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る手段について、可能な限り、その障害の種類及び程度に応じた手段を選択することができるようにすること。
  3. 二 全ての障害者が、その日常生活又は社会生活を営んでいる地域にかかわらず等しくその必要とする情報を十分に取得し及び利用し並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにすること。
  4. 三 障害者が取得する情報について、可能な限り、障害者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を障害者でない者と同一の時点において取得することができるようにすること。
  5. 四 デジタル社会(デジタル社会形成基本法(令和三年法律第三十五号)第二条に規定するデジタル社会をいう。)において、全ての障害者が、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術の活用を通じ、その必要とする情報を十分に取得し及び利用し並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにすること。

衆議院で5項目の附帯決議

衆議院では、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の成立にあたり、5項目の附帯決議が行われた(下表参照)。

その中でも注目する必要があるのは、「情報コミュニケーション・アクセシビリティの推進のため、障害者基本計画の達成状況を踏まえ、法の見直しなど必要な措置を講ずること」との附帯決議である。これについては、厚労省の社会保障審議会障害者部会での報告書の取りまとめにおいて、一定の対応がなされた(後述)。

また、「本法同様に47全都道府県と1741全市区町村の議会から制定を求める意見書が国に提出されていることを踏まえ、手話言語法の立法を含め、手話に関する施策の一層の充実の検討を進めること」との附帯決議がなされたことも、大きな意味を持つ。例えば、障害者基本法第3条では「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに(後略)」というように、手話は言語であると規定している。しかし、それに関する基本的・具体的な施策は定められていないため、基本法としての手話言語法(仮称)の立法化が求められているのである。

衆議院での附帯決議

  1. 1 障害者による情報の十分な取得及び利用並びに円滑な意思疎通への配慮に努めて開発した情報通信機器その他の機器及び情報通信技術を活用した役務を優先的に調達する制度について、検討を行うこと。
  2. 2 情報コミュニケーション・アクセシビリティの推進のため、障害者基本計画の達成状況を踏まえ、法の見直しなど必要な措置を講ずること。
  3. 3 情報コミュニケーション・アクセシビリティに関する相談窓口の設置を検討すること。
  4. 4 行政機関に提出する書類のバリアフリー化、災害時の情報保障、選挙における情報アクセシビリティの改善、資格試験など各種試験のバリアフリー化など、情報コミュニケーション・アクセシビリティのさらなる促進について財政的な措置を含め必要な検討を行うこと。
  5. 5 本法同様に47全都道府県と1741全市区町村の議会から制定を求める意見書が国に提出されていることを踏まえ、手話言語法の立法を含め、手話に関する施策の一層の充実の検討を進めること。
  1. 出典:衆議院「委員会ニュース」(第208回国会参法第8号附帯決議)

障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しに反映か

障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が制定されたことで、さまざまな動きが出始めている。

その1つは、厚労省の社会保障審議会障害者部会が6月13日に取りまとめた「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて」の報告書において、地域共生社会の実現という観点から、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が取り上げられたことである。同報告書では、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が成立したことも踏まえて、障害者のコミュニケーションやアクセシビリティを円滑にしていくことが重要であるとしたうえで、「判断やコミュニケーションに支援が必要な障害者の場合は、その特性に配慮したコミュニケーション支援・意思決定支援に取り組む必要がある。また、意思疎通支援の担い手を数・質ともに確保できるよう長期的・段階的に検討していく必要がある」としている。

障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しとは、令和6年度に向けて行われるものである。同年度には診療報酬と介護報酬の改定だけでなく、障害福祉計画・障害児福祉計画、障害福祉サービス等報酬の改定も予定されており、これらにおいて障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の基本理念が反映されるものと推測される。

もう1つは、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の附帯決議が後押しする形で、手話言語法の立法に向けての動きが加速化しつつあることである。

なお、附帯決議(前述)にある「災害時の情報保障」、「選挙における情報アクセシビリティの改善」などは生命や基本的人権に関わることでもあり、施策として早急に対応しなければならないことも多い。