ログイン・会員登録

会員の方

ID・パスワードをお持ちの方は、
こちらからログインください。

パスワードをお忘れの方はこちら

認証キーの承認をされる方はこちら

2016年1月より会員IDがメールアドレスに統一されました。

会員登録されていない方

会員限定コンテンツのご利用には、会員登録が必要です。

新規会員登録

50秒でわかる
Takeda Medical site

サイトマップお問合わせ

  • 新規会員登録
  • ログイン

令和3年度介護報酬改定の効果検証の結果などを報告
介護医療院への移行、科学的介護情報システム活用のメリットや課題などが明らかに 2022.05.01福祉・介護

厚生労働省(厚労省)は令和4年3月17日、社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、令和3年度介護報酬改定の効果検証および調査研究に係る調査(令和3年度調査)の結果について報告した。それにより、介護医療院に移行したことによるメリット、厚労省のデータベースのLIFE(Long term care Information system For Evidence、科学的介護情報システム)活用で役立ったことなどが明らかになった。

ポイント

  • 介護医療院に移行してよかったことは「経営面でプラスとなった」など
  • LIFE活用で役立った点は「利用者の状態や課題を把握しやすくなった」など
  • 介護ソフトの導入や無線通信などで業務を効率化

令和3年度介護報酬の効果などに関して調査

介護保険制度において、介護報酬は3年ごとに改定されている。その改定の効果を検証するために、その改定の年度から次期改定の前年度にかけて、厚労省は、介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査を実施している。実際にその調査の設計、結果の検証を行うのは、社会保障審議会介護給付費分科会(以下、介護給付費分科会)の介護報酬改定検証・研究委員会(以下、委員会)である。その結果を踏まえて、介護給付費分科会で次期改定に向けての議論を行うことになる。

その一環として、令和3年度には、

  1. ・介護医療院におけるサービス提供実態等に関する調査研究事業、
  2. ・LIFEを活用した取組状況の把握および訪問系サービス・居宅介護支援事業所におけるLIFE の活用可能性の検証に関する調査研究事業、
  3. ・文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減に関する調査研究事業、など、4本の調査を実施した。

令和4年3月7日に開催した委員会では、それぞれの調査の結果について検証し、報告書(案)をまとめた。また、それらについて、同月17日に開催した介護給付費分科会で報告した。

介護医療院の開設主体は9割が医療法人

まず、介護医療院におけるサービス提供実態等に関する調査研究事業では、その現状・実態について調べた。介護医療院は、介護療養型医療施設が経過措置として存続できる期限が令和6年3月末までであることを踏まえて、その主要な移行先として平成30年度介護報酬改定において創設された。介護医療院には類型としてⅠ型(重篤な身体疾患を有する者や身体合併症を有する認知症高齢者などが利用)、Ⅱ型(容体が比較的安定した者が利用)があるが、いわゆる悉皆調査として、令和3年6月末時点での事業所名簿(厚労省)に基づき、すべての事業所(597)に調査票を郵送し、279事業所から回収した(回収率48.4%、有効回収率48.2%)。

それによると、介護医療院(回答数278)の開設主体は、医療法人が90.3%を占めている。その類型としては、Ⅰ型が71.2%、Ⅱ型が25.9%となっている(無回答2.9%)。併設医療機関については、Ⅰ型では85.9%が病院を併設、Ⅱ型では36.1%が無床診療所、34.7%が病院、22.2%が有床診療所を併設している。実施している居宅介護サービス(複数回答)は、短期入所療養介護が77.3%、通所リハビリテーションが46.8%である。

介護医療院に移行・開設する前の施設は「介護療養型医療施設(病院)(療養機能強化型A)」が35.3%で最も多い。移行に際して既存の建物をそのまま活用した割合は48.6%、改修工事を行ったのが42.1%。また、令和2年度以降に開設した施設(135)において、開設に向けた準備(複数回答)としては「家具・パーテーション等を購入」が80.4%で最も多く、以下、「他施設の視察等」40.7%、「内装を変更」29.6%などとなっている。

介護医療院の開設を決めた理由は「ふさわしい患者が多い」など

介護医療院の開設を決めた理由(複数回答)としては、「自院には介護医療院にふさわしい患者が多い」(71.2%)、「移行定着支援加算に魅力を感じた」(42.8%)、「病院からの退院先となる場合は自宅等として取り扱われることに魅力を感じた」(41.4%)などが比較的多い。また、介護医療院の開設にあたっての課題・困難(複数回答)については「入所者や家族への説明」(44.2%)、「入所者にとっての生活の場となるような配慮」(39.2%)などが挙げられている。

介護医療院に移行してよかったこと(複数回答)としては、「経営面でプラスとなった」が38.1%で最も多く、次いで、「ケアへの意識が変わった」25.9%。その詳細は下表のとおりで、介護医療院に移行することが、少なくとも介護療養型医療施設などに留まるよりも、経営や介護の質の面からもプラスとなっていることがわかる。

介護医療院へ移行してよかったこと(複数回答、回答数278)

経営面でプラスとなった 38.1%
ケアへの意識が変わった 25.9%
入所者・家族が生活の場として感じてくれるようになった 21.2%
施設全体の雰囲気が良くなった 17.3%
稼働率が上がった 14.4%
ターミナルケアが充実した 13.3%
移行前と比較し看護職員の配置・勤務状況が改善した 7.9%
入所者の家族との交流機会が増えた 7.6%
職員がやりがいを感じるようになった 7.6%
地域との交流機会が増えた 4.3%
移行前と比較し介護職員の配置・勤務状況が改善した 4.0%
その他 5.0%
特になし 21.9%
無回答 2.5%
  1. 出典:厚生労働省「介護医療院におけるサービス提供実態等に関する調査研究事業(報告書)」

令和3年10月時点での介護療養型医療施設の移行先は45%が介護医療院

介護療養型医療施設は、経過措置として令和6年3月末までは存続できるが、同年4月1日には何らかのものに移行する必要があり、移行しない場合は廃止となる。今回はそれを踏まえて、令和3年10月1日現在で介護療養型医療施設である132施設(4,049病床)に対して、令和6年4月1日時点での移行予定についても調査している。

それによると、介護医療院への移行が45.1%(うちⅠ型26.6%、Ⅱ型18.5%)で、ほぼ半数を占めている。また、「病院・診療所の病床」が24.4%で、保険制度として介護保険ではなく医療保険のほうに移行する予定の施設も1/4ほどある。一方で、「未定」が27.1%あり、これらの施設については今後、何らかの意思決定が求められることになる。

LIFE活用のため科学的介護推進体制加算などが新設

令和3年度介護報酬改定で、介護サービスの質の評価と科学的介護を推進することで、介護サービスの質の向上を図るという観点から、施設系サービス、通所系サービス、居住系サービス、多機能系サービスそれぞれにおいて、科学的介護推進体制加算などが新設された。これは、入所者・利用者ごとにADL値、栄養状態、口腔機能など心身の状況に関する基本的な情報を厚労省の介護関係のデータベースであるLIFEに入力・提出、またLIFEからフィードバックを受けた情報を活用し、例えばサービス計画を見直すなど、PDCAサイクルを回していくことを評価する加算である。

LIFEを活用した取組状況の把握および訪問系サービス・居宅介護支援事業所におけるLIFEの活用可能性の検証に関する調査研究事業での調査は、特にリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養などの多職種連携においてLIFEを活用した取り組みの状況を把握するとともに、LIFEのさらなる活用に向けた課題を検討することを、主な目的としている。

調査は、LIFE登録済事業所から無作為抽出した4,993事業所、LIFE未登録事業所から無作為抽出した2,502事業所を対象に、令和3年10~12月にアンケート調査とヒアリング調査を行い、有効回収率はそれぞれ43.5%、45.1%であった。また、それとは別に、訪問介護事業所、訪問看護事業所、居宅介護支援事業所を対象に、LIFEを活用したPDCAサイクルの推進についてモデル的に調査を実施し、LIFE導入における課題なども検証した。

LIFE活用でアセスメントの頻度・方法が統一された

それによると、LIFE登録済事業所(回答数2,155)において、LIFEの活用がケアの一連の活動(介護過程の展開)において役立った点(複数回答)については、「LIFEに利用者のデータを入力し管理することで、利用者の状態や課題を把握しやすくなった」が34.8%で、最も多かった。また、「LIFEを活用した取組を通じて、利用者のアセスメント頻度が統一された」(23.9%)、「LIFEを活用した取組を通じて、利用者のアセスメント方法が統一された」(23.3%)など、アセスメントの頻度・方法が統一されたことが役立ったとする回答も比較的多い。

その他、回答の詳細は下表のとおりである。

LIFEを活用することで、ケアの一連の活動のプロセスの中で役に立った点(回答数:2,155)

ケアの結果を議論する組織体等を設けた(又は組織体を明確化した) 5.0%
ケアの質の向上に関する方針を策定した 7.7%
ケアの質の向上に関する方針を施設内で周知した 12.6%
ケアの質の向上に関する必要な文書を作成した 6.3%
LIFEを活用した取組を通じて、利用者のアセスメント方法が統一された 23.3%
LIFEを活用した取組を通じて、利用者のアセスメント頻度が統一された 23.9%
LIFEを活用した取組を通じて、全利用者のアセスメントを実施するようになった 19.7%
LIFEへのデータ提出のためのアセスメントの結果、アセスメントの結果利用者の問題点・課題が明らかになった 17.7%
LIFEに利用者のデータを入力し管理することで、利用者の状態や課題を把握しやすくなった 34.8%
LIFEにアセスメントデータが一元管理されることで、多職種での情報連携がしやすくなった 14.8%
LIFEへのデータ提出を通じて、利用者の経時的な状態変化等を分析するようになった(分析する予定) 16.5%
ケア計画の見直しにむけた指標(KPI)を設定した 0.9%
その他 1.5%
現時点では上記のいずれにも当てはまらない 33.1%
  1. 出典:厚生労働省「LIFEを活用した取組状況の把握および訪問系サービス・居宅介護支援事業所におけるLIFEの活用可能性の検証に関する調査研究事業(本編)(報告書)」

LIFE未登録事業所の2/3が今後LIFE活用の意向

 LIFE未登録事業所(回答1,075)での今後のLIFE活用の意向については、「活用したい(アカウント申請済み)」(43.7%)、「活用したい(アカウント申請予定)」(23.8%)を合わせると67.5%となり、今後、LIFEを活用する事業所が増える見込みである。一方、「活用したいと思わない」とする回答が32.5%あり、その理由について多いのは「データを入力する職員の負担が大きい」(63.8%)である。

そのデータ入力の負担に関して、ヒアリング調査では「LIFEへのデータ入力・登録の課題」として、例えば次のようなことが挙げられている。

  1. ・各計画書などの書式にADL状況や、病名など重複する項目があるので、どこか一つになるといい(入力の簡略化をしてほしい)。
  2. ・システムの初期設定が大変複雑で設定方法が理解できない方もいるのではないかと感じた。もっと、容易に扱えるシステムにしてほしい。
  3. ・個々の状態により、選択肢のみでは表せない状況もある。選択肢でしかデータ集計できないのであれば、様々なパターンを想定した選択肢を用意して欲しい。

それらの指摘について今後、LIFEに入力するためのソフトウエアの改良で対応できれば、LIFE登録事業所がさらに増えることが期待される。

ペーパーレス化を進めるにはパソコン・ソフトの苦手意識の解消が必要

令和3年度介護報酬改定では、介護職員の処遇改善、職場環境の改善の一環として、文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進が打ち出された。そのために、介護保険制度において、①利用者への説明・同意に係る見直し、②運営規程等における従業者の員数の記載や変更届出の明確化、③記録の保存等に係る見直し、④運営規程等の重要事項の掲示に係る見直し――などが行われた。

文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減に関する調査研究事業では、訪問介護、訪問看護、地域密着型通所介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、居宅介護支援の各事業所から無作為抽出し、上記①~④に関して調査票を用いた郵送調査を実施し、3,584の事業所から回答を得た(回収率59.7%)。また、それを補足するためにインタビュー調査も行った。

その郵送調査によると、ペーパーレス化を進めていくために必要なことについては、回答のあった事業所全体でみると、「パソコンやソフトに対する職員の苦手意識の解消、職員への研修等」(最多は「認知症対応型共同生活介護」で78.0%)、「ペーパーレス化のためのシステムの導入」(最多は「介護老人保健施設」で68.9%)、「パソコンやソフト、システム等の導入のための費用補助」(最多は「介護老人保健施設」で68.4%)などが比較的多かった。

インカムを使って音声入力なども

インタビュー調査では、効率化・省力化した具体的な事例が報告されている。

例えば、通所介護(10事業所以上運営)では、以前は契約書や計画書には手書きで署名・押印をしていたが、電子署名ができる介護ソフトを導入し、契約手続きを効率化した。

認知症対応型共同生活介護(9事業所運営)では、以前は直接的なケアから離れて記録していたが、ケアをしながら合間にインカム(マイク付きのヘッドセットで使う無線通信機器)を用いて文字入力(音声入力)をし、記録業務を効率化している。この場合、例えば「サンカク」と言えば「大便」に文字変換するなど、隠語が使えるため、利用者の前で音声入力が可能となる。

なお、認知症対応型共同生活介護においては、体温計や血圧計ではブルートゥース(近接通信機能)を利用して測定結果を自動入力するなど、効率化・省力化に向けてさまざまなアプローチがあることが示唆されている。