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厚労省が令和3年度介護報酬改定の内容を告示
「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」で法的枠組み 2021.5.10福祉・介護

厚生労働省(厚労省)は令和3年3月15日、同3年度介護報酬改定の内容について告示した。また、同省は同日から同月末にかけて、種々の通知の発出、いわゆるQ&Aを含む事務連絡を行った。それらにより、令和3年度介護報酬改定の具体的な内容が明らかになった。同改定では、多発する自然災害や新型コロナウイルス感染症の流行を背景に、介護施設・事業所に対して業務継続計画策定を義務づけたのが、大きな特徴となっている。

ポイント

  • 改定率は+0.70%、うち+0.05%は新型コロナ対応の特例的評価
  • 多発する自然災害、感染症流行への対策を重視
  • 3年間の経過措置を設けたうえで、業務継続計画(BCP)策定を義務づけ

介護保険部会の意見書に基づき介護保険法など改正

介護報酬改定は3年ごとに実施されていて、改定の方向や大枠については、社会保障審議会介護保険部会(以下、介護保険部会)が審議し、「介護保険制度の見直しに関する意見」(以下、意見書)としてまとめている。具体的な内容については同審議会介護給付費分科会が審議しているが、改定率は政府が決定する。政府は、意見書に基づいて、介護報酬改定の前年に介護保険法などを改正し、新たな枠組み作りのための法的な整備をしている。

政府は令和2年12月17日、同3年度予算の大臣折衝を踏まえて、同3年度の介護報酬改定の改定率を+0.70%とすることを決めた。うち+0.05%は新型コロナウイルス感染症に対応するため令和3年9月末までの間の特例的な評価である。この実際の方法としては、すべてのサービスについて令和3年4月から9月末までの間、基本報酬に0.1%上乗せする(年間を通すと+0.05%)。したがって、実質的な改定率は+0.65%と見ることができる。

 政府は、令和元年12月27日に介護保険部会が取りまとめた意見書に基づき、同2年の通常国会に「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律(案)」を提出、成立させた。同法律の柱は、次のとおりである。

  1. (1)地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援
  2. (2)地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進
  3. (3)医療・介護のデータ基盤の整備の推進
  4. (4)介護人材確保および業務効率化の取組の強化
  5. (5)社会福祉連携推進法人制度の創設

その法律の題名に「社会福祉法等」とあるように、介護保険法の改正も含まれていて、上記の(2)(3)(4)などが令和3年度介護報酬改定の法的な枠組みを作っている。

また、令和3年度介護報酬改定に限っては、令和元年の通常国会で成立した「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」も反映したものとなっている。例えば、同法律の柱の1つが、 医療保険レセプト情報等のデータベース(NDB)と介護保険レセプト情報等のデータベース(介護DB)の連結解析を可能とすることで、このような法的整備を背景に、令和3年度介護報酬改定において自立支援・重度化防止の取組を打ち出すことができた(後述)。

それらの法的枠組みも踏まえて介護給付費分科会が令和3年度介護報酬改定の具体的な内容について審議し、令和3年1月18日に、厚生労働大臣に答申した。この答申の内容については、約1カ月にわたり、パブリックコメントとして意見の募集が行われたが、事実上、同日で令和3年度介護報酬改定の内容が決まったといえる。

自然災害や新型コロナウイルス感染症への対応力を強化

令和3年度介護報酬改定の具体的内容は、厚生労働大臣が令和3年3月15日、「介護保険法施行規則第百四十条の六十三の六第一号に規定する厚生労働大臣が定める基準」(厚生労働省告示第71号)、「介護保険法施行規則第百四十条の六十三の二第一項第一号に規定する厚生労働大臣が定める基準」(同72号)、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」(同73号)、「厚生労働大臣が定める地域第六号の規定に基づき厚生労働大臣が定める地域」(同74号)などとして告示した。

今回の介護報酬改定の柱は、①感染症や災害への対応力の強化、②地域包括ケアシステムの推進、③自立支援・重度化防止の取組、④介護人材の確保・介護現場の革新、⑤制度の安定性・持続可能性の確保―などである。また、それらの柱の多くは「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」を反映したものでもある。ただし、①の「感染症や災害への対応力の強化」は介護保険部会の意見書でまったく言及されていなかった。しかし、これが令和3年度介護報酬改定の柱の1番目であり、最も重視されている事項であるといえる。この背景には、令和元年から2年にかけて台風や地震による自然災害が相次いだこと、令和2年のはじめから新型コロナウイルス感染症の流行が続いていること、などがある。

厚労省がBCPのガイドラインを公表

まず、令和3年度介護報酬改定の1番目の柱である「感染症や災害への対応力の強化」として、感染症や災害が発生しても必要なサービスを継続して提供できるようにするために、3年の経過措置期間を設けたうえで、すべての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画(Business Continuity Plan、BCP)の策定、それに関する研修・訓練(シミュレーション)の実施などを義務づける。また、同様の経過措置期間を設けたうえで、感染症の発生やまん延などに関する取組を徹底するため、施設系サービスについては、現在義務づけられている委員会の開催、指針の整備、研修の実施に加えて、訓練(シミュレーション)の実施を義務づける。施設系以外のサービスについては委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練の実施(シミュレーション)などを新たに義務づける。

BCPについては、経過措置があるものの、全事業者が、自然災害発生時のBCP(以下、自然災害BCP)、新型コロナウイルス感染症発生時のBCP(以下、感染症BCP)の2種類を策定する必要がある。また、すでに、厚労省が、自然災害BCPと感染症BCPを作成するためのガイドラインを公表している。(下表参照)

介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン

  1. 1.はじめに
  2. 1-1.ガイドライン作成のねらい
  3. 1-2.本書の対象(施設・事業所単位)
  4. 1-3.ガイドラインの利用方法
  5. 2.BCPの基礎知識
  6. 2-1.業務継続計画(BCP)とは
  7. 2-2.介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)について
  8. 2-3.防災計画と自然災害 BCP の違い
  9. 2-4.介護サービス事業者に求められる役割
  10. 3.自然災害 BCP の作成、運用のポイント
  11. 3-1.BCP 作成のポイント
  12. 3-2.自然災害 BCP の全体像
  13. 3-2-1.自然災害発生に備えた対応・発生時の対応(共通事項)
  14. 3-2-2.自然災害発生に備えた対応・発生時の対応(通所サービス固有事項)
  15. 3-2-3.自然災害発生に備えた対応・発生時の対応(訪問サービス固有事項)
  16. 3-2-4.自然災害発生に備えた対応・発生時の対応(居宅介護支援サービス固有事項)
  1. (参考:複合災害対策~新型コロナウイルス感染症流行下における自然災害発生時の対策の考え方~)

感染症BCP、自然災害BCPを策定することについては直接的に介護報酬が出るわけではないが、新型コロナウイルス感染症の流行が続いていることを踏まえて、報酬上の特例的な対応も導入されている。具体的には、通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護において、新型コロナウイルス感染症などの影響で月間の利用者数が一定程度減少した場合、加算をするなどの方法で、介護報酬の減少を緩和する。

認知症への対応力向上として認知症専門ケア加算の新設など

令和3年度介護報酬改定の2番目の柱である「地域包括ケアシステムの推進」としては、認知症への対応力向上、看取りへの対応の充実、医療と介護の連携の推進、などに取り組む。

まず、認知症への対応力向上として、訪問介護、訪問入浴介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など訪問系サービスに対して、認知症専門ケア加算を新設する。また、緊急時の宿泊ニーズに対応するため、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護に対して、認知症行動・心理症状緊急対応加算を新設する。

看取りへの対応の充実として、短期入所療養介護、居宅介護支援、居住系サービス、施設系サービスなどでは、いわゆる「人生会議」を開くなど、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」などの内容に沿った取組を行うことを求める。

医療と介護の連携の推進として、医師や歯科医師による居宅療養管理指導では、利用者の社会生活面の課題にも目を向け、地域社会におけるさまざまな支援につながるように、関連する情報をケアマネジャーなどに提供することを、努力義務とする。また、医師・歯科医師以外の薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士が居宅療養管理指導を行う際にも、さまざまな支援につながるように情報を把握し、医師や歯科医師に情報提供するよう努める。

データベースを活用して質の高い介護サービスを提供

3番目の柱である「自立支援・重度化防止の取組」については、データなどを活用しながら科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスを提供していく。そのための仕組みとして、通所・訪問リハビリテーションの質を評価するデータを収集しているデータベース「CHASE」(チェイス)、高齢者の状態・ケアの内容などを収集しているデータベース「VISIT」(ヴィジット)を活用する。

具体的には、施設系サービス(介護療養型医療施設除く)、通所系サービス、多機能系サービス、居住系サービスに対して科学的介護推進体制加算を創設し、事業所側がすべての利用者に係るデータ(ADL、栄養、口腔・嚥下、認知症等)をCHASEに提出。そこからのフィードバックを踏まえて事業所単位でPDCAサイクルを推進し、ケアの質の向上に取り組む。また、CHASEとVISITを一体的に運用することとし、その名称をLIFE(Long-term care Information system For Evidence、ライフ)とする。

また、介護老人福祉施設(地域密着型含む)、介護老人保健施設、介護医療院において、自立支援促進加算を新設する。これは、すべての入所者に対してリハビリテーションや日々の過ごし方などについて評価し、医師、ケアマネジャー、介護職員などによる会議で、自立支援計画を策定。また、CHASE(LIFE)にデータを提出し、そのフィードバックを踏まえて、PDCAサイクルにおいて自立支援計画を見直すことなどを評価するものである。

ICT・見守り機器などの活用で夜勤職員の要件を緩和

4番目の柱である「介護人材の確保・介護現場の革新」については、処遇改善、ICTの活用が中心となる。

ICTの活用の一環として、介護老人福祉施設などにおいて見守り機器を導入した場合、夜間の人員配置の基準を緩和する。例えば、入所者に占める見守り機器の導入割合が100%で、夜勤職員全員がインカム(ヘッドセットを装着して会話ができる通信機器)などを使用している場合について、夜勤職員の配置要件を従前の3分の2に緩和する。ただし、それについては、介護給付費分科会の委員から、「夜間の職員が少なくなるので、かえって忙しくなる」、「安全性に問題はないか」といった指摘も出ており、次期改定に向けて何らかの検証がされることになりそうだ。

また、運営基準や加算の要件となっている会議について、対面ではなくテレビ電話などを活用して実施することも認める。

5番目の柱である「制度の安定性・持続可能性の確保」では、必要なサービスは確保しつつ適正化・重点化を図るという観点から、夜間対応型訪問介護のオペレーションサービス部分、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問看護、長期利用の場合の介護予防訪問リハビリテーションや介護予防通所リハビリテーション、介護療養型医療施設の基本報酬などについて引下げが行われた。また、ⅠからⅤまで5段階になっている介護職員処遇改善加算について、1年間の経過措置を設けたうえで、同加算(Ⅳ)と(Ⅴ)を廃止する。

なお、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価は令和3年4月から9月末までの間とされているが、同感染症の流行の状況によっては、それが延長される可能性もある。