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令和2年度介護事業経営実態調査結果まとまる
新型コロナウイルス感染症の経営への影響に関する調査結果も報告 2020.11.11福祉・介護

 厚生労働省(厚労省)は令和2年10月30日、社会保障審議会介護給付費分科会において、令和2年度介護事業経営実態調査結果を報告した。それによると、各介護サービスにおける令和元年度決算での収支差率は、全サービス平均では2.4%だが、前年度と比べると0.7ポイント低下している。その主な要因は、給与費割合の上昇である。併せて、同省は、新型コロナウイルス感染症の介護サービス事業所等の経営への影響に関する調査研究事業(速報)」などついても報告した。

ポイント

  • 令和元年度の収支差率は平均2.4%、前年度比0.7ポイント低下
  • 収支差率低下の主な要因は人件費割合の上昇
  • 新型コロナウイルス感染症が特に通所系サービスの経営に影響

実態調査と概況調査で3年間の決算を把握

厚労省は介護施設・事業所の経営の状況を把握し、次期介護保険制度の改正と介護報酬改定に必要な基礎資料を得るため、介護事業所経営実態調査(以下、実態調査)、介護事業経営概況調査(以下、概況調査)を実施している。それらのうち実態調査は、介護報酬改定後3年目の5月に、同改定後2年目の1年分の経営状況(決算)を把握するために実施するもので、次期介護報酬改定に向けて直近の基礎資料として使われる。概況調査は、介護報酬改定後2年目の5月に行うもので、同改定前後の2年分の経営状況(決算)を把握するため実施するもので、実態調査と比べると抽出率が半分程度で、簡易な調査になっている。

令和2年度実態調査は、令和元年度決算を把握するため、令和2年5月に実施した。3万1,773施設・事業所を対象に調査対象サービスごとに層化無作為抽出法により1月1日~20日で抽出し、1万4,376施設・事業所からの回答を得た(有効回答率45.2%)。これと前年度を比較する場合、平成30年度介護報酬改定の後、令和元年10月に消費税率引き上げに対応して介護報酬改定(+0.39%)が行われており、年度間の比較には留意が必要である。

実態調査および概況調査によると、全サービスの収支差率(加重平均)は、令和元年度決算においては2.4%で、前年度(平成30年度)に比べて0.7ポイント低下している。(下表参照)

令和2年度介護事業経営実態調査結果の概要
各介護サービスにおける収支差率

サービスの種類 令和元年度
概況調査
令和2年度実態調査
平成30年度
決算
令和元年度
決算
対30年度
増減
施設サービス( )内は税引後収支差率
介護老人福祉施設 1.8%
(1.8%)
1.6%
(1.6%)
△0.2%
(△0.2%)
介護老人保健施設 3.6%
(3.4%)
2.4%
(2.2%)
△1.2%
(△1.2%)
介護療養型医療施設 4.0%
(3.2%)
2.8%
(2.3%)
△1.2%
(△0.9%)
介護医療院 - ※5.2%
(※4.7%)
-
居宅サービス ( )内は税引後収支差率
訪問介護 4.5%
(4.1%)
2.6%
(2.3%)
△1.9%
(△1.8%)
訪問入浴介護 2.6%
(1.2%)
3.6%
(2.7%)
+1.0%
(+1.5%)
訪問看護 4.2%
(4.0%)
4.4%
(4.2%)
+0.2%
(+0.2%)
訪問リハビリテーション 3.2%
(2.6%)
2.4%
(1.9%)
△0.8%
(△0.7%)
通所介護 3.3%
(2.8%)
3.2%
(2.9%)
△0.1%
(+0.1%)
通所リハビリテーション 3.1%
(2.6%)
1.8%
(1.4%)
△1.3%
(△1.2%)
短期入所生活介護 3.4%
(3.3%)
2.5%
(2.3%)
△0.9%
(△1.0%)
特定施設入居者生活介護 2.6%
(1.3%)
3.0%
(1.9%)
+0.4%
(+0.6%)
福祉用具貸与 4.2%
(3.4%)
4.7%
(3.5%)
+0.5%
(+0.1%)
居宅介護支援 △0.1%
(△0.4%)
△1.6%
(△1.9%)
△1.5%
(△1.5%)
地域密着型サービス ( )内は税引後収支差率
定期巡回・随時対応型訪問 介護看護 8.7%
(8.5%)
6.6%
(6.0%)
△2.1%
(△2.5%)
夜間対応型訪問介護> ※5.4%
(※5.3%)
※2.5%
(※2.0%)
△2.9%
(△3.3%)
地域密着型通所介護 2.6%
(2.3%)
1.8%
(1.5%)
△0.8%
(△0.8%)
認知症対応型通所介護 7.4%
(7.2%)
5.6%
(5.4%)
△1.8%
(△1.8%)
小規模多機能型居宅介護 2.8%
(2.5%)
3.1%
(2.9%)
+0.3%
(+0.4%)
認知症対応型共同生活介護 4.7%
(4.4%)
3.1%
(2.7%)
△1.6%
(△1.7%)
地域密着型特定施設入居者 生活介護 1.5%
(1.2%)
1.0%
(0.6%)
△0.5%
(△0.6%)
地域密着型介護老人福祉施設 2.0%
(2.0%)
1.3%
(1.3%)
△0.7%
(△0.7%)
看護小規模多機能型居宅介護 5.9%
(5.6%)
3.3%
(3.1%)
△2.6%
(△2.5%)
全サービス平均 ( )内は税引後収支差率 3.1%
(2.8%)
2.4%
(2.1%)
△0.7%
(△0.7%)
  1.    収支差率 =(介護サービスの収益額 - 介護サービスの費用額)/ 介護サービスの収益額
  2.  ・ 介護サービスの収益額は、介護事業収益と借入金利息補助金収益の合計額
  3.  ※ 介護事業収益は、介護報酬による収入(利用者負担分含む)、保険外利用料収入、補助金収入(運営費に係るものに限る)の合計額
  4.  ・ 介護サービスの費用額は、介護事業費用、借入金利息及び本部費繰入(本部経費)の合計額
  5. 注1:収支差率に「※」のあるサービスについては、集計施設・事業所数が少なく、集計結果に個々のデータが大きく影響していると考えられるため、参考数値として公表している。
  6. 注2:全サービス平均の収支差率については、総費用額に対するサービス毎の費用額の構成比に基づいて算出した加重平均値である。
  7. 出典:社会保障審議会介護給付費分科会資料(令和2年10月30日)

令和元年は居宅介護支援だけが赤字

各サービスについて令和元年度の収支差率を見ると、マイナス(赤字)であるのは居宅介護支援(ケアマネジメント)のマイナス1.6%だけで、それ以外のサービスはすべてプラス(黒字)であった。その収支差率が最も大きかったのは定期巡回・随時対応型訪問介護看護で6.6%、次いで認知症対応型通所介護の5.6%となっている。平成30年度介護報酬改定において創設された介護医療院の収支差率が5.2%で比較的大きいが、これについては集計施設・事業所が少ないため「参考数値」の扱いとなっている。

ただし、多くのサービスにおいて、前年度と比較して黒字幅が小さくなっている。そのような状況において黒字幅が拡大、つまり経営が改善したのは、訪問入浴介護(前年度比1.0ポイント増)、福祉用具貸与(同0.5ポイント増)、特定施設入居者生活介護(同0.4ポイント増)、小規模多機能型居宅介護(同0.3ポイント増)、訪問看護(同0.2ポイント増)だけであった。一方、黒字幅の落ち込みが比較的大きいのは、夜間対応型訪問介護(同2.9ポイント減=参考値)、看護小規模多機能型居宅介護(同2.6ポイント減)だが、いずれの収支差率も全サービス平均(2.4%)以上であり、経営が厳しい状態になっているとまではいえない。

必要な処遇改善で給与費割合が増加か

令和元年度実態調査で全サービス平均の収支差率が0.7ポイント低下した主な要因として、収入に対する給与費の割合(以下、給与費割合)が上昇したことが挙げられる。具体的には、令和元年度実態調査で取りまとめられた調査対象となった23の介護サービスのうち、比較するデータのない介護医療院を除いた22の介護サービスにおいて、前年度よりも給与費割合が増加したのが16、同割合が減少したのが5、変化のないのが1となっている。例えば、黒字幅の落ち込みが大きかった夜間対応型訪問介護(前述)については給与費割合が6.1ポイントと大きく増加している。

そのように給与費割合が上昇した背景として介護職員の処遇改善があり、さらには職種間のバランスをとるために介護職員以外の給与の引き上げも行われていることが、推測される。例えば、厚労省が10月30日、社会保障審議会介護給付費分科会で併せて報告した令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、令和元年10月に創設された介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)を取得している施設・事業所の介護職員(月給・常勤)の令和2年2月の平均給与額は前年同月比で1万8,120円増の32万5,550円、勤続年数10年以上の介護福祉士(月給・常勤)について同様に比較すると2万740円増の36万6,900円となっている。

実際、そのようにしなければ介護業界に人材を集めるのが困難である、という社会的状況もある。

収支状況は5月と比べて8月には若干の改善か

 併せて厚労省が報告した「新型コロナウイルス感染症の介護サービス事業所の経営への影響に関する調査研究事業(速報)」は、令和2年10月14~21日、全国の介護サービス事業所などを対象に経営への影響についてアンケート調査を行い、2万6,070件の回答をまとめたものである。それによると、収支状況は新型コロナウイルス感染症の流行前と比べて、令和2年5月では「悪くなった」が47.5%、「変わらない」が40.4%。それが同10月では「悪くなった」が32.7%、「変わらない」が46.4%となっていて、若干の改善が見られている。

それをサービス別に見ると、5月の段階では通所系サービスで「悪くなった」と回答した割合が比較的高く、例えば通所リハビリテーションで80.9%、通所介護で72.6%となっていた。しかし、10月の時点では、「悪くなった」と回答した割合が最も高いのは介護老人保健施設の50.2%である。

なお、国民健康保険中央会(国保中央会)の「介護給付費の状況」によると、医療型ショートステイとも呼ばれる短期入所療養介護(老健)の保険給付額の前年同月比が令和2年3月にマイナスに転じ、5月にはマイナス34.6%、6月にはマイナス25.9%と大きな落ち込みを見せており、これをもって「悪くなった」と回答している介護老人保健施設も多い、と推測される。