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改正薬機法が令和4年5月20日公布、緊急承認制度が同日施行
令和5年1月からの電子処方箋の運用に向けて法整備も 2022.07.01健康・医療医療のICT化

令和4年の通常国会で成立した「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(以下、改正薬機法)が同年5月20日に公布された。改正薬機法は、①緊急時に新たな医薬品等を速やかに薬事承認する仕組み(緊急承認制度)の整備、②電子処方箋の仕組みの整備――を柱とし、ワクチンなどを想定した緊急承認制度は公布と同時に施行した。また、電子処方箋の仕組みの整備とは、処方箋の交付に関して医師法、歯科医師法などを改正するもので、令和5年2月までに施行される。

ポイント

  • 緊急承認制度は、安全性の確認を前提に有効性が推定された段階で迅速に薬事承認
  • 支払基金と国保連の業務に電子処方箋管理業務を追加
  • 医師法等を改正し、電子処方箋の発行も患者等に処方箋を交付したとみなす

改正薬機法は緊急承認制度、電子処方箋の仕組みが柱に

薬機法(旧・薬事法)は施行後5年を目途とした見直しが行われることになっていて、それに基づく薬機法の改正が令和元年に行われている。今回の改正薬機法は、それとは別の臨時的な改正で、背景には新型コロナウイルス感染症の流行などがある。改正薬機法(案)の提案理由について、令和4年4月1日に開催された衆議院・厚生労働委員会で、後藤茂之厚生労働大臣は次のように説明した。

感染症に対する我が国の危機管理強化の観点から、緊急時において、治療薬やワクチンをはじめとする医薬品等を速やかに国民に届けるとともに、非接触型の医療提供を行うに当たり必要となる処方箋の電子化を図ることにより、国民の生命および健康に重大な影響を与える恐れがある疾病の蔓延等による健康被害の拡大を防止することが必要である。こうした状況を踏まえ、緊急時に新たな医薬品等を速やかに薬事承認する仕組みを整備するとともに、処方情報および調剤情報の即時的な一元管理を可能とする電子処方箋の仕組みを整備するため、この法律案を提出した。

また、改正薬機法(案)の概要について、次のように説明した。

第1に、緊急時において、国民の生命および健康に重大な影響を与える恐れがある疾病の蔓延等による健康被害の拡大を防止するため、緊急に使用されることが必要な医薬品等について、同医薬品等の使用以外に適当な方法がない場合に、安全性の確認を前提として、有効性が推定されたとき、その適正な使用の確保のために必要な条件や期限を付した上で迅速に薬事承認を与える仕組みである「緊急承認制度」を創設する。

第2に、薬局に対して迅速に処方箋を伝達するとともに、重複投薬や併用禁忌の回避等による質の高い医療サービスの提供、医療機関-薬局-患者といった関係者間でのコミュニケーションの促進等を実現するため、医師等が電子処方箋を提供できる仕組みを創設する。併せて、社会保険診療報酬支払基金等が行う電子処方箋関連業務に関する業務規定の整備等を行う。

電子処方箋に関する条項は令和5年2月1日までに施行

改正薬機法は令和4年5月13日に成立、同月20日に公布された。その要点は下表のとおりである。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律 概要

  1. 1.緊急時の薬事承認【医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律】
  2. 緊急時の迅速な薬事承認を可能とするため、以下の仕組みを新たに整備する。
  3. ①適用対象となる医薬品等の条件
  4. ○国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するために緊急に使用されることが必要な医薬品等について、他に代替手段が存在しない場合とする。
  5. ②運用の基準
  6. ○安全性の確認を前提に、医薬品等の有効性が推定されたときに、薬事承認を与えることができることとする。
  7. ③承認の条件・期限
  8. ○有効性が推定された段階で承認を行うことから、承認に当たっては、当該承認の対象となる医薬品等の適正な使用の確保のために必要な条件及び短期間の期限を付すこととする。
  9. ④迅速化のための特例措置
  10. ○承認審査の迅速化のため、GMP調査、国家検定、容器包装等について特例を措置する。
  11. 2.電子処方箋の仕組みの創設【医師法、歯科医師法、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律等】
  12. ○医師等が電子処方箋を交付することができるようにするとともに、電子処方箋の記録、管理業務等を社会保険診療報酬支払基金等の業務に加え、当該管理業務等に係る費用負担や厚生労働省の監督規定を整備する。
  1. 資料:厚生労働省「第208回国会(令和4年常会)提出法律案」

それらのうち、緊急時の薬事承認(緊急承認制度)に関する条項は5月20日の公布とともに施行された。また、電子処方箋の仕組みの創設に関する条項は、令和5年2月1日までに施行することになっている。これは、厚労省が令和5年1月を目途に電子処方箋の運用を始めるとしていることを踏まえての法的な対応である。

緊急承認制度は現行の特例承認制度と比べて早く薬事承認ができる

緊急承認制度は、安全性の確認を前提に有効性が推定された段階で条件と期限を付けて迅速に薬事承認を与える仕組みである。それは薬事関係において前例のない規定・仕組みではなく、再生医療等の製品の条件や期限付承認の規定を倣ったものとなっている。

令和2年から流行が始まった新型コロナウイルス感染症対策として、外国企業が開発した新型コロナワクチンについては特例承認制度を使って、それを承認した。しかし、それは日本と同水準の承認制度を有する国で流通している医薬品や医療機器等を迅速に承認するためのものであり、国内企業が世界に先駆けて開発した医薬品等の承認申請が行われた場合は適用できない。それでも、欧米先進国と比べてわが国では新型コロナワクチンの承認が遅かった。また、特例承認制度では、通常の薬事承認と同様に、有効性・安全性の確認が要件となっている。日本人での安全性・有効性を確認するためのデータが不十分な場合には、追加で国内治験を行わなければならないことも想定され、これが承認を遅らせることにもつながる。

そのような現状を踏まえて、緊急承認制度では、安全性の確認を前提に、有効性が推定された段階で迅速に薬事承認を行う仕組みとしている。それにより、特例承認制度と比べても、早く薬事承認ができ、早く使用できる、と考えられる。

その緊急承認の条件について、改正薬機法では次の3つを挙げている。

  1. ①国民の生命および健康に重大な影響を与える恐れがある疾病のまん延、その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品で、かつ当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと。
  2. ②申請に係る効能または効果を有すると推定されるものであること。
  3. ③申請に係る効能または効果と比べて、著しく有害な作用を有することにより医薬品として使用価値がない、と推定されるものでないこと。

緊急承認制度としての実際の承認について、令和4年3月31日に開催された衆議院・本会議で、岸田内閣総理大臣が「例えば、国内で開発された治療薬の場合において、第3相試験が完了していない段階の限定的なデータに基づいて承認の判断が可能な事例があると考えております」と答弁している。

その承認は限定的なデータに基づくために、市販後の安全対策を徹底することにしている。例えば、製造販売業者に対しては、医薬品のリスクに関する情報を収集するため、医薬品安全性監視計画を策定させる。その収集した情報は厚労省の審議会で専門家による評価を受け、安全対策措置を実施する。また、一定期間内に有効性が確認できないなど、その承認を維持することが適当でないことが判明した場合は、速やかに承認を取り消すことになっている。

オンライン資格確認等システムを拡張・活用して電子処方箋に対応

電子処方箋の仕組みは、厚労省のデータヘルス改革推進本部が令和3年6月に決定した「データヘルス改革に関する工程表」、それを踏まえて政府が同年12月に策定した「改革工程表2021」に基づき、準備が進められている。その仕組みは令和3年10月20日から本格運用が始まったオンライン資格確認等システムを拡張・活用するため、社会保険診療報酬支払基金(支払基金)と国民健康保険中央会(国保中央会)が電子処方箋管理サービスの実施主体になる。ただし、国民健康保険について実際に審査支払業務を行っているのは、国保中央会を構成する都道府県レベルの国民健康保険団体連合会(国保連)である。そのため、改正薬機法による法改正の対象は、運営側では支払基金と国保連(以下、支払基金等)となっている。

そこで、法律としては「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」を改正し、支払基金等の業務に、電子処方箋管理業務を追加した。また、その電子処方箋管理業務に要する費用については医療保険者、後期高齢者医療広域連合その他厚生労働省令で定めるものが負担する、と規定された。それについて、令和4年4月28日に開催された参議院・厚生労働委員会で、後藤厚生労働大臣が「電子処方箋制度は社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会が実施主体となり、その運営費用として毎年年間約9.1億円を保険者等に負担いただくことといたしている。その負担については、全ての加入者が利益を受けるとの考え方のもとで、加入者数に応じたものとする予定である」と説明している。

支払基金等への電子処方箋の提供が患者等への処方箋の交付とみなされる

電子処方箋の運用が令和5年1月から始まる予定だが、これは紙の処方箋か電子処方箋のどちらか一方のみを発行するという仕組みであり、電子処方箋だけしか発行されなくなる、というわけではない。また、電子処方箋を発行した場合は、患者本人にとってわかりやすいように、紙の控えを出す。いずれにしても、紙の処方箋と電子処方箋の両方を同時に発行するということはない。

その紙を想定した処方箋の発行(交付)について、現行の医師法第22条では「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない」と規定している。しかし、電子処方箋の場合は、直接的には「患者又は現にその看護に当つている者」ではなく、支払基金等に電子的に処方箋の情報を提供する形をとる。

そこで、医師法第22条に第2項を新設し、支払基金等に電子処方箋を提供した場合について、「患者又は現にその看護に当たつている者に対して処方箋を交付したものとみなす」とした。また、歯科医師法でも、同様の趣旨の改正を行った。それらの条項は、令和5年2月1日までに施行される。

なお、改正薬機法の成立に当たっては衆議院で19項目、参議院で16項目の附帯決議が行われたが、電子処方箋に関して、重複投薬の防止等の電子処方箋導入による効果を十分に発揮できるようにするため、電子処方箋の意義、効果を国民に周知するとともに、マイナンバーカードの健康保険証利用の促進に向けた措置を講ずること、といった趣旨の決議が衆参両院においてなされている。