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第15回「高齢者医薬品適正使用検討会」を開催
「病院におけるポリファーマシー対策の始め方とすすめ方」で最終報告 2022.06.01健康・医療

厚生労働省(厚労省)は令和4年4月13日、第15回「高齢者医薬品適正使用検討会」を開催し、同省の令和3年度の高齢者医薬品適正使用推進事業の最終報告として、業務手順書としても活用できる「病院におけるポリファーマシー対策の始め方と進め方」(以下、「始め方と進め方」)を実際に使用している3病院が、その成果や課題などについて報告し、その有効性・有用性が明らかになった。また、改善・検討すべき点もあることから、それらについては、令和4年度は厚労省が同検討会と相談しながら対応をする、という方向性で合意した。

ポイント

  • 始め方と進め方」はポリファーマシー対策のスタートアップツールとして、また、スタート後は業務手順書の整備のために作成
  • モデル事業を通して「始め方と進め方」は有用性・有効性があると評価
  • ポリファーマシー対策についての医師への説明資料の作成などが課題に

「始め方と進め方」には様式事例集も

厚労省は近年、ポリファーマシー対策を推進している。このポリファーマシーとは、単に服用する薬剤数が多いのみならず、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服用過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態をいう。また、ここでいう薬物有害事象とは、薬剤の使用後に発現する有害な症状または徴候であって薬剤との因果関係の有無を問わない。

そのポリファーマシー対策の一環として、同省は平成29年4月、高齢者医薬品適正使用検討会(以下、検討会)を設置。検討会では同30年5月、主に急性期病院を想定した「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」をまとめた。続いて、令和元年6月には、急性期以外の回復期・慢性期、外来・在宅医療、介護保険施設などを想定した「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」を取りまとめている。

また令和3年3月、ポリファーマシー対策の取組を始める際に、あるいは業務運用体制を体系的に構築・運営する際に活用する業務手順書と様式事例集として、「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」をとりまとめた。その構成は下表のとおりで、これからポリファーマシー対策を始める病院のスタートアップツールとしての活用を想定した「始め方」の章、ポリファーマシー対策をある程度進めている病院が業務手順書を整備するために活用する「進め方」の章に、大きく分かれている。

「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」の構成

  1. 第1章 ポリファーマシー対策の始め方
  2. 1.ポリファーマシー対策を始める前に
  3. (1) 院内の現状を把握する
  4. (2) 院内の理解を深める
  5. (3) 院外関係施設の理解を得る
  6. 2.身近なところから始める方法
  7. (1) 担当者を決める
  8. (2) 小規模から始める
  9. (3) 対象患者は対応可能な範囲で決める
  10. (4) 既にある仕組みやツールを活用する
  11. 3.ポリファーマシー対策を始める際の課題と対応策
  12. (1)「人員不足で、対象患者の抽出や、検討する時間を作れない」
  13. (2)「多職種連携が十分でない」
  14. (3)「お薬手帳がうまく活用されていない」
  15. (4)「ポリファーマシーであるかを判断することが難しい」
  16. (5)「医師が自科以外の処方薬を調整することが難しい」
  17. (6)「病態全体をとらえることが難しい」
  18. (7) 「見直し後の処方内容をかかりつけ医へフィードバックする体制が構築されていない」
  19. (8)「患者の理解が得られない」
  20. 第2章 ポリファーマシー対策の進め方
  21. 1.ポリファーマシー対策の体制づくり
  22. (1) ポリファーマシーの概念を確認する
  23. (2) ポリファーマシー対策の目的を確認する
  24. (3) 資料を取りそろえる
  25. (4) 運営規程をつくる
  26. (5) 人員体制をつくる
  27. (6) 地域包括ケアシステムを担う医療・介護関係者等との連携体制をつくる
  28. (7) ポリファーマシー対策の成果をモニタリングする
  29. (8) ポリファーマシー対策のデジタル化を進める
  30. (9) 費用について考慮する
  31. 2.ポリファーマシー対策の実施
  32. (1) 入院患者へ対応する
  33. (2) 外来患者へ対応する
  34. (3) 職員への啓発活動を行う
  35. (4) 医療機能による違いを考慮する
  36. 3. 様式事例集
  37. 第3章 本書の検討体制

藤田医科大学病院は対策を新たに導入する施設として取り組む

厚労省は令和3年度に、高齢者医薬品適正使用推進事業(以下、高齢者事業)として、藤田医科大学病院(1,376床、愛知県)、国立がん研究センター中央病院(578床、東京都)、三豊総合病院(462床、香川県)の3病院で「始め方と使い方」を実際に運用し、その有効性と課題を確認するとともに、学会発表などを通じてそれを周知する、といった取組を実施している。その3病院は、すでに令和3年11月に開催した検討会で中間報告を行っているが、今回はその最終報告である。

まず、藤田医科大学病院は、ポリファーマシー対策を新たに導入する施設という位置づけで、今回の高齢者事業に取り組む前はポリファーマシー対策について組織的な活動は実施していなかった。同事業に取り組むに当たって、薬剤部内にポリファーマシー対策チーム(以下、対策チーム)を設立するとともに、対策チームが中心となって、①持参薬評価報告書の改訂、②病棟薬剤師との連携、③医師(腎臓内科)との連携、④医療専門チームと病棟薬剤師の連携、⑤院内在宅訪問薬剤師との連携、ほかを行った。例えば、①については、従来の持参薬評価報告書にスクリーニング基準、薬剤総合評価についての項目を追加した。

それらの成果の指標の1つとして、診療報酬での薬剤総合評価調整加算(100点、退院時1回)の算定件数をみると、薬剤部ポリファーマシー対策チーム介入前(令和2年7月~12月)は21件だったが、同介入後(令和3年7月~12月)には45件となり、大幅に増加している。対策チームの提案によって中止された薬剤としては、解熱消炎鎮痛剤、消化性潰瘍用剤、制酸剤、利尿剤、痛風治療剤などが比較的多い。

同病院では、現時点での「始め方と進め方」の有効性について、次の点を評価した。

  1. ①対策を始める前の現状把握と対策後の評価方法が具体的に記載されており、周囲への啓発に有用である。ポリファーマシー対策の必要性の見える化が可能になった。
  2. ②それぞれの施設に合わせた「始め方」が丁寧に記載されており、その中でできることから始めることができる。例えば、対策チームの設立、医療専門チームや在宅訪問薬剤師との連携のシステムを構築できた。
  3. ③様式事例集が充実しているため、資料作成の参考になる。例えば、持参薬評価テンプレート、持参薬評価表などを参考に、持参薬評価報告書を改訂した。

また、「始め方と進め方」の課題については、急性期病院であるため入院の契機となった疾患の治療が最優先であることや、潜在的なポリファーマシーに対する処方の見直しへの共通理解不足など、現場とのギャップをどう埋めるかといったことを挙げた。

国立がん研究センター中央病院は対策を新たに導入する施設として取り組む

国立がん研究センター中央病院もポリファーマシー対策を新たに導入する施設という位置づけで、高齢者事業に取り組む前はポリファーマシー対策活動に関して実績がなかった。そこで今回、外科・内科混合病棟(42床)をモデル病棟と選定したうえで、同病院の薬事委員会の下部組織として、ポリファーマシー対策小委員会を設置するとともに、その実働部隊としてポリファーマシー対策チーム(以下、対策チーム)を設置した。対策チームは医師(外科系、内科系)、看護師、管理栄養士、薬剤師で構成し、モデル病棟で活動を開始した。

その取組の1つが、既存ツールへのポリファーマシー対策の取り入れである。例えば、医事管理室および医療情報部と連携し、診療録(電子カルテ)をカスタマイズし、薬剤総合調整評価加算・薬剤調整加算、退院時薬剤情報連携加算の算定システムを搭載した。また、入院時持参薬確認と退院時指導に用いるツールを作成した。

同病院では患者満足度の向上と職員のモチベーション向上を目的として、各職員のチームがQC(Quality Control、品質管理)活動に取り組んでいる。ポリファーマシー対策についての普及啓発活動の一環として、QC活動に参加し、QC活動についての院内掲示ポスターで、対策チームを結成したことを周知。また、令和3年11月に職員の意識調査(アンケート調査)を実施し、潜在的なポリファーマシー対策の必要性を検討し、ポスターで発表した。例えば、そのアンケート調査では、「ポリファーマシーという言葉を聞いたことがありますか?」との質問に対して、医師のほとんどは聞いたことがあるとしているが、看護師と薬剤師においては約3割が「聞いたことがない」と回答している。それらのQC活動の結果を基に、薬剤部が月1回発信している医薬品情報誌において、ポリファーマシーについての説明、具体例、特に慎重な投与を要する薬物リスト、ポリファーマシー解消に関する診療報酬などについて紹介した。

現時点での「始め方と使い方」の有効性について、同病院では、①作業工程の手順がわかりやすく記載されていて、対策チームを円滑に立ちあげることができた、②様式事例集に具体例が示されており、運営要領や薬剤管理サマリーの作成の時間短縮につながった、③実際に処方の見直しにつなげることができた――と、評価した。

課題としては、医療関係者向けのポリファーマシー関連の資材がなく、自院で独自に作る必要があり、負担になること。また、患者がさまざまな地域から来院しており、かかりつけ医やかかりつけ薬局も多様であり、地域連携が難しいこと、などを挙げた。

三豊総合病院はすでに対策を実施してきた施設として取り組む

三豊総合病院はポリファーマシー対策をすでに実施している施設という位置づけで、令和2年度よりポリファーマシー対策チーム(以下、対策チーム)を設置し、対策活動を行っている。そのような状況において「始め方と使い方」によるポリファーマシー対策を導入し、課題を確認するとともに、ポリファーマシーカンファレンスを実施したり、自施設での業務手順書を整備したり、高齢者事業実施前後でのアウトカム評価を実施した。

その成果の指標として薬剤総合評価調整加算の算定件数を見ると、高齢者事業に基づく取組の開始前ではあるもののポリファーマシー対策を開始していた令和2年10月~同3年5月はその算定が8.5件/月だったが、同事業開始後の同3年6月~同4年1月は21.9件/月で、大幅に増加している。また、ポリファーマシー対策として介入した患者は、同事業実施前が131人、同事業実施後が286人というように、倍増している。

同病院の取組の特徴の1つとして、地域医師会への積極的な周知・対応がある。令和3年6月には、地域医師会を通じて、開業医全体にポリファーマシー対策の周知と同意、アンケート調査を実施した。それにより、回答を得たすべての医師において、同病院での入院中のポリファーマシー対策について承認が得られた。また、退院後の薬剤に関する情報を開業医に提供すること、コミュニケーションが重要であることがわかった、という。

「始め方と使い方」の有効性について、同病院では、①施設ごとの異なるニーズに対応できること、②すでにポリファーマシー対策を実施していても「始め方」の部分も参考になることが多い――などを挙げた。

また、課題としては、項目ごとに解説内容・量にばらつきがあること。また、地域医師会へのアンケート調査や同意取得という経験を踏まえて、地域の医師への個別対応のメリットについても示してもよいのではないか、と提案した。

「始め方と進め方」で緊急に手直しが必要な箇所はない

3病院からの報告を受け、まず、検討会の座長が「『始め方と進め方』については有用性・有効性があった」と評価したうえで、それに関して改善ができる可能性があることとして、①ポリファーマシー対策チームが作れない場合について何らかの手引が必要ではないか、②ポリファーマシー対策のアウトカム評価・結果報告が必要ではないか、③ポリファーマシー対策については医師の理解が重要であり、医師に対する説明資料があるとよい――などを挙げた。

他の構成員からは、「ポリファーマシー対策は、医師の考え方を少しずつ変えていくと、大きく進む」、「今回は、いずれも地域の中核病院の報告である。地域の中小病院では、どこまでできるか。それらの病院でも使えるものであれば、ポリファーマシー対策が地域で普及する」といった意見が出た。

それらの意見を踏まえて、検討会では、「始め方と進め方」において緊急に手直しが必要な箇所はなかった、と判断した。また、小さな修正、医師向けの説明資料をどうするかについては、事務局(厚労省医薬・生活衛生局医薬安全対策課)が検討会と相談しつつ、何らかの判断・対応をすることとした。