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中医協が令和4年度診療報酬改定の具体的内容を答申
政府の主導で新設された診療報酬も多数ある 2022.04.01健康・医療

中央社会保険医療協議会(中医協)が令和4年2月9日、令和4年度診療報酬改定(以下、令和4年度改定)について答申した。その正式な告示は同年3月に行われるが、中医協の答申により、令和4年度改定の具体的な内容・点数が明らかになった。令和4年度改定は、(1)新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築、(2)安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進、(3)患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現、(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上――という4つの視点が設けられ、それらのうち(1)と(2)が「重点課題」と位置づけられている。令和4年度改定の特徴は、政府の主導で、オンライン診療の拡大、リフィル処方箋(反復利用できる処方箋)の導入、不妊治療への保険適用などが行われたことにある。

ポイント

  • 初診からオンライン診療が可能に、情報通信機器を用いた診療を拡大
  • リフィル処方箋は3回まで反復利用が可能、症状が安定している患者が対象に
  • 不妊治療に対して幅広く保険適用、男性不妊治療にも対応

まず社会保障審議会医療保険部会・医療部会が基本方針を決定

診療報酬改定に当たっては、まず、厚生労働省(厚労省)の社会保障審議会医療保険部会(以下、医療保険部会)と同審議会医療部会(以下、医療部会)が合同で、診療報酬改定の基本方針を決定する。この基本方針という大枠に沿って、中医協が新たな診療報酬を設けたり、個々の診療報酬の点数を決めたりしていく。

令和4年度改定の場合、令和3年夏頃から医療保険部会、医療部会において「令和4年度診療報酬改定の基本方針」(以下、基本方針)についての議論が始まった。両部会それぞれが4回ほど議論し、意見調整をしたうえで、同3年12月10日に基本方針として公表した。その概要は下表のとおりである。

令和4年度診療報酬改定の基本方針(概要)

改定に当たっての基本認識

  1. ●新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築など医療を取り巻く課題への対応
  2. ●健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現
  3. ●患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
  4. ●社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和
  5. 社会保障の機能強化と持続可能性の確保を通じて、安心な暮らしを実現し、成長と分配の好循環の創出に貢献するという視点も重要。

改定の基本的視点と具体的方向性

  1. (1) 新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築【重点課題】
  2. 【具体的方向性の例】
  3. ○当面、継続的な対応が見込まれる新型コロナウイルス感染症への対応
  4. ○医療計画の見直しも念頭に新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組
  5. ○医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価
  6. ○外来医療の機能分化等
  7. ○かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価
  8. ○質の高い在宅医療・訪問看護の確保
  9. ○地域包括ケアシステムの推進のための取組
  1. (2) 安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進【重点課題】
  2. 【具体的方向性の例】
  3. ○医療機関内における労務管理や労働環境の改善のためのマネジメントシステムの実践に資する取組の推進
  4. ○各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、タスク・シェアリング/タスク・シフティング 、チーム医療の推進
  5. ○業務の効率化に資するICTの利活用の推進、その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価
  6. ○地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の確保
  7. ○令和3年11月に閣議決定された経済対策を踏まえ、看護の現場で働く方々の収入の引上げ等に係る必要な対応について検討するとともに、負担軽減に資する取組を推進
  1. (3) 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
  2. 【具体的方向性の例】
  3. ○患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価や医薬品の安定供給の確保等
  4. ○医療におけるICTの利活用・デジタル化への対応
  5. ○アウトカムにも着目した評価の推進
  6. ○重点的な対応が求められる分野について、国民の安心・安全を確保する観点からの適切な評価
  7. ○口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進
  8. ○薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価
  1. (4) 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
  2. 【具体的方向性の例】
  3. ○後発医薬品やバイオ後続品の使用促進
  4. ○費用対効果評価制度の活用
  5. ○市場実勢価格を踏まえた適正な評価等
  6. ○医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価(再掲)
  7. ○外来医療の機能分化等(再掲)
  8. ○重症化予防の取組の推進
  9. ○医師・病棟薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進
  10. ○効率性等に応じた薬局の評価の推進
  1. 出典:厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会および医療部会「令和4年度診療報酬改定の基本方針」(概要)

診療報酬本体は+0.43%の改定率

診療報酬の改定率は、政府が次年度予算編成の過程で、決定することになっている。令和4年度改定における改定率は、令和3年12月20日に厚生労働大臣と財務大臣による大臣折衝を踏まえて、決定した。その改定率と内訳は、次のとおりである。


診療報酬(本体) +0.43%

  1. ・看護の処遇改善のための特例的な対応(以下、看護の処遇改善) +0.20%
  2. ・リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化(以下、リフィル処方箋) ▲0.10%
  3. ・不妊治療の保険適用のための特例的な対応(以下、不妊治療)+0.20%
  4. ・小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限到来(以下、小児の感染防止対策) ▲0.10%

※+0.43%-(+0.20%+▲0.10%+0.20%+▲0.10%)¬=+0.23%(実質的改定率)

薬価等

  1. (1) 薬価 ▲1.35%
  2.  ・実勢価等改定 ▲1.44%
  3.  ・不妊治療の保険適用のための特例的な対応 +0.09%
  4. (2) 材料価格 ▲0.02%

このように、診療報酬(本体)の改定率は+0.43%だが、うち+0.20%(看護の処遇改善+0.20%、リフィル処方箋▲0.10%、不妊治療の保険適用+0.20%、小児の感染防止対策▲0.10%の合計)は使途が定まっている。したがって、診療報酬(本体)の実質的な改定率は+0.23%(0.43%-0.20%)とみることができる。

令和4年度の診療報酬の全体改定率(診療報酬本体+薬価等)は▲0.94%(診療報酬本体0.43%+薬価▲1.35%+材料価格▲0.02%)となる。理論上、医療機関の保険診療による収入は▲0.94%となるが、うち薬価と材料価格の改定率が合計で▲1.37%であり、それらの薬剤と材料の仕入れ価格(費用)も同レベルで低下するため、医療機関の損益差額(収益-費用)への影響はほとんどないことになる。ただし、医療費の国庫負担を行う国にとっては、全体改定率としての▲0.94%が大きな意味を持つ。

以上のとおり、令和4年度改定で特に注目すべきものとして、政府主導によるオンライン診療の拡大、リフィル処方箋の導入、不妊治療への保険適用などがある。以下、それらの要点を説明する。

オンライン診療に関する報酬体系を大幅に改定

オンライン診療については本来、令和2年度診療報酬改定に基づく範囲で実施されるべきものだったが、同改正の直後から新型コロナウイルス感染症患者が増加を始め、政府は令和2年4月7日、緊急事態宣言を発令した。それを踏まえて、同年4月10日から診療報酬上の時限的・特例的な対応として、初診の患者であっても、画像を伴うオンライン診療だけでなく、画像のない電話(いわゆる固定電話)等を用いた診療(以下、電話診療・オンライン診療)も原則として可能とし、電話等を用いた初診料は214点と設定された。

この電話診療・オンライン診療が適正に行われているか、厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」が約3カ月ごとに検証している。それを踏まえて、同検討会では、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しについての議論を進めた。同検討会での取りまとめを基に、厚労省医政局長は令和4年1月28日、都道府県に対して、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改訂(以下、改訂指針)について通知を発出した。ただし、新型コロナウイルス感染症の流行は続いているため、診療報酬上の時限的・特例的な対応としての「電話診療・オンライン診療」(前述)が令和4年2月段階でも継続している。そのため、電話診療については認めていない改訂指針は、同月時点で医療保険制度への全面適用には至っていない。

令和4年度改定では、改訂指針を踏まえて、オンライン診療として初診を行った場合についての初診料(情報通信機器を用いた場合)、オンライン診療としての再診料、外来診療料(一般病床の病床数が 200 床以上の病院における再診料に相当するもの)について、それぞれ次のような点数を新設した。

  1. 初診料(情報通信機器を用いた場合)  251点
  2. 再診料(情報通信機器を用いた場合)  73点
  3. 外来診療料(情報通信機器を用いた場合)73点

そのように、情報通信機器を用いた場合の再診料と外来診療料が新設されるため、従前のオンライン診療料(71点、1カ月につき)は廃止された。

それに対応して、情報通信機器を用いた医学管理等の見直しも行った。

これまでオンライン診療料は、例えば在宅時医学総合管理料、地域包括診療料、認知症地域包括診療料、生活習慣病管理料、在宅自己注射指導管理料を算定している糖尿病、肝疾患または慢性ウイルス肝炎の患者などが対象となっていた。令和4年度改定では、検査料等が包括されている地域包括診療料、認知症地域包括診療料、生活習慣病管理料については情報通信機器を用いた場合の評価対象から除外した。一方で、多くの指導料/管理料について、「情報通信機器を用いた場合」を設け、所定点数に代えて、それぞれの指導料/管理料の内容に応じて数百点レベルの点数を算定できるようにした。

今改定で新たに情報通信機器を用いた場合の評価対象に加わった指導料/管理料
ウイルス疾患指導料、皮膚科特定疾患指導管理料、小児悪性腫瘍患者指導管理料、がん性疼痛緩和指導管理料、がん患者指導管理料、外来緩和ケア管理料、移植後患者指導管理料、腎代替療法指導管理料、乳幼児育児栄養指導料、療養・就労両立支援指導料、がん治療連携計画策定料2、外来がん患者在宅連携指導料、肝炎インターフェロン治療計画料、薬剤総合評価調整管理料
今改定で情報通信機器を用いた場合の評価対象から除外されたもの
地域包括診療料、認知症地域包括診療料、生活習慣病管理料

在宅時医学総合管理料におけるオンライン在宅管理の評価も見直された。従前のオンライン在宅管理料(100点、1カ月につき)は廃止し、訪問診療等による対面診療と情報通信機器を用いた診療を組み合わせて実施した場合の評価を新設した。実際の評価(点数)は、訪問診療等の回数(月1回、月2回以上)、単一建物診療患者の人数(1人の場合、2~9人の場合、10人以上の場合)によって異なる。

また、施設入居時等医学総合管理料においても、同様に、訪問診療等による対面診療と情報通信機器を用いた診療を組み合わせて実施した場合の評価を新設した。この点数については、在宅時医学総合管理料での場合(前述)よりも低く設定されている。

処方箋様式を変更してリフィル処方箋に対応

リフィル処方箋の仕組みは、症状が安定している患者を対象に、医師と薬剤師の連携、薬剤師の服薬管理のもと、患者に応じて個別に判断した一定期間内で処方箋を3回まで反復利用できる、というものである。

そのために、処方箋の様式を変更した。具体的には、処方箋での処方の欄に「リフィル可 □(   回)」という箇所を設け、医師がそこにチェック(☑)を入れた場合、リフィル処方箋となる。併せて、処方箋には、「□1回目調剤日(   年  月  日)  □2回目調剤日(   年  月  日)  □3回目調剤日(   年  月  日)  次回調剤予定日(  年  月  日)   次回調剤予定日(  年  月  日)」というように、調剤日と調剤予定日を記録する箇所も設けられた。

リフィル処方箋の導入で、処方箋だけをもらうために受診するといったケースは減ることが予想され、例えば再診料や処方箋料の算定を抑制することにつながる。そのため、政府は、リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化で診療報酬本体を0.10%引き下げる(前述)、としているのである。

不妊治療として、一般不妊治療管理料、生殖補助医療管理料ほか新設

不妊治療の保険適用のための特例的な対応については、次のような対応が行われている。

一般不妊治療の実施に当たって必要な医学的管理、療養上の指導などを行った場合の評価として、一般不妊治療管理料(250点)を新設。併せて、不妊症の患者に対して人工授精を実施した場合の評価として、人工授精(1,820点)を新設した。

有効で安全な不妊治療を提供するため、生殖補助医療の実施に当たって必要な医学的管理、療養上の指導などを行った場合の評価として、生殖補助医療管理料1・2(300点、250点)を新設した。併せて、血漿中の抗ミュラー管ホルモン測定(内分泌学的検査)、採卵術、体外受精・顕微授精管理料、卵子調整加算、受精卵・胚培養管理料、胚凍結保存管理料、胚移植術などについて、新たに診療報酬上の評価を行った。

男性不妊治療に関しては、Y染色体微小欠失検査、精巣内精子採取術が新たに評価された。

政府では、今回の不妊治療の保険適用で診療報酬本体を0.20%引き上げるとしている(前述)。ただし、不妊治療は、これまで主として自由診療として行われてきており、それらの医療が保険適用になったとしても、医療機関の総収入(保険診療+自由診療)を大きく増やすことにはつながらない可能性もある。

20項目からなる附帯決議も提出

中医協では令和4年度診療報酬改定について答申するにあたり、過去の答申時と同様に、附帯意見を提出した。この附帯意見は、①全般的事項、②入院医療、③かかりつけ医機能、リフィル処方、オンライン診療、精神医療、④働き方改革、⑤在宅医療等、⑥医療技術の評価、⑦歯科診療報酬、⑧調剤報酬、⑨後発医薬品の使用促進、⑩その他――を柱として、20項目からなる。

前回の令和2年度診療報酬改定の答申時の附帯意見と内容を比べると、新たな診療報酬に関することなどが項目として追加されている。例えば、リフィル処方箋、感染対策としての診療報酬、オンライン資格確認等システム導入、不妊治療の保険適用、などの影響について検討する。また、明細書の無料発行の促進についての取り組み、施策の効果や患者への影響についてデータやエビデンスに基づいて迅速・正確に把握・検証できるようにするための方策についても検討する。

なお、それらも含めて附帯意見書において「検討する」とされていることについては、必ず、中医協の診療報酬改定結果検証部会などによる調査の項目となり、令和4年度または5年度において検討されることになる。