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厚労省が医療経済実態調査の結果を報告
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた損益に 2022.01.07健康・医療

厚生労働省(厚労省)は令和3年11月24日に開催した中央社会保険医療協議会(中医協)において、令和4年度診療報酬改定に向けての基礎資料となる第23回医療経済実態調査の結果を報告した。それによると、令和2年度に終了した事業年(度)での一般病院全体の損益差額率は6.9%の赤字で、前年度比で3.8ポイントのマイナスだが、「新型コロナウイルス感染症関連の補助金」を含めた損益差額率は0.4%で黒字となる。一方、一般診療所は、医療法人の場合は損益差額率が3.8%の黒字で、前年度比2.7ポイントのマイナスだが、同補助金を含めると損益差額率は4.2%となる。このように、一般病院、一般診療所ともに令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けているが、特に一般病院の場合は同補助金によって損益差額が大きく改善している。

ポイント

  • 一般病院の前年(度)の損益差額率は▲6.9%だが、コロナ補助金を含めると0.4%の黒字に
  • 一般診療所の損益差額率は、個人立、医療法人立ともに黒字だが、悪化傾向に
  • 6月単月では、一般病院、一般診療所ともに令和3年は回復傾向に

令和元年~3年の各6月の調査も追加

医療経済実態調査は、診療報酬改定の前年(度)に実施している。もともとは、6月(単月)の状況について調査していたが、平成22年度診療報酬改定に向けての第17回医療経済実態調査では、それを見直すことにして、従来の単月調査に加えて年間(決算)データの調査も実施した。6月単月の調査の問題点としては、6月に発生しない費用については年間の発生額を推計して記入することになるが、実際、推計は困難で、その費用は小さく出やすい、という点である。そのため、平成26年度診療報酬改定に向けての第19回医療経済実態調査からは、単月調査は廃止し、事業年(度)のデータの比較となった。その方式が、第22回医療経済実態調査まで続けられてきた。しかし、令和4年度診療報酬改定に向けての第23回医療経済実態調査は、新型コロナウイルス感染症による影響をより正確に把握する必要があったため、従来の方式に加えて、令和元年から同3年までの各6月(単月)の損益状況も調査した

第23回医療経済実態調査は、社会保険による診療を行っている全国の病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局(1カ月の調剤報酬明細書の取扱件数が300件以上)を対象に、地域別等に層化し、無作為抽出を行った。その抽出率は病院が1/3、一般診療所が1/20、歯科診療所が1/50、保険薬局が1/25だが、特定機能病院、歯科大学病院、こども病院についてはすべての施設を対象としている。

 調査の時期は、令和2年4月から令和3年3月末までに終了した事業年(度)(以下、「前年(度)」)および平成31年4月から令和2年3月末までに終了した事業年(度)(以下、「前々年(度)」)の2期間である(以下、年度調査)。また、今回は、令和元年、同2年、同3年のそれぞれ6月について、月単位の損益状況を調査した(以下、月次調査)。

有効回答率は、年度調査が病院で52.8%、一般診療所で54.8%、歯科診療所で58.7%、保険薬局で47.8%。月次調査は、それぞれ39.7%、34.1%、35.1%、29.5%となっていて、年度調査と比べると有効回答率は低い。

その集計において、病院の有効回答施設数は1,218施設で、それについては、医業・介護収益に占める介護収益の割合が2%未満(945施設)、その割合が2%以上(273施設)に区分されている。その2区分のうち、診療報酬改定の影響が出やすいのは医業・介護収益に占める介護収益の割合が2%未満の施設であり、中医協などでは、それに相当する病院の調査結果が主として用いられている。以下、一般病院とは、それに相当する施設である。なお、一般診療所、歯科診療所、保険薬局については、そのような介護収益による区分はない。

医療法人立の一般病院は損益差額率0.1%の黒字、コロナ補助金で2.3%の黒字に

まず、一般病院(精神科病院や特定機能病院等を除く、768施設)1施設あたりの前年(度)の損益状況は、医業収益(Ⅰ)が約32.4億円で前々年(度)比3.3%減、介護収益(Ⅱ)が約501万円で40.8%減、医業・介護費用(Ⅲ)が約34.7億円で0.2%増。それらの損益差額(Ⅰ+Ⅱ-Ⅲ)は▲2.2億円(損益差額率▲6.9%)となり、損益差額率は前々年(度)より3.8ポイント悪化している。ただし、政府による新型コロナウイルス感染症対策として、前年(度)においては「新型コロナウイルス関連の補助金(従業員向け慰労金を除く)」(以下、コロナ補助金)があり、これを含めた場合の損益差額は約1,322万円(0.4%)の黒字となる。(下表)

それを開設者が医療法人の一般病院(410施設)でみた場合は、前年(度)の損益差額は約191万円(損益差額率0.1%)でわずかに黒字だが、前々年と比べると損益差額率は1.7ポイント悪化している。ただし、コロナ補助金を含めた損益差額率は2.3%となり、前々年(度)を0.5ポイント上回る。

また、国公立を除いた一般病院(610施設)の前年(度)の損益差額率は▲1.8%だが、コロナ補助金を含めるとそれが2.7%というようにプラスに転じる。それを全国施設数に基づく加重平均でみた場合は、それぞれ▲1.2%、2.8%となる。

そのように前年(度)の特徴として、新型コロナウイルス感染症の患者を積極的に受け入れていた病院については、コロナ補助金を含めた損益差額率が大きく改善する傾向がある。例えば、国立病院(18施設)は、損益差額率が▲9.2%だが、コロナ補助金を含めた損益差額率は6.8%で、16ポイント改善し、黒字になっている。公立病院(140施設)は、損益差額率が▲21.4%だが、コロナ補助金を含めた損益差額率は▲7.3%で赤字ではあるものの、14.1ポイント改善している。

一般病院の1施設あたりの損益状況
(全体)(金額単位:千円)

前々年(度) 前年(度) 金額の
伸び率
金 額 構成比率 金 額 構成比率
Ⅰ 医業収益 3,353,489 99.7% 3,242,213 99.8% ▲3.3%
Ⅱ 介護収益 8,467 0.3% 5,013 0.2% ▲40.8%
Ⅲ 医業・介護費用 3,465,910 103.1% 3,471,957 106.9% 0.2%
Ⅳ 損益差額(Ⅰ+Ⅱ-Ⅲ) ▲103,953 ▲3.1% ▲224,731 ▲6.9% -
※「新型コロナウイルス感染症関連の補助金」を含めた損益差額 - - 13,217 0.4% -
施設数 768
平均病床数 175 173 -
  1. (注)「全体」とは、医療法人、国公立のほか、公的(日赤、済生会、北海道社会事業協会、厚生連、国民健康保険団体連合会)、社会保険関係法人(健康保険組合及びその連合会、共済組合及びその連合会、国民健康保険組合)、個人などを含む全体。医業・介護収益に占める介護収益の割合が2%未満

(医療法人)(金額単位:千円)

前々年(度) 前年(度) 金額の
伸び率
金 額 構成比率 金 額 構成比率
Ⅰ 医業収益 1,826,554 99.5% 1,809,305 99.8% ▲0.9%
Ⅱ 介護収益 9,906 0.5% 3,502 0.2% ▲64.6%
Ⅲ 医業・介護費用 1,803,264 98.2% 1,810,896 99.9% 0.4%
Ⅳ 損益差額(Ⅰ+Ⅱ-Ⅲ) 33,197 1.8% 1911 0.1% -
※「新型コロナウイルス感染症関連の補助金」を含めた損益差額 - - 41,995 2.3% -
施設数 410
平均病床数 129 128 -
  1. 出典:厚生労働省「第23回医療経済実態調査の報告(令和3年実施)」

一般診療所のコロナ補助金を含めた損益差額率は、個人立で28.8%、医療法人立で4.2%

調査に回答した一般診療所(入院診療収益あり=有床診療所、同収益なし≒無床診療所、1,706施設)の開設者は、ほとんどが個人(729施設)または医療法人(945施設)である。

まず、個人立の一般診療所1施設あたりの前年(度)の損益状況は、医業収益(Ⅰ)が約7,947万円で前々年(度)比7.5%減、介護収益(Ⅱ)が約33万円で0.9%増、医業・介護費用(Ⅲ)が約5,748万円で2.3%減。それらの損益差額(Ⅰ+Ⅱ-Ⅲ)は約2,232万円(損益差額率28.0%)となり、損益差額率は前々年(度)より3.8ポイント悪化している。また、病院と比べると一般診療所のコロナ補助金は少ないが、それを含めた場合の損益差額は約2,298万円で、損益差額率は28.8%となり、若干改善する。(下表)

医療法人立の一般診療所については、個人立と比較すると、医業収益は約2倍、医業・介護費用は約3倍の規模となっている。前年(度)の損益差額は約605万円、損益差額率3.8%で、前々年(度)と比べると損益差額率は2.7ポイント低下している。ただし、コロナ補助金を含めた損益差額率は4.2%となり、若干改善する。

一般診療所 全体(入院診療収益あり、および入院診療収益なし)の1施設あたりの損益状況
(個人)(金額単位:千円)

前々年(度) 前年(度) 金額の
伸び率
金 額 構成比率 金 額 構成比率
Ⅰ 医業収益 85,941 99.6% 79,471 99.6% ▲7.5%
Ⅱ 介護収益 326 0.4% 329 0.4% 0.9%
Ⅲ 医業・介護費用 58,822 68.2% 57,483 72.0% ▲2.3%
Ⅳ 損益差額(Ⅰ+Ⅱ-Ⅲ) 27,445 31.8% 22,316 28% -
※「新型コロナウイルス感染症関連の補助金」を含めた損益差額 - - 22,982 28.8% -
施設数 729
  1. (注)個人立の一般診療所の損益差額からは、開設者の報酬となる部分以外に、建物、設備について現存物の価値以上の改善を行うための内部資金に充てられることが考えられる。

(医療法人)(金額単位:千円)

前々年(度) 前年(度) 金額の
伸び率
金 額 構成比率 金 額 構成比率
Ⅰ 医業収益 163,241 97.8% 156,727 97.7% ▲4.0%
Ⅱ 介護収益 3,696 2.2% 3,747 2.3% 1.4%
Ⅲ 医業・介護費用 156,118 93.5% 154,420 96.2% ▲1.1%
Ⅳ 損益差額(Ⅰ+Ⅱ-Ⅲ) 10,820 6.5% 6,054 3.8% -
※「新型コロナウイルス感染症関連の補助金」を含めた損益差額 - - 6,750 4.2% -
施設数 945
  1. 出典:厚生労働省「第23回医療経済実態調査の報告(令和3年実施)」

6月単月での損益差額率は、令和3年は令和元年の水準を超える

第23回医療経済実態調査では、追加的に、月次調査も行われている。

まず、一般病院の損益差額率は、令和元年6月が▲2.3%、同2年6月が▲6.6%、同3年6月が▲4.7%となっている。うち、医療法人の一般病院の損益差額率は、それぞれ1.4%、▲1.3%、0.5%である。このように、一般病院の損益の動向として、同2年6月と比べると、同3年6月は改善の傾向を示しているが、新型コロナウイルス感染症の流行前である同元年6月の水準には戻っていない。

一般診療所について、個人立における損益差額率は、令和元年6月が32.8%、同2年6月が28.1%、同3年6月が33.3%である。6月の単月で比較する限り、同3年6月には、新型コロナウイルス感染症の流行前である同元年6月の水準に戻っている。また、医療法人立の損益差額率は、それぞれ6.6%、3.1%、8.3%であり、同元年6月の水準を上回るレベルの回復を示している。

支払側委員、診療側委員で分析・見解が分かれる

第23回医療経済実態調査の結果報告を受け、令和3年12月3日に開催された中医協・総会で、支払側委員(通称「1号委員」)、診療側委員(通称「2号委員」)の代表が、それぞれ見解を発表した。今回の医療経済実態調査は、新型コロナウイルス感染症の影響についての解釈により、その分析と見解は大きく分かれることとなった。

まず、支払側委員は、一般病院や一般診療所の分析に用いる前年(度)の損益差額(率)について、特段の断りがない限り、コロナ補助金を含むとした。つまり、コロナ補助金を含めた最終的な損益状況を重視するとともに、全国施設数に基づく加重平均も視野に入れ、考察しているのが特徴である。その観点から、一般病院は損益差額率が1.2%の黒字で、国公立を除くと加重平均では2.8%の黒字であり、平成25年度以降で最も高い水準であった、と分析した。ちなみに、平成25年度から令和元年度まで一般病院全体の損益差額率は、各年度がマイナスで推移してきた。

診療側委員は、前年(度)の動向について、診療報酬による特例があったものの、コロナ補助金を除く損益差額率は大きく悪化した、と概括。コロナ補助金を含む損益差額率も、一般病院ではほぼプラスマイナスゼロ、一般診療所では前々年(度)よりも縮小した、と指摘。また、施設数にも着目し、一般病院ではコロナ補助金を含めても赤字病院が4割を超えている、と分析した。

月次調査(単月調査)について、支払側委員は、令和3年6月には前年同月比が上昇傾向にあることに着目した。つまり、経営が改善傾向にあることを重視した。

一方、診療側委員は、単月調査の問題点として、①季節要因の影響を受けること、②賞与等確定していない値については前年度実績の1/12を用いていること、③年によって休日数が異なるが補正されていないこと――などを挙げ、およそ架空の数値で構成されたものであり、医療機関の実績をあらわすものではない、と指摘。そのうえで、一般診療所で令和3年6月の損益差額率が令和元年6月のそれを上回ったことについて、給与費をはじめとする医療・介護費用を削減したことが寄与している、と分析した。

なお、今回の医療経済実態調査の結果や中医協での意見を踏まえて、政府が令和3年12月下旬に、令和4年度診療報酬改定における改定率を決定する。