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厚労省・医薬品医療機器制度部会が緊急時の薬事承認の在り方等でとりまとめ
薬機法に基づく制度として緊急承認制度の創設へ 2022.01.07健康・医療

厚生労働省(厚労省)の厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会が令和3年11月18日、3年ぶりに再開し、新型コロナウイルス感染症流行下でのワクチン承認の状況などを踏まえて、緊急時の薬事承認の在り方について検討を開始。3回目の会合となる同年12月22日、緊急時の薬事承認の在り方等に関するとりまとめを行った。それを踏まえて、厚労省では「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)改正の準備に取りかかる。

ポイント

  • 「緊急時」とは、感染症のアウトブレイクのほか、原子力事故、放射能汚染、バイオテロなども含む
  • 「薬事承認」の対象は、ワクチンや医薬品全般のほか、医療機器、再生医療等製品も
  • 安全性は他の制度と同様に「確認」だが、有効性は「推定」の制度に
  • 令和4年の通常国会で薬機法の改正へ

骨太方針などに基づいて緊急時の薬事承認の在り方を検討

政府は令和3年6月1日、新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえて、ワクチン開発・生産体制強化戦略を閣議決定した。その中で、「発動の要件、運用の基準、補償、免責など緊急事態における特別に使用を認めるための制度の在り方について(中略)、本年中に方向性について結論を出す」とした。また、同月18日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)において、緊急時の薬事承認の在り方について検討する、との方針を示した。

その政府の方針に基づき、厚労省は令和3年11月18日、3年ぶりに厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会(以下、制度部会)を開催し、緊急時の薬事承認の在り方について検討を開始した。同年12月3日に開催した制度部会(以下、第2回制度部会)で、緊急時の薬事承認の在り方に関する基本的な考え方を提示し、各委員から意見を聞いた。それを踏まえて、同月22日に開催した制度部会(以下、第3回制度部会)で、とりまとめを行った。厚労省は同月27日、「緊急時の薬事承認の在り方等に関するとりまとめ」(以下、「とりまとめ」)として公表した。

ここでいう「緊急時」には、感染症のアウトブレイクを主として想定しているが、原子力事故、放射能汚染、バイオテロなども含まれる。また、その「薬事承認」には、ワクチンや治療薬だけでなく、医薬品全般、医療機器、再生医療等製品も対象となる。

「とりまとめ」の構成は下表のとおりである。

緊急時の薬事承認の在り方等に関するとりまとめ 構成

  1. 第1 はじめに
  2. 第2 緊急時の薬事承認の在り方
  3. 1.我が国の対応状況と現状の課題
  4. (1) 我が国の対応状況
  5. ① 特例承認の活用
  6. ② 早期の実用化に向けた薬事当局の対応
  7. (2) 現状の課題
  8. 2.基本的な考え方
  9. 3. 具体的な制度設計
  10. (1) 緊急承認制度の対象
  11. (2) 発動の要件(緊急時の定義)
  12. (3) 運用の基準
  13. (4) 承認の期限・条件
  14. (5) 市販後の安全対策
  15. (6) 健康被害の救済
  16. (7) 迅速化のための特例措置
  17. (8) その他
  18. 第3 その他
  19. 1.電子処方箋
  20. 2.薬事行政の将来的な課題
  21. 第4 おわりに
  1. 出典:「緊急時の薬事承認の在り方等に関するとりまとめ」(令和3年12月27日公表)

国内企業が世界に先駆けて開発した場合には特例承認制度は適用外

わが国における薬事承認の制度としては、通常承認のほか、①条件付き承認(希少疾病用医薬品、先駆的医薬品など対象)、②条件・期限付き承認(再生医療等製品対象)、③特例承認(外国の医薬品等対象)がある。それらのうち特例承認(上記③)は、緊急時において健康被害の拡大を防ぐため、日本の薬事制度と同等の水準の制度を有する外国において販売等が認められている医薬品等を対象に、承認する制度である。例えば、令和3年になって広く使用された新型コロナウイルスワクチンは特例承認であり、通常のプロセスよりも早く薬事承認がなされている。

しかし、「とりまとめ」では、現行の特例承認制度の問題点として、次の2点を指摘している。

  1. ①国内企業が世界に先駆けて開発し、国内での承認申請が行われた場合には、適用できない。
  2. ②通常の承認制度と同様に、有効性・安全性を「確認」していることから、例えば海外で流通しているワクチンであっても、日本人での有効性・安全性を確認するための臨床データが十分でない場合には、国内治験を追加で実施しなければならない。

そのような制度上の課題を踏まえて、厚労省は、第2回制度部会で、緊急時の薬事承認について「新たな制度」を設け、その基本的な考え方、現行の薬事承認の制度との違いについて、下表のようにまとめて提示し、大筋で了承を得た。ここでいう「新たな制度」は、「とりまとめ」において、緊急承認制度と名づけられた。また、他の制度と同様に、薬機法に基づくものとする。

新たな制度と現行制度との比較

通常承認 条件付き承認 条件・期限
付き承認
特例承認 新たな制度
対象 全ての
医薬品等
希少疾病用医薬品
先駆的
医薬品等
再生医療等
製品
外国で流通している
医薬品等
全ての
医薬品等
有効性 確認 確認 推定 確認 推定
安全性 確認 確認 確認 確認 確認
条件・
期限
必要に応じて 「条件」が
必須
必須 必要に応じて 必須
各種特例 - 第Ⅲ相試験
なしで
承認申請が
可能
- GMP調査
国家検定 等
GMP調査
国家検定 等
  1. 出典:厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会(令和3年12月3日開催)資料を改変
  2. 注:「新たな制度」とは、緊急承認制度のこと(上記部会の時点では名称は未定)

緊急時におけるリスクとベネフィットを比較考量する

緊急承認制度の特徴は、安全性については他の制度と同様に「確認」だが、有効性については「推定」としていることである。再生医療等製品の条件・期限付承認においても有効性については「推定」で承認することとされているが、これは再生医療等製品の薬理作用物の発現量が不均一という特性を踏まえての対応であり、緊急承認制度での「推定」とは趣旨が異なっている。「とりまとめ」では、「安全性の確認」、「有効性の推定」について次のように定義し、運用の基準を示している。

【安全性の確認】緊急時であっても、安全性については、従前と同水準で安全性があると判断できる一定の情報が収集されたものを承認する。

【有効性の推定】安全性の確認を前提に、有効性については、個々の医薬品医療機器等の性質等に応じた判断が必要になる。例えば、探索的な臨床試験成績等は入手できるが、緊急時に、有効性を十分なエビデンスをもって確認するための検証的臨床試験を完了させる時間的余裕がない場合でも、申請のあった医薬品医療機器等に有効性があるとする可能性が合理的であるだけの情報が収集された状態のものについて、推定される有効性に比して安全性が許容可能な場合には、承認を与えることができることとする。

また、「有効性の推定」と「安全性の確認」については、緊急時におけるリスクとベネフィットを比較考量する。

承認の期限は短期間とする

緊急承認制度における承認の期限・条件については、有効性が「推定」であることを踏まえて、承認後一定の期間までに、有効性等の確認を求めることとする。また、有効性等が確認できない場合は速やかに承認を取り消せるようにする。

その承認の期限については短期間とする。具体的には、例えばスペイン風邪など大規模な感染症における緊急時はおおむね2年程度で収束していることも参考に、2年程度が想定される。

市販後の安全対策としては、承認前に十分ではなかった情報収集ができるように、安全性監視計画等を設定する。また、従前の個別事例の因果関係評価に基づく安全対策に加えて、例えば厚労省のNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)などリアルワールドデータの活用、集積する事例を統計的に解析したうえでの安全対策にも重点を置く。

健康被害の救済について、現行の救済制度では、法定予防接種については予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度、それ以外の医薬品については独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく医薬品副作用被害救済制度の対象になっている。緊急承認制度により承認された医薬品についても、安全性については「確認」をしているので、新たな救済制度を設けるのではなく、現行の救済制度の対象とする。

迅速化のための特例措置は、現行の特例承認と同じにする。例えば、医薬品等の製造管理または品質管理が適切になされているか確認するためのGMP(Good Manufacturing Practice)適合性調査などの実施は、承認の要件とはしない。また、国家検定、容器包装、注意事項等情報についても、特例を設ける。

なお、厚労省では、緊急承認制度の創設に向けて、令和4年の通常国会で薬機法の改正を目指す。