ログイン・会員登録

会員の方

ID・パスワードをお持ちの方は、
こちらからログインください。

パスワードをお忘れの方はこちら

認証キーの承認をされる方はこちら

2016年1月より会員IDがメールアドレスに統一されました。

会員登録されていない方

会員限定コンテンツのご利用には、会員登録が必要です。

新規会員登録

50秒でわかる
Takeda Medical site

サイトマップお問合わせ

  • 新規会員登録
  • ログイン

追加的な侵襲・介入を伴わない既存の医用画像データ等を用いた診断用医療機器の性能評価試験の取扱いについて通知
政府の規制改革実施計画に対応し、具体的な取り扱いを示す 2021.12.01健康・医療

厚生労働省(厚労省)は令和3年9月29日、各都道府県に対して「追加的な侵襲・介入を伴わない既存の医用画像データ等を用いた診断用医療機器の性能評価試験の取扱いについて」の通知を発出した。同通知は、追加的な侵襲・介入を伴うことなく、既存の医用画像データなどを収集して実施する性能評価試験について、取扱いをまとめたものである。ここでいう性能評価試験とは、AI(人工知能)を利用した医用画像診断支援システム、遺伝子変異解析システムを活用した診断用医療機器などの製造販売承認申請書の添付資料として利用することを目的に実施される試験をいう。

この通知の発出には、政府が同年6月18日に閣議決定した規制改革実施計画において「最先端の医療機器の開発・導入の促進」を規制改革の項目として挙げた、という背景がある。

ポイント

  • 医療機器プログラムを含む診断用医療機器の性能評価試験の取扱いについて明確化
  • 対象は、AI技術を利用した医用画像診断支援システム、DNAシークエンサーを利用した遺伝子変異解析システムなどの性能評価試験
  • 人体への侵襲や介入を伴うことなく、既存の医療画像データや診療情報のみを利用する場合は、治験として実施する必要なし

政府の規制改革推進会議のワーキング・グループで検討

厚労省が令和3年9月29日、各都道府県に対して「追加的な侵襲・介入を伴わない既存の医用画像データ等を用いた診断用医療機器の性能評価試験の取扱いについて」の通知(以下、厚労省通知)を発出した背景として、政府の規制改革推進会議の答申に基づき同年6月18日に閣議決定された規制改革実施計画がある。また、規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループ(以下、ワーキング・グループ)は同年4月7日、診療情報を用いた診断用医療機器の性能評価について議論し、今後の対応方針などを決めたが、これが規制改革実施計画に反映されている。

同議論では、AI画像診断機器開発の促進、臨床情報を用いた診断用医療機器の性能評価において障壁となっていることなどについて、企業からヒアリングを行った。それを踏まえて、厚労省が、現状について、次のような趣旨の説明をした。

  1. ①現在、AIを用いた画像診断支援プログラムを含む診断用医療機器に関し、患者の診療情報を用いて性能評価を行う場合、原則として臨床試験(治験)として実施し、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成17年厚生労働省令第36号、以下「医療機器GCP省令」)を遵守することを、厚労省では求めている。
  2. ②その一方で、通常診療の中で既に得られている画像データのみを用いて評価する場合で、患者への追加的な侵襲や介入を伴わない場合は、治験として取り扱っておらず、医療機器GCP省令も適用していない。
  3. ③ただし、そのように治験をしない場合であっても、患者の医療情報を使うので、患者の同意をあらかじめ取っているといった倫理性、原データから正しく抽出・解析するといったデータの信頼性などは、必要である。これは、医療機器GCP省令を適用する、しないというのではなく、承認申請に使うこと、あるいは患者の医療情報を使うことに伴って、必然的にお願いしているところである。

この③に関して、企業からのヒアリングで、AI医療機器プログラムの臨床性能を評価する試験のルールがはっきりしない、との指摘があった。医療機器GCP省令に準拠するとすれば、手続きなどで時間とコストがかかる。AI医療機器プログラムの迅速な開発のために、低コストで簡易な手続でエビデンスを整理できるような臨床ルールを整備することが望ましい、という。

そのような現状と企業からの要望を踏まえて、今後の対応方針について、厚労省は「今後、医療機器プログラムの特性を踏まえた承認審査制度について検討することとしており、医療機器プログラムを含む診断用医療機器の性能評価試験の取扱いについても、国際整合を考慮しながら検討し、取扱いについて明確化する」と説明した。

規制改革実施計画の「最先端の医療機器の開発・導入の促進」の一環として

ワーキング・グループでの議論も踏まえて、規制改革推進会議では令和3年6月1日、規制改革推進に関する答申を行った。それに基づき、政府が同年6月18日に閣議決定した規制改革実施計画で、「最先端の医療機器の開発・導入の促進」という事項を設けた。具体的には、プログラム医療機器(診断・治療等を目的としたソフトウェア単体としての医療機器プログラム、それを記録した媒体含む)に焦点を絞り、その開発・導入を促進するための規制改革を打ち出している。

そこではaからkまで11の項目があるが、今回の厚労省の「追加的な侵襲・介入を伴わない既存の医用画像データ等を用いた診断用医療機器の性能評価試験の取扱いについて」の通知は、それらのうちkの項目に対応したものである。ここでは「診断用プログラム医療機器等の承認申請に用いる性能評価試験において、新たに人体への侵襲や介入を伴うことなく、既存の医療画像データや診療情報のみを利用して性能評価を行う場合においては、当該試験を治験として実施する必要がないということを改めて明確化する」と記載され、その期限については「令和3年度措置」とされた(下表参照)。

また、それに関連する項目もあり、これらを含めて規制改革により、医療機器プログラムの開発・導入を促進しようとしている(下表参照)。

規制改革実施計画(令和3年6月18日閣議決定)
事項名「最先端の医療機器の開発・導入の促進」(抜粋)

規制改革の内容(抜粋) 実施時期
  1. d プログラム医療機器等の開発等における萌芽的シーズを国内外の状況調査を実施することにより早急に把握し、今までの医療機器とは異なる性質を持つプログラムとしての特性を踏まえた一定の分類ごとに審査の考え方を整理し、分類ごとに求められるエビデンスや治験の実施方法等を明確化した上で、具体的な評価指標を作成する。
令和3年度検討・結論
  1. f プログラム医療機器について、プログラムの特性を踏まえ、柔軟かつ迅速な承認を可能とする審査制度を検討する。また、承認後にも継続的なアップデートが想定されるプログラム医療機器については、当該アップデートに係る一部変更承認申請の要否等に関するルールについても整理し、明確化する。
令和3年度検討・結論
  1. j  AI画像診断機器等の性能評価において、仮名加工情報を利用することの可否について検討した上で、教師用データや性能評価用データとして求められる医療画像や患者データについて整理を行い、当該データを仮名加工情報に加工して用いる際の手法等について具体例を示す。あわせて、仮名加工された医療情報のみを用いて行うAI画像診断機器等の開発・研究等への「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)の適用の要否について整理を行い、その結果について周知する。
令和3年度措置
  1. k 診断用プログラム医療機器等の承認申請に用いる性能評価試験において、新たに人体への侵襲や介入を伴うことなく、既存の医療画像データや診療情報のみを利用して性能評価を行う場合においては、当該試験を治験として実施する必要がないということを改めて明確化する。
令和3年度措置
  1. 出典:規制改革実施計画(令和3年6月18日閣議決定)を一部改変

2つの場合があるが、いずれも医療機器 GCP 省令は適用されない

規制改革実施計画を踏まえて、令和3年9月29日に厚労省通知が出された。この厚労省通知が対象とする性能評価試験とは、追加的な侵襲・介入を伴うことなく、既存の医用画像データまたは生体試料、これらに関連する既存の診療情報などを収集して実施するもの。また、性能評価試験を実施する診断用医療機器としては、AI技術を利用した医用画像診断支援システム、 DNAシークエンサーを利用した遺伝子変異解析システムなどの診断用医療機器が対象となる。

それらの性能評価試験(以下、当該試験)の具体的な取扱いについては2つの場合があるが、いずれも医療機器 GCP 省令は適用されないことを、厚労省通知で明確化した。その要点は次のとおりである。

(1)既存の医用画像データまたは生体試料のみを収集し、新たに評価上必要な情報等を付ける等した上で、診断用医療機器の性能評価に用いる場合(試験に使用するデータ等の信頼性確保のためにカルテ情報等との照合ができるようにしておく必要がない場合)、当該試験は治験には当たらないため、医療機器 GCP 省令は適用されない。

この場合、試験に使用する医用画像データまたは生体試料の信頼性確保のための適切な管理が行われ、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」(昭和36年厚生省令第1号、以下「施行規則」)第114条の22(申請資料の信頼性の基準)に規定する申請資料の信頼性の基準に従って添付資料が作成されている必要がある。また、適切な管理が行われていることについて、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による信頼性調査時に申請者が根拠資料に基づいて説明できるようにする。

(2)既存の医用画像データまたは生体試料およびこれらに関連する既存の診療情報を収集し、診断用医療機器の性能評価に用いる場合(試験に使用する診療情報の信頼性確保のために、カルテ情報等との照合ができるようにしておく必要がある場合)、当該試験は治験には当たらないため、医療機器GCP省令は適用されない。

ただし、倫理性および信頼性の確保の観点から、次の点を満たしている必要がある。

  1. ①医用画像データまたは生体試料およびこれらに関連する診療情報の第三者(開発者および規制当局を含む)への提供・開示および承認申請を含む商用利用に関する患者等の同意が適切に得られていることについて、承認申請時にPMDAの求めに応じ申請者が根拠資料に基づいて説明できること。
  2. ②試験に使用する医用画像データまたは生体試料およびこれらに関連する診療情報の信頼性確保のための適切な管理が行われ、施行規則第114条の22(前出)の基準に従って資料が作成されていること。また、適切な管理が行われていることについて、PMDAによる信頼性調査時に申請者が根拠資料に基づいて説明できること。

PMDAに相談を

通知では、対象となる試験について、試験実施前に試験プロトコルおよび信頼性確保の方法などについて PMDAに相談することが望ましい、としている。また、既存の医用画像データ等を用いた性能評価試験だけで当該医療機器の評価が可能か否かは、別途個別に判断されるものであるため、承認申請前にPMDAに相談する。

いずれにしても、通知に関して不明な点があれば、PMDAに積極的に相談することが望ましい。