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厚労省が「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き(改定版)」周知の通知
初版から5年での改定、新たな電波利用動向や技術動向を反映させる 2021.10.01健康・医療

厚生労働省(厚労省)は2021年8月3日、総務省からの協力依頼に基づき、都道府県などに対して、電波環境協議会による「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き(改定版)」(以下、「手引き(改訂版)」の周知を要請する通知を発出した。「手引き(改定版)」は、医療機関の関係者、通信事業者などが連携し、医療機関で安心・安全な電波利用環境を整備する際に参照することができるよう、電波利用機器のトラブル事例と対応策、医療機関での体制整備などについてまとめたもの。その初版から5年での改定で、新たな電波利用動向や技術動向を反映させている。

ポイント

  • 医用テレメータ、無線LAN、携帯電話などについて対策を示す
  • 携帯・スマホでは患者・利用者のマナー面での対策も必要
  • 微弱無線設備、小電力無線局、高周波利用設備、ICタグなどにも注意を

総務省や厚労省も参加する電波環境協議会が作成

「手引き(改訂版)」を作成した電波環境協議会(旧称「不要電波問題対策協議会」)は、不要電波による障害を防止し除去するための対策を協議するため、学識経験者、業界団体、総務省や厚労省ほか関係省庁などで構成する組織として、1987年に設立された。ここでいう不要電波とは、さまざまな機器が機器本来の働きや性能を発揮する時に外部へ放射してしまう不必要な電波のことである。

同協議会では2016年4月、「手引き(改定版)」の初版に当たる「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」(以下、「手引き」)を作成した。その背景として、医療機関において電波を利用する機器が普及するとともに、携帯電話やスマートフォン(スマホ)を使用する患者も増えていて、不要電波により医療機器などにトラブルが生じ、事故等につながることが危惧されていた、という状況がある。

その「手引き」が作成されてから約5年が経過する間に、関連分野で新しい規程・規格が作られている。また、新型コロナウイルス感染症の流行を背景として医療機関での電波利用が広がりを見せている。このような新たな状況を踏まえて、電波環境協議会では2021年7月、「手引き」を改定した。「手引き(改定版)」の大きな目的と内容は、医療機関での主要な電波利用機器でのトラブル事例や対応策、医療機関において電波を管理する体制の整備などについて、分かりやすく情報提供を行う、というものである。

「手引き(改定版)」が対象とするのは、医療関係者をはじめ、医用電気機器・医療システム製造販売業者、無線LANネットワーク整備・保守事業者、携帯電話事業者、通信機器事業者、建築事業者などである。

「手引き(改定版)」は6章で構成、ポイントを示す

「手引き(改定版)」は、①手引きの位置付け、②手引きのポイント、③電波を利用している現状や発生しうるリスクと対策の把握、④医療機関において電波を管理する体制等の整備、⑤困ったときは、⑥今後の検討予定事項と本手引きへの反映――の6章からなる(下表)。また、医療機関において対策が必要な電波利用機器として、医用テレメータ、無線LAN、携帯電話(スマートフォン含む)を主として取り上げ、それぞれの対策などを説明している。

「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き(改定版)」構成

  1. 1. 手引きの位置付け
  2. 1-1. 目的
  3. 1-2. 手引きの対象者
  4. 2. 手引きのポイント
  5. 2-1. 医療機関で電波を利用する際に生じるトラブル事例
  6. 2-2. 電波利用に関する問題の主な課題
  7. 2-3. 安心・安全に電波を利用するための3原則
  8. 2-4. 医療機関で電波を安全に利用するための取組概要
  9. 3. 電波を利用している現状や発生しうるリスクと対策の把握
  10. 3-1. 医療機関における電波利用の例
  11. 3-2. 医用テレメータ
  12. 3-3. 無線LAN
  13. 3-4. 携帯電話
  14. 3-5. その他の機器について
  15. 4. 医療機関において電波を管理する体制等の整備
  16. 4-1. 医療機関の各部門における電波管理担当者の確保
  17. 4-2. 電波利用安全管理委員会や窓口(電波利用コーディネータ)の設置
  18. 4-3. 医用電気機器、情報機器・各種設備・サービス調達時の連携体制の構築
  19. 4-4. 電波の安全利用に関するルールの策定
  20. 4-5. 電波管理に関するリテラシー向上
  21. 4-6. 関係機関との役割分担と責任の明確化
  22. 5. 困ったときは
  23. 6. 今後の検討予定事項と本手引きへの反映

ナースコール、MRI、超音波診断装置なども電波利用機器

「手引き(改定版)」でいうところの医用テレメータとは、電波を利用して患者の心電・呼吸など生体情報が離れた場所にあるナースステーションのセントラルモニタ(受信機)でモニタリングできるようにする機器である。医用テレメータは、センサ、送信機、アンテナシステム、セントラルモニタから構成されるが、その送信機には、電池で動作する携帯型、据置き型の2種類がある。フロアの見通しがきくなど条件がよければ、屋内で約30メートルの距離まで電波が届く。

無線LANは2.4GHz帯、5GHz帯の周波数を使用し、電子カルテを含む医療情報システム、インターネットへの接続、医療機器のデータ伝送用など、幅広く用いられている。無線LANの規格によって使用する周波数帯や通信速度が異なるが、2.4GHz帯は電子レンジ、家庭用コードレス電話、Bluetooth機器、マイクロ波メス、マイクロ波治療器などさまざまな機器と共用しており、電波干渉が多い。

携帯電話の電波は、携帯電話端末(スマートフォン含む)に届く基地局からの電波、携帯電話端末から発射される電波、の2つがある。医療機関においては主として、携帯電話端末から発射される電波が医用電気機器に影響を与える恐れがある。また、基地局から携帯電話端末に電波が届きにくい場合は、同端末から発射される送信電力は高くなる傾向がある。

医療機関で使用されるそのほかの電波利用機器として、「手引き(改定版)」では、微弱無線設備(カプセル内視鏡、徘徊センサほか)、小電力無線局(植込み型心臓ペースメーカのデータ伝送、ナースコール、患者呼び出し、離床センサほか)、高周波利用設備(MRI、超音波診断装置、電気メスほか)、RFID(リストバンド型の患者用タグ/ICタグ、バイタルデータの非接触入力)、トランシーバ、PHS・次世代自営無線などが挙げられている。これらの電波利用機器についても当然、注意が必要である。

無線LANや携帯電話によるトラブルは過半数の病院が経験

医用テレメータ、無線LAN、携帯電話(以下、各種電波利用機器)を病院内で使うことで、実際、電波に関するトラブルが発生している。総務省と厚労省が実施した2019年度「医療機関等における適正な電波利用推進に関する調査」(以下、2019年度アンケート調査)によると、トラブルを経験した病院の割合は、医療用テレメータで40.9%、無線LANで50.4%、携帯電話・スマートフォンで59.9%となっている。

各種電波利用機器において共通してみられるトラブルとしては「特定の場所で電波が十分に届かない」が比較的多い。

個別にみると、医用テレメータでは「チャネル設定を間違える」(30.7%)、「電池切れに気が付かない」(28.8%)など、人的なミスも少なくない。また、「他の機器・設備から障害を受ける」(10.1%)、「他施設からの電波が受信される」(4.0%)など、他の機器からの影響もみられている。

無線LANの場合は「無線LANにつながらない・つながりづらい」が71.3%と最も多い。また、「無線LANの速度が遅い」(36.3%)という問題もある。

携帯電話・スマートフォンの場合は「医療機器の表示等に軽微な影響があった(モニタへのノイズ混入、誤アラーム等)」(2.7%)など、医療機器への影響もみられている。また、「呼び出し音や通話による患者様・利用者様間のトラブルがあった」(20.4%)、「無断撮影等、セキュリティやプライバシーにかかわるトラブルがあった」(11.7%)など、マナーに関するトラブルが比較的多いのも特徴である。

安心・安全に電波を利用するための3原則を示す

それらのトラブルを踏まえて、「手引き(改定版)」では、安心・安全に電波を利用するための3原則を示している(下表)。

安心・安全に電波を利用するための3原則

原則1 電波を利用している現状や発生しうるリスクと対策の把握
どこでどのような電波利用機器を使っているのか、それらの電波利用機器ではどのようなトラブルが発生しうるのか、また、トラブルの予防策や解決策はどのようなものがあるのか、といった点を関係者が把握。
原則2 電波を管理する体制の構築
医療機関内で各部門が個別に電波利用機器を管理するだけではなく、管理情報を部門横断的に共有する体制を構築。
原則3 電波を利用するための対策の検討と実施
原則1 と原則2 の実施状況を踏まえ、電波利用機器調達時~機器運用時~トラブル発生時に必要となる対策を検討し、必要に応じて実施。

原則1の「電波を利用している現状や発生しうるリスクと対策の把握」については、どこでどのような電波利用機器をどのように使っているか把握することが、基本となる。それを踏まえて、どのようなトラブルが発生しうるのか、その予防策、発生時の解決策などについて、電波利用機器の業者あるいはサービス提供者などから情報を得て、医療機関内で情報を共有する。また、国内で使用する無線通信機器は電波法に基づく技術基準に適合している必要があるので、その技術基準に適合していることを示す「技適マーク」などがあるか、確認する。

原則2の「電波を管理する体制の構築」については、医用電気機器や電波利用機器の関係者だけでなく、患者ほか医療機関に出入りするすべての者を視野に入れ、協力を得るようにする。医療機関では実態に応じて、例えば各部門の電波管理担当者、外来、病棟や手術エリアなど各エリアの管理者、財務・総務などの関係者で構成する電波利用安全管理委員会を設置したり、電波利用に関する調整役(電波利用コーディネータ)を置く。また、電波利用のルールとして「電波の安全利用規程」などを整備する。

原則3の「電波を利用するための対策の検討と実施」については、医用電気機器や電波利用機器の調達時、それらの機器の運用等実施時、トラブル発生時を想定し、対策を検討・実施する。例えば運用等実施時では、電波利用機器のチャネルや出力などが当初の設定から変更されていないか、設置場所を運用前後で変えていないか、などを確認する。また、それらの機器でのトラブル発生時には、トラブルの発生状況・日時・原因・対応策、その周辺で使用していた電波利用機器の有無などを記録する。

トラブル対策のチェックポイントを示す

それらのトラブルを踏まえて、「手引き(改定版)」(エッセンス版)では、医療テレメータ、無線LAN、携帯電話それぞれについて、トラブル対策のチェックポイントを簡潔にまとめている。

医用テレメータでは、例えば混信の対策として、「セントラルモニタにおける送信機の無線チャネルの確認」、送信機の電池切れの対策として「電池残量マークの確認」や「電池の定期的な交換」などがチェックポイントとなる。

無線LANでは、持ち込み機器などによる電波干渉の対策として「業務用と来訪者用無線LANのネットワーク分離」や「管理外機器の設置・利用禁止」などについてチェック。また、持ち込みではないものの他の機器からの電波干渉の対策として、「干渉源となるもの(電子レンジ・Bluetooth機器など)が近くで使われていないか確認」がチェックポイントとなる。また、無線LANについては、新型コロナウイルス感染症対策として、オンライン診療やオンライン面接などでその導入が広がっており、これまで以上に注意が必要となる。

携帯電話では、患者・利用者へのマナー面での対策として、「携帯電話医療ルールの作成・掲示」、医用電気機器に影響することへの対策として「医用電気機器との隔離距離の設定」などがチェックポイントとなる。

なお、「手引き(改定版)」および同エッセンス版は、電波環境協議会のホームページ(https://www.emcc-info.net/medical_emc/info20210700.html)で公開されている。