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保険者から被保険者に対して被保険者証等を直接交付することが可能に
健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令が公布 2021.10.01健康・医療

規制改革の一環として、令和3年10月1日から、健保組合などの保険者が被保険者に対して健康保険証を直接交付できるようになる。これは、政府の「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」に寄せられた要望に応えたもので、法令上の整備として、「健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令」が同年10月1日から施行される。それについて説明するため、厚生労働省(厚労省)は8月13日、健康保険関係団体などに対して通知を出すとともに、「Q&A」をまとめ、事務連絡を行った。

ポイント

  • 保険証の交付について選択肢が増え、これまでのルート「保険者→事業主→本人」に、「保険者→本人」というルートも加わった
  • あくまでも保険者が支障がないと認めるときに、被保険者に直接送付が可能
  • 全ての事業所又は一部の事業所等の被保険者に直送するような場合は組合会の議決が必要
  • 被保険者証の返納については、従来通り事業主経由
  • 具体的運用は各保険者の実情に応じて決める

規制改革実施計画で「健康保険証の直接交付」が挙げられる

これまで(令和3年9月末まで)、健保組合などの保険者が被保険者に健康保険証を交付するには、事業主を経由しなければならなかった。それについて、例えば健康保険法施行規則第47条第3項で「保険者は、被保険者証を交付しようとするときは、これを事業主に送付しなければならない。(後略)」と規定している。

それに関する規制改革として、規制改革実施計画(令和3年6月18日に閣議決定)での実施事項の1つとして、「健康保険証の直接交付」が挙げられた。その内容は、保険者が支障がないと認めた場合には健康保険証を保険者から被保険者(従業員)へ直接交付することが可能となるよう、省令改正を行う、というものである。

それを踏まえて、厚生労働大臣は8月13日、「健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令」(以下、改正省令)を公布、10月1日から施行する(後述)。改正省令により、健康保険法施行規則、船員保険法施行規則それぞれが改正されたが、健康保険証を保険者から被保険者へ直接交付(以下、直接交付)できるようにするという趣旨は共通している。

経済団体が「規制改革・行政改革ホットライン」で提案

直接交付ができるようになった重要な契機として、令和2年度において政府の「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」に経済団体が「健康保険証の配付における事業主経由の省略」を提案したことが挙げられる。同経済団体では、次のように提案理由を述べている。

「健康保険証の交付については、施行規則において、保険者(健康保険組合・全国健康保険協会)はまず事業主に送付し、事業主から被保険者(従業員)に交付することが求められている。しかし、簡易書留郵便等を活用して本人確認を行えば、保険者から被保険者に直接に届けることは可能である。また、健康保険証の交付の前提となる被保険者の資格の取得の届出は事業主から保険者に対して行われていることから、保険者から被保険者に健康保険証を交付した事実さえ保険者から事業主に情報共有されていれば、事業主として健康保険証の配布状況を一元的に把握することは十分に可能であり、健康保険証本体が事業主を経由する必然性は乏しい。事業主の人事等担当者は健康保険証送付のために出社を余儀なくされている場合があり、テレワークの推進を阻害しているのみならず、コロナ禍にあって交付遅延のリスクも生じている」

そのような提案が採用された背景として、コロナ禍でテレワークを推進しなければならないという社会状況がある。

省令の改正に当たってパブリックコメントを実施

厚労省では、改正省令を公布する前の手続きとして、その改正省令案について6月15日から1カ月間、パブリックコメントとして意見を募集した。同省では、寄せられた26件の意見の概要、それに対する考え方を公表しているが、直接交付を全面的に支持する意見は少なく、保険者の事務負担や郵送料が増える、という趣旨の指摘が複数あった。

その指摘に対して、厚労省では「直接交付を行うに当たっては、事務負担や費用面を含めた直送事務の実現可能性、見込まれる効果等を踏まえて、保険者・事業主・被保険者間で合意を得ることが必要」としたうえで、こうした事務運用の詳細について「今後あらためてお示しする予定です」と、考え方を示した。その詳細がQ&Aの形でまとめられ、事務連絡がなされている(後述)。

また、「保険証をマイナンバーカードに切り替えることで社会全体の無駄を無くそうとしているときに、現保険証の配布方法を検討するのは、タイミング的に不適切」と、厳しい意見もあった。それに対して、厚労省では「マイナンバーカードの保険証利用については、引き続き、普及に向けた対応を進めてまいります」と、考え方を示している。

高齢受給者証、限度額適用認定証なども直接交付が可能に

パブリックコメントを経て、厚労省では8月13日に改正省令を公布した。そのポイントは次のとおりである。

  1. ①被保険者証の交付について、保険者が支障がないと認めるときは、保険者が被保険者に直接送付できる。
  2. ②被保険者証の情報を訂正した場合における被保険者証の返付について、保険者が支障がないと認めるときは、事業主を経由することを要しない。
  3. ③被保険者証の再交付について、保険者が支障がないと認めるときは、事業主を経由することを要しない。
  4. ④被保険者証の検認(被扶養者資格確認調査)または更新などを行った場合における被保険者証の交付について、保険者が支障がないと認めるときは、保険者が被保険者に直接送付できる。
  5. ⑤高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証の交付方法も、上記①~④に準じた改正を行う。

例えば、上記①について、健康保険法施行規則では第47条関係(第3~5項)が下表のように改正されている。

健康保険法施行規則の一部改正 (主要な条項、傍線部分は改正部分)

改 正 後 改 正 前
(被保険者証の交付) (被保険者証の交付)
第四十七条 (略) 第四十七条 (略)
2 (略) 2 (略)
3 保険者は、第一項又は前項の規定により被保険者(任意継続被保険者を除く。以下この項及び次項において同じ。)に被保険者証を交付しようとするときは、これを事業主に送付しなければならない。ただし、保険者が支障がないと認めるときは、これを被保険者に送付することができる。 3 保険者は、被保険者証を交付しようとするときは、これを事業主に送付しなければならない。ただし、被保険者が任意継続被保険者である場合においては、これを被保険者に送付しなければならない。
4 前項本文の規定による被保険者証の送付があったときは、事業主は、遅滞なく、これを被保険者に送付しなければならない。 4 前項本文の規定による被保険者証の送付があったときは、事業主は、遅滞なく、これを被保険者に交付しなければならない。
5 保険者は、第一項又は第二項の規定により任意継続被保険者に被保険者証を交付しようとするときは、これを任意継続被保険者に送付しなければならない。 (新設)
  1. 注:船員保険法施行規則においても同様の趣旨の改正がある
  2. 出典:令和3年8月13日官報(号外第186号)

今回の改正省令で、保険証の交付について、これまで「保険者→事業主→本人」というルートしかなかったところに、「保険者→本人」というルートも加わったわけで、選択肢が増えたことになる。ただし、直接交付は、あくまでも、保険証を送付/郵送するための事務費用の負担などについて保険者と事業主が協議を行い、合意を得られた場合に、可能となるものである。

厚労省がQ&Aを事務連絡

直接交付の実務に関して、厚労省は8月13日、Q&Aの形にまとめ、関係団体などに事務連絡を行った。パブリックコメントでは費用負担のあり方について複数の意見が出たが、それについてQ&では、各保険者の実情に応じて決めるとしていて、統一的な基準は示していない。

それも含めて、特に実務上、重要なQ&Aとしては、次のようなものが挙げられる。

  1. Q1 「保険者が支障がないと認めるとき」とは、どのような状況を想定しているのか。
  2. A 事務負担や費用、住所地情報の把握等を踏まえた円滑な直接交付事務の実現可能性や、関係者(保険者・事業主・被保険者)間での調整状況等を踏まえ、保険者が支障がないと認める状況を想定している。
  1. Q2 全ての事業所又は一部の事業所等の被保険者について直送することとする場合、健康保険組合においては組合会の議決は必要か。
  2. A 原則として全ての事業所又は一部の事業所(一定の条件下又は特定の期間中のみ直送する場合も含む。)の被保険者について直送する場合、保険者財政への影響があること及び事務運用に大きな変更が生じることから、原則として、直送の具体的な取扱いを記載した規程を整備し、組合会の議決を得ることが必要となる。当該規程については事務取扱に関するものであり、被保険者の権利義務を規定するものではないため、地方厚生(支)局への届出は不要である。(後略)
  1. Q4 直送の具体的な運用について、留意すべき点はあるか。例えば、事業所ごとの状況に応じて、取扱いを変えることは可能か。
  2. A 運用について特段の制限はないが、直送に要する費用は、被保険者・事業主全体が負担する保険料等を原資としていることから、公平性の確保に留意する必要がある。被保険者・事業所間における不公平が生じないよう留意した上で、具体的運用を各保険者の実情に応じて決めることが可能である。
  1. Q7 送付方法に制限等はあるか。
  2. A 送付方法は、紛失リスク等を考慮した上で各保険者の実情に応じて適正に判断いただくこととなる。
  1. Q8 直送に要する費用を事業主負担とすることが考えられるが、具体的な取扱いはどのようにすべきか。
  2. A 直送に要する費用については、具体的な取扱いについて規程を定め、組合会の議決を得ること。なお、当該規程については、地方厚生(支)局への届出は不要である。

なお、Q&Aでも取り上げられているが、被保険者が資格を喪失したときなどの被保険者証の返納については、事業主経由の省略はできず、事業主は遅滞なく被保険者証を回収して保険者に返納しなければならない、とされている。