ログイン・会員登録

会員の方

ID・パスワードをお持ちの方は、
こちらからログインください。

パスワードをお忘れの方はこちら

認証キーの承認をされる方はこちら

2016年1月より会員IDがメールアドレスに統一されました。

会員登録されていない方

会員限定コンテンツのご利用には、会員登録が必要です。

新規会員登録

50秒でわかる
Takeda Medical site

サイトマップお問合わせ

  • 新規会員登録
  • ログイン

厚労省が「難病・小慢対策の見直しに関する意見書」を公表
難病法、改正児童福祉法の施行5年を目途とした見直し、法改正を視野に提言 2021.09.01健康・医療

厚労省は2021年7月14日、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(以下、難病対策委員会)と社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(以下、小慢専門委員会)がとりまとめた「難病・小慢対策の見直しに関する意見書」(以下、意見書)を公表した。これは、難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)、児童福祉法に、施行後5年以内を目途とした見直し規定が置かれていることを踏まえて、法改正も視野に、それぞれの対策についてまとめたものである。①円滑に医療費助成が受けられる仕組みの導入、②データベースの充実と利活用、③医療費助成の申請をしない患者の登録の仕組みの導入、④地域における支援体制の強化、⑤小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の強化、⑥「登録者証」(仮称)の発行――などについて、提案している。

ポイント

  • 意見書は「研究・医療の推進」、「地域共生の推進」が柱に
  • 医療費助成の開始の時期を現在の申請日から前倒しして、重症化時点からとする仕組みを提案
  • 研究や治療法の開発を目的に、医療費助成対象外の軽症の難病患者でもデータを登録することができるように提言。データ登録をした者には「登録者証」(仮称)を発行し、各種支援を受けやすくする

難病対策委員会と小慢専門委員会が合同で意見書

わが国における難病などの対策と医療費助成は、主として、難病法に基づく指定難病に対する難病医療費助成制度(333疾病、2021年度現在)、小児慢性特定疾病医療費助成制度(762疾病、同)により実施している。その指定難病医療費助成制度の対象は成人に限ったものではなく、年齢制限はない。しかし、小児(18歳未満の児童等)は通常、児童福祉法に基づく小児慢性特定疾病医療費助成制度が活用されている。その主な理由は、小児慢性特定疾病医療費助成制度のほうが、対象となる疾病の概念が広く、その数も多く、自己負担の上限額も低く設定されていることなどである。

ただし、小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象となるのは、原則として18歳未満とされている。引き続き治療が必要であると認められたとしても、対象となるのは20歳未満までである。小児慢性特定疾病は希少性の要件等が設定されていないなど、指定難病とは要件が異なり、対象となる疾病の数は指定難病よりも多い。指定難病に指定されていない小児慢性特定疾病も多くあることから、小児慢性特定疾病のうち指定難病の要件を満たすものがあれば、指定難病に指定していく必要がある。小児慢性特定疾病医療費助成制度から難病医療費助成制度へスムーズに移行できるようにすることが望まれていた。

そのため近年では、国(厚労省)において施策関係を検討する組織である難病対策委員会と小慢専門委員会が合同で会議を開く機会が増えていた。そのような背景のもと、法律の見直しの時期が来ていることもあって、両委員会が合同で意見書をまとめた。その構成は下表のとおりである。

難病・小慢対策の見直しに関する意見書の構成

  1. 第1 はじめに
  2. 第2 基本的な考え方
  3. 第3 研究・医療の推進(良質かつ適切な医療の充実)
  4. 1 医療費助成について
  5. (1)対象疾病について
  6. (2)対象患者の認定基準について
  7. (3)患者の自己負担について
  8. (4)円滑に医療費助成が受けられる仕組みについて
  9. (5)医療費助成の実施主体について
  10. 2 医療提供体制について
  11. 3 調査及び研究について
  12. (1)データベースの充実と利活用について
  13. (2)医療費助成の申請をしない患者の登録について
  14. (3)各種の事務負担の軽減について
  15. 第4 地域共生の推進(療養生活支援の強化)
  16. 1 療養生活の環境整備について
  17. (1)難病相談支援センターについて
  18. (2)地域協議会等について
  19. 2 福祉支援について
  20. 3 就労支援について
  21. 4 小児慢性特定疾病児童等自立支援事業について
  22. 5 「登録者証」(仮称)について
  23. 第5 おわりに

「基本的な考え方」では地域共生社会の考え方を取り入れる

意見書の主要な柱は、①基本的な考え方、②研究・医療の推進、③地域共生の推進――である。

まず、「基本的な考え方」として、難病対策については「引き続き、難病法の基本理念にのっとり、難病の克服を目指し、難病の患者が長期にわたり療養生活を送りながらも社会参加の機会が確保され、地域社会で尊厳を持って他の人々と共生することを妨げられないことを旨として、総合的に施策が講じられるべきである」としている。

ここでは、いわゆる地域共生社会の考え方を取り入れているのが特徴である。地域共生社会は、わが国が近年、福祉の分野で大きな目標としているものである。厚労省では2021年4月、地域共生社会のポータルサイト(https://www.mhlw.go.jp/kyouseisyakaiportal/)を開設。地域共生社会について次のように説明している。

制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を指しています。

指定医が診断した段階から医療費助成が受けられる仕組みを提案

2つ目の柱である「研究・医療の推進」で、医療費助成について、指定難病は希少な疾病を対象としていることを踏まえて、「国において、指定難病に指定されていない小児慢性特定疾病について、患者の実態把握や客観的指標に基づく診断基準等の確立のための調査研究を強化していくべきである」としている。指定難病の医療費助成の対象とならない小児慢性特定疾病があることから、小児期から成人期にかけてシームレスに適切な医療が受けられる体制づくり、福祉や学習などの支援が受けられるようにすることが必要であり、移行期医療に関する体制整備を一層促進するとともに、小児慢性特定疾病児童等の自立支援について強化を図る必要がある、と指摘している。

また、円滑に医療費助成が受けられる仕組みについて、提案している。例えば、患者(児)の症状が重症化し、指定医が、指定難病医療費助成制度あるいは小児慢性特定疾病医療費助成制度の認定基準を満たすと診断しても、その後、臨床調査個人票、医療意見書の作成・提出が必要で、これには一定の時間を要する。症状が重症化した本人が医療費助成の申請をすることも負担となる。そこで、意見書では「医療費助成の開始のタイミングを現在の申請日から前倒しして、重症化時点(認定基準を満たすことについて指定医が診断した日)からとすることが適当である」としている。

データベースの充実と利活用へ

指定難病医療費助成制度、小児慢性特定疾病助成制度それぞれにおいて、データベースが構築されていて、患者の同意に基づいて、厚労省の研究班などに対してデータ提供が行われている。しかし、難病法および児童福祉法にはそれぞれのデータベースに関する規定がない。そのため、それらのデータベースについても「法律上の規定を整備し、収集・利用目的・第三者提供のルール等を明確に定める」と提言し、国の「レセプト情報・特定健診等情報データベース」(通称「NDB」)など公的データベースとの連結解析データの提供が促進されるよう求めている。

指定難病医療費助成制度は難病の研究も目的としているが、そのデータベースに登録しているのは、医療費助成を申請し、登録に同意した患者に限られている。そのため、軽症の難病患者などは登録されておらず、症状が抑えられている時期から重症に至る経過を追うようなことができない。そのような状況を踏まえて、医療費助成の申請をしない患者についても、データを登録することができる仕組みを設けることが適当である、と提案している。それにより、研究や治療法の開発が促進されるなど、さまざまなメリットが期待される。ただし、その導入は関係者の負担の増大につながるため、メリットと負担のバランスを十分に考慮し、仕組みを構築する必要がある、としている。

そのデータ登録の促進策の1つとして、医療費助成対象外でデータ登録をした者には「登録者証」(仮称)を発行する。また、「登録者証」を持つことが、「地域共生の推進」(後述)につながるようにする。

「登録者証」で地域のサービス、福祉サービスを利用しやすくする

3つ目の柱である「地域共生の推進」では、地域における支援体制の強化、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の強化が、中心となる。

地域における支援体制の強化として、難病法に基づいて都道府県および指定都市に設置されている難病相談支援センターの周知を促進するとともに、福祉や就労支援機関との連携について、法令上、明確にする。また、難病法により、都道府県、保健所設置市などでは難病対策地域協議会を置くことが努力義務とされていて、その設置が進んでいるが、慢性疾病児童等地域支援協議会については厚労省健康局長通知に定められているだけで、設置はあまり進んでいない。これを進めるために、慢性疾病児童等地域支援協議会を法令上に位置付けるとともに、難病対策地域協議会と慢性疾病児童等地域支援協議会の連携について法令上明確にする。

小児慢性特定疾病児童等自立支援事業は児童福祉法に基づくもので、都道府県等は義務としての相談支援事業を実施するほか、任意事業として就職支援、患児のきょうだいへの支援、学習支援などを行うことができる。しかし、これら任意事業の実施率は低く、その活性化には、現状把握→課題分析→任意事業の企画・実施という流れを作り出すことが重要である。そのために、自治体の事業として、地域の実態把握の調査などが必須である、と指摘している。

登録者証の交付については、患者のデータ収集を行い、治療研究を推進すること(前述)のほか、地域における各種の支援を受けやすくする、という目的も併せ持つ。その発行主体は地方自治体とし、地域で利用できるサービスに関する情報を記載する。また、各種の福祉サービスを利用するのに必要となる医師の診断書に代わるものとして取り扱うことができるよう、関係者に働きかける。

なお、意見書の「おわりに」において、法改正が必要な事項については、関連法案を国会に提出するほか、運用で対応できる事項については運用で対応するなど、制度見直しのために必要な対応を速やかに講じられることを求めたい、としている。