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手術器具を介するプリオン病二次感染予防策の遵守について通知
別途通知で、「プリオン病感染予防ガイドライン(2020年版)」を紹介 2021.09.01健康・医療

厚生労働省(厚労省)は2021年7月13日、都道府県に対して、「手術器具を介するプリオン病二次感染予防策の遵守について」の通知を発出した。これは、プリオン病を疑われる患者に使用された再使用可能な手術用器械器具が、製造販売業者等への返却後、プリオン不活性化処理がなされず別の医療機関に貸し出された事例が確認されたことを踏まえて、厚労省が、医療機器の利用に当たっての留意事項をとりまとめ、通知したものである。併せて、別の通知で、プリオン不活性化の具体的方法として、「プリオン病感染予防ガイドライン(2020年版)」を紹介した。

ポイント

  • プリオン病は指定難病として指定されている
  • ハイリスク手技の手術はすべてプリオン感染の可能性があると考える
  • ハイリスク手技を行った場合はガイドラインに従って再使用可能な医療機器の洗浄・滅菌を

プリオン病の代表的なタイプが孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病

プリオン病は指定難病(告示番号は23)で、その概要について、次のような趣旨の説明がなされている。

プリオン病は、正常プリオン蛋白が何らかの理由で伝播性を有する異常プリオン蛋白に変化し、主に中枢神経内に蓄積することにより急速に神経細胞変性を起こす、まれな致死性疾患である。プリオン病の代表的なタイプである孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は1年間に100万人に1人程度の割合で発症する。ヒトのプリオン病は病因により、①原因不明の特発性(孤発性CJD)、②プリオン蛋白遺伝子変異による遺伝性(家族性CJD、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、致死性家族性不眠症)、③他からのプリオン感染による獲得性(クールー、医原性、変異型)の3種類に分類される。プリオン病は人獣共通感染症であり、牛の牛海綿状脳症(BSE)などが知られている。

また、厚労省の「令和元年度衛生行政報告例」によると、2019年度末(2020年3月末)現在でのプリオン病の特定医療費(指定難病)受給者証所持者は429人となっている。

滅菌等のプリオン不活性化処理がされない手術用器械器具が貸し出される事例が発生

手術器具を介するプリオン病の二次感染の予防策については、すでに、厚労省では2008年5月27日付けで、「手術器具を介するプリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病を含む)二次感染予防について」の通知を出している。今回、厚労省は「手術器具を介するプリオン病二次感染予防策の遵守について」の通知(以下、通知)を発出し、プリオン病二次感染予防策の遵守を促した。これは、令和2年度厚生労働科学研究「プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班」において、プリオン病を疑われる患者に使用された再使用可能な手術用器械器具が、製造販売業者等への返却後、次の医療機関での再使用に至る一連の工程において滅菌等のプリオン不活性化処理がなされず、別の医療機関に貸し出された事例が報告されたことによる。

その手術用器械器具は、貸与された医療機関で適切な洗浄・滅菌が実施されていて、ハイリスク手技(脳、脊髄、硬膜、脳神経節、脊髄神経節、網膜または視神経に接触した可能性がある手技)には用いられておらず、プリオン病の二次感染のリスクを有する事例には至っていない。

今回の事例は、いわゆる“ヒヤリ・ハット”に相当するものだ。しかし、製造販売業者や貸与業者が関与する手術用器械器具の再使用・貸与は、特に珍しいことではなく、外科/整形外科領域を中心に行われており、注意が必要である。

委託する場合もガイドラインに従った洗浄・滅菌であることの確認を

厚労省による今回の通知の要点は、次のとおりである。

  1. ①医療機関は、プリオン病の感染症疑いの有無にかかわらず、ハイリスク手技を行った場合は、「プリオン病感染予防ガイドライン(2020年版)」(後述)に従う。脳、脊髄、硬膜、脳神経節、脊髄神経節、網膜または視神経に接触する可能性があるため、再使用可能な医療機器(貸与業者により貸与された機器も含む。以下、本件医療機器)についてプリオン不活性化のための洗浄、滅菌を行うこと。医療機関は、洗浄、滅菌は委託することも可能だが、その場合は同ガイドラインに従った洗浄、滅菌がされていることを確認すること。
  2. ②「プリオン病感染予防ガイドライン(2020年版)」(以下、ガイドライン)については、別途、厚労省が2021年7月13日、都道府県に対して「『プリオン病感染予防ガイドライン(2020年版)』について」の通知を行った。この趣旨は、令和元年度厚生労働科学研究「プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班」および日本神経学会により、「プリオン病感染予防ガイドライン(2008年版)」の改訂版として、ガイドラインがとりまとめられたので、管下の医療機関等に対して周知をお願いする、というものである。
  3. ③製造販売業者は、本件医療機器について、添付文書の【使用上の注意】の[重要な基本的注意]の項に、「本品がハイリスク手技に使用された場合には、プリオン病感染予防ガイドラインに従った洗浄、滅菌を実施すること」および「本品がプリオン病の感染症患者への使用及びその汚染が疑われる場合には、製造販売業者又は貸与業者に連絡すること」との記載があることを点検すること。その点検の結果は、本通知発出日(2021年7月13日)から3カ月以内に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に、所定の様式で報告すること。また、その点検の結果、添付文書を改訂する場合には、PMDAホームページに、改訂後の添付文書を速やかに掲載するとともに、医療機関および貸与業者へ、それに関する情報提供を行うこと。
  4. ④製造販売業者は、添付文書の改訂に関して医療機関へ情報提供する際に、ガイドラインに従ったプリオン不活性化のための洗浄・滅菌の条件について、説明すること。
  5. ⑤「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成 16 年厚生労働省令第 169 号)第72条の2第2項第2号に、製造販売業者は医療機器の販売業者または貸与業者における品質の確保に関する手順を確立し、文書化しなければならないと規定されている。その手順に次の項目を含めるとともに、その内容を貸与業者に指示すること。
  6. ▽本件医療機器をハイリスク手技に使用した場合には、医療機関が添付文書に従いガイドラインに従った洗浄、滅菌を行うよう、貸与業者が医療機関に説明をすること。
  7. ▽上記の洗浄、滅菌の確実な実施を担保するため、貸与業者は医療機関との間で共有すべき情報を明らかにしたうえで、ハイリスク手技に使用された本件医療機器の洗浄、滅菌の実施状況を確実に確認すること。
  8. ▽プリオン病の感染症患者への使用およびその汚染が疑われる場合には、医療機関が製造販売業者または貸与業者への連絡を確実に実施するよう、貸与業者が医療機関に説明すること。

ガイドラインは14章からなり、「社会的問題」の章も

医療機関においても、ガイドラインを理解していることが重要となる。ガイドラインは、別表のとおり、14章からなる。

プリオン病感染予防ガイドライン2020 構成(目次)

  1. 第1章 プリオンとプリオン病
  2. 第2章 プリオンの不活性化
  3. 第3章 ハイリスク手技に用いられた手術器械
  4. 第4章 脳神経外科手術
  5. 第5章 眼科治療
  6. 第6章 歯科治療
  7. 第7章 整形外科治療
  8. 第8章 消化管内視鏡検査
  9. 第9章 非侵襲的医療行為と看護ケア
  10. 第10章 剖検・病理標本作成(含む針刺し事故)
  11. 第11章 アルツハイマー病、パーキンソン病、多系統萎縮症などの神経変性疾患
  12. 第12章 倫理的問題と心理支援
  13. 第13章 社会的問題
  14. 第14章 プリオン病インシデント事例への対応
  15. 付録

各章は、いわゆるQ&A形式で要点をまとめるとともに、解説を加え、文献を明示している。また、患者や家族の心理支援のポイント、プリオン病感染予防に必要な経費など、「倫理的問題と心理支援」、「社会的問題」についての章も設けられている。

プリオン不活性化の効果が確認されている実用的な方法を示す

ガイドラインの第3章(ハイリスク手技に用いられた手術器械)で提示されたQ例を示す。

  1. Q:「手術器械を介したプリオン感染の予防法として何が推奨されますか」
  2. A: 例えば「ハイリスク手技の手術は全てプリオン感染の可能性があると考える。再使用する器械を再生処理するときには、プリオンの不活性化が確立された方法を用いることが強く推奨される」。
  1. Q:「プリオン不活性化を目指した信頼性の高い実践的な滅菌法として何が推奨されますか」
  2. A: プリオン不活性化の効果がin vivoおよびin vitro法を用いて確認されている実用的な方法を用いることが強く推奨される。方法は次の通り。
  1. (1)ウォッシャーディスインフェクター(WDs) によるアルカリ洗浄 + 真空脱気プレバキューム高圧蒸気滅菌134℃、8~10 分間
  2. (2)適切な洗浄剤による十分な洗浄 + 真空脱気プレバキューム高圧蒸気滅菌134℃、18 分間
  3. (3)アルカリ洗浄(洗浄剤の濃度、洗浄温度等はメーカーの指示に従う)+ 過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌(滅菌器の機種ごとにプリオン不活性化の効果が確認されている滅菌プログラムを使用する)

なお、ガイドラインは、下記URLにおいて公開されている。http://prion.umin.jp/guideline/pdf/cjd_2020v6.pdf