ログイン・会員登録

会員の方

ID・パスワードをお持ちの方は、
こちらからログインください。

パスワードをお忘れの方はこちら

認証キーの承認をされる方はこちら

2016年1月より会員IDがメールアドレスに統一されました。

会員登録されていない方

会員限定コンテンツのご利用には、会員登録が必要です。

新規会員登録

50秒でわかる
Takeda Medical site

サイトマップお問合わせ

  • 新規会員登録
  • ログイン

医療的ケア児支援法が令和3年6月18日公布、9月18日施行
医療的ケア児について定義し、基本理念を掲げる 2021.08.02健康・医療

今年の通常国会の終盤で、急きょ、議員立法として「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(医療的ケア児支援法)が成立。6月18日に公布、9月18日から施行される。同法律では、医療的ケア児について定義し、基本理念を掲げるとともに、国と地方自治体、保育所の設置者、学校の設置者などの責務を明記している。都道府県レベルで支援措置の中心となるのは、これから設置する医療的ケア児支援センターである。

ポイント

  • 基本理念は、医療的ケア児の日常生活と社会生活を社会全体で支えること
  • 「医療的ケア」の定義は、人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為。その「医療行為」の範囲については変更なし
  • 都道府県レベルで設置する医療的ケア児支援センターが支援の中心に

医療技術の進歩とともに医療的ケア児が増加、約2万人と推計

医療技術の進歩に伴い、NICUなどから退院した後、恒常的に人工呼吸器による呼吸管理や喀痰吸引などが不可欠な児童が増えていて、その数は2万人を超えていると推計されている。それらの児童は医療的ケア児と呼ばれるが、ケアを行う家族などに対する多様な支援も大きな課題となっている。そのような社会的な状況を踏まえて、超党派の「永田町子ども未来会議」に参加する議員が中心となり、医療的ケア児支援法案が作られた。

同会議に参加し、また医療的ケア児支援法案の提出者の一人である衆議院議員は、同法案を作った理由・動機について、令和3年6月10日に開催された参議院・厚生労働委員会で、次のように説明している。「一番問題なのは、医療的ケア児は30分おきに喀痰しますから、お母さんが夜眠れない。そういう睡眠不足のときに、どうしても子供に当たったりすることがある。それはやむを得ないことだと思うのですけれども、その後、そのお母さんたちは、この子供を叱ってしまったということを後悔するのです。そういうことにならないような制度を作らないと駄目だ、親も子供も両方笑って過ごせるような社会を作らなければならない」。

医療的ケア児支援法は令和3年の通常国会の終盤である6月11日に議員立法として成立、同月18日に公布された。公布の日から起算して3ヵ月を経過した日である9月18日から施行される。

医療的ケア児支援法は、医療的ケア児と家族に対する支援に関し、基本理念を定め、国と地方公共団体などの責務を明らかにするとともに、保育や教育の拡充に係る施策、医療的ケア児支援センターの指定などについて定めている。その全体像は下表のとおりである。

医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の全体像

  1. ◎医療的ケア児とは
  2. 日常生活および社会生活を営むために恒常的に医療的ケア(人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為)を受けることが不可欠である児童(18歳以上の高校生等を含む)
  3. 立法の目的
  4. ○医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資する
  5. ○安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現に寄与する
  6. 基本理念
  7. 1 医療的ケア児の日常生活・社会生活を社会全体で支援
  8. 2 個々の医療的ケア児の状況に応じ、切れ目なく行われる支援
  9. → 医療的ケア児が医療的ケア児でない児童等と共に教育を受けられるように最大限に配慮しつつ適切に行われる教育に係る支援等
  10. 3 医療的ケア児でなくなった後にも配慮した支援
  11. 4 医療的ケア児と保護者の意思を最大限に尊重した施策
  12. 5 居住地域にかかわらず等しく適切な支援を受けられる施策
  13. 支援措置
  14. 国・地方公共団体による措置(責務)
  15. ○医療的ケア児が在籍する保育所、学校等に対する支援
  16. ○医療的ケア児および家族の日常生活における支援
  17. ○相談体制の整備 ○情報の共有の促進 ○広報啓発
  18. ○支援を行う人材の確保 ○研究開発等の推進
  19. 保育所の設置者、学校の設置者等による措置(責務)
  20. ○保育所における医療的ケアその他の支援
  21. → 看護師等または喀痰吸引等が可能な保育士の配置
  22. ○学校における医療的ケアその他の支援
  23. → 看護師等の配置
  24. 医療的ケア児支援センター(都道府県知事が社会福祉法人等を指定または自ら行う)
  25. ○医療的ケア児およびその家族の相談に応じ、または情報の提供もしくは助言その他の支援を行う
  26. ○医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関等への情報の提供および研修を行う 等
  27. 施行期日:公布の日から起算して3月を経過した日(令和3年9月18日)
  28. 検討条項:法施行後3年を目途としてこの法律の実施状況等を勘案した検討
  29. 医療的ケア児の実態把握のための具体的な方策
  30. 災害時における医療的ケア児に対する支援の在り方についての検討
  1. 出典:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室による資料『「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」について』を一部改変

医療的ケアに係る医療行為の範囲について変更はない

医療的ケア児支援法は本文21条と附則2条からなる。その第1条で、法律の目的について「医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資し、もって安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現に寄与すること」としている。  第2条においては、第1項で「医療的ケア」について、人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為をいう、と定義。また、第2項で「医療的ケア児」について、日常生活および社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童(18歳未満の者および18歳以上の者であって高等学校等に在籍するもの)をいう、と定義している。

そのように「医療的ケア」について定義がなされたため、医療的ケア児支援法(案)について審議する国会では、衆議院、参議院それぞれにおいて、「医療的ケア」に係る「医療行為」の範囲が変更されていないことを確認する趣旨の質問が出た。本支援法で規定する「医療的ケア」を行う者としては、主として、家族と学校・施設関係者等が想定されており、「医療的ケア」としての「医療行為」の範囲はケアする側にとっては重要な関心事である。その質問に対して、政府参考人(厚労省社会・援護局障害保健福祉部長)が「本定義規定は医療的ケアに係る医療行為の範囲について変更等を行うものではないものと承知しております」と答弁している。

国や地方公共団体の責務を定める

医療的ケア児支援法第3条の各項で、基本理念を定めている。その趣旨は、医療的ケア児とその家族に対する支援は医療的ケア児の日常生活と社会生活を社会全体で支えることを旨として行われなければならない、というものである。この基本理念は後続の条項の基盤となっている。

それを受けて、医療的ケア児とその家族に対する支援に係る施策について、第4条で、国は総合的に実施する責務を有するものとし、第5条で、地方公共団体は国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に実施する責務を有する、とした。

保育所の設置者、認定こども園の設置者、家庭的保育事業等を営む者、放課後児童健全育成事業を行う者については、第6条において、保育所もしくは認定こども園に在籍、または家庭的保育事業等もしくは放課後児童健全育成事業を利用している医療的ケア児に対し、適切な支援を行う責務を有する、としている。同様に、学校(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)の設置者については、第7条において、その学校に在籍する医療的ケア児に対し、適切な支援を行う責務を有する、としている。

この法律の目的を達成するため、第8条において、政府は、必要な法制上または財政上の措置、その他の措置を講じなければならない、と規定している。

また、第9条関係から第13条関係で、医療的ケア児と家族に対する支援策として、保育を行う体制の拡充、教育を行う体制の拡充、日常生活における支援、相談体制の整備および情報の共有の促進について、規定している。

医療的ケア児支援センターは社会福祉法人などが担う

今後、都道府県レベルで、医療的ケア児と家族などを支援する中心的な役割を果たすことになる組織が、医療的ケア児支援センターである。それについて、医療的ケア児支援法第14条関係で、都道府県知事は、医療的ケア児とその家族などの相談に応じること等の業務を、社会福祉法人その他の法人による医療的ケア児支援センターに行わせるか、都道府県が自らそれを行うことができる、としている。また、医療的ケア児支援センターあるいは都道府県自らが行う業務には、次のようなものが挙げられている。

①医療的ケア児と家族、その他の関係者に対し、相談に応じ、情報の提供、助言その他の支援を行うこと。

②医療・保健・福祉・教育・労働などに関する業務を行う関係機関、民間団体、その従事者に対し、医療的ケアについての情報の提供および研修を行うこと。

③医療的ケア児と家族に対する支援に関して、医療・保健・福祉・教育・労働などに関する業務を行う関係機関、民間団体との連絡調整を行うこと。

この医療的ケア児支援センターの意義について、参議院・厚生労働委員会(前述)で、厚生労働副大臣が「医療的ケア児を抱える家族に対して、さまざまな分野の相談に専門的に応ずるとともに、関係機関および民間団体の緊密な連携を促していることに大変重要な意義があると考えている」と発言している。

また、医療的ケア児支援センターについては都道府県知事から指定された社会福祉法人などが担うことになっているが、参議院・厚生労働委員会(前述)では「社会福祉法人が本当に果たせるのか」との質問が出た。

それに対して、法案提出者の一人である衆議院議員が「主体は都道府県にしているが、社会福祉法人でもできる規定にしている」と説明したうえで、「支援センターのようなもの、あるいは相談センターのようなものを既存の社会福祉法人に委託しているところが、結構ある。そういうところを育てていったらいい。今の都道府県は、人員不足でなかなか丁寧な行政というのはできかねるところがある。だから、そういうところでは、社会福祉法人が機能しているのならばそれを使ったらいい」と答弁している。

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定でも基本報酬を大幅に引き上げて支援を充実

医療的ケア児支援法の第19条~21条において、医療的ケア児およびその家族に対する支援に関し、広報啓発、人材の確保、研究開発等の推進について定めている。

また、その附則において、法施行後3年を目途として、実施状況等を勘案して検討を加え、必要な措置を講ずる、としている。

なお、医療的ケア児支援法の成立後も国会においては医療的ケア児に関心が持たれていて、令和3年7月8日に開かれた参議院・厚生労働委員会で、コロナ禍において医療的ケアを行っている親たちの負担が増えていることに対する国の対応について質問が出たが、それに対して厚生労働大臣が、令和3年度障害福祉サービス等報酬改定で医療的ケア児を受け入れる事業所の基本報酬を大幅に引き上げるなど、その支援を充実させていることを説明した。