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改正医療法が令和3年5月28日公布、同8年4月1日にかけて段階的に施行
医師の「働き方改革」、地域の実情に応じた医療提供体制の確保などが目的 2021.07.01健康・医療

医師の「働き方改革」や地域の実情に応じた医療提供体制の確保などを目的として、令和3年の通常国会で成立した「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が、同年5月28日に公布された。幅広い改正が行われており、公布の日から同8年4月1日にかけて段階的に施行される。その中心をなすものの1つが、医師から他職種へのタスク・シフト(業務の移管)の推進・拡大である。そのため、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士の身分法が改正され、同3年10月から施行される。また、医療提供体制の確保として、外来機能報告制度が同4年4月に創設される。

ポイント

  • 勤務医に対する時間外労働の上限規制の適用開始に向けて法整備
  • 診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士の業務が拡大へ
  • 外来機能報告制度が令和4年4月に創設、外来医療の機能の明確化・連携へ

勤務医が長時間労働となる医療機関を都道府県知事が指定する制度を創設

令和3年5月28日に公布された「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」(以下、改正医療法)は、いわゆる「束ね法案」、「一括法案」として政府が国会に提出、成立したもので、幅広い内容の改正となっている。しかし、国会での同法案の審議では、新型コロナウイルス感染症対策に関する質疑が多く、「働き方改革」やタスク・シフトに関しては必ずしも十分な時間が使われなかった。

令和3年4月16日に開催された参議院・本会議で、改正医療法(案)の提出理由について、厚生労働大臣が「今後とも、人口減少、高齢化の進展等に伴う人口構造や医療需要の変化が見込まれ、新興感染症等への備えと対応が一層求められる中、医師の働き方改革と地域医療の確保の両立、医療専門職が自らの能力を生かし、より能動的に対応できる取組の推進、新興感染症等にも対応した医療計画の策定や地域医療構想の実現等を通じて、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進していくため」としたうえで、その概要を次の5つにまとめ、簡潔に説明した。

  1.  (1) 令和6年4月の医師に対する時間外労働の上限規制の適用の開始に向け、提供する医療の性質上、勤務する医師が長時間労働となる医療機関を都道府県知事が指定する制度を創設する。その指定を受けた医療機関の管理者は、医師の労働時間の短縮、健康確保のための措置を実施する。
  2. (2) 診療放射線技師等について、専門性の活用の観点から、その業務範囲を拡大する。また、医師および歯科医師について、資質向上の観点から、養成課程の見直しを行う。
  3. (3) 医療計画の記載事項に、新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制に関する事項を追加する。また、地域医療構想の実現に向けて、医療機関の取組の支援を行う。
  4. (4) 外来医療の機能の明確化および連携の推進のため、医療資源を重点的に活用する外来医療等についての報告制度を創設する。
  5. (5) 持分の定めのない医療法人への移行計画の認定制度の期限を令和5年9月30日までとする。

医療計画への位置付けに関する条項は令和6年4月1日に施行

改正医療法は内容として、①医師の働き方改革、②各医療関係職種の専門性の活用、③地域の実情に応じた医療提供体制の確保、④その他――に、大きく分けることができる。それぞれの趣旨、施行の期日などについて、厚労省は下表のようにまとめている。

施行の時期については、改正された労働基準法の勤務医に対する施行が令和6年4月1日であることから、医師の働き方改革(上記①)に関する条項は同年同日に向けて段階的に施行される。

その一環として、医師の負担軽減について積極的に推進するため、各医療関係職種の専門性の活用(上記②)、タスク・シフトなどに関する条項については、比較的早く令和3年10月1日から施行される。

地域の実情に応じた医療提供体制の確保(上記③)について、医療機関に対する支援は早く行うため、それに関する条項は公布の日である令和3年5月28日から施行された。外来機能報告制度に関する条項は同4年4月1日からの施行となる。また、医療計画への位置付けに関する条項は、第8次医療計画(令和6年度~11年度)が始まる同6年4月1日に施行されることになっている。

良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律の概要

  1. <Ⅰ.医師の働き方改革>
  2. 長時間労働の医師の労働時間短縮及び健康確保のための措置の整備等
  3. [医療法] 【令和6年4月1日に向け段階的に施行】
  4. 医師に対する時間外労働の上限規制の適用開始(令和6年4月1日)に向け、次の措置を講じる。
  5. ・ 勤務する医師が長時間労働となる医療機関における医師労働時間短縮計画の作成
  6. ・ 地域医療の確保や集中的な研修実施の観点から、やむを得ず高い上限時間を適用する医療機関を都道府県知事が指定する制度の創設
  7. ・当該医療機関における健康確保措置(面接指導、連続勤務時間制限、勤務間インターバル規制等)の実施等
  8. <Ⅱ.各医療関係職種の専門性の活用>
  9. 1.医療関係職種の業務範囲の見直し
  10. [診療放射線技師法、臨床検査技師等に関する法律、臨床工学技士法、救急救命士法] 【令和3年10月1日施行】
  11. タスクシフト/シェアを推進し、医師の負担を軽減しつつ、医療関係職種がより専門性を活かせるよう、各職種の業務範囲の拡大等を行う。
  12. 2.医師養成課程の見直し
  13. [医師法、歯科医師法]【①は令和7年4月1日/②は令和5年4月1日施行等】※歯科医師も同様の措置
  14. ①共用試験合格を医師国家試験の受験資格要件とし、②同試験に合格した医学生が臨床実習として医業を行うことができる旨を明確化。
  15. <Ⅲ.地域の実情に応じた医療提供体制の確保>
  16. 1.新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置付け
  17. [医療法]【令和6年4月1日施行】
  18. 医療計画の記載事項に新興感染症等への対応に関する事項を追加する。
  19. 2.地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組の支援
  20. [地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律]【公布日施行】
  21. 令和2年度に創設した「病床機能再編支援事業」を地域医療介護総合確保基金に位置付け、当該事業については国が全額を負担することとするほか、再編を行う医療機関に対する税制優遇措置を講じる。
  22. 3.外来医療の機能の明確化・連携
  23. [医療法] 【令和4年4月1日施行】
  24. 医療機関に対し、医療資源を重点的に活用する外来等について報告を求める外来機能報告制度の創設等を行う。
  25. <Ⅳ.その他> 持ち分の定めのない医療法人への移行計画認定制度の延長 【公布日施行】
  1. 出典:第79回社会保障審議会医療部会(令和3年6月3日開催)資料を一部改変

「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の中間とりまとめを反映

現在、医師の働き方改革の全体的な仕組み、具体的な進め方については、厚労省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」が検討を続けている。その全体的な仕組みの概要は、次のようなものである。

勤務医に対する年間および月間の時間外労働(休日労働含む)の上限については、A水準(時間外労働=年960時間/月100時間未満、一般の医療機関に適用)、B水準(同=年1,860時間/月100時間未満、救急医療など地域医療の確保に必要な病院に適用ほか)、C水準(同=年1,860時間/月100時間未満、臨床研修医・専攻医の研修・プログラムや高度技能の修得研修に適用)の3つに大きく分かれる。また、医師の健康を確保するための措置(健康確保措置)として、時間外労働が月の上限(100時間)を超える場合には面接指導を義務化。休息時間の確保についても、A水準では努力義務、B水準とC水準においては義務となる。

これまでに、同検討会は、厚労省が提案した「長時間労働の医師への健康確保措置に関するマニュアル」、「医師労働時間短縮計画策定ガイドライン(案)」、「医療機関の医師の労働時間短縮の取組の評価に関するガイドライン(評価項目と評価基準)」などについても検討し、その修正などに取り組んできた。また、令和2年12月22日に、それらも含めた「中間とりまとめ」を公表した。

改正医療法には、その「中間とりまとめ」が反映されている。

救急救命士は救急外来でも救急救命処置の実施が可能に

医師の働き方改革のための主要な手段であるタスク・シフト、タスク・シェア(業務の共同化)については、これまで、厚労省の「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」が検討を続けてきた。同検討会は令和2年12月23日、「議論の整理」を公表し、現行制度のもとで実施可能な業務、法令改正を行いタスク・シフト/シェアを推進する業務について、明示した。

改正医療法には、その「議論の整理」も反映されている。具体的には、「議論の整理」で提示された「法令改正を行いタスク・シフト/シェアを推進する業務」を踏まえて、それぞれの身分法が改正された。その身分法とは、診療放射線技師法▽臨床検査技師等に関する法律▽臨床工学技士法▽救急救命士法で、それらの一部改正を行った。施行は、令和3年10月1日からである。

まず、診療放射線技師法の一部改正で、①射性同位元素(RI)検査のために静脈路を確保し、RI検査医薬品を投与、その終了後に抜糸・止血する行為、②医師または歯科医師が診察した患者について、その医師または歯科医師の指示を受け、病院・診療所以外の場所に出張して行う超音波検査――などが、業務に追加される。

臨床検査技師等に関する法律の一部改正で、超音波検査において静脈路を確保し、造影剤を接続・注入する行為、その造影剤の投与が終了した後に抜針・止血する行為ほかが、業務に追加される。

臨床工学技士法の一部改正で、手術室などにおいて生命維持管理装置や輸液ポンプ・シリンジポンプに接続するために静脈路を確保し、それらに接続する行為ほかが、業務に追加される。

救急救命士法の一部改正で、救急救命士が現行法において医療機関に搬送されるまでの間にて実施可能とされている救急救命処置について、救急外来(救急診療を要する傷病者が来院してから入院に移行するまでの間、入院しない場合は帰宅するまでに必要な診察・検査・処置などが提供される場)においても実施できるようになる。

既に資格を取得している者には研修の受講を義務付け、業務の拡大へ

診療放射線技師法、臨床検査技師等に関する法律、臨床工学技士法、救急救命士法の一部改正(前述)は令和3年10月1日から施行されるが、それぞれの職種が同日から新たな業務ができる、というわけではない。そのために必要な研修などに関して、令和3年4月22日および5月13日に開催された参議院・厚生労働委員会で、複数の議員から質問が出た。それに対して、政府参考人(厚生労働省医政局長)が次のような趣旨の答弁をしている。

まず、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士については、法令改正と併せて養成カリキュラムの見直しを行う。すでに資格を取得している人については、今回追加される業務を実施するための要件として、厚生労働大臣が指定する研修の受講を義務付けることとしている。この研修については、関係職能団体の協力も得ながら、施行期日の令和3年10月1日までに開始できるよう準備を進めている。その内容は、今回追加される業務を行うために必要な知識と技術についての基礎研修と実技研修とする。時間数は、診療放射線技師と臨床検査技師については18時間程度、臨床工学技士については28時間程度の研修とすることを想定している。

また、救命救急士については、従前の病院前救護(救命救急処置)に加えて、新たに医療機関の救急外来において従前と同様の救命救急処置を行うことが可能となる。その救急外来における救命救急処置の実施については、勤務する医療機関が実施する院内研修の受講を義務付ける。今後、研修の詳細について検討していくこととしている。

「医療資源を重点的に活用する外来」は紹介患者を基本とする

外来医療の機能の明確化および連携の推進に関する条項は令和4年4月1日に施行されるが、この時点で外来機能報告制度が創設される。これは、都道府県に対して医療機関が外来医療の実施状況を報告するという仕組みである。その状況を踏まえて、地域の協議の場において、外来機能の明確化・連携に向けての協議を行う。

併せて、「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)を基幹的に担う医療機関について、明確化していく。「医療資源を重点的に活用する外来」とは紹介患者を基本とする外来で、厚労省では、①医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来、②高額の医療機器・設備を必要とする外来、③特定の領域に特化した機能を有する外来――などを想定している。

なお、それらについては令和5年度にかけてさらに検討し、令和6年度からの第8次医療計画において、外来医療の機能の明確化・連携を反映させることにしている。