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厚労省が令和3年度の薬価基準を告示
医薬品の約7割の品目が薬価改定の対象に 2021.05.10健康・医療

薬価改定は、2020年度までは診療報酬(本体)改定に合わせて原則として2年ごとに行われてきた。それが政府の方針で「中間年改定」を行い、薬価が毎年改定されることになった。その最初の中間年改定に当たる2021年度薬価改定として、厚労省が2021年3月5日、「使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部を改正する件」を告示した。新型コロナウイルス感染症の影響を勘案したが、医薬品の約7割の品目を薬価改定の対象とするなど、通常の診療報酬改定の年度に匹敵する規模の薬価改定となっている。

ポイント

  • 2020年薬価調査での平均乖離率は8.0%
  • 乖離率5%を超える品目を対象に薬価改定
  • 2021年度薬価改定の影響額は▲4,300億円に

販売サイドは全数でなく2/3の抽出率で調査

2016年12月20日に内閣官房長官、経済財政政策担当大臣、財務大臣、厚生労働大臣が決定した「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」で、薬価改定を毎年行うことが決まった。その大きな目的は、市場実勢価格を適時に薬価に反映し、国民負担を抑制するためである。これまでは2年に1回の診療報酬改定に合わせて薬価を改定していて、そのために、通常、診療報酬改定の前年の9月取引分について医薬品価格調査(薬価調査)を行っている。このため、西暦の奇数年で薬価調査を行い、偶数年で薬価改定を含む診療報酬改定を行う、というスケジュールを続けてきた。

近年で見ると、2019年10月に消費税率引き上げに伴う薬価改定を行うため、臨時的に、その前年の2018年に薬価調査が行われている。それは「中間年改定」とは呼ばれていないが、2017年から2019年までの3年間は毎年、薬価調査が行われた形になっている。

中間年改定として2021年度において初めて薬価改定を行うとされてきたが、それには従前のように2020年9月取引分についての薬価調査を行う必要がある。しかし、同年2月頃から新型コロナウイルス感染症の流行が始まり、同年6月頃の段階では、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療側委員の間からも、業界に対するヒアリングにおいても、薬価調査を実施できる状況ではないという趣旨の発言が相次いだ。薬価調査ができないのであれば、中間年改定としての2021年度薬価改定もできないことになる。

それに関して、政府が2020年7月17日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針2020)で、「本年の薬価調査を踏まえて行う2021年度の薬価改定については、骨太方針2018等の内容に新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して、十分に検討し、決定する」とされた。いわゆる政治判断で、2020年において薬価調査は規模を縮小した形で実施することが決まったのである(以下、2020年薬価調査)。

ただし、2020年薬価調査は、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、調査対象の負担軽減を図っている。例えば、販売サイド(卸)の調査対象となる営業所については従前のような全数調査ではなく、3分の2(67%)の抽出率の抽出調査とした。また、購入サイド(病院、診療所、保険薬局)の調査も、従前の2分の1(50%)の規模とした。

臨時的に実施した2018年薬価調査と比較・調整

薬価調査において最も重要な数字は、平均乖離率である。これは、公定価格である薬価と実勢価格の差(率)を意味し、その計算は、{(現行薬価×販売数量)の総和-(実販売単価×販売数量)の総和}/(現行薬価×販売数量)の総和、とする。また、それは品目ごとに調査・計算している。

2020年薬価調査(速報値)は平均乖離率が8.0%で、これは2020年度診療報酬改定に向けての2019年薬価調査での平均乖離率と同じであった(下表参照)。それ以前の薬価調査と比較しても、大きな差はない。これにより、新型コロナウイルス感染症の流行下であっても平均乖離率は異常な数値ではない、ということが確認できたのである。

また、2018年の臨時的な薬価調査を除いて、これまでは診療報酬が改定されてから1年半後(診療報酬改定の翌年の9月取引分)に薬価調査が行われてきたが、その1年半の期間のうちのどこで実勢価格が低下しているのか、それが比較的早くからなのか、あるいは期間を通してなだらかに低下しているのか、明確でない――ということが、中医協でも話題になることがあった。それについて、今回の2020年薬価調査や2018年薬価調査の結果として、薬価改定から半年後には実勢価格がすでに大きく低下していることがわかった。

薬価調査結果の速報値

2015年 2017年 2018年 2019年 2020年(今回)
平均乖離率 8.8% 9.1% 7.2% 8.0% 8.0%
回収率
(調査客体数)
72.3%
(6,280)
79.2%
(6,291)
85.0%
(6,153)
87.1%
(6,474)
86.8%
(4,259)
  1. 出典:中央社会保険医療協議会・薬価専門部会(令和2年12月2日開催)資料

0.8%分の低下を新型コロナウイルス感染症の影響とみなす

その調査結果を踏まえて2020年12月17日、内閣官房長官、財務大臣、厚生労働大臣が「毎年薬価改定の実現について」の合意をして(以下、大臣合意)、2021年度薬価改定を行うことが最終的に決まった。また、次のようなことも合意された。

  1. ①改定の範囲は、国民負担軽減の観点からできるだけ広くすることが適切であり、平均乖離率(8.0%)の0.5倍~0.75倍の中間である0.625倍、すなわち乖離率5%(乖離率8%×0.625)を超える品目とする。
  2. ②2020年薬価調査と同じように、薬価改定から半年後に実施した2018年薬価調査の平均乖離率は7.2%である。2020年薬価調査の平均乖離率は8.0%であり、2018年薬価調査のそれを0.8%(ポイント)上回ったことを考慮し、これを「新型コロナウイルス感染症による影響」とみなしたうえで、「新型コロナウイルス感染症特例」として、薬価の削減幅を0.8%分緩和する。

ちなみに、2018年薬価調査は、2019年10月からの消費税率引き上げに対応して薬価を改定するために実施したもので、事実上、この時点から薬価調査が毎年行われていることになる。

大臣合意に基づき、下記のような算定式で、薬価を改定した。そこでの「一定幅」(0.8%)を除けば、従前からの算定式と変わらない。また、それについては、2021年度薬価改定に限って調整幅を2.0%から2.8%に拡大し、薬価の下落を緩和した、と見ることもできる。

  1. 出典:厚生労働省 資料「薬価基準改定の概要」(令和3年3月5日)

新薬は全体の59%が改定の対象に

厚労省の試算(2020年12月18日開催の中医協・総会資料)によると、2021年度薬価改定の影響額はマイナス4,300億円で、我が国の医療費を1%程度引き下げる影響がある。

改定の対象となるのは12,180品目で、全品目(17,550)の69%に当たる。うち、新薬(後発品のない先発品)が1,350品目(新薬全体における59%)、長期収載品が1,490品目(長期収載品全体における88%)、後発品が8,200品目(後発品全体における83%)、その他の品目(昭和42年以前収載)が1,140品目(「その他の品目」全体における31%)となっている。

なお、前述のように2021年度薬価調査の平均乖離率は8.0%だが、これはあくまでも全品目で見た数値であり、投与形態別での平均乖離率は、内用薬が9.2%、注射薬が5.9%、外用薬が7.9%で、さらに薬効群別でみると内用薬では平均乖離率が13%を超える薬効群もあるなど、内用薬において実勢価格が低下する傾向が見られている。