ログイン・会員登録

会員の方

ID・パスワードをお持ちの方は、
こちらからログインください。

パスワードをお忘れの方はこちら

認証キーの承認をされる方はこちら

2016年1月より会員IDがメールアドレスに統一されました。

会員登録されていない方

会員限定コンテンツのご利用には、会員登録が必要です。

新規会員登録

50秒でわかる
Takeda Medical site

サイトマップお問合わせ

  • 新規会員登録
  • ログイン

厚労省が厚生科学審議会・臓器移植委員会を開催
臓器移植医療への新型コロナの影響と対策などを報告 2021.04.02健康・医療

 厚生労働省(厚労省)は令和3年2月26日、厚生科学審議会・臓器移植委員会を開き、臓器移植医療の現状と対策を報告した。それによると、令和2年は新型コロナウイルス感染症の影響で、臓器提供件数が大きく減少している。それを踏まえて、同省は、新型コロナウイルス感染症流行下の臓器移植の課題などを示すとともに、令和3年度予算での移植医療対策関係予算について説明した。また、同委員会は、すでに摘出臓器(腎臓)の搬送を外部委託しているが、その対象臓器を腎臓以外の腹部臓器に拡大することを了承した。

ポイント

  • 令和2年は臓器移植の件数が前年の2/3程度に
  • 脳死下移植よりも心停止下移植の減少が大きい
  • 令和3年度予算で、ドナー家族支援の強化など

平成25年から脳死下移植が心停止下移植を上回る

厚労省は近年、年に1回程度、厚生科学審議会・臓器移植委員会(以下、臓器移植委員会)を開催し、臓器移植に関する動向、次年度の関連予算(案)などについて報告している。令和3年2月26日に開催した臓器移植委員会(第52回)では、平成8年(1996年)から令和3年1月31日現在までの臓器提供の件数の推移について報告した(別図参照)。

まず、我が国での大きな流れとして、臓器の移植に関する法律(臓器移植法)が平成9(1997)年に施行され、脳死下移植が実際に始まったのは平成11(1999)年である。その後、臓器移植の推進を大きな目的として、臓器移植法が改正され(以下、改正臓器移植法)、平成22(2010)年1月17日、同年7月17日に段階的に施行された。主な改正点は、①親族への優先提供を容認(平成22年1月17日施行)、②臓器摘出、脳死判定の要件の拡大(平成22年7月17日)、③家族の書面による承諾により15歳未満からの臓器提供が可能(同)、などである。

改正臓器移植法が施行された平成22年から脳死下移植の件数が増え始めた。同25年には、脳死下移植(47件)が心停止下移植(37件)を上回った。令和元年には脳死下移植97件、心停止下移植28件で、その差が大きく開くとともに、その合計が125件となり、過去最高を記録した。

コロナ禍で救急現場に余裕がなくなり心停止下移植が減少か

令和2年は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、脳死下移植68件(前年比30%減)、心停止下移植9件(同68%減)となり、それらの合計は77件で前年の2/3程度、前年比38%減となった。また、その減少の割合は、脳死下移植よりも心停止下移植のほうが大きい。

このように心停止下移植が大きく影響を受けた主要な理由について、事務局(厚生労働省健康局難病対策課)では、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるため、救急の現場での時間的・人的余裕がないことを挙げた。このような状況において心停止下移植につなげるには、救急の現場の負担が大きいのである。

また、同委員会の委員からは、院外で心停止して救急車で搬送されてきた場合、PCR検査が必要なので、それから心停止下移植を行うのは難しい、という趣旨の発言もあった。

新型コロナウイルス感染症流行下特有の課題がある

新型コロナウイルス感染症流行下での臓器移植医療における課題として、事務局では、次のようなものを挙げた。

まず、提供施設側では、前述のように、救急現場において新型コロナウイルス感染症患者受け入れのため、時間的・人的余裕がない。患者家族との面会の機会がなくなり、臓器移植について説明を行うのが難しい。また、臓器提供の際、外部からの多くの医療関係者が来院することについて、感染などの不安が大きい。

一方、移植施設側では、摘出手術のため自施設から提供施設にスタッフを派遣する際、特に非感染地域から感染地域へ、あるいは感染地域から非感染地域に移動する場合、感染が伝播する恐れがある。

新型コロナ対策としての特別研究を令和2年度末まで実施

令和2年において臓器提供が大幅に減少したことを踏まえて、事務局では、臓器提供施設・移植施設などにおける実態調査を行うため、厚生労働行政推進調査事業補助金を用いて、次の3つの特別研究を令和2年度末まで実施することを報告した(括弧内は研究を行う大学)。

  1. ①コロナ禍における脳死下・心停止下臓器提供経験施設の実態調査に基づく新たな臓器提供体制構築に資する研究(聖マリアンナ医科大学医学部)
  2. ②新型コロナウイルス感染症流行時に移植実施施設において脳死下・心停止下臓器移植医療を維持推進するための調査研究(藤田医科大学医学部)
  3. ③新型コロナウイルス感染症患者増加に伴う社会情勢下において、安心安全に生体肝・腎移植を継続するための診療体制構築を目指した研究(神戸大学医学部)

令和3年度の移植医療対策関係予算(案)は、「臓器移植対策の推進」の予算額が8.3億円(令和2年度当初予算7.7億円)、「移植医療研究の推進」の予算額が1.5億円(同1.5億円)となっている。

「臓器移植対策の推進」(上記、8.3億円)のうち8.0億円が臓器移植対策事業費(日本臓器移植ネットワーク運営費)で、新たな事業として「ドナー家族支援の強化」(900万円)がある。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により、脳死下臓器提供後のドナー家族への面会は極力控えるという状況になっていて、これまで以上にきめ細やかなアプローチが必要とされるため、専門性のある臨床心理士などを配置するものである。

搬送において外部委託できる臓器を腎臓から腹部臓器に拡大

移植医療においては、日本臓器移植ネットワークが主体となって臓器を搬送するのが基本だが、腎臓に限っては搬送を外部委託できるようになっている。これには、平成30年3月に腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準が改正され、臓器提供者(ドナー)が 20歳未満の場合は20歳未満のレシピエントが優先されることとなった、という背景がある。それにより、移植に用いる腎臓の搬送範囲が全国へと拡大したため、臓器移植委員会で審議し、腎臓移植医や日本臓器移植ネットワーク側の業務負担を軽減することを目的に、外部委託として、民間の運送業者などを活用できることにした。また、腎臓以外の臓器の外部委託をどのように展開するかが、今後の課題として確認された。

そこで今回の臓器移植委員会で、厚労省や日本臓器移植ネットワークが、外部委託している搬送企業(1社)による腎臓搬送の実績や新型コロナウイルス感染症が流行しているという状況も踏まえて、外部委託の対象とする臓器を腹部臓器(肝臓、膵臓、小腸)へ拡大することを提案。同委員会で了承された。

なお、その了承に当たって、臓器移植委員会の委員から「空路で臓器を搬送する場合、多くの人の知ることにならないか。SNSなどもあるので、情報管理を徹底していただきたい」という趣旨の発言があったが、日本臓器移植ネットワークの担当者が「(外部委託の企業の人は)きちっとスーツを着て、ネクタイを締めて搬送する。クーラーボックスは、私どもが選定・購入したものを預けている。また、座席を確保し、クーラーボックスはその上に載せることにしている」と説明した。