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タスク・シフト/シェアの推進について「議論の整理」
医療の質や安全性を担保しながら推進していくことが重要 2021.01.18健康・医療

厚生労働省(厚労省)は2020年12月23日、「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」の「議論の整理」を公表した。これは、2024年4月から勤務医に対して時間外労働の上限規制が適用されることを踏まえて、勤務医の負担軽減を目的に、タスク・シフト/シェア(業務の移管や共同化)の具体的な推進方法、現行制度のもとで実施可能な業務のうち特に推進するものなどについて、整理している。

ポイント

  • タスク・シフト/シェアは医師の指示のもとで行われることを前提に、医療の質や安全性を担保しながら推進
  • 職種にかかわりなく特に推進するのは「説明と同意」「各種書類の下書き・作成」ほか
  • 特定行為研修を修了した看護師へのタスク・シフト/シェアは効果大
  • 医師事務作業補助者へも多くのタスク・シフト/シェアが可能

タスク・シフト/シェアは医師の指示のもとで行われることが前提に

「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」の「議論の整理」(以下、「議論の整理」)では、①基本的な考え方、②タスク・シフト/シェアを進めるための業務の整理にあたっての考え方、③推進の方策、④現行制度のもとで実施可能な業務のうち特に推進するもの、⑤実施するにあたっては法令改正が必要な業務――などについて、まとめている。

まず、基本的な考え方(上記①)として、タスク・シフト/シェアの可能なものについては、医行為に該当する業務、該当しない業務に分けたうえで、医行為に該当する業務のタスク・シフト/シェアについては医師の指示のもとで行われることを前提に、医療の質や安全性を担保しながら推進していくことが重要である、としている。

また、医師の指示には、包括的指示と呼ばれるものがある。これは、指示を受けた者が患者の状態に応じて柔軟に対応できるよう、医師が患者の病態の変化を予測し、その対応の範囲について一括して指示をするものである。この包括的指示を受ける主な対象として、特定行為に係る看護師の研修制度(特定行為研修)を修了した者(看護師)が想定されている。ちなみに、同研修制度は医師の包括的指示に相当する手順書に基づいて一定の診療の補助を行う看護師を養成・確保していくことを目的としたもので、2015年1月から始まった。現在、特定行為として、例えば「呼吸器関連」「循環器関連」など21の区分(特定行為区分)、38の行為がある。

職種にかかわりなくタスク・シフト/シェアを推進すべき業務は診察前の予診、患者の誘導など

現行制度のもとで実施可能な業務のうち特にタスク・シフト/シェアを推進するものについては、①医師側団体(病院団体を含む)から提案された業務、②特に長時間労働を行っているとされている診療科や複数診療科に関連する業務、③ある病院における業務時間の実態に基づき月間の削減可能な時間数の推計が大きい業務、④説明や代行入力といった職種横断的な業務、⑤これまでの通知等でタスク・シフト/シェア可能な業務として示された業務――などから、選定している。

また、それらのうち、職種にかかわりなく特に推進すべき業務、職種ごとで特に推進すべき業務に大きく分けたうえで、それぞれの業務を挙げている。

まず、職種にかかわりなく特に推進するのは、説明と同意、各種書類の下書き・作成、診察前の予診等、患者の誘導、などがある。その業務によっては、医療関係の有資格者だけでなく、国家資格あるいは民間資格でもない医師事務作業補助者も行うことができる(後述)。

職種ごとに見ると看護師はタスク・シフト/シェアとして推進される業務が多い

職種ごとでは、特にタスク・シフト/シェアを推進すべき業務として多くの項目が挙げられているのが、看護師である。その項目の1つに特定行為(38行為21区分)の実施がある。「議論の整理」では、特定行為研修を修了した看護師へのタスク・シフト/シェアの効果は非常に大きいと評価したうえで、一層の特定行為研修の推進を進めなければならない、と指摘している。

それに関して注意が必要なのは、特定行為は特定行為研修を修了した看護師の業務独占になっているわけではない、ということである。それを修了していない一般の看護師であっても、医師の具体的な指示があれば、特定行為とされている行為の実施が可能である。ただし、特定行為研修を修了した看護師であれば、医師の包括的指示のもとで実施できる能力がある、とみなされている。

また、特定行為として38の行為があるが、「議論の整理」において、その中でもタスク・シフト/シェアとして特に推進すべきとしているのは「褥瘡または慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去」である。

それも含めて、看護師へのタスク・シフト/シェアとして特に推進する業務としては、次のようなものが挙げられている。

  1. (1)褥瘡または慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去(特定行為)
  2. (2)予め特定された患者に対し、医師の事前の指示のもと、事前に取り決めたプロトコールに沿って薬剤を投与する
  3. (3)予め特定された患者に対し、医師の指示に基づき、事前に取り決めたプロトコールに沿って採血・検査を行う
  4. (4)救急外来において、医師が予め患者の範囲を示して、事前の指示や取り決めたプロトコールに基づいて、医学的検査のための血液検査の検査オーダーの入力、採血・検査の実施
  5. (5)血管撮影・血管内治療中の介助・IVR(画像下治療)の介助(終了後の圧迫止血・止血確認・圧迫解除を含む)
  6. (6)ワクチン接種
  7. (7)検査等の説明、各種書類の説明・同意書の受領
  8. (8)皮下注射・筋肉注射・静脈注射(小児・新生児を含む)
  9. (9)静脈採血(小児・新生児を含む)
  10. (10)動脈路からの採血(小児・新生児を含む)
  11. (11)静脈路確保(小児・新生児を含む)
  12. (12)静脈ライン・動脈ラインの抜去及び止血(小児・新生児を含む)
  13. (13)末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの抜去(小児・新生児を含む)
  14. (14)尿道カテーテル留置
  15. (15)診察前や検査前の情報収集(病歴聴取・バイタルサイン測定・トリアージ、服薬状況確認、チェックシートを用いるなどしたリスク因子のチェック、検査結果の確認)
  16. (16)入院時の説明(オリエンテーション)
  17. (17)院内での患者移送・誘導

そのように、医師からの看護師へ多くのタスク・シフト/シェアが期待されているため、「議論の整理」では、看護師からその他の職種へのタスク・シフト/シェアも行うなど、担当職種の見直しを図ることにより一連の業務の効率化を促すことが重要である、としている。

薬剤師では「手術室において、薬剤に関連する業務の実施」ほか

タスク・シフト/シェアとして特に推進する業務が看護師に次いで多いのが、薬剤師である。具体的には、次のようなものが挙げられている。

  1. (1)手術室において、薬剤に関連する業務の実施(手術で使用する薬剤の払い出し・手術後残薬回収・鎮静薬の調製・鎮静薬投与器具の準備・周術期に使用する薬学的管理)
  2.  (2)病棟等における薬剤管理(薬剤の在庫管理・ミキシング・ミキシングを行った点滴薬剤等のセッティング・与薬等の準備)
  3. (3)事前に取り決めたプロトコールに沿って、処方された薬剤の変更
  4. (4)薬の効果・副作用状況の把握、服薬指導の実施
  5. (5)患者の薬物療法全般に関する説明
  6. (6)手術後の患者を訪床して、術後痛を評価し、医師に鎮静薬を提案・術前に中止していた薬が術前指示通り再開しているかの確認
  7. (7)患者を訪床などして情報収集し、医師に処方提案や処方支援を実施(効果・副作用の発現状況や服薬状況の確認、診療録等から服薬内容の確認、多剤併用・検査結果や処方歴・薬物アレルギー情報の確認などを行い、医師に対して情報提供を行う)

それらについては、基本的に病院の薬剤師が想定されている。薬局の薬剤師も視野に入れたタスク・シフト/シェアが、今後の課題となる。

診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士などでもタスク・シフト/シェア

看護師や薬剤師以外の職種でタスク・シフト/シェアとして特に推進する業務が比較的多いのは、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士などである。  診療放射線技師では、例えば「血管造影・画像下治療(IVR)における医師の指示のもと、画像を得るためカテーテルおよびガイドワイヤー等の位置を医師と協働して調整する操作」がある。

臨床検査技師では、例えば「心臓・血管カテーテル検査、治療における超音波検査や心電図検査、血管内の血圧の観察・測定等、直接侵襲を伴わない検査装置の操作」、「病棟・外来における採血業務(血液培養を含む検体採取)」がある。

臨床工学技士では、例えば「内視鏡検査・治療時や整形外科や心臓血管外科等の手術、心臓・血管カテーテル検査・治療、中心静脈カテーテル留置、胃管挿入等において、清潔野で術者に器材や診療材料を手渡す」がある。

また、リハビリテーションの専門職である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士については、それぞれ共通して「リハビリテーションに関する各種書類の作成・説明・書類交付(リハビリテーション総合実施計画書、計画提供料に関わる書類、目標設定等支援・管理シート等)や非侵襲的検査の定型的な検査説明」が挙げられている。

「議論の整理」では医師事務作業補助者について新たな定義

「議論の整理」で取り上げられている職種の中で唯一、事務系のものとして医師事務作業補助者がある。また、医師事務作業補助者と呼ばれる者は本来、診療報酬上の医師事務作業補助体制加算を算定するための人材で、院内などで所定の研修を行うことが要件とされている。しかし、「議論の整理」では、医師事務作業補助者について「医師の指示で事務作業の補助を行う事務に従事する者」を指し、診療報酬上の加算がとれているか否かは問わない、としている。つまり、一般の事務職でもよいことになるが、診療報酬上の医師事務作業補助者に匹敵するくらいの知識・能力があることが望まれよう。

そのような定義による医師事務作業補助者においてタスク・シフト/シェアとして特に推進する業務は、次のとおりである。

  1. (1)医師の具体的指示のもと、診療録等の代行入力(電子カルテへの医療記録の記載、臨床写真など画像の取り込み、カンファレンス記録や回診記録の記載・手術記録の記載、各種サマリーの修正、各種検査オーダーの代行入力、次回診察や検査の予約・病名やDPC情報などの代行入力)
  2. (2)書類の下書き・仮作成<診療録に記載された情報をもとに、書類の下書き>(損保会社等に提出する診断書、特定疾患等の申請書、介護保険主治医意見書等の書類、紹介状の返書、入院診療計画書、退院療養計画書等診療報酬を算定するうえで求められる書類など)
  3. (3)診察前の予診(定型の予診票等を用いて機械的に事実を聞く)
  4. (4)検査等医学的行為に関する説明、各種書類の説明・同意書の受領
  5. (5)入院オリエンテーションなど医学的行為ではない事項の説明および同意書の受領(患者または家族に医師が医学的な入院に関する説明を行った後、療養上の規則等入院時の案内をオリエンテーションし、入院誓約書等の同意書に患者または家族から署名をもらい、受領する)

そのように、医師事務作業補助者に期待されている業務の範囲は、たいへん広い。タスク・シフト/シェアについては、狭義の医療系職種だけでなく、事務系職員も視野に入れておく必要がある。

すべての医療機関で労働時間短縮のためタスク・シフト/シェアを進める

「議論の整理」では、すべての医療機関において労働時間の短縮を進めるためにタスク・シフト/シェアを進める必要があるとしたうえで、医療機関での取組のポイントとして次のようなことを挙げている。

  1. ① まずは、医療従事者の意識改革・啓発として、管理者向けのマネジメント研修、医師全体に対する説明会の開催、各部門責任者に対する研修、全職員の意識改革に関する研修などに取り組む。
  2. ② 医療従事者の技術の向上のために、研修等の機会を作ることが重要である。研修は座学のみでなくシミュレータなどを用いた実技も交える。
  3. ③ タスク・シフト/シェアされる側である医療従事者の余力の確保のために、ICT機器導入などによる業務全体の縮減、現行担当している職種からその他の職種へのタスク・シフト/シェアの推進、一連の業務の効率化、現行担当職種の見直しなどを不断に行う。
  4. ④ 安全性を担保しながら取組を進めるために、タスク・シフト/シェア後の事故報告を徹底するなど、安全性確保を目的とした方策も十分に講じる。

なお、「議論の整理」では、法令改正を行いタスク・シフト/シェアを推進する職種ごとの業務なども明記しており、今後、その業務が拡大していく見込みである。