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予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律が施行
新型コロナウイルスワクチンの接種に向けて法令を整備 2021.01.01健康・医療

新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の推進に向けて法令上の整備をするために、予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律が令和2年12月2日、臨時国会で可決成立。同月9日に公布・施行された。同法律では、予防接種は市町村が行い、その費用は国が負担することなどを規定している。その公布・施行時点では、我が国において同ワクチンについて承認申請はなされていなかったが、同法律に基づいて接種の準備を進めていく。

ポイント

  • 都道府県の協力により、市町村において予防接種を実施する
  • 予防接種を行うために要する費用は国が負担する
  • 接種の判断は国民自らの意思に委ねられる

令和2年12月9日に公布・施行

令和2年12月現在、我が国を含め世界各国で新型コロナウイルス感染症のワクチンの開発が進められていて、すでに欧米諸国では、その接種が始まっていたり、始まろうとしている。日本政府は、新型コロナウイルス感染症に対して有効で安全なワクチンが開発された場合、全国的に円滑な接種を実施していくことで、その感染の拡大防止と社会経済活動の両立を図っていく必要がある、と考えている。

そのような状況に対処し、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施体制を整備するとともに、いわゆる水際対策として検疫法に基づく必要な措置を引き続き講じていくために、政府は令和2年10月27日、臨時国会において、予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案を提出。同年12月2日に同法律が可決成立、同月9日に公布・施行された。その趣旨は下表(別表)のとおりである。

別表 「予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律」の趣旨

  1. 1.新型コロナウイルス感染症について、予防接種法の臨時の予防接種に関する特例措置等を定める。
     具体的には、厚生労働大臣は、新型コロナウイルス感染症の蔓延予防上緊急の必要があるときは、その対象者や期間等を指定して、都道府県知事を通じて市町村長に対し、臨時に予防接種を行うよう指示することができることとする。この場合において、予防接種を行うために要する費用は、国が負担することとする。
     新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保のため、政府は、ワクチンの製造販売業者等と、予防接種による健康被害に係る損害を賠償すること等により生ずる損失を政府が補償することを約する契約を締結することができることとする。
  2. 2.検疫法の規定を準用できる期間を延長することができることとする。
    具体的には、検疫法第34条に基づき政令で感染症の種類を指定し、1年以内の期間を限り、同法の規定を準用できることとされているが、当該期間について、1年以内の政令で定める期間に限り延長することができることとする。
  3. 3.この法律案の施行期日は、公布の日としている。
  1. 出典:令和2年11月24日開催の参議院・厚生労働委員会での
    厚生労働大臣の趣旨説明(一部改変)

予防接種法における「臨時接種の特例」として新たな枠組みを設ける

予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律においては、地方自治法、住民基本台帳法なども改正されているが、中心をなすのは予防接種法の改正で、新型コロナウイルス感染症の予防接種の実施体制を整備している。

具体的には、予防接種法の附則において第7条(第1~5項)、8条を新設し、その第7条関係で臨時接種に関する特例を設け、臨時接種としてではなく、「臨時接種の特例」として実施する。すなわち、臨時接種の規定では、①都道府県の指示の下、都道府県または市町村が実施する、②国の指示の下、都道府県が実施する、という二つの類型しかなく、いずれも場合も実施費用については自治体と国が分担して負担する。今回の「臨時接種の特例」は、それらとは異なり、厚生労働大臣の指示の下、市町村が実施主体になり、費用については国が全額負担するという仕組みであり、新たな枠組みとなる。

また、予防接種法第8条では予防接種の勧奨、第9条では予防接種を受ける努力義務について規定しているが、新設した附則第7条第4項において、政令で対象者を指定して、予防接種法第8条や第9条の規定を適用しないことを可能としている。

政府はワクチン確保のために製造販売業者等と損失補償契約を締結できる

附則において新設した第8条で、政府は、ワクチン使用による健康被害に係る損害を賠償することなどによって生じた製造販売業者等の損失を補償する契約を結ぶことができる、とした。これは、世界各国がワクチンを確保しようとする状況であるという現実を踏まえて、その製造販売業者等へのインセンティブとして設けた条項である、とみることができる。

ただし、そのような損失補償契約を締結することについて、衆議院、参議院において、次のような趣旨の附帯決議(後述)がなされている。

「新型コロナウイルスワクチン確保のために製造販売業者等と損失補償契約を締結するに当たっては、損失補償を行わなければならない事態が発生した場合に、それが最終的に国民の負担となることを踏まえ、真に国が補償することが必要な損失として国民の理解が得られるものとなるように、製造販売業者等との交渉を行うこと」

検疫法における指定を延長できるようにする

検疫法の主要な目的は、国内に常在しない感染症の病原体が船舶または航空機を介して国内に侵入するのを防止するとともに、船舶または航空機に関して、予防に必要な措置を講ずること、いわゆる水際対策を実施することである。そのため、検疫法第2条(1~3号)では、検疫感染症について次のように規定している。

  1. ① 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)に規定する一類感染症
  2. ② 感染症法に規定する新型インフルエンザ等感染症
  3. ③ 上記の①②以外で、国内に常在しない感染症のうちその病原体が国内に侵入することを防止するためその病原体の有無に関する検査が必要なものとして政令で定めるもの

新型コロナウイルス感染症については、検疫法第2条で規定する検疫感染症ではなく、同第34条(検疫感染症以外の感染症についてのこの法律の準用)に基づいて対応する感染症である。そのため、「検疫法第34条の感染症」と呼ばれることもあるが、検疫法が準用され、事実上、検疫感染症として扱われる。ただし、その指定期間は1年以内とされている。そこで、検疫法第34条に第2項を新設し、1年以内に限り延長できるようにした。

そのように法整備し、新型コロナウイルス感染症に対して引き続き必要な水際対策を行うようにしたのである。

国会では予防接種済証の交付に関してプライバシー保護の配慮を求める

予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案を審議する国会では、プライバシーに関することが議論となった。例えば、令和2年12月1日に開催された参議院・厚生労働委員会で、野党の議員より、予防接種済証の取扱いについてプライバシー保護の観点から何らかの指針やガイドラインを設定すべきではないか、との質問が出た。

それに対して、政府参考人(厚生労働省健康局長)が「予防接種法の規定上、予防接種を行った者は、予防接種を受けた者に対して予防接種済証を交付することになっている。今回の新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種についても、実施主体である市町村が、接種を受けた方に対して予防接種済証を発行することになるものと考えている」としたうえで、次のような趣旨の答弁をしている。

ワクチンを接種するかどうかについては、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について正しい知識を持ったうえで、自らの意思で決定していただくことが重要である。このような基本的な考えに基づき、例えば従業員やサービスの利用者が接種を受けていないことや証明書を提出できないことによって不当な扱いを受けないよう、国民への周知啓発を進めてまいりたい。

衆参両院で附帯決議―接種の判断に必要な情報を迅速かつ的確に公表することなど

予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律を成立させるにあたって、衆議院では14項目、参議院では15項目にわたる附帯決議がなされた。プライバシー保護に関する質疑応答(前述)なども踏まえて、参議院の附帯決議の最初の項目において、次のような決議をしている。また、衆議院においても、同様の趣旨の附帯決議がなされている。

  1. ・ 新型コロナウイルスワクチンの接種の判断が適切になされるよう、ワクチンの安全性および有効性、接種した場合のリスクとベネフィットその他の接種の判断に必要な情報を迅速かつ的確に公表するとともに、接種の判断は国民自らの意思に委ねられるものであることを周知すること。
  2. ・ ワクチンを接種していない者に対する差別、いじめ、職場や学校等における不利益取扱い等は決して許されるものではないことを広報等により周知徹底するなど必要な対応を行うこと。
  3. ・ これらの周知を行うに当たっては、ホームページ、SNSその他の各種ネットサービス等の様々な媒体を活用し、国民がそれらの情報に容易にアクセスできる環境整備に努めること。

また、参議院の附帯決議では、ワクチンの開発は危機管理の観点からも極めて重要との認識の下、「産官学医が一体となって、国内におけるワクチンの研究開発能力及び供給能力の強化に取り組むこと。また、次期予防接種基本計画の策定に当たっては、これらの観点も踏まえた検討を行うこと」としている。

なお、新型コロナウイルスワクチンの接種順位などについては、厚生労働省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において検討が進んでいて、まず医療従事者等(約400万人)から接種を始め、続いて65歳以上の高齢者(約3600万人)に接種、次に基礎疾患を有する者(約820万人)、高齢者施設等の従事者(約200万人)に接種、またワクチンの供給量を踏まえて60~64歳(約750万人)も接種の対象とすることが、事実上決まっている。