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労働安全衛生法に基づく情報通信機器を用いた医師による面接指導で通知
情報通信機器を用いた面接指導を例外扱いにせず 2020.12.16健康・医療

厚生労働省(厚労省)労働基準局長は令和2年11月19日、労働安全衛生法の規定に基づく医師による情報通信機器を用いた労働者に対する面接指導の実施について、都道府県労働局長に対して通知した。労働安全衛生法(労安法)に基づき、事業者は一定の要件を満たす労働者に対して医師による面接指導を実施しなければならないこととされており、情報通信機器を用いて行う場合の留意事項を通知したもので、基本的な考え方、使用する情報通信機器の要件などについて示している。

ポイント

  • 新型コロナウイルス感染症流行も踏まえて、「原則として直接対面」という記載を削除し、情報通信機器を活用する
  • 長時間労働や高ストレスの者が面接指導の対象に
  • 情報通信機器は相互に表情・顔色・声・しぐさ等を確認できるもの

新型コロナウイルス感染症の流行も踏まえて改定

厚労省労働基準局長による令和2年11月19日付けの通知(以下、令和2年通知)の正式なタイトル(件名)は「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について」で、それぞれの条項に相当する労安法の条文は別表のとおりである。

 令和2年通知は、従前の通知の2回目の改正に相当する。その最初の通知(以下、平成27年通知)は平成27年9月15日に発出されているが、この時のタイトルは「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について」であった。

その後、いわゆる「働き方改革関連法」が成立、順次施行されているのに対応し、令和元年7月4日付けの通知(以下、令和元年通知)で通知のタイトルに含まれる労安法の条項が追加されているが、本文の内容は基本的に平成27年通知と同じである。

令和2年通知のタイトルは令和元年通知と同じだが、新型コロナウイルス感染症の流行も踏まえて、内容において改定がなされているのが特徴である。

(別表) 労働安全衛生法 抜粋

(面接指導等)

  1. 第六十六条の八
    事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者(次条第一項に規定する者及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く。以下この条において同じ。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。(第2項以下略)
  2. 第六十六条の八の二
    事業者は、その労働時間が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超える労働者(労働基準法第三十六条第十一項に規定する業務に従事する者(同法第四十一条各号に掲げる者及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く。)に限る。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。(第2項以下略)
  3. 第六十六条の八の四
    事業者は、労働基準法第四十一条の二第一項の規定により労働する労働者であって、その健康管理時間(同項第三号に規定する健康管理時間をいう。)が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。(第2項以下略)
  4. (心理的な負担の程度を把握するための検査等)
  1. 第六十六条の十
    (中略)
    3 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であって、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。(第4項以下略)

研究開発業務従事者、高度プロフェッショナルも対象に

労安法では、一定の要件を満たす労働者に対する医師による面接指導などを行うことについて規定している。その要件は、長時間労働であること、またはストレスチェック制度に基づいて必要とされるもの、に大きく分けられる。具体的には、次のように四つに分類できる。

  1. ① 労働者一般:要件は時間外・休日労働が1カ月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者。ただし、この要件に該当する労働者の申出があって、医師による面接指導を行うことになる。(今回の通知タイトルでの労働安全衛生法第66条の8第1項が相当)
  2. ② 研究開発業務従事者:時間外・休日労働時間が1カ月当たり100時間を超える者に対して、申出なしに医師による面接指導を行う。(同第66条の8の2第1項が相当)
  3. ③ 高度プロフェッショナル制度対象労働者(「法定労働時間」や「残業」の概念がない):1週間当たりの健康管理時間(対象労働者が事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間との合計の時間)が40時間を超えた場合にその超えた時間が1カ月当たり100時間を超える者に対して、申出なしに医師による面接指導を行う。(同第66条の8の4第1項が相当)
  4. ④ ストレスチェック制度における高ストレス者:ストレスチェックを実施した医師や保健師等が、厚労省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」に記載されている基準などを参考に、ストレスの高低を本人に通知する。その結果を受けた本人からの申し出があった場合に、医師による面接指導を実施する。(同第66条の10第3項が相当)

それらに対する医師による面接指導の方法自体は、共通している。

基本的な考え方において「原則として直接対面」という記載を削除

令和2年通知では、①基本的な考え方、②情報通信機器を用いた面接指導の実施に係る留意事項について示している。その構成は、令和元年通知と変わらない。

まず、基本的な考え方について、令和元年通知では「原則として直接対面によって行うことが望ましい」、「情報通信機器を用いて面接指導を行った場合も、(中略)直ちに法違反となるものではない」として、情報通信機器を用いるのはいわば例外扱いであった。令和2年通知では「原則として直接対面」という記載がなくなり、情報通信機器を用いることが例外扱いではなくなった。

令和2年通知での基本的な考え方は次のとおりである。

医師が労働者と面接し、労働者とのやりとりやその様子(表情、しぐさ、話し方、声色等)から労働者の疲労の状況やストレスの状況その他の心身の状況を把握するとともに、把握した情報をもとに必要な指導や就業上の措置に関する判断を行う。そのため、労働者の様子を把握し、円滑にやりとりできる方法で行う必要がある。ただし、面接指導を実施する医師が必要と認める場合には、直接対面によって行う必要がある。

また、近年の急速なデジタル技術の進展に伴い、情報通信機器を用いて面接指導を行うことへのニーズが高まっているが、その場合においても、労働者の心身の状況の確認や必要な指導が適切に行われるようにするために、「情報通信機器を用いた面接指導の実施に係る留意事項」を具体的に示している(後述)。

情報通信機器を用いた面接指導を実施する医師の要件を緩和

 情報通信機器を用いた面接指導の実施に係る留意事項として、面接指導を行う医師の要件(場合)について、令和元年通知では「以下のいずれかの場合に該当すること」と限定的だった。それが、令和2年通知では「以下のいずれかの場合に該当することが望ましい」となり、要件が緩和された形になっている。その医師については、具体的には次のいずれかの場合に該当することが望ましい。

  1. ① 面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合
  2. ② 面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的な健康管理に関する業務を担当している場合。
  3. ③ 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがある場合。
  4. ④ 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、当該労働者に指導等を実施したことがある場合。

ちなみに、令和元年通知では、上記④において、「直接対面により」指導等を実施したことがある場合、と規定されていた。令和2年通知では情報通信機器の使用による面接指導を念頭に、「直接対面により」という記載が削除されている。

情報通信機器は情報セキュリティが確保されていること

面接指導に用いる情報通信機器については、以下のすべての要件を満たす必要がある。

  1. ① 面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。
  2. ② 情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。
  3. ③ 労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものでなく、容易に利用できること。

以上については令和元年通知とほとんど同じだが、同通知での①における「なお、映像を伴わない電話による面接指導の実施は認められない」との記載は削除された。ただし、「相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるもの」との規定があるため、いわゆる固定電話など映像を送れない機器は原則として使えない。

厚労省の「指針」では「遠隔健康医療相談」の位置づけ、オンライン診療のカテゴリーには入らない

情報通信機器を用いた面接指導の実施方法については、以下のいずれの要件も満たす必要がある。

  1. ① 情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、事前に労働者に周知していること。
  2. ② 情報通信機器を用いて実施する場合は、面接指導の内容が第三者に知られることがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮していること。

ちなみに、衛生委員会とは、労安法により一定規模の事業場ごとに設置することが義務付けられている組織だが、安全委員会と統合して「安全衛生委員会」として設置されている場合もある。

また、情報通信機器を用いた面接指導において医師が緊急に対応すべき徴候などを把握した場合については、労働者が面接指導を受けている事業場その他の場所の近隣の医師等と連携して対応したり、その事業場にいる産業保健スタッフが対応する等の緊急時対応体制が整備されていること、としている。

 なお、厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(令和元年7月一部改訂)では、労働安全衛生法に基づき産業医が行う業務(面接指導、保健指導、健康相談等)は「遠隔健康医療相談」に位置づけられていて、オンライン診療のカテゴリーには入らないため、同指針は適用されない。