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厚労省が医師国家試験改善検討部会報告書を公表
令和5年2月の医師国家試験(第117回)から見直しへ 2020.12.09健康・医療

厚生労働省(厚労省)は令和2年11月、医師国家試験改善検討部会報告書を公表した。厚労省は医師国家試験についておよそ4年ごとに見直しをしており、医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会が改善すべき点などを取りまとめて報告書とした。出題基準については、今後の改定を経て令和5年(第117回)の試験から適用することが望ましい、としている。

ポイント

  • 全体として出題範囲を絞るべきであると指摘
  • 試験のコンピュータ制導入に向けて検討を
  • 海外の医学部卒業者に別途基準を設けることは妥当でない

平成27年以来の報告書の取りまとめに

 医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会(以下、検討部会)は令和元年7月から、現行の医師国家試験の評価、その改善事項について検討を開始。それを含めて部会を2回開催し、令和2年11月12日、医師国家試験改善検討部会報告書(以下、報告書)を取りまとめ、公表した。前回の医師国家試験改善検討部会報告書(以下、前回報告書)は平成27(2015)年3月に取りまとめられ、それに基づいて平成30年2月実施の第112回医師国家試験から見直しが行われている。今回は、新型コロナウイルス感染症の流行の影響などもあって報告書の取りまとめが少し遅れたため、令和5(2023)年2月に予定される第117回国家試験から見直しが行われる見込みである。

報告書の構成は下表のとおりで、前回報告書と比べると、第5章「受験回数の制限について」が新たに設けられるとともに、第6章「外国の医学部を卒業した者に対する医師国家試験について」の内容が詳しくなっている。

医師国家試験改善検討部会 報告書の構成

  1. 1.はじめに
  2. 2.医師国家試験問題について
  3. (1) 出題数及び合格基準について
  4. (2) 出題基準について
  5. (3) 禁忌肢について
  6. (4) その他
  7. 3.コンピュータ制の導入等について
  8. (1) 医師国家試験へのコンピュータ制の導入について
  9. (2) 試験問題のプール制について
  10. (3) 問題の非公開化について
  11. 4.OSCE の導入について
  12. 5.受験回数の制限について
  13. 6.外国の医学部を卒業した者に対する医師国家試験について
  14. (1) 基本的な考え方
  15. (2) 受験資格認定基準について
  16. (3) 予備試験等の共用試験CBT 及びOSCE による代替について
  17.  (i) 予備試験について
  18.  (ii)日本語診療能力調査について
  19. 7.おわりに

出題基準は可能な限り臨床実習での経験を評価する内容に

まず、報告書の第2章で、出題数と合格基準に関して評価している。前回報告書に基づいて平成30年の第112回医師国家試験から問題数が500題から400題に減らされたほか、試験日程も3日から2日に短縮されたことについて、著しい信頼性の低下は認められなかった、と評価。現時点ではさらなる見直しは行わず、現行の問題数および合格基準による試験を重ねることが妥当、としている。

第2章では、出題基準の見直しが指摘されている。その背景には、近年、医師を養成する過程で医学生がより集中して診療参加型臨床実習に取り組める環境を構築する重要性が増している、という状況がある。そのため、報告書では、医師国家試験の出題基準を可能な限り臨床実習における経験を評価する内容に絞るよう見直しを行うことが妥当である、としている。具体的には、①医師国家試験出題基準の各項目(章・大項目等)の出題割合を示した医師国家試験設計表(通称「ブループリント」)の各論(医学各論)について出題する疾患を厳選する、②出題する疾患についてはどの程度の知識を求めるかを示す、③臨床実習前に修得可能な単純な知識を問う領域を除外する――などの検討をして、全体として出題範囲を絞るべきである、と指摘している。

コンピュータ化で試験の複数回化、実施場所を増やすことも容易に

第3章では、医師国家試験へのコンピュータ制導入について検討を加えている。これは、前回報告書で、より多様な出題を目指すためにはコンピュータ制の活用が有用で、すでに諸外国ではコンピュータ制の導入が進んでいること、コンピュータを使用することにより静止画像だけでなく動画や音声などを活用し、臨床現場に近い形での出題が可能となる、という趣旨の記載があったことを踏まえてのものである。

報告書では、医師国家試験のコンピュータ化(コンピュータ制導入)により、連続して判断が求められる問題、より臨床に即した問題の出題が可能となり、診療参加型臨床実習の活性化にも寄与することが期待できるとしたうえで、今後、コンピュータ化に向けた検討を具体的に進めていくべきである、と指摘している。また、コンピュータ制の最終的な到達目標について、臨床実習前の共用試験CBT(computer based testing)と同様に、個々の受験者に対して異なる問題が出題され、異なる日時においても受験が可能となるシステムが望ましい、としている。

ただし、その導入にあたっては実施方法、合格基準、経費など、解決すべき課題があるため、例えば視覚素材からのコンピュータ化など、段階を踏んだ導入の検討が望ましい。一方で、コンピュータ化を実現することにより、災害時や感染症のパンデミック時など、通常の試験実施が困難となった場合でも、試験を複数回に分けることが可能であり、実施場所を増やすことが容易になると考えられるため、可能な限り早期の導入が望まれる、としている。

早期に試験問題のプール制を導入するべきである

報告書では、コンピュータ制導入に関連して、医師国家試験へのプール制の導入について再検討がなされている。ここでいうプール制とは、平成23年6月に取りまとめられた医師国家試験改善検討部会報告書で「試験問題を予め作成・蓄積しておき、その中から出題することを意味して用いている。特に、問題を試行的に出題し、事前に正解率等を評価した上で、良質な問題を採点対象として出題することが重視される」と説明されている。また、そのプール制を目指して、平成13年の医師国家試験から、問題冊子の回収が行われていた。しかし、内閣府情報公開・個人情報保護審査会の答申を受け、平成19年以降は問題冊子の持ち帰りが認められており、プール制への移行は困難となっている。

 しかし、報告書では、①プールされた問題を適切な手法で再利用することは医師国家試験の質の向上に大きく寄与、②コンピュータ制を導入する場合、個々の受験者に対して異なる問題を出題するシステムを構築するためには大量のプール問題が必要となることなどから、早期にプール制を導入するべきである、と指摘している。

ただし、それには試験問題を非公開化しなければならないが、情報公開との兼ね合いもある。その具体的な対応策については言及していないが、報告書では「受験生に対する教育的効果の観点等から、問題の一部を公開するなどの対応はとり得るものの、本部会の結論として、医師国家試験は再度、原則非公開とすることが妥当と考える」としている。

受験回数の制限の導入は妥当ではない

第5章で取り上げている医師国家試験における受験回数制限の導入の問題については、過去において断続的に検討されてきた。検討部会が平成23年6月に取りまとめた医師国家試験改善検討部会報告書では、多数回の不合格を経て合格した者を排除する必要性を明確に示すことはできないこと、多数回受験後に合格した者が医師として適格か否かを判断する基準を設定することも極めて困難であるとして、今後も受験回数制限を導入しないこととする、とまとめている。

しかし現在、医学教育において共用試験OSCE(Objective Structured Clinical Examination、客観的臨床能力試験)が導入されるなど、環境が大きく変化しており、医学部卒業から期間が空いた者に対する質の担保が課題となり得る、との意見もある。報告書では、医学部卒業から期間が空いた者の卒業後の進路や医道審議会の処分歴等の客観的な情報も踏まえた検討を行ったが、明らかに他の医師と異なるといった事実は明らかにされなかったとして、受験回数の制限を現時点で導入することは妥当ではない、としている。

将来的には卒業大学が認証機関の認定を受けていることが望ましい

前回報告書と比べて大きな取扱いとなったのが、第6章の「外国の医学部を卒業した者に対する医師国家試験について」である。この背景には、近年、海外の医学部を卒業して日本の医師国家試験を受験する者の増加傾向がみられることが挙げられる。すでに医師国家試験の合格者の1%程度を占めるようになっており、実質的には、我が国において医学部が1校分増えているという状況になっている。

 外国の医学部を卒業した者が日本の医師国家試験を受け、医師免許を取得するには、医師法第11条の規定に基づき、以下のとおり、①予備試験認定、②本試験認定、という二つのコースがある。

  1. ① 予備試験認定は、日本の医師国家試験予備試験に合格し、合格後1年以上の実地修練を経た者が、医師国家試験(日本語)を受けることができる。
  2. ② 本試験認定は、外国の医学校を卒業、または外国で医師免許を得た者で、我が国の大学において医学の正規の課程を修めて卒業した者と同等以上の学力および技能を有し、かつ適当と認定された者については、予備試験を経ず、医師国家試験(日本語)を受けることができる。

そのいずれのコースになるかは、外国の医学校・医学部の教育年限、専門課程の時間数などを基準に判定が行われている。例えば外国の医学部を卒業していても、外国の医師免許を取得していない者は、通常、予備試験認定のコースとなる。

平成30年度においては、本試験認定が95人で、国籍は日本32人、韓国30人、中国27人などだが、医学校の所在した国は中国30、韓国28、ハンガリー21(ハンガリー国立大学医学部は日本に事務局を作って本格的な募集を行っている)、その他16。また、予備試験認定は28人で、国籍は中国20人、日本6人、韓国1人などで、医学校の所在した国は中国24、その他4となっている。それらは、あくまでも本試験認定あるいは予備試験認定となった者の数であり、すべてが医師国家試験に合格したというわけではない。

報告書では、海外の医学部を卒業した者に対しても公平性を持った評価を行うべきとしたうえで、現時点でこれらの者に対して別途基準を設けることは妥当ではない、と結論付けた。

ただし、近年においては世界医学教育連盟(WFME)による卒前教育の標準化が進められていて、米国においては2024 年度から米国医師国家試験(USMLE)の受験要件として、受験者が卒業した大学がWFME公認の認証機関による認定を受けていることが必須となる予定であること、我が国においてもWFME公認の認証機関である日本医学教育評価機構(JACME)が設立されていることなどを踏まえて、報告書では、本試験認定あるいは予備試験認定の判定基準に、将来的には卒業した大学がWFME公認の認証機関の認定を受けていることを要件とすることが望ましい、としている。

なお、海外医学部を卒業した医師への対応方針については、令和2年1月29日に開催した第32回「医療従事者の需給に関する検討会」医師需給分科会で、厚労省が、日本でのマクロ需給推計の医師供給数に海外医学部卒の医師数の将来的な伸びを反映させるとともに、日本の医師国家試験受験を考慮している者を登載するシステムを構築し、人数を把握することなどを提案し、大筋で了承されている。