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医療情報システムの標準化に係わる実態調査の報告書を公表
厚生労働省標準規格の導入状況、マイナンバーカードの活用など調査 2020.11.27健康・医療

厚生労働省(厚労省)は令和2年10月29日、「日本における医療情報システムの標準化に係わる実態調査研究報告書」を公表した。これは、患者の医療情報を全国の医療機関で確認できる仕組みを構築するためには医療情報の標準化の促進が必要であることから、厚生労働省標準規格の実装や活用状況について、マイナンバーカードの活用状況も含めて、調査したものである。

ポイント

  • 医事会計システム、電子カルテシステム、一体型での標準規格の実装・活用を調査
  • 「標準病名マスター」など、「コード・用語」の標準規格の導入が進む
  • 病院、診療所、歯科診療所ともに、9 割以上がマイナンバーカードを活用していない・活用する予定がない、と回答

厚生労働省標準規格は20ある

各医療機関が医療情報を電子的に活用・共有するためには、標準的な形式のメッセージ、標準とされるコードを用いて医療情報システムを設計する必要がある。そのため、厚労省では平成22年より、保健医療分野で必要とされる標準規格について、IT関係企業・団体が参加する一般社団法人医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)が選定した規格を踏まえて、同省の保健医療情報標準化会議での議論に基づき、厚生労働省標準規格(以下、標準規格)として認め、その普及を図っている。

令和2年10月現在で、標準規格は20ある(下表)。厚労省では標準規格について、医療機関に実装を強制するものではないが、今後、医療情報システムに関する補助事業などは標準規格の実装を踏まえたものとする、としている。

厚生労働省標準規格

報告書
での
分類
規格類型 厚生労働省標準規格 種別 制定日
コード・
用語
情報
コード
HS001 医薬品HOTコードマスター 平成22年3月31日
HS005 ICD10対応標準病名マスター 平成22年3月31日
HS013 標準歯科病名マスター 平成23年12月21日
HS014 臨床検査マスター 平成23年12月21日
HS024 看護実践用語標準マスター 平成28年3月28日
HS027 処方・注射オーダ標準用法規格 平成30年5月21日
HS017 HIS,RIS,PACS,モダリティ間予約,会計,照射録情報連携指針(JJ1017指針)
 ※放射線領域において必要な体位等の表現するコードマスター
平成24年3月23日
HS033 標準歯式コード仕様 令和元年9月30日
データ
形式
情報
フォーマット
HS007 患者診療情報提供書及び電子診療データ提供書(患者への情報提供) 平成23年12月21日
HS008 診療情報提供書(電子紹介状) 平成22年3月31日
HS032 HL7 CDAに基づく退院時サマリー規約 令和元年9月30日
HS028 ISO 22077-1:2015 保健医療情報-医用波形フォーマット-パート1:符号化規則
※心電図等の波形情報の保存フォーマット等を規定
平成22年3月31日
HS011 医療におけるデジタル画像と通信(DICOM)
 ※CT・MRI等の画像情報の保存フォーマットを規定。本規格は、
 ※「情報交換方式」の内容も併せて含む
平成22年3月31日
データ
交換
HS030 データ入力用書式取得・提出に関する仕様(RFD) 令和元年9月30日
データ
格納方法
HS009 IHE統合プロファイル「可搬型医用画像」およびその運用指針
  ※CD等にて画像データを格納する場合の方法を規定
平成22年3月31日
HS026 SS-MIX2ストレージ仕様書および構築ガイドライン 平成28年3月28日
データ
形式
情報交換
方式
HS012 JAHIS臨床検査データ交換規約 平成22年3月31日
HS016 JAHIS 放射線データ交換規約 平成23年12月21日
HS022 JAHIS処方データ交換規約 平成28年3月28日
データ
交換
HS031 地域医療連携における情報連携基盤技術仕様 平成28年3月28日
  1. 出典:厚生労働省 第4回健康・医療・介護情報利活用検討会、第3回医療等情報利活用WG及び第2回健診等情報利活用WG
    (令和2年10月21日開催)資料を一部改変

全国の2,400施設を対象に調査、2割前後の回答率

患者の医療情報を全国の医療機関で確認できる仕組みを構築するには、医療情報の標準化を促進しなければならない。そのためには、医療機関における標準規格の実装や活用の状況について把握する必要がある。そこで、厚労省は、日本における医療情報システムの標準化に係わる実態調査研究を行い、このほど、その報告書(以下、報告書)を取りまとめた。

全国の病院、診療所、歯科診療所のうち各400施設からの有効回答を得るため、それぞれ2,400施設を対象として、令和2年1~2月に調査を行った。調査項目は、①医事会計システムにおける標準規格の実装・活用状況、②電子カルテシステムにおける同実装・活用状況、③一体型システム(医事会計システム・電子カルテシステム)における同実装・活用状況、④マイナンバーカードの活用状況・活用予定――など。病院671施設(回答率28.0%)、診療所402施設(同16.8%)、歯科診療所403施設(同16.8%)からの回答を得た。

報告書では、それらのシステムの導入の状況について「医事会計システムのみ」、「一体型システム(医事会計システム・電子カルテシステム)」、「医事会計システムと電子カルテシステムそれぞれ異なるシステム」、「電子カルテシステムのみ」、「医事会計システムも電子カルテシステムも導入していない」に分けている。それによると、病院では「医事会計システムと電子カルテシステムそれぞれ異なるシステム」が51.1%、「一体型システム(医事会計システム・電子カルテシステム)」が37.1%で、これらで約9割を占めていて、「医事会計システムも電子カルテシステムも導入していない」という回答はなかった。また、診療所については、「医事会計システムのみ」が41.5%、「一体型システム(医事会計システム・電子カルテシステム)」が37.1%で、これらで約8割の導入率となるが、「医事会計システムも電子カルテシステムも導入していない」という回答が7.7%あり、医療の情報化の状況は病院と大きく異なっている。

システム導入状況

病院 病院で実装・活用している標準規格の上位 診療所 診療所で実装・活用している標準規格の上位
医事会計システムのみ 7.5% 医事会計システム導入率95.7%
・標準病名マスター(71.2%*)
・標準歯科病名マスター(28.0%*)
・医薬品HOTコードマスター(14.2%*)など
41.5% 医事会計システム導入率86.1%
・標準病名マスター(79.2%*)
・医薬品HOTコードマスター(42.6%*)
・処方・注射オーダ標準用法規(31.0%*)など
一体型システム(医事会計システム・電子カルテシステム) 37.1% 37.1%
医事会計システムと電子カルテシステムそれぞれ異なるシステム 51.1% 7.5%
電子カルテシステムのみ 4.3% 電子カルテシステム導入率92.5%
・標準病名マスター(86.6%*)
・SS-MIX2ストレージ仕様書および構築ガイドライン(40.9%*)
・標準歯科病名マスター(36.3%*)
・医薬品HOTコードマスター(28.5%*)など
6.1% 電子カルテシステム導入率50.7%
・標準病名マスター(72.7%*)
・処方・注射オーダ標準用法規格(40.0%*)
・診療情報提供書」(40.0%*)、「医薬品HOTコードマスター」(38.2%*)など
一体型システム(医事会計システム・電子カルテシステム) 37.1% 37.1%
医事会計システムと電子カルテシステムそれぞれ異なるシステム 51.1% 7.5%
医事会計システムも電子カルテシステムも導入していない 0 7.7%
  1. *パーセントはシステムを導入している施設での割合
  2. 出典:日本における医療情報システムの標準化に係わる実態調査研究報告書(令和2年3月)

また、報告書では、医事会計システムや電子カルテシステムなどに実装・活用する標準規格について「コード・用語」(8つの標準規格)、「データ形式」(処方データ交換規約など、8つの標準規格)、「データ交換」(「仕様」に関するものなど、4つの標準規格)に大別している(別表参照)。

医事会計システムの導入は病院9割以上、診療所8割以上に

医事会計システム(「医事会計システムのみ」、「一体型システム(医事会計システム・電子カルテシステム)」、「医事会計システムと電子カルテシステムそれぞれ異なるシステム」の合計)の導入率は、病院95.7%、診療所86.1%、歯科診療所65.0%。

 病院、診療所において実装かつ活用している標準規格を分類すると、「標準病名マスター」など「コード・用語」に関するものが比較的多い。また、実装・活用している事例としては、「診療報酬請求の際の病名コード変換に使用」、「院外処方箋の作成に使用」が比較的多い。報告書では、実用性が高い規格が実際に活用されているようである、と分析している。

実装しているが活用していない理由としては「必要ない」との回答が多い。

電子カルテシステムの導入は病院9割、診療所5割に

電子カルテシステム(「電子カルテシステムのみ」、「一体型システム(医事会計システム・電子カルテシステム)」、「医事会計システムと電子カルテシステムそれぞれ異なるシステム」の合計)の導入率は、病院92.5%、診療所50.7%、歯科診療所44.2%であった。

病院、診療所において実装・活用しているのは「標準病名マスター」や「医薬品HOTコードマスター」など「コード・用語」に相当するものが多く、カルテ情報の病名およびコード、薬剤コードなどとして使われている。

実装しているが活用していない理由としては、「IHE統合プロファイル『可搬型医用画像』およびその運用指針」を除いて、ほとんどの標準規格について半数以上が「必要ない」と回答している。

一体型システムの導入は病院・診療所とも4割弱

 一体型システム(医事会計・電子カルテ)の導入率は、病院37.1%、診療所37.1%、歯科診療所29.0%である。実装・活用している標準規格で上位のものは、病院では「標準病名マスター」(システムを導入している施設での割合94.8%)、「医薬品HOTコードマスター」(同41.4%)、「標準歯科病名マスター」(同40.6%)、「SS-MIX2ストレージ仕様書および構築ガイドライン」(同37.3%)など。また、診療所では「標準病名マスター」(同74.5%)、「医薬品HOTコードマスター」(同37.6%)、「臨床検査マスター」(同36.9%)、「診療情報提供書」(同34.2%)などである。

一体型であるため、実装かつ活用している標準規格、活用事例は、医事会計システムあるいは電子カルテシステムと共通するものが多い。また、「データ形式」に分類される診療情報提供書を、診療所で3割以上(前述)、病院で2割以上が使用している。  実装しているが活用していない理由については、病院では「必要ない」との回答が多い。診療所では「必要ない」が比較的多いが、「臨床検査マスター」や「処方・注射オーダ標準用法規格」などについては「使い方が分からない」とする回答が最も多くなっている。

マイナンバーカードを職員証として活用する例も

マイナンバーカードは令和3年3月から、準備の整った医療機関等で健康保険証として使えるようになる見込みである。また、政府は、デジタル庁の設置と併せて、マイナンバーカードを「デジタル時代のパスポート」というキャッチフレーズで推進しようとしており、今後、その用途は広がっていく可能性が大きい。

そのような動きを踏まえてマイナンバーカードの活用状況について調査したが、病院、診療所、歯科診療所ともに、9 割以上がマイナンバーカードを活用していない・活用する予定がない、との回答であった。

その中で、「マイナンバーカードを活用している・活用する予定がある」の割合が最も高かったのは病院の8.9%である。診療所、歯科診療所も含めて、「マイナンバーカードを活用している・活用する予定がある」と回答した施設では、その活用用途としては「診察券として活用を予定している」との回答が最も多く、病院 で50.0%、診療所で 85.7%、歯科診療所で75.0%となっている。それを病院に限ってみた場合、20.0%が「職員証」として活用を予定し、すでに3.3%が「職員証」として活用している。

マイナンバーカードを「その他の活用」で予定しているのは、病院で45.0%、診療所で42.9%、歯科診療所で16.7%となっている。なお、予定している「その他」についての記述は、病院では「保険証の資格確認」(22件)、「オンライン資格確認」(5件)、「患者の本人確認」(2 件)、診療所では「患者の本人確認」(1 件)、歯科診療所では「被保険者資格の確認」(同)であり、いずれも令和3年3月から予定されているオンライン資格確認によって対応が可能となるはずである。

健康・医療・介護情報利活用検討会で電子カルテ等の標準化の議論

報告書は、あくまでも標準規格の実装・活用の状況について調査したもので、その普及の促進策など政策提言はしていない。厚生労働省においてその検討の場の中心となっているのが健康・医療・介護情報利活用検討会で、電子カルテ情報等の標準化について議論を続けている。

令和2年10月21日に開催した第4回「健康・医療・介護情報利活用検討会」(第3回医療等情報利活用ワーキンググループ・第2回健診等情報利活用ワーキンググループ合同開催)で、厚生労働省が、電子カルテ等の標準化についての今後の検討の方向性を示した。標準規格に関しては、検査・処方・病名等の必要な標準コードを実装するものであることとし、当面標準化に向けたカルテに実装する文書、データ項目等について具体的に定めることを検討する、としている。

その考え方の基礎となっているのが、政府の健康・医療戦略推進本部の「次世代医療ICT基盤協議会」と「標準的医療情報システムに関する検討会」が令和元年11月に取りまとめた報告書「技術面からみた今後の標準的医療情報システムの在り方について」である。同報告書では「医療情報システムを取り巻く技術は10 年単位で推移。10 年後を予測することはできない」としたうえで、「技術競争による発展を踏まえると、多様性も重要であり、統一された電子カルテ、画一化された製品は現実的ではない」と指摘。医療情報の共有は、技術の発展に対応できるような統一されたデータ連携仕様等に基づいた標準的な医療情報システムにより進めるべき、としている。