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安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律が改正
第12条に規定する採血等の制限の考え方について一部改正の通知 2020.10.02健康・医療

厚生労働省(厚労省)は令和2年8月26日、都道府県に対して、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第 12 条に規定する採血等の制限の考え方について」の一部改正について通知し、9月1日から適用した。これは、採血の制限に関する従前の通知を改正したもので、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」(血液法)が改正されて採血の制限が緩和されたことに対応した。

ポイント

  • 科学技術の発展などを踏まえて採血の制限を緩和
  • 医療の質・保健衛生の向上に資する物の原料とする採血が可能に
  • 採血業の許可基準を通知などで明確化

血液法が施行後5年を目途として見直し

血液法は平成25年に改正された際、施行後5年を目途に見直しをすること、とされていた。厚労省は、薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会で、採血規制などを改正する方向性について、①科学技術の発展を踏まえて採血等の制限を見直す、②医療の実施および保健衛生の向上のための採血に限り認める、③医療の発展に関する採血を認める、と提案。同部会で了承された。

それを踏まえて、令和元年の通常国会で、令和元年に成立した「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(通称「改正薬機法」)により、血液法が改正された。その趣旨は、科学技術の発展などを踏まえて採血の制限を緩和したことで、全体としては次のような改正になっている。

  1. ①医薬品・医療機器・再生医療等製品の研究開発において試験に用いる物、その他の医療の質、保健衛生の向上に資する物の原料とする目的での採血を可能とした。(第12条第1項第3号関係)
  2. ②採血業の許可について、採血所ごとの許可から採血事業者ごとの許可に改めた。(第13条第1項関係)
  3. ③採血業の許可基準を明確化した。(第13条第2項関係)
  4. ④採血事業者は、採血所ごとに、採血業務を管理する採血責任者を設置しなければならないものとした。(第21条関係)

また、それに基づいて、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律施行規則も改正された。

改正の中心は(採血等の制限)および(業として行う採血の許可)の条文関係

血液法の改正は、第12条・第13条関係が中心となっている。それらの具体的な改正の箇所は下表のとおりである。

改正された血液法第12条・13条関係(アンダーライン部が改正)

  1. (採血等の制限)
  2. 第12条 次に掲げる物を製造する者がその原料とし、又は採血事業者若しくは病院若しくは診療所の開設者が次に掲げる物の原料とする目的で採血する場合を除いては、何人も、業として、人体から採血してはならない。ただし、治療行為として、又は輸血、医学的検査若しくは学術研究のための血液を得る目的で採血する場合は、この限りでない。
  3. 1 血液製剤
  4. 2 医薬品(血液製剤を除く。)、医療機器(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する医療機器をいう。次号において同じ。)又は再生医療等製品
  5. 3 医薬品、医療機器又は再生医療等製品の研究開発において試験に用いる物その他の医療の質又は保健衛生の向上に資する物として厚生労働省令で定める物(新設)
  6. (第2項 略)

  7. (業として行う採血の許可)
  8. 第13条 血液製剤の原料とする目的で、業として、人体から採血しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。ただし、病院又は診療所の開設者が、当該病院又は診療所における診療のために用いられる血液製剤のみの原料とする目的で採血しようとするときは、この限りでない。
  9. 2 厚生労働大臣は、前項の許可を受けようとする者が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可を与えてはならない。(新設)
  10. 1 第22条第1項に規定する採血の業務の管理及び構造設備に関する基準に従つて採血を適正に行うに足りる能力を有するものであること。
  11. 2 献血者等につき、第25条第1項に規定する健康診断を行うために必要な措置を講じていること。
  12. 3 第25条第2項に規定する採血が健康上有害であると認められる者からの採血を防止するために必要な措置を講じていること。
  13. (以下略)
  1. 資料:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案」新旧対照条文

原則は「何人も、業として、人体から採血してはならない」―第12条でその例外を示す

今回の血液法の改正において最も基本的な考えを示しているのは、第12条(採血等の制限)関係である。そこでは、かつての売血/民間血液銀行の買血のようなことにならないよう、何人も業として人体から採血をしてはならないと原則を示したうえで、その例外(除外)となるものについて挙げている。

その改正された第12条により、医薬品・医療機器・再生医療等製品の研究開発において試験に用いる物、その他の医療の質または保健衛生の向上に資する物、これらの原料とする目的での採血が可能となった。そこでは、具体的な物を列挙するのではなく、科学技術の発展を踏まえて、包括的な表現にしている。

ただし、それではあいまいなので、採血等の制限について現時点で具体的にはどうなのか、その基本的な考え方は示しておく必要がある。そのため、厚労省医薬・生活衛生局血液対策課長が令和2年8月26日、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第12条に規定する採血等の制限の考え方について」の一部改正について、通知(薬生血発0826第3号、以下「採血制限通知」)を発出し、従前の通知(平成27年9月1日付け薬食血発0901第2号)を改正した。

採血制限通知では、血液法第12条に基づく採血等の制限について、その基本的な考え方を次のように示している。

血液は、人の生命を維持していくために不可欠なものであり、むやみに採取を許すべきではなく、真に必要な場合にのみ血液が利用されることを期する血液法の理念に則り、より高次の目的すなわち人命の救助に関するものとして医療上あるいは学術研究上最小限度の血液の採取及び利用をする場合を除き、採血等は行われるべきではない。

採血の制限の例外について例示

血液法第12条第1項において、採血の制限の例外として「医薬品、医療機器又は再生医療等製品の研究開発において試験に用いる物その他の医療の質又は保健衛生の向上に資する物として厚生労働省令で定める物」が追加された。採血制限通知では、採血できるものとして次のi~ⅲを挙げ、説明を加えている。

ⅰ 医薬品、医療機器または再生医療等製品の研究開発に用いる物であって、次の(i)から(iii)までのいずれかに掲げるもの

  1. (i)ヒト体細胞加工研究用具((ii)及び(iii)に掲げる物を除く。)
  2. (ii)ヒト体性幹細胞加工研究用具((iii)に掲げる物を除く。)
  3. (iii)ヒト人工多能性幹細胞加工研究用具

例えば、疾患特異的iPS細胞から分化誘導した神経細胞を用いて、治療薬の候補物質を探索する場合や、安全性・有効性の評価を行う場合が該当する。代表例として、(i)は培養液で希釈したヒト血液、(ii)はヒト造血幹細胞、(iii)はヒトiPS細胞がある。

  1. ⅱ 疾病の原因に関する研究または疾病の予防、診断および治療に関する方法の研究開発に用いる物であって、上記ⅰの(i)から(iii)までのいずれかに掲げるもの
    例えば、疾患特異的iPS細胞から分化誘導した神経細胞を用いて、病態を再現する場合が該当する。
  1. ⅲ 血液学的検査、生化学的検査その他人体から排出され、または採取された検体の検査の精度を適正に保つために用いる物
     例えば、血液学的検査等の検査機器の研究開発や維持に当たって当該検査の精度管理の基準となる、いわゆる「標準品」が該当する。

また、血液法第12条第1項では、「治療行為として、又は輸血、医学的検査若しくは学術研究のための血液を得る目的で採血する場合は、この限りでない。」とのただし書きがある。そのただし書きに基づく採血とは、具体的には次のようなものである。

  1. ①瀉血療法等の採血自体が治療行為である場合
  2. ②輸血に使用する血液を得る目的で採血する場合
  3. ③血液型判定等の医学的検査のために採血する場合
  4. ④適切な倫理審査委員会で承認された研究計画に基づき、研究の一環として採血が実施される場合

採血業の許可を得るための要件を血液法に明示

血液法第13条(業として行う採血の許可)は第2項を新設するなど、第12条関係とともに今回の改正の中心をなすものである。

血液製剤の原料とする目的で、業として、人体から採血しようとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。同第13条第2項では、その要件として、①採血の業務の管理および構造設備に関する基準に従っていること、②献血者等に健康診断を行うために必要な措置を講じていること、③採血が健康上有害であると認められる者からの採血を防止するために必要な措置を講じていること――などを挙げている。

厚労省は令和2年8月27日、それらに関して、次のような通知を発出し、具体的な基準などを示した。

  1. 〇採血の業務の管理及び構造設備に関する基準についての一部改正について(薬生発0827第9号)
  2. 〇安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第25条に基づく健康診断並びに生物由来原料基準第2の1(1)及び2(1)に規定する問診等について(薬生発0827第7号)
  3. 〇採血事業者に係る立入検査等について(薬生発0827第4号)

国会では新規参入に関して質疑応答が

現時点では日本赤十字社(日赤)が唯一の採血事業者だが、改正された血液法に基づき、採血事業に参入しようとする団体も出てくる可能性が十分にある。それに関して、令和元年11月26日に開催された参議院・厚生労働委員会で、野党の委員が「複数の採血業者に許可されると、競争原理が起きて安全面で問題は生じないか。(中略)外資系が参入するという可能性もある。しかし、非営利団体でも、投資に見合わない場合、国内からの撤退もあり得るし、混乱も生ずる恐れがある」と質問した。

それに対して、政府参考人(厚労省医薬・生活衛生局長)が「採血事業者が事業をやめようというときには、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。そもそも、採血業の許可時に、いろいろな要件をしっかりと確認をして入っていただくことになっている」と答弁した。

続いて、同委員から「献血者の情報共有はどのようにするのか。同じ人が何度も献血するなど、献血の日数が近い場合など、それぞれの事業者が適切に判断できるのか」との質問が出た。

それに対して、政府参考人が次のような趣旨の答弁をしている。

「今回の改正で、情報ということに関しては、例えば血液製剤による保健衛生上の危害の発生または拡大を防止する措置を講ずる必要がある場合には、採血事業者がほかの採血事業者と情報を共有すると書いている。血液で何か異常が見つかったような場合に、それをほかの事業者にも共有する。あまり頻繁に献血していただくのはよくないので、採血の履歴を確認するということになる。こうした個人情報の保護については、基本的には個人情報保護法等に基づいて適切に管理するが、献血履歴の確認については、本人の同意を得た範囲において、その情報を提供するということを考えている」

このように、国会では採血事業者の新規参入に関心が高かったが、そこでの質疑応答から、情報共有の仕組みなどに課題が残っていることも明らかになった。