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令和元年医師の勤務実態調査などの結果を報告
兼務先での労働時間の実態も明らかに 2020.09.15健康・医療

厚生労働省(厚労省)は令和2年8月28日、第8回「医師の働き方改革の推進に関する検討会」を開き、同6年(2024年)4月から勤務医に対して労働基準法に基づく時間外労働規制が始まることを踏まえて、令和元年度の厚生労働科学研究事業において行われた「令和元年医師の勤務実態調査」、「医師の働き方改革の地域医療への影響に関する調査」の結果を報告した。平成28年に実施した同様の調査と比べると、週労働が80時間以上の医師は若干減っているが、週労働40~70時間の医師は増えており、「働き方改革」に向けて課題が残っていることも明らかになった。

ポイント

  • 週労働80時間以上の勤務医は若干減に
  • 長時間労働の上位10%は時間外労働が年1,824時間以上
  • 大学病院では兼務先も含めた労働時間の管理が必要

週労働が80時間超であればB水準を超えることに

政府が推進する「働き方改革」の一環として令和6年4月1日から、改正された労働基準法(以下、改正労働基準法)に基づき、診療に従事する勤務医に対して、罰則付きで時間外労働上限規制が始まる。ただし、それは一律ではなく、いわゆる三六協定の締結を前提に、A・B・Cの3つの水準が設けられる。

A水準は、時間外労働の上限が年960時間/月100時間(例外あり)で、これが原則としてすべての勤務医の基準となる。

 B水準(地域医療確保暫定特例水準)は、時間外労働の上限が年1,860時間/月100時間(例外あり)で、医療機関を特定したうえで適用する。これは、救急医療など地域医療において重要な役割を果たしている医療機関への適用が想定されている。また、2035年度末までに時間外労働はA水準のレベルになるようにし、B水準自体をなくすことも目標とされている。

C水準(集中的技能向上水準)は、時間外労働の上限はB水準と同様だが、医療機関を特定したうえで、研修医あるいは高度な技能を学ぼうとする医師などに対して適用する。  いかなる理由があっても、B水準を超えての時間外労働はできない。したがって、時間外労働を年1,860時間以内にすることが絶対的な基準となる。

労働基準法第32条第1項で「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない」と規定している。法定労働時間は40時間であり、例えば週における労働が80時間の場合、厚労省では、次の二つの考え方で年の超過分(時間外労働)について換算し、提示している。

①週の超過分(80時間マイナス40時間)である40時間の4倍(4週分)が月の超過分(160時間)となり、その12倍(12カ月分)の1,920時間を年の超過分と換算する。  ②週の超過分(80時間マイナス40時間)である40時間の52倍(52週分=1年)の2,080時間を年の超過分と換算する。

ちなみに、その換算の方法については、月を単位として12倍にするほうが、わかりやすいことなどから、主として①が用いられている。

いずれにしても、週における労働が80時間を上回るのであればB水準(前出)を超えてしまうので、ここが一つの重要な区切りとなる。

病院勤務医の労働の実態が明らかに

「令和元年 医師の勤務実態調査」(以下、今回調査)は、病院勤務医の労働の実態を把握することを主な目的として、令和元年9月に実施したもので、施設調査(1万9,112施設対象、回収3,967施設)、医師調査(紙媒体配布14万1,880部、回答2万382人)からなる。また、今回調査は、平成28年厚生労働科学特別研究事業として実施された「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査研究」での調査(以下、前回調査)とほぼ同じ規模で実施しており、結果の比較もなされている。

 今回調査では、回答(2万382人)の73.1%が男性、25.2%が女性で(ほか無回答1.7%)、前回調査や平成30年医師・歯科医師・薬剤師統計での性別の割合とほぼ同じである。また、今回調査で病院・常勤勤務と回答したのは1万7,751人となっている。

また、今回調査の中心をなす、病院常勤勤務医の主たる勤務先での週労働時間についての調査は、前回調査と比較するため、週4日以上働いている病院勤務医で、性・年齢・主たる診療科・主たる勤務先について回答のあった8,937人を分析の対象とした。その勤務先は、大学病院が32%、大学病院以外の病院が68%となっていて、平成30年医師・歯科医師・薬剤師統計(厚労省)と比べると大学病院の割合が5ポイントほど多くなっている。

今回調査の結果は下表のとおりである。

病院常勤勤務医の週労働時間の区分割合(%)

前回調査 今回調査 前回比(pt)
週40時間未満 16.1 13.7 ▲ 2.4
40-50時間 21.0 22.3 1.3
50-60時間 23.7 26.3 2.6
←時間外 年960時間換算
60-70時間 18.4 18.9 0.5
70-80時間 11.1 10.4 ▲ 0.7
←時間外 年1,920時間換算
80-90時間 5.6 5.0 ▲ 0.6
←時間外 年2,400時間換算
90-100時間 2.5 2.3 ▲ 0.2
←時間外 年2,880時間換算
週100時間以上 1.6 1.2 ▲ 0.4
  1. 出典:第8回「医師の働き方改革の推進に関する検討会」資料
  2. 注 :「前回(H28)比」(単位:ポイント)は本稿における試算

時間外労働年960時間という上限を超える勤務医が4割弱

今回調査で、特に注意が必要なB水準を超えている週労働時間の医師の割合は、週80~90時間が5.0%、90~100時間が2.3%、100時間以上が1.2%で、それらの合計は8.5%となり、前回調査よりも1.2ポイント低下している。また、週労働時間の多い順で最上位からみていくと、前回調査の上位10%は時間外労働が年1,860時間だが、今回調査の上位10%はそれが1,824時間となっている。このように、特に注意を要する医師の割合は、今回調査において若干の減少がみられている。

一方、勤務医一般において基準となる時間外労働年960時間前後に相当する時間区分の医師の割合は、例えば週労働50~60時間が26.3%(前回比2.6ポイント増)、60~70時間が18.9%(同0.5ポイント増)で、それぞれ増加している。これは、前回調査で週70時間以上の区分に位置づけられていた医師の一部が移行してきたため、と推測される。

ただし、改正労働基準法の趣旨からすれば、すべての医師において時間外労働が年960時間を上回らないようにすることが重要となる。まだ、4割弱の常勤勤務医がそれをクリアしていない状態であり、タスク・シフティングなど「働き方改革」に向けての取り組みがさらに求められる状況である。

大学医局から関連病院への医師派遣に影響があるか調査

「医師の働き方改革の地域医療への影響に関する調査」(以下、影響調査)は、大学病院が地域に対して医師派遣の機能を果たしていることを踏まえて、令和2年2~3月、地方のA大学(消化器内科、消化器外科、産科婦人科)、都市部に近いB大学(産科婦人科、救急科、循環器内科)の医局のヒアリングなどを実施し、まとめたものである。主な調査事項は、令和6年4月に勤務医に対して時間外労働の上限規制(A水準、B水準)が適用された際、大学医局から関連病院への医師派遣に影響があるか、また医師の副業・兼業先(以下、兼務先)となっている病院の勤務に影響があるか、というものである。前述の今回調査と前回調査は主たる勤務先での週労働時間について調べたものだが、影響調査では、大学医局の医師という特殊性も踏まえて、兼務先での週労働時間も調査しているのが特徴である。

影響調査では、A大学、B大学(以下、両大学)いずれの大学病院においても、6診療科それぞれの医師の週平均労働時間は60時間(時間外労働年960時間)を超えていない。しかし、兼務先の労働時間を加えた場合、診療科ごとの医師の平均では6診療科のうち4診療科において、また回答のあった142名のうち43名(30.3%)において、週平均労働時間が60時間を超えている。例えば、その時間が最も長いA大学の消化器外科の医師の平均では、大学病院での週労働時間が49時間48分、兼務先での週労働時間が20時間12分で、合計で70時間となっている。

大学病院の場合、令和6年4月からの改正労働基準法適用に向けて、B水準・C水準の病院として特定されるための申請はするものと推測される。ただし、医師の健康を考慮すれば、兼務先の労働時間も含めて時間外労働が年960時間を超えないようにすることが基本となる。とはいえ兼務先から医師を引き上げたりすると、地域医療へ大きな影響を与えることになる。ヒアリングでは、その引き上げを第一選択とする医局はなかったという。

このように、影響調査から、大学病院を含めた地域全体の医療提供体制の見直し、兼務先を含めた労働時間の管理が必要であるという状況が、明らかとなった。