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新型コロナウイルス感染症による医療機関の患者数の変化などを報告
診療所では小児科、耳鼻咽喉科、眼科の減少が顕著 2020.09.14健康・医療

厚生労働省(厚労省)は令和2年8月19日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、新型コロナウイルス感染症による医療機関の患者数の変化などについて報告し、対応について議論した。それによると、①レセプト件数について前年同月比で見ると、4月以降は医科、歯科、調剤いずれにおいても減少している、②入院、外来ともに減少しているが、外来の減少幅のほうが大きい、③4~5月はいずれの診療科も減少しているが、小児科、耳鼻咽喉科、眼科の減少が顕著、となっている。

ポイント

  • レセプト件数で医科の5月は前年同月比20%以上の減少に
  • 入院よりも外来の減少幅が大きい
  • 小児科では感染症全般の減少、“コンビニ受診”の抑制も影響か

3月から5月にかけて患者が急減

国による新型コロナウイルス感染症対策は、令和2年2月1日から同感染症を指定感染症とすることで、本格的に始まった。同感染症の患者が3月になって増え始め、3月下旬から4月中旬にかけて急増した。それに対応し、政府は新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正し、3月14日から新型コロナウイルス感染症を暫定的に新型インフルエンザ等とみなすこととした。また4月7日、同措置法に基づき、緊急事態宣言が発令され、「不要不急」の外出は避けることが行動の基本とされた。緊急事態宣言は5月25日に解除されたが、6月中旬から患者が増え始めた。それが「第2波」とも呼ばれているが、8月中旬以降、全国的に患者は減少しつつある。

一方で、診療所をはじめとする一般的な医療機関においては、緊急事態宣言が解除された5月末以降でも、PCR検査も含めて新型コロナウイルス感染症への対応が十分にできない状況が続いている。その背景には、保健所と医療機関の役割分担、医療機関間での役割分担と連携について、国、都道府県、医療関係団体のどこが“司令塔”の役割を果たすのか明確でない、ということがある。

そのような状況において、国民の間では「3密」を避けることをはじめとした「新しい生活様式」が定着しつつある。また、無理をして医療機関に行くこと自体が「不要不急」と考える人も少なくない。その結果、患者側の受療行動も大きく変化し、3月から5月にかけて医療機関を受診する患者が急減した。

保険薬局では前年同月比の低下が緩やか

厚労省は令和2年8月19日に開催した中医協・総会で、新型コロナウイルス感染症による医療機関の患者数の変化について、レセプト件数を指標に、同年2月~5月の前年同月比や前々年同月比の形で報告した。そのレセプト件数は、基本的には月単位での患者数を意味し、診療報酬(医業収入)を直接的に表すものではない。しかし、患者単価が前年同月とほぼ同じであれば、入院と外来に分けてみた場合、それぞれのレセプト件数は医業収入の直接的な指標となる(後述)。

その報告によると、医科のレセプト件数(支払基金+国保連データ)については、2月の前年同月比は100.2%で、わずかな増加が認められる。ただし、令和2年はうるう年であり、2月が前年より1日多いため、単純計算ではレセプト件数が前年同月比で3%程度(29/28)増えることになる。しかし、令和2年の2月の場合、増えた1日(2月29日)は土曜日であり、休診も多いので、レセプト件数としては1%程度増加させる要素となる、と推測できる。そのように、うるう年の要素を加えて実質でみると、すでに2月において医科のレセプト件数が減少に転じている、とみることができる。

その後、3月、4月にかけて、医科のレセプト件数の前年同月比は1割程度ずつ減少し、5月は79.1%となっている。歯科もほぼ同様の低下傾向を示しているが、調剤(保険薬局)についてはその低下がやや緩やかである。(下表参照)

令和2年 医療機関の患者数の変化

レセプト件数の前年同月比

2月 3月 4月 5月 5月-2月差
医科 100.2 89.8 81.0 79.1 ▲ 21.1
入院 98.8 96.2 88.6 85.7 ▲ 13.1
外来 100.2 89.6 80.8 79.0 ▲ 21.2
病院 97.1 92.2 81.0 76.6 ▲ 20.5
診療所 101.4 86.0 76.6 76.0 ▲ 25.4
歯科 102.6 95.1 76.4 76.4 ▲ 26.2
調剤 102.2 90.8 84.2 81.9 ▲ 20.3
総計 101.2 90.8 81.6 79.8 ▲ 21.4

医科診療所の診療科別  レセプト件数の前年同月比

2月 3月 4月 5月 5月-2月差
内科 98.6 87.0 79.4 75.2 ▲ 23.4
小児科 101.5 77.4 61.8 53.9 ▲ 47.6
外科 97.0 85.4 78.9 78.1 ▲ 18.9
整形外科 100.9 90.8 79.8 80.5 ▲ 20.4
皮膚科 105.7 100.2 89.0 97.4 ▲ 8.3
産婦人科 103.8 96.8 88.2 89.3 ▲ 14.5
眼科 103.3 83.7 65.7 67.6 ▲ 35.7
耳鼻咽喉科 103.4 69.3 59.1 58.3 ▲ 45.1
その他 103.7 97.1 91.4 91.2 ▲ 12.5
  1. 出典:中央社会保険医療協議会(令和2年8月19日開催)資料
  2. 注1: 病院・診療所および診療科別は支払基金のデータ、
    上記以外は支払基金+国保連のデータ
  3. 注2:「5月-2月差」(5月マイナス2月)は試算、単位はポイント

医科全体の医業収入はレセプト件数ほどの落ち込みではない

入院、外来いずれも3~5月の前年同月比は低下を続けているが、その低下の程度は外来よりも入院の方が6~7ポイントほど小さい。この時期、「不要不急」の外出を避けることが社会的なコンセンサスとなっていたが、外来と比べて入院は「不要不急」の要素が小さいため、といえよう。

レセプト件数の大多数は外来のものであり、入院と外来を合わせた医科のレセプト件数の前年同月比は、外来のそれに0.1~0.2%を上乗せした程度となっている。ただし、医科(全体)のレセプト件数の前年同月比は、診療報酬あるいは医業収入を直接的に反映したものではない。例えば、令和元年度の概算医療費は43.6兆円(うち医科32.5兆円)で、うち入院が17.6兆円(構成比54%)、入院外(在宅など含む外来)が14.9兆円(構成比46%)となっていて、患者単価の大きい入院の医療費が、入院外の医療費を上回っている。つまり、診療報酬あるいは医業収入でみた前年同月比は、医科(全体)のレセプト件数の落ち込みほど大きくはないと推測できる。

病院と診療所の前年同月比は支払基金のデータに基づくものであり、支払基金+国保連のデータに基づく医科(入院、外来)とは患者の年齢階層、それに伴う疾病構造などが異なると推測され、注意が必要である。5月の前年同月比は、病院が76.6%、診療所が76.0%であり、その両者の加重平均をしたとしても76%台となる。一方、同月の医科の前年同月比は79.1%で、健保組合などを中心とした支払基金だけのデータよりも3ポイントほど高くなっており、ここには国保の加入者の属性の違いが反映されている。

耳鼻咽喉科、眼科では花粉症患者の減少が影響か

医科診療所の診療科別でみると、いずれの診療科も4~5月の前年同月比は減少しているが、特に小児科は5月において患者がほぼ半減している。耳鼻咽喉科、眼科についても、減少幅が比較的大きい。その理由としては、単純な受診抑制だけでなく、次のような背景・理由があることが推測できる。

小児科については、小児においては新型コロナウイルス感染症対策として実施されているマスク着用、手洗いなどにより、他の感染症の患者も減少した。政府の要請で小中学校などが3月から5月にかけて長期にわたり臨時休業となったため、学校での感染の機会が減った。また、小児の医療費は、その自己負担分については自治体が負担し、実質的には自己負担がゼロとなるケースがほとんどである。そのため、他の診療科と比べると、いわゆる“コンビニ受診”も多かった。しかし、コロナ禍においては「不要不急」としての“コンビニ受診”も減ることとなった。

耳鼻咽喉科、眼科においては、新型コロナウイルス感染症対策として実施されているマスク着用のほか、緊急事態宣言により多くの人が外出を必要最小限にしたことなどから、花粉症患者が減少した。

また、外科や内科も含めてほぼ各科共通して患者が減ったことの背景として、緊急事態宣言などにより外出する機会が減り、事故に遭う機会も減ったことが挙げられる。例えば、東京都における救急搬送の出場件数、搬送人員は、3月以降は前年同月比で1割以上減少している。

時限的・特例的な対応として「電話診療・オンライン診療」も

政府/厚労省では、診療報酬が直接的に関係する新型コロナウイルス感染症対策として、主として次のようなことを実施してきた。

4月10日から、時限的・特例的な対応として、オンライン診療を大幅に規制緩和し、「電話診療・オンライン診療」として、患者側は画像のない固定電話を使ってもよいようにするとともに、初診からも対応できるようにした。この場合の初診料は214点で、通常の初診料(288点)よりも26%ほど低くなっている。

 4月18日からは、新型コロナウイルス感染症の中等症・重症患者を受け入れている医療機関の評価として、救命救急入院料(1、2)、特定集中治療室管理料(1、3)、ハイケアユニット入院医療管理料などの点数について2倍に引き上げた。

また、緊急事態宣言が解除された翌日、5月26日には、上記点数について3倍に引き上げた。併せて、在宅医療における対応として、新型コロナウイルスへの感染を懸念した患者などからの要望に基づき、訪問の代わりに電話等を用いた場合、在宅時医学総合管理料などを算定できることとした。

 以上のように、時限的・特例的な対応として診療報酬上の対応がなされているが、実際にその対象となるのは、積極的に新型コロナウイルス感染症の診療を行っている医療機関である。それ以外、新型コロナウイルス感染症患者と特に関わりのない医療機関においても、医業収入が大きく減少していることが推測される。しかし、そのような医療機関に対して診療報酬あるいは何らかの補助金で支援することについては、政府レベルあるいは中央社会保険医療協議会(中医協)においてもコンセンサスは得られていない。