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「令和元年度 医療現場におけるUDI利活用推進事業」の報告書を公表
6薬局を対象にバーコードを使用したシステム利活用の実態調査と実証調査 2020.08.15健康・医療

 厚生労働省(厚労省)は令和2年7月30日、「令和元年度 医療現場におけるUDI利活用推進事業」の報告書を公表した。これは、薬局を対象に、バーコードを使用したシステムの利活用に係る実態調査と実証調査を行い、その結果をまとめたものである。同実証調査によると、医療安全に関しては、目視での確認に比べ、バーコードを活用した方が正確性が高いなど、導入効果がみられている。

ポイント

  • 調剤、棚卸、薬剤回収にバーコードを使用したシステムを活用
  • 対象の6薬局すべてで、薬剤の取り揃え時での取り違え防止に活用
  • 重量監査では薬剤の種類・数量などのチェックに応用

UDIは医薬品などを固有に識別すること、その運用体系を意味する

厚労省の「令和元年度 医療現場におけるUDI利活用推進事業」の報告書(以下、報告書)で表記されているUDIとは、“Unique Device Identification”(機器固有識別)あるいは“Unique Device Identifier”(機器固有識別子)の略称である。もともとは医療機器を対象とした用語だったが、厚労省では現在、医療用医薬品も含めて固有に識別することや、その運用体系を表す用語として使用している。

 厚労省は、医薬品、医療機器の識別やトレーサビリティ(追跡可能性)の確保などを行うことによって、流通の効率化・高度化、医療事故の防止、医療事務の効率化などを目的に、個別包装などにバーコード表示を行うよう、医薬品については平成18年に、医療機器については平成20年に、それぞれ通知を発出している。前述のUDIは形としては、それらのバーコードを意味する。また、医療用医薬品については、流通情報システムの標準化を行っている国際的組織であるGS1が定める商品識別コードを設定し、バーコード(以下、GS1バーコード)で表示すること、と通知している。

 厚労省は、すでに平成30年度事業として、病院を対象にバーコードの利活用についての検証を行っている。それを踏まえて、令和元年度事業として、薬局を対象に、バーコードを使用したシステムの利活用にかかる実態調査(以下、実態調査)と実証調査(以下、実証調査)の2つを行った。

北海道、東京都、大阪府に所在する6薬局を対象に調査

 実態調査は令和元年12月~同2年1月、北海道、東京都、大阪府に所在する6薬局(以下、総称として「6薬局」、個別には№1~6の薬局)を対象に、①調剤プロセスの概要とバーコードを使用したシステムの役割、②業務プロセス(調剤、棚卸、回収での各プロセス)、③バーコードを使用したシステムの状況――などについてインタビューを行った。  それによると、調査対象となった6薬局すべてあるいは一部薬局において、GS1バーコードを使用したシステムが、調剤、棚卸、薬剤回収に活用されている。(下図参照)

6薬局すべてで薬剤の取り揃え時、取り違え防止に活用

まず、調剤では、6薬局すべてにおいて、薬剤の取り揃え時の取り違え防止を目的に、GS1バーコードが活用されていた。例えば№6薬局では、処方箋の情報をハンディターミナルで読み取り、そこに表示される棚番号を基に、薬剤を探している。次に箱またはシートに印字されたGS1バーコードをハンディターミナルで読み取り、処方箋の情報と異なるGS1バーコードを読み取った場合は、アラートが出るようになっている。

監査(重量監査)においては、GS1バーコードが薬剤の種類・数量などのチェックに応用されている。例えば№5薬局では、薬剤をすべて取り揃えた後、薬袋に付けられたバーコードをバーコードリーダーで読み取る。また、取り揃えた薬剤の調剤包装単位に印字された GS1バーコードを読み取り、薬剤を電子天秤に載せ、定性、定量(重量)監査を行う。その種類や数量がレセプトコンピューターに入力されている処方と異なっている場合、パソコンにアラートが表示され、薬剤師が再確認を行う。

薬剤の補充においては、GS1バーコードを活用し、ミスが起こらないようにしている。例えば№2薬局では、補充しようとする薬剤に印字されているGS1バーコードと、調剤棚において薬剤が格納されている箱の側面に貼り付けてあるGS1バーコードをハンディターミナルで読み取り、補充する薬剤の間違いを防いでいる。

棚卸では薬剤の有効期限の確認、実在庫のデータベースの入力の効率化などに

棚卸では、GS1バーコードが、薬剤の有効期限の確認、実在庫のデータベースの入力の効率化などに活用されている。例えば№1薬局では、棚卸対象となるすべての薬剤がハンディターミナルに登録されていて、すべての薬剤の調剤包装単位または販売包装単位のGS1バーコードをそれで読み取るとともに、その薬剤の在庫数量を担当職員が目視でカウントする。そのカウントした数量をハンディターミナルに入力すると、レセプトコンピューターに数量が自動的に登録される。その突き合わせの処理をレセプトコンピューターで行うことで、棚卸対象となっている薬剤全体の理論値と実績値との比較が自動的に行われる。

薬剤回収において、回収業務そのものには、GS1バーコードは活用されていない。しかし、その回収時には在庫管理システムから基本的な情報を得ることになるが、同システムへの薬剤の情報の登録などにおいてGS1バーコードが活用されている(後述)。

実証調査でバーコード活用の有用性が確認される

バーコードを使用したシステムの利活用にかかる実証調査は、前出の6薬局のうち北海道、東京都、大阪府の3薬局(前出の№1、№2、№4の薬局)において、医療安全、物品管理、トレーサビリティに関する調査を行った。

医療安全に関する実証調査では、バーコードを使用したシステムを利用している上記3薬局と、同一法人内で規模や地域の環境が似ているが同システムは利用せず目視で作業をしている店舗を比較した。その結果、バーコードを使用したシステムを利用している店舗のほうが調剤の正確性が高く、バーコードを活用することの有用性が確認された。例えば№4薬局、同システムを利用していないB薬局で、「コンピューターへの入力時の薬剤の名称・規格の間違い」、「調剤時の計数・規格の間違い」といった調剤過誤の割合(処方箋枚数ベース)を比較すると、それが№4薬局では0.00%だが、B薬局では0.02%となっている。

物品管理に関する実証調査では、棚卸業務にバーコードを活用している薬局、活用していない薬局の比較を行った。その結果、バーコードを活用している薬局のほうが確認ミスや有効期限の確認もれが少ないなど、バーコード活用の有用性が確認された。

トレーサビリティの一つの意義として、例えば薬剤の回収が必要となった際、有用性を発揮することが挙げられる。前述の№4薬局では、仕入れ時において薬剤を自動入庫払出装置へ入庫する際に、GS1バーコードを用いてデータベースに製造番号、有効期限を入力している。それにより、調剤時刻と製造番号を紐づけることができ、回収対象となる製造番号の薬剤が調剤された患者を個人単位で特定できる。

バーコードを使用したシステムの利活用に課題も

バーコードを使用したシステムを利用した場合でも、職員のさまざまな作業ミスにより、何らかのミスが発生する可能性がある。その作業ミスとして具体的には、例えば①処方情報の調剤システムへの入力間違い、②薬剤の取り違え、③薬剤の数量の数え間違い、などがある。今回の調査の対象となった薬局では、次のような対応・対策がなされていた。

まず、処方情報を手作業で調剤システムへ入力する際の間違いを防ぐため、№1薬局では、処方箋に薬局サイドで2次元コードが印字されている場合にはハンディターミナルで読み取り、機械的に登録ができるようにしている。

 薬剤の取り違えの原因として、例えば取り揃え時に、バーコードを読んだ調剤棚の容器(箱)と違う容器(箱)から薬剤を取り出すという作業ミスがある。その対策として、№2薬局では、補充しようとする薬剤に印字されているGS1バーコードと、調剤棚において薬剤が格納されている箱の側面に貼り付けてあるGS1バーコードをハンディターミナルで読み取り、補充する薬剤種類の間違いを防ぐようにしている。

薬剤の数量の数え間違いは、バーコードを使用したシステムに薬剤の数量を確認する機能がない場合などに、発生する。その対策として、№2薬局では、薬剤の取り揃えにおいて、薬剤の数量を確認する専任の非薬剤師が、薬袋に記載された取り揃えるべき数量と実際の数量を目視で確認する、という方法をとっている。また、最終監査は、投薬カウンターにおいて薬剤師が目視で行っている。

なお、調剤包装単位で製造番号の情報が付与されている薬剤は少ないため、例えば回収対象になった薬剤の所在、それが調剤された患者の特定が困難な状況があり、将来的には1錠単位でバーコードを付与することも考えられるが、その製造コスト、薬剤の表面にバーコードが表示されていることを患者側が受容するかなど、いくつかの課題があることから、今回の報告書では「継続した検討が必要である」としている。